遺言執行者や特別の寄与の改正問題

宅建試験に出る『相続全般』の改正問題:「出題されそうな問題」のみに絞っていますので、関連知識は当サイトの改正民法「相続」「遺言と遺留分」のページでチェックしておいてください。

宅建改正問題!相続全般

【問1】Aが死亡し、その子BCが相続人である場合において、「Bに相続財産である土地の3分の2を取得させる」旨のAの相続分の指定があったときは、CがC名義への所有権移転登記をし、これを第三者Dに譲渡して所有権移転登記をしても、Bは自己の持分である3分の2を登記なくしてDに対抗することができる。

【問2】ー

【問3】ー

【問4】遺言執行者は、任務を開始したときは遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。

【問5】ー

【問6】Aが死亡し、その子BCが相続人である場合において、「Bに相続財産である土地の3分の2を取得させる」旨のAの相続分の指定があったときは、Cは、遺留分に基づき減殺を請求できる限度において、減殺の請求に代えて、その目的の価額に相当する金銭による弁償を請求することができる。

【問7】被相続人に対して無償で療養看護をしたことにより、被相続人の財産の維持について特別の寄与をした相続人は、他の相続人に対して、寄与に応じた額の金銭の支払いを請求することができる。

宅建合格
相続から遺産分割、遺言や遺留分など「相続全般」の改正問題をまとめて解説します。宅建試験における権利関係の貴重な得点源となりますので確実に押さえておいてください。


【1…×】改正民法により、相続による権利の承継について「法定相続分を超える部分」は登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができないとされました。よってBは、法定相続分である2分の1を超える部分については、登記がなければDに対抗することができません。従来は「遺贈」や「遺産分割」によって取得した場合のみ登記により優劣を決していましたが、相続分の指定(従来はBの勝ち)でも登記での決着となりました。法定相続分として相続する自己の持分については、登記がなくてもDに対抗できる点に注意です。

【2】ー

【3】ー

【4…〇】従来の遺言執行者に通知義務はありませんでしたが、改正民法により、任務を「開始したとき」に「遅滞なく」、「遺言の内容」を相続人に通知することが義務付けられました。出題可能性は低いですが、簡単なので覚えておきましょう。

【5】ー

【6…〇】10年ほど前に出題された問題ですが、当時は「価額請求が認められていなかったため誤り」とする肢でした。改正民法により「遺留分侵害額」に相当する金銭の支払を請求できるようになりましたので実質的に「〇」となりますが、もう「減殺を請求」という言葉が本試験で出てくることはありません。従来の遺留分減殺請求権が「遺留分侵害額請求権(遺留分が害された額の金銭債権を取得する)」となった点をしっかり覚えておきましょう。

【7…×】従来からある「相続人のための寄与分」制度にプラスして、「相続人以外の親族のための特別の寄与」制度が新設されました。簡単に言うと、被相続人に対して特別の貢献をした相続人の「相続分が増える」制度が寄与分ですが、この対象は「相続人」だけでした。被相続人の「子の妻」(=法定相続人ではない)がどれだけ介護を頑張っても、遺言でもない限り1円にもなりませんでした。それでは相続人ではない親族が可哀想だということで新設されたのが「特別の寄与」制度です。「親族」が「無償」で「労務の提供」を行った場合、相続人に対して、寄与に応じた「金銭の支払いを請求」することができます。相続人に労務の提供は不要で、被相続人の財産の維持や増加において特別の貢献があれば寄与分は認められまが、特別の寄与には実際の労務の提供が必要となり、無償である必要があります。そして本肢のひっかけポイントですが、相続人は特別の寄与の対象とはなりません。親族だけです。少し長くなりましたが、特別の寄与はこの文章だけ押さえておけば大丈夫でしょう。


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