2024年(令和6年)の宅建改正情報

令和6年の宅建士法改正情報

令和6年(2024年)の宅建試験で出題される最新の法改正情報をお送りします。

★は重要度で、最高で★5つです。


権利関係の法改正

2番の相続登記だけ覚えておけば大丈夫でしょう。しかし他も簡単ですのでサクッと覚えておいてください。

1.再婚禁止期間の廃止(★)

再婚禁止期間が廃止され、女性も離婚後すぐに再婚できるようになりました。離婚後すぐに再婚し、離婚の日から300日以内に生まれた子であっても、再婚後の夫との子と推定されます。

2.相続登記の義務化★★★★

所有権の登記名義人について相続の開始があり、所有権を取得した者は、自己のために相続があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に所有権移転登記をしなければならない(相続人に対する遺贈も同様。正当理由なく登記申請を怠った場合は10万円以下の過料)。

3.会社法人等番号等(★★)

所有権の登記名義人が法人である場合、「会社法人等番号その他の特定の法人を識別するために必要な事項として法務省令で定めるもの」が登記事項として追加されました。

4.外国に居住する所有権の登記名義人(★)

所有権の登記名義人が国内に住所を有しない場合、「国内における連絡先となる者(不動産業者や司法書士等)の氏名・名称、住所その他の国内における連絡先に関する事項として法務省令で定めるもの」が登記事項として追加されました。

5.外国人の登記名義人(★)

外国人を所有権の登記名義人とする登記申請の場合、氏名の表音をアルファベット表記したローマ字氏名を申請情報として提供する必要があります。

6.DV被害者保護(★)

登記官は、登記記録に記録されている者(自然人に限る)の住所が明らかにされることで、人の生命や身体に危害を及ぼし、または心身に有害な影響を及ぼすおそれがある場合、その者から申出があったときは、登記事項証明書等に当該住所に代わるものとして法務省令で定める事項(弁護士事務所や被害者支援団体事務所、法務局等の住所)を記載しなければならない。


宅建業法の法改正

シンプルですが重要ですね。数分で覚えられると思いますので絶対に押さえておいてください。

1.建物状況調査★★★★★

・既存建物について、「建物状況調査(実施後1年を経過していないものに限る。鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の共同住宅等にあっては2年を経過していないものに限る)を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要」が重要説明事項となりました。

従来の規定に鉄筋・鉄骨鉄筋コンクリート造が追加された形です。木造は1年以内のまま、鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の共同住宅等に限り、実施後2年以内のものが対象となりました。

・建物状況調査において、住戸内の調査と住戸外の調査を異なる調査者が実施した場合、それぞれの調査範囲及びその責任分担を明確にすることで有効となる。

・標準媒介契約約款を採用して既存住宅の売買の媒介契約を締結した場合、建物状況調査をする者のあっせんを「無」とするときは、媒介契約書面にその理由を記載しなければならない(所有者の同意を得られないため、など)。


2.広告開始時期・契約締結時期の制限(★★)

・宅地造成等工事規制区域内における宅地造成等に関する許可を受ける前は、宅地建物の売買・交換・貸借に関する広告をしてはならない。
・宅地造成等工事規制区域内における宅地造成等に関する許可を受ける前は、宅地建物につき、自ら当事者・代理して、その売買・交換の契約を締結し、またはその売買・交換の媒介をしてはならない。

宅地造成等規制法が盛土規制法となったことに伴い、「等」が加わっただけですね。「等」とは、宅地造成、特定盛土等、土石の堆積を指します。


3.建築物省エネ法による表示★★★

住宅等を販売・賃貸する者は、その広告に省エネ性能ラベルを表示するよう努めなければならない

努力義務で足りるという点がひっかけポイントですね(=表示しなければならないと出題された場合は誤りとなります)。努力義務で足りますが、表示を怠った場合は国土交通大臣より勧告や事業者名の公表等の措置がとられます

ラベルには省エネ性能と断熱性能が★マークや数字で表示され、表示の努力義務を負うのは法人に限らず個人業者にも適用されます。また表示の努力義務は広告に限らず、対面営業で提供する資料等にも適用されます。もちろん自社ビルや自用の住宅に表示義務はありません。


法令制限の法改正

盛土規制法はもちろん、建築確認の改正も地味に重要です。

1.盛土規制法★★★★★

宅地造成等規制法が盛土規制法となりました。令和6年度法改正の目玉です。

主務大臣(国土交通大臣・農林水産大臣)は、宅地造成、特定盛土等、土石の堆積に伴う災害の防止に関する基本方針を定めなければならない

都道府県(指定都市、中核市の区域内の土地については、それぞれの指定都市または中核市)は、基本方針に基づき、おおむね5年ごとに地造成、特定盛土等、土石の堆積に伴う崖崩れまたは土砂の流出のおそれがある土地に関する地形、土地の状況その他主務省令で定める事項に関する基礎調査を行う

都道府県は、基礎調査の結果を関係市町村長(特別区の長を含む)に通知するとともに、公表しなければならない

都道府県知事は、上記を基に関係市町村長の意見を聴き、宅地造成等工事規制区域または特定盛土等規制区域を指定します。今回の改正で加わったのが「特定盛土等規制区域」となります。

・都道府県知事は、基本方針に基づき、かつ、基礎調査の結果を踏まえ、宅地造成等工事規制区域以外の土地の区域であって、「土地の傾斜度、渓流の位置その他の自然的条件」及び「周辺地域における土地利用の状況」その他の「社会的条件」からみて、当該区域内の土地において特定盛土等または土石の堆積が行われた場合には、これに伴う災害により市街地等区域その他の区域の居住等の生命または身体に危害を生ずるおそれが特に大きいと認められる区域を、特定盛土等規制区域として指定することができる。

・宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事(下記①~⑦)について、工事主は、当該工事に着手する前に、主務政令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、宅地造成等に伴う災害の発生のおそれがないと認められるものとして政令で定める工事については、この限りではない。(改正により造成主が工事主になりました)

宅地造成
① 高さ1m超の崖を生じる盛土
② 高さ2m超の崖を生じる切土
③ 高さ2m超の崖を生じる盛土と切土(①②を除く)
④ 高さ2m超の盛土で崖を生じないもの(①③を除く)
⑤ 面積500㎡超の盛土または切土(①~④を除く)

土石の堆積
⑥ 高さ2m超かつ面積300㎡超
⑦ 面積500㎡超(改正により④⑥⑦が加わりました)

・特定盛土等規制区域内において行われる大規模な特定盛土等に関する工事(下記①~⑦)について、工事主は、当該工事に着手する前に、主務政令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。また工事主は、当該工事に着手する日の30日前までに、当該工事の計画を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、特定盛土等または土石の堆積に伴う災害の発生のおそれがないと認められるものとして政令で定める工事については、この限りではない。(まるまる新規定です)

特定盛土等
① 高さ2m超の崖を生じる盛土
② 高さ5m超の崖を生じる切土
③ 高さ5m超の崖を生じる盛土と切土(①②を除く)
④ 高さ5m超の盛土で崖を生じないもの(①③を除く)
⑤ 面積3000㎡超の盛土または切土(①~④を除く)

土石の堆積
⑥高さ5m超かつ面積1500㎡超
⑦面積3000㎡超

一定規模以上の宅地造成または特定盛土等工事で、特定工程を含む場合は中間検査が必要となります。土石の堆積は対象外となりますので注意してください。ちなみに特定工程=盛土前または切土後の地盤面に排水設備を設置しておく工事の工程をいいます。

無許可や命令違反の盛土等は3年以下の懲役または1,000万円以下の罰金となり、法人が違反に関与していた場合は最大3億円以下の罰金が科されるようになりました。また、従来からあった改善命令に従わない場合の罰則も2年以下の懲役または100万以下の罰金と厳しくなっていますので、頭の片隅に入れておくと良いことがあるかもしれません。

主な盛土規制法の改正点は以上ですが、まだまだ覚えておいた方が良いかもしれない改正点があります。全体像や工事の流れも掴みやすいよう「実はかんたん法令制限」により詳しくまとめていますので、必ずそちらもご覧になっておいてください。


2.建築確認★★★★

建築主事を置いた都道府県または市町村は、必要がある場合、建築主事のほか、当該都道府県知事または市町村長の指揮監督の下に、大規模建築物以外の建築物の確認等の事務をつかさどらせるために、建築副主事を置くことができる。


3.耐火建築物(★)
耐火建築物の定義に係る「主要構造部」が「特定主要構造部」に改称されました(特定主要構造部=主要構造部のうち防火上及び避難上支障がないものとして政令で定める部分以外の部分)。また耐火建築物において、火災時の損傷によって建築物全体への倒壊・延焼に影響がない主要構造部については耐火構造等とする必要がなくなりました。


税の他の法改正

所得税は余裕があれば、住宅金融支援機構法は必ず押さえておいてください。

1.所得税(★★)

相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売却した場合、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができる(令和6年1月1日以後に行う譲渡で相続人の数が3人以上である場合は2,000万円)。

3000万円特別控除の新設規定です。適用要件は以下の通りとなります。

① 相続または遺贈による被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等の取得
② 相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の売却、被相続人居住用家屋とともにする被相続人居住用家屋の敷地等の売却、または相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後の被相続人居住用家屋の敷地等の売却
③ 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却
④ 売却代金が1億円以下


2.住宅金融支援機構法★★★★

独立行政法人住宅金融支援機構は、市町村または空家等管理活用支援法人からの委託に基づき、空家等及び空家等の跡地の活用の促進に必要な資金の融通に関する情報の提供その他の援助を行うことができる。

機構の業務に空家住宅情報の提供や援助が加わりました。さり気なく熱いです。


以上、令和6年(2024年)の最新法改正情報でした。例題は「インプリ模擬試験」にたくさん盛り込んでしまいましたので省略させていただきます…申し訳ございません。

盛土規制法で確実に1点、その他の改正点でも数点を上乗せできるはずです。

ラクに得点を稼ぐことができますので★3以上は確実に押さえておいてください(★4以上は絶対!)


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