異議をとどめない承諾など債権譲渡の改正問題

改正民法で大きな改正のあった『債権譲渡』の問題を見ていきます。「出題されそうな問題」のみに絞っていますので、関連知識は当サイトの改正民法「債権譲渡」のページでチェックしておいてください。

債権譲渡の改正問題

出題頻度は低めで難易度は高めです。債権譲渡に勉強時間を割くなら、もっと得点しやすい箇所を盤石にした方が有意義です。債権譲渡全体の勉強優先度は低めで大丈夫ですが、ここでご紹介する改正点だけでも押さえておけば得点確率は上がるはずです。

従来から変わらない規定も含めて債権譲渡を極めようとすると大変で割に合いませんが、以下の「覚えやすくて出題可能性も高い改正点」は押さえておきましょう。


【問1】譲渡禁止特約付き債権の譲渡を受けた第三者が、その特約の存在を知らなかったとしても、知らなかったことにつき重大な過失があれば、当該債権を取得することはできない。


【問2】ー


【問3】債権者Aと債務者Bとの間で譲渡制限の意思表示がされた債権について、Aの債権者Cが当該債権を差し押さえた場合、Cが譲渡制限の意思表示につき悪意のときは、BはCの差押えに基づく強制執行を拒むことができる。


【問4】ー


【問5】AがBに対して有する金銭債権をCに譲渡した場合において、Bは、譲渡当時Aに対して相殺適状にある反対債権を有していたときは、その後の譲渡で対抗要件が具備されたとしても相殺をすることができる。


以下、例によって不本意ながらも理解を促す詳しめ解説ですが、重要点は「 」内のみとなります。


【1…×】つい最近、平成30年の宅建試験で出題されて正しいとされていた肢です。これが改正民法では真逆の「誤り」となっています。従来は譲渡禁止特約付き債権を譲渡された第三者が、特約について悪意・重過失があれば当該債権譲渡は無効(=取得できない)とされていましたが、改正民法では「当事者が債権譲渡を禁止し、または譲渡制限の意思表示をしても、債権譲渡は有効(=取得できる)」とされています。譲受人(第三者)は悪意でも重過失があっても取得可能となります。ただし、譲渡制限の意思表示について悪意または重過失のある譲受人その他の第三者に対し、債務者は、その債務の履行を拒むことができます。「悪意でも重過失があっても債権の譲渡は認めるけど、債務者は履行を拒むことができる」とした方が従来よりもシンプルということですね。債務者は履行を拒み、特約があるのに債権を譲渡した旧債権者に対して債務不履行責任を追及すれば済む話となります。


【2】ー


【3…×】悪意の譲受人に対して履行を拒むことができる問1に対して、債務者は差押えに基づく当該債権の強制執行を拒むことはできません。これを認めるとAB間で共謀してCの債務者であるAが強制執行を免れるという裏技を使えてしまうためですね。譲渡制限の意思表示がされた債権が譲渡されても、Cは当該債権を差し押さえることができます。ややこしいですが、深追い禁止でシンプルに押さえておきましょう。


【4】ー


【5…〇】最も出題可能性が高いと思われる「異議をとどめない承諾の廃止」関連から言い回しを変えてもう1問。債務者は、「対抗要件具備時まで」に譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができます(=対抗要件具備前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗できる)。「異議をとどめない承諾」という言葉は出てきませんが、異議をとどめようが、とどめまいが、「債務者は、譲渡人に主張できたことは全て譲受人にも主張できる」ようになったということです。直球よりこのような形の方が出題可能性は高いかもしれません


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