2019年の宅建士試験法改正

宅建士法改正情報(2019年)

令和元年(2019年)の宅建試験法改正情報」をお送りします。

今年の法改正は簡単ですね。法令上の制限の建築基準法(+農地法も少し)について、パパッとチェックして終了です。民法や宅建業法の改正ですと、どのような出題パターン、ひっかけパターンがあるか考える必要がありますが、法令制限でしたら「単に知っているかの勝負となるでしょう。★は重要度(最高5つ)となります。

では、2019年の宅建試験で出題されそうな法改正箇所をパパッと見ていきましょう!


権利関係の法改正

今年は特に宅建試験で出題されそうな法改正はありません。来年、2020年は大きな民法改正がありものすごく変わりますので、今年の宅建試験で合格してしまいましょう。

一つだけ出題可能性のある改正点を挙げるとすれば、ものすごーーーく出題可能性は低いですが、「自筆証書遺言の財産目録」が自筆である必要がなくなったということは頭の片隅に入れておいて損はないかもしれません。遺言書に添付する相続財産の目録は、各ページに署名押印することで、ワープロ作成が許されます。銀行通帳をコピーして、各ページに署名押印して添付することも可能となります。(★)


宅建業法の法改正

重要事項の説明(35条書面記載事項)にバリアフリー法と森林経営管理法が追加されましたが、マイナーなので特に覚える必要はないでしょう。

気になる方は、バリアフリーの方のみ「移動等円滑化促進地区内または重点整備地区内の一団の土地の土地所有者等は、その全員の合意により、高齢者、障害者等が円滑に利用することができる案内所その他の当該土地の区域における移動等円滑化に資する施設の整備または管理に関する協定を締結することができる」ということが重要説明事項となったことを頭の片隅に。(★★)


法令制限の法改正

宅建試験に出題されそうな重要ポイントは以下の通りです。

1.接道義務の例外(★★★★★)
敷地が幅員4m以上の道(道路に該当するものを除き、避難及び通行の安全上必要な国土交通大臣省令で定める基準に適合するもの)に2m以上接する建築物のうち、利用者が少数あるものとして用途及び規制に関し国土交通省令で定める基準に適合するもので、特定行政庁が交通上、安全上、防火上、衛生上支障がないと認めるものについて接道義務は適用しない。

2.接道義務の付加(★★★★)
地方公共団体は、袋路状道路にのみ接する建築物(一戸建て住宅を除く)で、延べ面積が150㎡を超えるものについて、条例により接道義務を付加することができる。

道路制限に関するこの2つは今年の法改正の目玉で、近年の宅建試験の傾向から、かなり出題可能性は高いと思います。注意点を見ていきます。

1番の例外で注意ポイントは、建築基準法上の「道路」ではなく幅員4m以上の「道」となっていること、「利用者が少数」のものに限られること、特定行政庁が「認める」だけでよく、建築審査会の同意からの許可は不要という3点です。この3点は正確に覚えてください。

「利用者が少数」とは、延べ面積200㎡以内の一戸建て住宅を指します。つまり、建築基準法上の道路でない幅員4mの農道(=道)に2m接している延べ面積200㎡ちょうどの一戸建て農家は、特定行政庁が認めれば建築することができるということです。

敷地の周辺に広い空き地を有する建築物は、「特定行政庁が認めて」「建築審査会の同意を得て許可したもの」について接道義務が適用されない点と比較しておいてください。法改正の裏をかいてこちらが出題されるかもしれません。

2番の付加の注意ポイントは、「一戸建てを除く」「150㎡超」「付加のみで緩和不可」という点ですね。150㎡ちょうどは付加の対象となりませんので注意。袋路状(ふくろじじょう)道路とは、行き止まりになる道路で、突き当りに建築物がある道路というイメージで大丈夫です。

この法改正を加えて、接道義務を付加できる建築物が以下の通りとなりました。
・特殊建築物
・3階以上の建築物
・政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物
・延べ面積1,000㎡超の建築物
・袋路状道路にのみ接する延べ面積150㎡超の一戸建て住宅を除く建築物

では、簡単な残りの法改正を一気に見ていきましょう。

3.老人ホーム等の共用廊下と階段が、容積率算定時の延べ面積に不算入となった(★★★)

老人ホームや福祉ホームの共用廊下と階段は、その全てが容積率算定の基礎となる延べ面積に算入されなくなりました。3分の1を限度として算定されない地階と区別を。

4.宅配ボックスの設置部分が、100分の1を限度として容積率算定時の延べ面積に不算入となった(★)

5.特定行政庁は、国際的な規模の会議または競技会の用に供する仮設建築物について、安全上、防火上、衛生上支障がなく、公益上やむを得ないと認める場合、あらかじめ建築審査会の同意を得て、1年を超える期間を定めてその建築を許可することができる(★★★)

従来の仮設興行場等の存続期間の限度は1年でしたが、2020年の東京オリンピックを想定した新規定ですね。1年超OK、建築審査会の同意も必要という点は押さえておきましょう。

6.日影規制の適用を除外する許可を受けた建築物において、周囲の居住環境を害するおそれのない増改築移転をする場合、再度の許可が不要となった(★★)

以上、建築基準法の改正で、次の1つは農地法の改正です。

7.コンクリートを敷設するなどした農作物栽培高度化施設での農作物の栽培も、農地法の耕作となった(★★)

農地法にしてはマイナーですが、農地法は農地法なので紹介しておきます。従来は、コンクリートを敷き詰めたビニルハウスなどで農作物の耕作を行っても、そのビニルハウスは農地法上の農業用施設とは認められていませんでした。つまり、栽培管理の向上のため農地を改良すると、不条理にもそれは農地ではなくなり、農地の「転用」扱いとなることがあったのです(=新たに農地法4条許可が必要)。

農地法の許可が不要な「農林水産省が定めた農作物栽培高度化施設」と認められるためには、コンクリート張り等を行う前に、農業委員会に届け出なければなりません。農作物栽培高度化施設と認められたのに長期間に渡り農作物の栽培を行わない場合、農業委員会は、相当の期間を定めて栽培を行うべき勧告をすることができます。← 義務ではない

8.おまけ!来年重要改正があるため関連箇所の出題可能性が今年は低いもの

・延べ面積200㎡未満かつ階数3以下の一戸建て住宅を福祉施設等とする場合、在館者が迅速に避難できる措置を講じることを前提に、耐火建築物等にする必要がなくなる。

・建築確認が不要となる用途変更の規模の上限が、100㎡から200㎡になる。

・木造建築物を耐火構造とする要件が、高さ13m超または軒高9m超→高さ16m超または階数4以上になる。


税その他の法改正

例年通り、軽減税率や控除期間等、特例措置が延長されましたが、試験問題に直接影響する変更ではありません。消費税10%も2020年の宅建試験からの適用となります。

ここも一つだけ頭の片隅に入れるとしたら、「登記名義人である被相続人から相続により土地の所有権を取得した相続人が、相続登記をしないまま亡くなった場合、その相続人を登記名義人とする土地の相続登記について登録免許税は課せられない」(★)という点でしょうか。


以上、2019年の宅建試験で出題されてもおかしくない法改正情報をお伝えしました。
接道義務は必ず押さえておきましょう!

2020年より施行される改正民法につきましても、専用の改正民法ブログにてゆっくりまとめ中です。2019年度の宅建試験での出題はありませんが、逆に、来年の改正箇所は今年の宅建試験には出題されない可能性が高いと思いますので、逆張り予想として一読いただく価値はあると思います。


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