請負の難問対策

宅建試験の民法解説:『請負(うけおい)』の難問対策。出題率は2~3割ですが、楽にマスターできると思いますので確実に押さえておきましょう。とにかく簡単ですので出題された場合は絶対に落とせません。では、難問対策というほどでもありませんが順番に見ていきます!

請負の難問対策

請負とは

当事者の一方(請負人)がある仕事の完成を約束し、相手方(注文者)がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束する契約をいいます。契約書の作成は必要ない諾成契約という事を覚えておいてください。口頭の約束だけで成立します。実際には建設業法上の書面が必要となりますが、これは後日の紛争防止のためで契約成立要件ではありません。委任と異なり、請負人は当然に報酬を受け取ることができます
請負と委任 仕事の完成や労務の提供に意味があるかの違い
請負と雇用 独立的関係か従属的関係かの違い
請負・委任・雇用と寄託 目的物を保管するために労務を提供するかどうかの違い


請負における権利義務

・請負人の責任により、仕事に着手するべき時期に着手しないとき、および途中で仕事を中止した場合、注文者は請負契約を解除できる

・請負人はその仕事を、他の者にやらせることができる(絵画の制作や講演など請負人本人でなければならない場合は不可。下請負人の故意過失について、請負人は責任を負う。下請負禁止の特約も有効

・請負人が材料の全部または主要部分を提供した場合、完成した目的物はいったん請負人のものとなる(引渡しによって注文者のものとなる)

・注文者が材料の全部または主要部分を提供した場合、目的物ははじめから注文者のものとなる(あらかじめ代金を支払っていた場合も注文者に帰属)

・報酬支払い時期は原則として後払いとする

報酬支払いと目的物引渡しは、同時履行の関係に立つ

・報酬支払いと仕事の完成は、同時履行の関係に立たない(請負人「先にお金くれないと家建てないよ」← 不可。仕事の完成が先

注文者の責任でなく仕事を完成することができなくなった場合、または仕事完成前に請負契約が解除された場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなし、注文者が利益を受ける割合に応じて報酬を請求することができる

宅建合格!請負
請負人の瑕疵担保責任の制限

目的物に欠陥があった場合、請負人は下記の責任を負います。改正民法によって「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」となり、債務不履行の規定(履行追完請求・報酬減額請求・損害賠償請求・契約解除)が適用されることから、請負特有だった規定が多く削除されています。これら権利の原則は「債務不履行」「売主の担保責任」をご覧ください。

瑕疵修補請求権履行追完請求権
原則:あり
例外:欠陥が重要なものでなくかつ、その欠陥を直すのに多額の費用を要する場合はなし

報酬減額請求権

損害賠償請求権
原則:瑕疵修補請求権とともに、またはこれに代えて行使できる

解除権
原則:欠陥のため契約の目的が達成できないときは解除できる(完成不能が明らかなときは完成時期未到来でもただちに解除できる
例外:建物その他土地の工作物(水道管敷設等)については解除できない
債務不履行の規定に基づき、建物や土地工作物でも解除可能に

責任追及可能期間
原則:目的物の引渡し(引渡し不要の場合は仕事終了時)から1年(特約で10年可)
例外:建物その他土地の工作物の欠陥の場合は5年
石造、土造、レンガ造、金属造など、頑丈な工作物の場合は10年
建物その他土地の工作物が、欠陥により滅失・毀損したときは、滅失・毀損から1年
新築工事の特例:請負人は、注文者に当該住宅を引き渡してから10年間責任を負う(特約により20年まで伸長可)
注文者が不適合を知ったときから1年以内に請負人に通知することで債務不履行責任を追及できる請負人が引渡し時に不適合を知りながら告げなかった場合は1年の期間制限なし

免責
あらかじめ注文者との間で、担保責任を負わない旨の特約を結んでいた場合(特約に関わらず、請負人が不適合を知りながら告げなかった場合は担保責任を負う
・注文者の提供した材料または指図によって目的物の種類または品質に関して契約内容に適合しない場合(請負人が、材料または指図の不適当なことを知って告げなかった場合は責任あり)

完成前の目的物の滅失
・完成可能の場合 → 完成義務あり(報酬増額請求不可
・完成不可の場合 →出来高に応じた報酬請求不可
  履行追完 減額請求 損害賠償 契約解除
従前の売買 × ×
改正売買
従前の請負 ×
改正請負


請負の終了

・注文者は、仕事の完成前であれば、請負人の受ける損害を賠償して、いつでも一方的に契約を解除することができる(解除は仕事完成前に限られ、仕事完成後は引渡し前であっても解除できない)

・目的物が可分であるときは、未完成部分についてだけ解除することができる

・請負人からは解除することはできない(下記、注文者が破産した場合などの例外あり)

・注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人または破産管財人が解除することができる(請負人による解除は、仕事完成後は不可


分かりやすい民法解説一覧ページに戻る
<<< 前のページ <<< >>> 次のページ >>>
時効の難問対策 委任の難問対策