悪意ある不法行為等の改正問題

今回は『不法行為』の改正問題を見ていきます。「出題されそうな問題」のみに絞っていますので、関連知識は当サイトの改正民法「不法行為」のページでチェックしておいてください。

不法行為の改正問題

ここでの出題は2問だけで、時効相殺でもお伝えしたことの焼き直しですが、とても重要です。

ピンポイントで出題される可能性「大」です。
絶対に押さえておく必要がある、たった2つの改正問題を見ていきましょう!


【問1】人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権は、権利を行使することができる時から、債務不履行に基づくものは10年、不法行為に基づくものは3年で時効消滅する。


【問2】Aの過失運転による自動車事故で、Bの自動車が被害を受け、BがAに対して不法行為に基づく損害賠償請求権を取得した場合において、B自身に怪我等の身体にかかわる損害がなかったときは、Aは、Bに対して有していた売買代金債権と当該損害賠償債務とを対等額で相殺することができる。


以下、解説です。

2問しかありませんので、両方公開しておきます。


【1…×】人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権は、債務不履行に基づくものは「権利を行使することができる時から20年」原則は10年)、不法行為に基づくものは「被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知った時から5年」原則は3年)で時効消滅します。「人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権」に限った伸長ですので注意してください。通常の不法行為による損害賠償請求権は、「被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年」or「不法行為のときから20年」で変わっていません。「不法行為のときから20年」の20年が除斥期間から消滅時効期間に変更されましたが、そこは深追いする必要はないでしょう。


【2…〇】従来は、不法行為により生じた債権を受働債権とする相殺(=加害者側からの相殺申出)は一切禁止されていました。しかし改正民法により「悪意の不法行為に基づく損害賠償債権を受働債権とする相殺」「人の生命・身体の侵害による損害賠償債権を受働債権とする相殺のみが禁止され、原則として不法行為に基づく損害賠償債権を受働債権とする相殺も有効となりました。過失による事故で発生した損害賠償債務ならば、加害者側から相殺を申し出ることも許されます。もう少し深入りするとしたら、上記2つの受働債権とする相殺が禁止された債権であっても、被害者からこの債権を譲り受けた者とならば、加害者側から相殺を申し出ることが許されます。被害者が第三者に譲り渡したのならば、被害者は「現実の弁済」にこだわっていないと考えられるためですね。


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