宅建業法 弁済業務保証金 重要度 ★★★★★


弁済業務保証金とは、営業保証金と同じく、一般消費者に損害を与えないように供託しておく保証金です。最も異なる点は、この弁済業務保証金制度は「保証協会に加入している宅建業者」(=社員)にのみ適用される制度だということです。

もちろん保証協会への加入は義務ではなく、宅建業者は宅建業を行うにあたり、営業保証金を供託するか保証協会へ加入するか選択することになります。では、営業保証金とどこが違うのか?前ページの営業保証金との異同が特に重要です。

下にまたまた一覧表を作っておきますので、そちらも参考にしてください。ではとりあえず、弁済業務保証金自体を見ていきましょう!

弁済業務保証金の供託

営業保証金は宅建業者が直接供託所へ供託するのに対し、弁済業務保証金は「保証協会の社員である宅建業者」が保証協会へ「弁済業務保証金分担金を納付」し、「保証協会」が「弁済業務保証金を供託所へ供託する」、という形式をとります。

1.弁済業務保証金分担金納付義務者

分担金を納付する者は
保証協会の社員になろうとする宅建業者です。

2.弁済業務保証金供託義務者

供託をする者は
保証協会です。

3.弁済業務保証金分担金納付先

分担金の納付先は
保証協会です。

4.弁済業務保証金供託場所

供託場所は
法務大臣および国土交通大臣の定める供託所(=東京法務局)です。

5.納付額および供託金の額

弁済業務保証金の額は「
主たる事務所で60万円」「従たる事務所で30万円」です。営業保証金に比べてすごく安いですね。宅建業者が保証協会の社員となるメリットです。

6.弁済業務保証金分担金納付期限

分担金の納付期限は「
保証協会に加入しようとする日まで」です。

7.弁済業務保証金供託期限

供託期限は「社員から
分担金の納付を受けた日から1週間以内」です。

8.事務所の新設

保証協会の社員である宅建業者が分担金納付後に新たに事務所を設置した場合、新設した事務所1つにつき
30万円ずつ、設置した日から2週間以内に保証協会に分担金を納付します。この期間内に分担金を納付しなかった宅建業者は業務停止処分を受け、保証協会の社員としての地位も失ってしまいます。そして保証協会は、分担金の納付があった日から1週間以内に、その額を供託します。

9.弁済業務保証金分担金納付方法

分担金は必ず
金銭で納付しなければなりません。

10.弁済業務保証金供託方法

営業保証金と同じく、金銭や国債証券、地方債証券などで供託可能です。その評価額も同様です。

弁済業務保証金の還付

1.還付を受けられる者

営業保証金の場合と同じく、宅建業者と取引をし、その宅建業に関する取引について生じた債権を有する者に限られます。しかし、弁済業務保証金特有の問題として次の2点を覚えておいてください。

・宅建業者が保証協会の
社員となる前に取引をした者も、弁済業務保証金から還付を受けることができる!

・弁済業務保証金の還付を受けるには、
保証協会の認証(権利があることの証明)を受けなければならない!

2.還付を受けられる額

還付額は「その社員が社員でないとした場合に供託すべき営業保証金に相当する額の範囲内」、つまり、「
営業保証金の範囲内」です。例えば、本店と2つの支店を有する宅建業者が保証協会に納付する分担金は60+30×2で120万円ですが、還付額は営業保証金に相当する1,000+500×2で2,000万円の範囲内で還付可能ということです。

3.供託金の不足

弁済業務保証金が還付され、供託すべき弁済業務保証金額に不足が生じた場合、保証協会は、国土交通大臣より
還付があった旨の通知を受けた日から2週間以内に、還付された額に相当する弁済業務保証金を新たに供託しなければなりません。そして宅建業者(社員)は、保証協会より不足の通知を受けた日から2週間以内に、還付された額に相当する弁済業務保証金分担金を「還付充当金」として保証協会に納付する必要があります。

保証協会の通知より2週間以内に還付充当金を納付しない宅建業者は、保証協会の
社員としての地位を失ってしまいます。社員の地位を失っても宅建業を続けていくには、社員の地位を失った日から1週間以内に「営業保証金」を供託し、免許権者に届け出なければなりません。これを怠ると業務停止処分を受けます。

弁済業務保証金の取戻し

弁済業務保証金を供託しておく必要がなくなった場合、「保証協会」は、供託所から弁済業務保証金を取り戻すことができます。そして保証協会は、宅建業者に分担金に相当する取戻し額を返還します。以下、2つだけ弁済業務保証金を取り戻せるケースです。

・ 
宅建業者が社員でなくなったとき
・ 
事務所の一部を廃止し、分担金額が法定の額を超えたとき

1つ目の社員でなくなった場合は、保証協会は債権者に対して6ヶ月を下らない一定期間内に、保証協会の認証を受けるための申出をするよう
公告をしなければなりません。2つ目は公告不要ですぐに取り戻せます。


ではここで、以前からチラホラと出てきます「保証協会」とは何か、補足しておきます。これが単体で試験に出るということはあまりありませんが、簡単ですので覚えておいてください。正式名称を宅地建物取引業保証協会といい、国土交通大臣が指定した社団法人で、宅建業者のみを社員とする団体です。一つの保証協会の社員は、重ねて他の保証協会の社員となることはできません。

必要的業務:
弁済業務(メイン)、苦情の解決研修
任意的業務:一般保証業務、宅建業の健全な発達に必要な業務、
手付金等保管事業

[ 平成元年 宅建試験 問45 ]
 次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1.宅地建物取引業保証協会に加入しようとする宅地建物取引業者が同保証協会に納付すべき弁済業務保証金分担金の額は、主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき事務所ごとに30万円の割合による金額の合計額である。
2.宅地建物取引業保証協会の社員と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、当該社員が宅地建物取引業保証協会に弁済業務保証金分担金として納付している額の範囲内で還付を受ける権利を有する。
3.宅地建物取引業保証協会より還付充当金を納付すべき通知を受けた社員又は社員であった者は、その通知を受けた日から2週間以内に、その通知された額の還付充当金を当該宅地建物取引業保証協会に納付しなければならない。
4.宅地建物取引業者は、宅地建物取引業保証協会の社員の地位を失ったときは、当該地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託しなければならない。


1 正

2 誤:営業保証金に相当する額まで還付可
3 正
4 正

[ 平成7年 宅建試験 問49 ]
 甲県知事の免許を受けている宅地建物取引業者Aが、宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)の社員となった場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1.Aは、社員となった日から2週間以内に、保証協会に対して弁済業務保証金分担金を納付しなければならず、この期間内に納付しないときは社員としての地位を失う。
2.Aと宅地建物取引業に関し取引をした者は、Aが保証協会の社員になる前に取引をした者を除き、その取引により生じた債権について、保証協会に対し弁済業務保証金の還付を請求することができる。
3.Aが保証協会の社員としての地位を失ったときは、その地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託しなければならず、この期間内に供託しないときは甲県知事から業務停止処分を受けることがある。
4.Aが保証協会の社員としての地位を失ったため営業保証金を供託したときは、保証協会は、弁済業務保証金の還付請求権者に対する公告を行うことなく、Aに対し弁済業務保証金分担金を返還することができる。


1 誤
:保証協会に加入しようとする日までに納付しなければならない
2 誤:保証協会の社員となる前に取引した者も含まれる
3 正
4 誤:社員でなくなった場合は公告必要

[ 平成8年 宅建試験 問44 ]
 宅地建物取引業者A (事務所数1) が、宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に加入しようとし、又は加入した場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.Aは、保証協会に加入するため弁済業務保証金分担金を納付する場合、国債証券、地方債証券その他一定の有価証券をもってこれに充てることができ、国債証券を充てるときは、その額面金額は60万円である。
2.Aが保証協会に加入した後、新たに支店を1ヵ所設置した場合、Aは、その日から2週間以内に、弁済業務保証金分担金30万円を供託所に供託しなければならない。
3.Aは、保証協会から還付充当金を納付すべき旨の通知を受けた場合、その日から2週間以内に、当該還付充当金を納付しなければ社員の地位を失う。
4.Aが保証協会の社員の地位を失い、弁済業務保証金分担金の返還を受けようとする場合、Aは、一定期間以内に保証協会の認証を受けるため申し出るべき旨の公告をしなければならない。


  ↓こういう小さな引っかけ問題ばかりが出題されることもあります。

1 誤
:分担金の納付は金銭に限る
2 誤:供託ではなく、分担金30万円を保証協会に納付する
3 正
4 誤:公告をするのは保証協会


< 保証金制度まとめ一覧表 >


営業保証金 弁済業務保証金分担金 弁済業務保証金
供託(納付)義務者
宅建業者 宅建業者
保証協会
場所
主たる事務所の最寄りの供託所
保証協会 法務大臣、国土交通大臣の定める供託所
供託(納付)額 主たる事務所→1,000万円
従たる事務所→
500万円
主たる事務所→60万円
従たる事務所→
30万円
分担金と同額
方法
金銭or有価証券or両者の併用

有価証券の評価
国債→
額面通り
地方債、政府保証債→
額面の90%
その他の有価証券→
額面の80%
金銭のみ 営業保証金と同じ
期限 供託の旨を免許権者に届け出て業務開始

免許から
3ヶ月届出をしないと催告を受け、催告から1ヶ月経過で免許取消し対象
保証協会に加入する日までに納付 分担金の納付から1週間以内に供託し、供託した旨を免許権者に届け出る
事務所新設 新設した事務所1つにつき500万円
主たる事務所の最寄りの供託所に供託し、その旨を免許権者に届け出る
新設した事務所1つにつき30万円の分担金を新たに事務所を設置した日から2週間以内に保証協会に納付する
分担金の納付があった日から1週間以内に供託し、その旨を免許権者に届け出る
還付 限度:供託した営業保証金額
対象:
宅建業取引で生じた債権を有する者

不足分の補充
不足分補充の通知から
2週間以内に不足分を供託→供託をした日から2週間以内にその旨を免許権者に届け出る
限度: − 
対象: − 

不足分の補充
不足分補充の通知から
2週間以内に供託→分担金支払いの通知から2週間以内に納付(納付しない場合は社員の地位を失い、1週間以内に営業保証金を供託しなければ業務停止処分)
限度:営業保証金と同じ
対象:営業保証金と同じ
社員となる前に取引した者も含む保証協会の認証が必要

不足分の補充:左の分担金を参照
取戻し 還付請求権者に対して6ヶ月以上の申出期間を定めた公告必要
1.
免許失効
2.
免許取消処分
3.
事務所廃止

取戻し事由発生から10年経過で公告不要

公告不要
1.
保管替えでない主たる事務所移転
2.
保証協会の社員となった
保証協会から分担金を返還してもらう 還付請求権者に対して6ヶ月以上の申出期間を定めた公告必要
保証協会の社員でなくなった

公告不要
事務所廃止


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