クーリング・オフ(宅建業法37条2) 重要度 ★★★★★


クーリング・オフとは、買主に与えられた「契約を解除する」権利です。

民法の原則として、一度締結された契約を一方的に解除することはできません。しかしこの原則を貫くと、買主にとって非常に酷な場面が発生することがあります。例えば、非常に口の達者な営業マンに早口でまくしたてられ、気づいたら契約していた、など、業者と消費者の間には知識等に格差があり、平等の条件で納得して契約していないケースが多々あります。

そこでその解決策として、
消費者を守るために民法よりも優先する特別法でクーリング・オフという権利を定めました。クーリング・オフ( Cooling-off )=頭を冷やして考えなおす、という意味です。

しかし、全ての契約がクーリング・オフできるわけではありません。まず、
宅建業者自らが売主となって、宅建業者ではない者に宅地や建物を販売する場合に限られる、という大前提はしっかり頭の中に入れておいてください。では、クーリング・オフができるケースやその効果など、順番に見ていきましょう!

クーリングオフができる場所

宅建業者が自ら売主となる宅地建物の売買契約において、
事務所等以外の場所で買受けの申込みをした者は、契約の解除を行うことができます。つまりここでは、「事務所等」とはどのような場所なのかを覚えておいてください。以下、クーリング・オフができなくなる事務所等の場所です。

1.
事務所
2.専任の取引士の設置義務がある(実際にいたかどうかは関係ない)、
  →
継続的に業務を行うことができる事務所以外の施設
  →
土地に定着した一団の宅地建物の分譲を行う際の案内所(モデルルーム等)
  →土地に定着した宅地または建物の売買契約に関する説明をした後、
   展示会その他これに類する催しを実施する場所
3.他の宅建業者に媒介や代理を依頼した場合、
その宅建業者の上記1または2の場所
4.
買主から申し出た場合の、買主の自宅や勤務先

買主自らが事務所に出向いたり、自宅に呼んで契約の申込みをしたのなら、購入の意思が安定しているということですね。ちなみに契約の申込みを事務所で行い、事務所等以外で契約締結した買主も、クーリング・オフの適用要件から外れてしまいます。

逆に、事務所等以外で買受けの申込みを行い、事務所で契約締結をした買主は、クーリング・オフが可能となります。
最初の申込みをどこで行ったかで判断するわけです。

クーリングオフができる時期

買主が宅建業者より「クーリング・オフができる旨およびその方法」を
書面で告げられた日から8日以内。

8日間を経過したときは、買主の購入意思が固まったと考え、クーリング・オフはできなくなります。宅建業者が告知をしてこない場合、いつまでもクーリング・オフが可能となります(引渡し+代金全額の支払いによりクーリング・オフはできなくなります)。


クーリングオフの履行

宅地建物の引渡しを受け、かつ、代金の全額を支払った場合、クーリング・オフはできなくなります。「かつ」ですので、引渡しを受けただけではまだクーリング・オフは可能です。

また「引渡し」ですので、移転登記を受けただけではまだクーリング・オフは可能です。更に「代金全額」ですので、代金の一部を支払ったに過ぎない場合はまだクーリング・オフは可能です。


クーリングオフの方法

クーリング・オフは必ず、
書面によって行います。そしてその効力は書面を発したときに生じます。

相手方に届くまでもなく、ポストに入れてしまえば申込みの撤回や契約解除の効果が発生します。意思表示の効力は相手方に到達したときに発生するという到達主義に対する例外ですので、これは必ず覚えておいてください。


クーリングオフの効果

クーリング・オフがなされた場合、宅建業者は、受け取っていた手付金その他の金銭を
すみやかに買主に返還しなければなりません。また、撤回や解除に伴う損害賠償や違約金の支払いを請求することもできません

最後に一つ、これも覚えておいてください。宅建業者は、買主のクーリング・オフの権利を奪うことはできず、クーリング・オフの規定に反する特約で、
買主に不利なものは無効となります(事務所以外の場所で契約をしても解除不可、など)。逆に、クーリング・オフができる期間を書面で告げられてから10日とするなど、買主に有利な特約は有効となります。クーリング・オフとは、あくまでも買主のために与えられた特別な権利ということです。

[ 平成6年 宅建試験 問42 ]
 宅地建物取引業者でない買主Aが宅地建物取引業者である売主Bと宅地の売買契約を締結した場合における、宅地建物取引業法第37条の2の規定による売買契約の解除に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.Aは、Aの申出により、Aの取引銀行の店舗内で売買契約を締結したときは、その契約を解除することができない。
2.Aは、Bの営業マンの申出により、Aの勤務先で売買契約を締結したときは、その契約を解除することができない。
3.Aは、Bから媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者Cの申出により、Cの事務所で売買契約を締結したときは、その契約を解除することができない。
4.Aは、Bの現地案内所(テント張り)で買受けの申込みをし、その翌日Bの申出によりAの自宅で売買契約を締結したときは、その契約を解除することができない。


1 誤
:買主の申し出により解除ができなくなるのは、買主の自宅または勤務先
2 誤:買主の勤務先であっても、買主からの申し出でなければクーリング・オフ可
3 正
4 誤:買受けの申込みが事務所等以外(テント張り)の場所なのでクーリング・オフ可(おまけにBの申し出によりAの自宅という点でもクーリング・オフ可)

[ 平成4年 宅建試験 問45 ]
 宅地建物取引業者Aが自ら売主として買主Bと事務所等以外の場所で売買契約を締結した場合における、宅地建物取引業法第37条の2の規定による売買契約の解除に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1.Aが宅地建物取引業者でないBとマンションの売買契約を喫茶店で締結した場合、Bは、「事務所等以外の場所で契約をしても、解除できない」旨の特約をすることを承諾していても、当該契約を解除することができる。
2.Aが宅地建物取引業者でないBとマンションの売買契約を知人宅で締結した場合、翌日Bが解約通知を契約書記載のAの住所に配達証明付内容証明郵便で発送すれば、転居先不明で戻ってきても、当該契約は、解除されたことになる。
3.Aが宅地建物取引業者でないBと別荘地の売買契約をテント張りの現地案内所で締結した場合、Aが土地の引渡しと移転登記を完了すれば、Bは、代金の一部が未済でも、当該契約を解除することができない。
4.Aが宅地建物取引業者Bを現地に案内したところ、Bが即座に購入を決め、近くの料理屋で土地の売買契約を締結した場合、翌日Bの意思が変わっても、Bは、当該契約を解除することができない。


1 正
:買主に不利な特約は無効
2 正:解除する旨の書面を発しさえすれば、戻ってきても解除されたことになる
3 誤:まだ代金全額を支払っていないため、クーリング・オフ可
4 正:宅建業者間取引にはクーリング・オフの規定は適用されない


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