権利関係 賃貸借(難問対策版) 重要度 ★★★☆☆


今回は「賃貸借」(難問対策)についてお話いたします。

宅建試験で重要なのは土地と建物の賃貸借である「借地借家法」ですが、借地借家法を勉強するための基礎知識にもなりますので要点はしっかり押さえておきましょう。賃貸借とは皆さんのイメージ通り、当事者の一方が相手方にある物の使用および収益をさせることを約束し、相手方がその対価である賃料を支払うことを約束する契約です。

では、順番に見ていきます!

賃貸借の存続期間

賃貸借の存続期間は20を超えることができません(更新も20年以内)。
20年を超える定めをしたときは、その期間は20年に短縮されます。

最短期間に制限はありません。
期間の定めのない賃貸借契約も有効です。

賃貸借の終了・更新

存続期間が定められている場合、その期間の満了によって賃貸借は終了します。存続期間が定められていない場合、各当事者はいつでも解約の申入れができます。解約を申し入れた後、土地賃貸借については1年、建物賃貸借については3ヶ月、動産賃貸借については1日の猶予期間を経て賃貸借は終了します。

存続期間が定められている場合でも、期間満了に際して、当事者間の約束で賃貸借契約を継続させる(更新)ことができます。

また、当事者間で更新の約束をせず、存続期間が満了した後も、賃借人が目的物の使用・収益を継続し、賃貸人がそれを知りながら異議を述べないときは、前の賃貸借と同じ条件でさらに賃貸借をしたものと扱われます。この場合は存続期間の定めのないものとなることにご注意ください。賃貸目的物が全部滅失した場合も、履行不能として賃貸借契約は終了します。

目的物が壊れた場合

賃借人は、目的物の保管につき善管注意義務を負います。

目的物の一部が壊れた場合、賃貸人には修繕する義務があり、賃借人には修繕を請求する権利が認められます。そして、賃貸人がすぐに修繕をしてくれればよいのですが、なかなか修繕をしてくれないときは、賃借人が修繕費を立て替えることになります。

この場合の修繕費には「必要費」と「有益費」があります。

屋根の雨漏り修復など、目的物の使用に必要な費用を必要費といい、必要費を支出した賃借人は、賃貸人に対して直ちに償還を請求することができます。ただし、特約により賃借人の負担とすることも可能です。

老朽化による壁紙の張替え、トイレをシャワー付きにするなど、生活に必ずしも必要ではありませんが目的物の価値を増加させる費用を有益費といい、有益費を支出した賃借人は、賃貸借契約終了時に、目的物の価格の増加が存在している限り、償還を請求することができます。賃貸人は、裁判所への請求により有益費の償還について相当の期限を許与してもらうことができます。

賃貸借の対抗力

賃貸借の目的物であった土地が第三者に売り渡されたとします。その土地を賃借していた賃借人は、賃借権を登記しておけば第三者に対抗することができます。第三者が「土地を明渡せ」と要求してきても拒むことができるのです。

第三者は、その土地について所有権移転登記を受けていれば、賃借人に対して賃料を請求することができます。賃貸人の地位自体は売買契約により移転し、賃借人の承諾は不要だということにご注意ください。

賃借権の譲渡・転貸

賃借権の譲渡とは、賃借人が賃借権を他人に譲り渡すことをいい、賃貸人と旧賃借人の関係は終了します。転貸とは、賃借人が、借りている物をさらに又貸しすることをいい、賃貸人と賃借人の関係はそのまま継続します。新たに借り受けた者を転貸人といいます。以下、出題ポイントです。

賃貸人の承諾がなければ、賃借権の譲渡・転貸をすることはできない!

・賃貸人に無断で賃借権の譲渡・転貸をした場合、賃貸人は賃貸借契約を解除することができる!(背信的行為と認められない場合は解除不可)

・賃借権の譲渡の場合、賃貸人は、賃借権の譲受人(新賃借人)に対してのみ賃料を請求することができる!

・転貸の場合、賃貸人は、賃借人だけでなく、転借人に対しても賃料を請求することができる!

・賃借権が譲渡された場合、旧賃借人は、賃貸人に対して敷金の返還を請求することができる!(賃貸人の地位が移転した場合は、新賃貸人に対して請求する)

敷金

不動産の賃貸借に際し、賃貸借終了後から明渡しまでに生ずる損害金等、賃貸人の債権を担保する目的で賃借人から賃貸人に交付される金銭を敷金といいます。被担保債権を控除し、明渡完了時に残額があれば賃借人に返還されます。

ここで覚えておいていただきたいのは、敷金返還請求権と目的物明渡請求権は同時履行の関係に立たない、という1点です。敷金を返してくれるまで出ていかないよ!というのは不可ですので、賃借人は敷金が返還されるまで退去する必要はないと出題されたら誤りとなりますね。

短期賃貸借

被保佐人(被補助人も)が賃貸借契約を締結する場合、次の期間を超えない範囲でのみ契約をすることができます。

1.樹木の植栽または伐採を目的とする山林の賃貸借:10
2.上記以外の土地の賃貸借:5年
3.建物の賃貸借:3年
4.動産の賃貸借:6ヶ月

2番と3番は覚えておきましょう。土地5年、建物3年を超える賃貸借は保佐人や補助人の同意が必要です(=同意があればできる)。短期賃貸借を更新するには、期間満了前の土地1年以内、建物3ヶ月以内、動産1ヶ月以内に更新する必要があります。

使用貸借との違い

使用貸借とは、当事者の一方がある物を無償で使用収益した後に返還することを約束し、相手方からそのある物を受け取る契約をいいます。出題可能性は低いですが、出題されてもおかしくありません。消去法でも対応できるように、難問対策として軽く押さえておきましょう。

賃貸借:双務有償諾成契約
使用貸借:片務・無償要物契約

真逆ですね。要注意です。

目的物引渡義務 … 賃貸借:あり  使用貸借:なし(引渡して初めて契約成立)
修繕義務 … 賃貸借:あり  使用貸借:なし
必要費 … 賃貸借:直ちに償還  使用貸借:償還義務なし(特別な必要費は要償還)
有益費 … 賃貸借:賃貸借終了時に償還  使用貸借:目的物返還時に償還
借主の地位譲渡 … 賃貸借:賃貸人の承諾必要  使用貸借:貸主の承諾必要

使用貸借で償還を要する特別な必要費とは、災害による破損の修繕などです。

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