【宅建試験対策】令和7年(2025年)の法改正情報

令和7年の宅建法改正情報

令和7年(2025年)の宅建試験で出題される最新の法改正情報をお送りします。

★は重要度で、最高で★5つです。


権利関係の法改正

特になし


宅建業法の法改正

1.宅建免許申請書(★)

免許申請書に「免許を受けようとする者(法人においてはその役員)及びその使用人の氏名・住所・電話番号その他の連絡先を記載した書面」が追加されました。

免許申請書の中身は出題されたことがありませんので、出題可能性は極めて低いです。


2.宅建業者名簿の登載事項★★★★★

宅建業者名簿の登載事項から事務所ごとに置かれる「専任宅建士の氏名」が削除されました。

ただし、専任宅建士に変更があった場合は従来通り変更の届出は必要です。
ここ激アツです。

ひっかけポイント:専任宅建士の氏名は宅建業者名簿の登載事項ではなくなったが、変更があった場合に変更の届出は必要となる


3.宅建業者名簿の閲覧内容(★★)

宅建業者名簿は一般の閲覧に供する必要がありますが、

・専任宅建士の氏名と住所
・役員等の電話番号と住所
・欠格要件に該当しないことを誓約する書面
・事務所の写真

など、プライバシー情報に該当するものが閲覧対象から除外されました。

出題可能性は低めですが、頭の片隅に入れておいてください。


4.従業者名簿の記載事項(★★)

従業者名簿の記載事項から「従業者の生年月日・性別」が削除されました。

従業者名簿の記載事項はそこそこ出題されますが、生年月日と性別はどうですかね…簡単すぎる問題として出題された場合は秒で解いてしまいましょう。


5.標識の記載事項★★★★★

標識の記載事項から「専任宅建士の氏名」が削除され、代わりに「事務所代表者の氏名」「専任宅建士の数」「宅建業に従事する者の数」が追加されました。

ここは全てが熱いですね。

ひっかけポイント
専任宅建士の氏名は標識記載事項ではないが、事務所代表者の氏名は標識記載事項となる
専任宅建士の氏名は標識記載事項ではないが、専任宅建士や従業者の数は標識記載事項となる


6.宅建免許の直接申請★★★★

国土交通大臣免許の宅建業者が、免許申請、変更の届出、廃業等の届出、案内所の届出等を行う場合、主たる事務所所在地の管轄知事を経由して国土交通大臣に届け出る必要がありましたが、これが廃止されました。

国土交通大臣へ直接申請が可能になったということです。ものすごく重要そうな割に実は過去に片手で数えられるほどしか出題されていないのですが、この改正を機に出題可能性が大きく上がったと思います。

頻出問題である「宅建士の登録の移転は、現に登録を受けている知事を経由して移転先の知事へ申請する」という点は変わっていませんのでご注意ください。

直接申請が可能となったのは「国土交通大臣への届出」関連なのでひっかけ注意です。

そしてここからも新規定ですが、
免許の申請や変更の届出を受けた国土交通大臣は、遅滞なく、申請を行った宅建業者の主たる事務所所在地の管轄知事へ、免許申請書や変更の届出書に添付された「特定書類の写しを提供」しなければいけません。

廃業等の届出を受けた国土交通大臣は、
遅滞なく、それを引き継いだ者の主たる事務所所在地の管轄知事へ「通知」しなければいけません。

さすがにこれは細かすぎますかね。直接申請を受けた国土交通大臣は「管轄知事に対して情報提供義務を負う」という点だけ確実に覚えておいてください。


7.宅建免許の更新手数料(★)

宅建免許の更新手数料33,000円が、オンライン申請ならば26,500円となりました。

更新手数料が出題されたことはありませんので、オンラインなら安くなったと頭の片隅に。


8.宅建士の専任性★★★★

専任宅建士でも、以下の場合は他の業務に従事することが認められました。尚、他の事務所の専任宅建士を兼ねることはできませんのでご注意ください。

事務所が宅建業以外の業種を兼業している場合、その事務所において一時的に宅建業の業務が行われていない間に他の業種に係る業務に従事すること

事務所において一時的に宅建業の業務が行われていない間に、ITの活用等により、同一の宅建業者の他の事務所に係る宅建業の業務に従事すること

宅建業を営む事務所が、空き家対策等の媒介業務以外の不動産取引に関連する業務を行う場合において、当該事務所における専任宅建士が当該業務に従事すること

更に3つめの空き家対策には多くの補足があります。上記3つの・は確実に覚え、以下の補足は軽く眺めておいてください(最後の一文は重要)。

「近年では空き家・空き室(=空き家等)の増加が大きな課題となっているところであり、不動産取引や不動産の利活用の専門家である宅建業者や宅建士に対しては、その有するノウハウを活かして、空き家等の所有者等のニーズに対応し、媒介業務にとどまらない役割を発揮することが強く期待されている。」

具体的には、次のような業務について積極的に取り組むことが考えられます。

・空き家等の利活用等に係る課題の整理や、空き家等の相続等の権利関係への助言、空き家等の利活用の方針の提案など、媒介業務に先立って、または媒介業務とは別に、空き家等の所有者等に対して行われる助言、総合調整等の業務

・空き家等の遠隔地に居住していること等により自ら適切に空き家等の管理を行うことが困難である等のニーズに対応して、所有者等から受託して行う空き家等の管理業務

尚、これらの業務と媒介契約との区分を明確にし、媒介契約による報酬とは別に報酬を受領することができます(ここは重要)。


9.宅建士が欠格事由に該当したときの届出(★★)

宅建士が登録欠格事由に該当した場合は知事への届出が必要ですが、この点について「宅建業者が」宅建士に対して届出の履行を徹底するよう指導することが必要となりました。

出題可能性は低いですが、出題された場合は秒で解けるサービス問題となります。


10.レインズの機能強化★★★★

囲い込みの防止ですね。実務に直結して重要です。

不動産の囲い込みとは、例えば売主も買主も自社から仲介するために、レインズ(指定流通機構が運営する宅建業者間の物件情報交換システム)に「売主の都合で紹介停止中」など虚偽登録をして他の業者に紹介させない行為などをいいます。

売主が自らの物件の取引状況を簡単確実に確認できるよう、宅建業者に対してレインズへの物件の取引状況の登録を義務付け、宅建業者から売主に交付される登録証明書に2次元コードを掲載し、売主専用画面へのアクセスを向上させるという改正が行われました。

つまり「当該宅地または建物の取引の申込みの受付に関する状況」が指定流通機構への登録事項に追加され、依頼者が登録情報をセルフチェックできるということです。

この「 」内が追加されたことは確実に覚えておいてください。

そして宅建業者が(専属)専任媒介契約に基づき指定流通機構に登録した物件について、当該物件の取引の申込みの受付に関する状況等の登録内容が事実と異なる場合は指示処分の対象となりました。


11.報酬額の掲示方法★★★

宅建業者は、事務所ごとに公衆の見やすい場所に報酬額を掲示する必要がありますが、この報酬額の掲示がデジタルサイネージ(電光掲示板)でも可能となりました。

簡単すぎますが、そこそこ出題可能性は高いと思います。尚、事務所に備える標識も電光掲示板での掲示が可能となっています。電光掲示板での掲示が可能となったのは「報酬額」と「標識」のみですので注意してください。

マイナー問題対策を2つ。

・宅建業者の営業時間内のみでなく、営業時間外においても公衆が標識を確認することができるよう、人感センサーや画面に触れること等により画面表示ができるものとする。

・標識を設置する場所が住宅地に位置するなど周辺環境への配慮が必要であり、営業時間外に画面の消灯が必要な場合、デジタルサイネージの周囲にインターネット上で標識の閲覧が可能である旨を掲示することを条件に、営業時間外は、当該デジタルサイネージによる掲示に代わりインターネット上で標識を閲覧する措置を講じることができる。


12.低廉な空家等の報酬計算★★★★★

低廉な空家(400万円以下)の媒介であれば、売主から18万円(税込198,000円)まで受領できた特例の適用範囲が「800万円以下」に拡大され、上限が30万円(税込330,000円)となりました。

変更点をまとめておきます。

まずは売主だけでなく買主からも現地調査費を受領できるようになりました。そして代理の場合は現地調査費も含めて2倍まで受領できるようになりました。

売買の媒介=依頼者の一方から30万円が上限(税込330,000円
売買の代理=依頼者から60万円が上限(税込660,000円

そして現地調査費用は実費ではなく、人件費等の媒介代理にかかる費用を「勘案」することになり、仮に実際の現地調査費が5万円だったとしても、取引の態様や難易度等に応じて5万円を超え、報酬額と合計で30万円(60万円)まで受領できるようになっています。

練習というほどでもありませんが、ちょっと練習しておきましょう。

媒介依頼を受けて500万円の建物売買契約を締結させた場合
500万円×3/100+6万円=21万円

現地調査費が10万円なら9万円を上乗せでき、実費が5万円でも他の要件を勘案して9万円まで受領できる可能性があるということですね。

代理の場合は現地調査費9万円ごと倍増させ、上限が60万円となります。

物件価格が800万円以下なら課税事業者の上限は33万円(66万円)、必ず覚えておきましょう。

尚、従来通り、事前に特例について売主…ではなく(買主からも適用されることになったので)依頼者に対して説明し、合意を得る必要がある点は変わっていません。


13.長期の空家等の報酬計算★★★★★

低廉な空家=売買交換の特例に対し、
長期の空家=貸借に関する特例も新設されました。

長期の空家等=現に長期間に渡って居住用・事業用その他の用途に供されておらず、または将来に渡り居住用・事業用その他の用途に供される見込みがない宅地建物において、その媒介・代理契約の締結に際し、あらかじめ特例について依頼者に説明し合意を得れば依頼者である「貸主」から借賃の2ヶ月分(税込2.2ヶ月分)の報酬を受領することができる。

貸主から2ヶ月分…超重要です。

尚、借主からも依頼を受けていた場合は、合計で2ヶ月分となり、借主から受領できる上限は1ヶ月分、居住用建物は0.5ヶ月分、承諾があれば1ヶ月分までとなる点は原則通りです。

ひっかけポイント:長期間の空家状態でも、借主を募集していれば「事業用」に該当し、特例の対象とはならない


法令制限の法改正

1.建築確認★★★★★

木造建築物は階数2以下・延べ面積500㎡以下、高さ13m以下、軒高9m以下に該当すれば建築確認が必要となる「大規模建築物」とされていましたが、この要件がなくなりました。

木造か木造以外かの区分がなくなり、「階数2以上または延べ面積200㎡超」のいずれかに該当すれば大規模建築物として新築等において建築確認が必要となります。

細かい数字を覚える必要がなくなり、ありがたい重要改正ですね。


2.木造建築物の構造計算(★★)

税その他の「建物」で出題される可能性もありますが、建築基準法ということで法令制限の改正としておきます(そもそもほとんど出題されたことはありませんが)。

木造建築物の構造計算が2点合理化されています。

改正前:高さ13m以下かつ軒高9m以下
→ 階数3以下かつ高さ16m以下であれば2級建築士でも可能な簡易な構造計算で設計可能となりました。

改正前:延べ面積500㎡超
→ 延べ面積300㎡超で構造計算が必要となりました(2階建て以下の木造建築物)。


税その他の法改正

1.住宅金融支援機構法★★★

何かしら毎年追加されている機構の業務として、
「住宅の建設・購入・改良(高齢者その他の居住の安定の確保を図ることが特に必要と認められる者として主務省令で定める者が居住性能または居住環境の確保・向上を主たる目的として行うもの)に必要な資金の貸付に係る金融機関の貸付債権の譲受け」が追加されました。

追加されたのは改良+( )内のみです。元々の譲受業務に「一定の高齢者等が居住性能等の確保等を目的として行う改良」が加わったとふんわり覚えておいてください。


2.住宅ローン控除(★)

個人で「年齢40歳未満で配偶者を有する者」「年齢40歳以上で40歳未満の配偶者を有する者」「年齢19歳未満の扶養親族を有する者」は、認定住宅等の新築等において、認定住宅5,000万円、ZEH水準省エネ住宅4,500万円、省エネ基準適合住宅4,000万円を借入限度額とする特例を受けることができる。

だいぶ要点のみを端折りましたが、これが出題されたら意地悪すぎますね。

他にも登録免許税の免税措置の延長などがありますが、税その他は住宅金融支援機構法の追加事項だけ覚えておいてください。


以上、長くなりましたが令和7年最新法改正対策をお送りしました。

★3以上は絶対に押さえておいてください!!


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