常識判断【土地】の出題ポイント

宅建試験の税その他解説:「土地」についてお話します。必ず1問出題されますので、できればここで1点取っておきましょう。単純知識で簡単ですが、新しい問題もどんどん出題されます。常識判断が重要となってきますので、過去に出題された宅建本試験問題の知識半分、常識判断半分で頭を柔らかくして本番に挑んでください。以下、基本的な知識を列挙しておきますので、雰囲気を掴んでおいてください。そして出来るだけ多くの過去問に目を通しておくことをオススメします。過去問メインで、1問でも多くの問題に目を通しておいてください。尚、5点免除対象科目です。

土地の宅建解説

山地・山麓

・山地は、国土面積の約75%を占め、山地の約88%(国土の66%)が森林(=木材資源としても重要で、水源涵養、洪水防止等の役割を担う)となっている

傾斜が緩やかで地層が安定している場所は、宅地に適している

・傾斜角が25度を超えると、急激に崩壊の危険性が高まる

・崖錐(がんすい=風化した岩屑が堆積した半円錐状の地形)は、土石流の危険が高い

・崖錐堆積物に覆われた地域は、一般的に、切土をすると崩壊や地すべりを起こしやすい

・断層面周辺部分の地層強度は著しく低下しており、崖崩れや土石流が発生しやすい

・断層地形は、直線状の谷、滝その他の地形の急変する地点が連続して存在するといった特徴が見られることが多い

・地すべりによってできた地形は一見なだらかで水はけもよいが、末端の急斜面部等は斜面崩壊の危険が高い

・地すべり地は、安定していても、盛土をするとバランスを崩し再びすべることがある

・山麓部の利用に当たっては、背後の地形、地質、地盤について十分吟味する必要がある

・都市周辺の丘陵や山麓に広がった住宅地は、土砂災害に注意する必要がある

・火山地は、国土面積の約7%を占め、山林や原野のままの所も多く水利に乏しい

・活動度の高い火山の火山麓では、火山活動に伴う災害にも留意する必要がある


丘陵・台地・段丘

・台地や段丘は、国土面積の約12%を占め、地盤も安定し土地利用に適している

・丘陵や段丘は、地表面は比較的平坦であり、よく締まった砂礫や硬粘土からなっている

・丘陵地帯で地下水位が深く、砂質土で形成された地盤では、地震の際に液状化する可能性が低い

・丘陵や台地は、一般に水はけが良く地耐力もあり、洪水や地震に対する安全性が高い

・丘陵や台地は、縁辺部ほど傾斜が急になり豪雨等により崩壊被害を受けることが多い

・丘陵や台地内の小さな谷間は、軟弱地盤であることが多い(=地盤沈下・排水不良)

・台地上の浅く広い谷は、集中豪雨により水に浸かる危険性がある

・丘陵を削って谷を埋めて平坦化した土地では、
→ 土留めや排水工事ができていないと危険である
→ 盛土部は十分固まらないと豪雨や地震に弱い
→ 切土部と盛土部の境にまたがった宅地は、不同沈下を生じやすく危険である

・建物の不同沈下は、一般に切土部より盛土部で起こりやすい

・切土した崖面に湧水が見られる場合、湧水地点から上部の方が、それより下部より崖崩れを起こしやすい


低地

・低地は、国土面積の約13%を占め、一般に洪水や地震に弱く、防災上の見地から宅地として好ましくない

・低地は、大部分が水田や宅地として利用され、大都市の大部分もここに立地している

・地表がほとんど平坦で、古い集落や街道がないような地形は軟弱地盤であることが多い

・臨海部の低地は、洪水、高潮、地震による津波などの災害が多く、住宅地として利用するには十分な防災対策と注意を要する

・自然堤防(=河川からの砂や小礫の供給が少ない場所に形成され、細かい粘性土や泥炭などが堆積した地盤)に囲まれた低地(=後背湿地)は、排水性が悪く地盤が軟弱である

・旧河道は軟弱地盤となっている所が多いが、自然堤防は、砂質や砂礫質の土からなり比較的宅地に適している


旧河道

・旧河道は、地震や洪水などによる災害を受ける危険度が高い所である

・旧河道は、軟弱で水はけの悪い土が堆積していることが多く、宅地として選定する場合は注意を要する

・旧河道は、沖積平野の蛇行帯に分布する軟弱な地盤であり、建物の不同沈下が発生しやすい

・旧河道でそれを埋める堆積物の上部が厚い粘土質からなるときは、軟弱地盤である可能性が高い


扇状地

・扇状地は、山地から河川により運ばれてきた砂礫等が堆積し、平坦地になった地盤である

・扇状地は、山地から平野部の出口で勾配が急に緩やかになり、等高線が同心円状となる

・扇状地は、砂礫で構成されているため水はけがよく地盤は堅固だが、土石流等に注意が必要である


三角州

・三角州は、河川の河口部に砂が堆積し、三角形に近い地形を形成する地盤である

・三角州は、排水性が悪く軟弱な地盤であり、地震時の液状化現象の発生に注意を要する


干拓地と埋立地

・ 干拓地は、海面レベル以下であることも多く、宅地として好ましくない

・ 埋立地は、干拓地よりも安全だが高潮や津波の常襲地帯では宅地として危険である


その他

・登記所に備え付けの公図には、等高線が記入されてなく土地の高低を判断できない

・地図上で等高線がな所は、その地形の傾斜がである

・地図上で等高線がの所は、その地形の傾斜が穏やかである

・等高線が山頂に向かい高い方に弧を描いている部分は谷で、山頂から見て等高線が張り出している部分は尾根となる

・斜面の等高線の間隔が不揃いで大きく乱れているような場所では、過去に崩壊が発生した可能性がある


扇状地自然堤防、砂丘、昔の天井川で現在は廃川    → 宅地として利用可
旧河道、自然堤防に囲まれた後背低地、三角州、谷底平野 → 宅地に適さない

宅建合格!宅建試験の土地
  宅地適正 出題ポイント
山地 地層が安定している場所なら宅地に適しているが、
山麓部の利用にあたっては背後の地形や地盤等に吟味が必要
丘陵地・台地 縁辺部はがけ崩れの危険があり、
浅い谷の小さな池沼を埋め立てた所は地盤沈下や液状化に注意
低地 × 旧河道、自然堤防に囲まれた背後低地、三角州等は危険性が高いが、
低地でも扇状地や自然堤防は比較的危険性が低い
干拓地 × 海や湖を堤防で区切っただけで宅地には適さない
埋立地 海や湖に土砂等を積上げ海面より高くなるので、干拓地よりは安全
崩壊跡地 × 豪雨や地震によって再度崩壊するおそれがある
地すべり地 × 再発性はあるが、棚田等の水田として利用される
断層 × 崩壊、地すべりの可能性が高く
地形の急変する地点が連続する特徴が見られる


土壌汚染

令和6年の宅建試験で「工場跡地や埋立地などでは、重金属や揮発性有機化合物などによる土壌汚染が問題となることがある」という問題が出題されました。新しい問題でしたが簡単な土地の問題らしく、もちろん常識判断で「正」ですね。

少し前に豊洲新市場の土壌汚染が世間を賑わせたように、建物の耐震性と並び大きな問題となっています。今後より突っ込んだ問題が出題される可能性がありますので、少し深掘りしてみましょう。

工場跡地 = 印刷所、クリーニング工場、ガソリンスタンド跡地など
重金属や揮発性有機化合物 = 鉛、油類、ベンゼン、カドミウムなど

土壌汚染の主な事例としては水俣病やイタイタイ病などがあり、排水だけでなく排気ガスや飛灰が土壌汚染を引き起こすこともあり、土壌汚染を防ぐためには植樹を行い、環境意識を高め、廃棄物を正しく処理することなどが必要となります。

土壌汚染と不動産取引:土壌汚染対策法に則った方法で自主調査を行い、土壌汚染が判明した場合に土地所有者等が都道府県知事に以下に述べる区域の指定を申請することができるこの自主調査は不動産業界で広く活用されており、要措置区域形質変更時要届出区域の区域指定を受け、その後浄化を行い、都道府県知事に区域指定を外してもらうことにより行政の「浄化お墨付き」を受けた上で、不動産を流通させるという方法が広くとられています。


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不動産鑑定評価基準 建物
【宅建試験問題 平成7年ー問1】土地に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

1.段丘は、水はけが良く、地盤が安定していることが多い。
2.台地の縁辺部は、集中豪雨の際、がけ崩れによる被害を受けることが多い。
3.自然堤防に囲まれた低地は、地盤が安定していることが多い。
4.旧河道は、地盤が軟弱、低湿で、地震や洪水による被害を受けることが多い。
1 適当である:丘陵地、台地、段丘等は、地盤が安定していることが多い
2 適当である:丘陵や台地の上の土地であれば、水はけがよく地盤が安定しているため宅地に適している
3 適当でない:自然堤防に囲まれた低地は、地盤が軟弱で洪水や地震に弱い
4 適当である:もともとは川であったため粘土質であるなど地盤は軟弱で、支持力が弱い
【宅建試験問題 平成8年問ー1】土地に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1.扇状地については、大縮尺の地形図や空中写真によって、土石流や洪水流の危険度をある程度判別できることが多い。
2.崖錐堆積物は、一般的に透水性が低く、基盤との境付近が水の通り道となって、そこをすべり面とした地すべりが生じやすい。
3.自然堤防は、主に砂や小礫からなり、排水性がよく地盤の支持力もあるため、宅地として良好な土地であることが多い。
4.旧河道は、それを埋める堆積物の上部が厚い粘土質からなるとき、軟弱地盤となって地盤の支持力が小さく、宅地には不適当であることが多い。
1 正:扇状地は、谷の出口付近において傾斜の緩い扁平な円錐形状の地形を形成しており、地図上では谷出口を頂点とする同心円状の等高線で表される
2 誤:地すべりは生じやすいが、前段の「透水性が低く」が誤りで透水性は高い
3 正:自然堤防とは河川からの砂や小礫の供給によって形成された地形で、排水性がよく地盤の支持力もある
4 正:旧河道は、水はけの悪い粘土などの土が堆積した軟弱な地盤であることが多く、地震や地盤沈下に弱い
【宅建試験問題 平成9年ー問50】土地に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1.丘陵地や台地内の小さな谷間は、軟弱地盤であることが多く、これを埋土して造成された宅地では、地盤沈下や排水不良を生じることが多い。
2.宅地周りの既存の擁壁の上に、ブロックを積み増し、盛土して造成することにより、宅地面積を広げつつ、安全な宅地として利用できることが多い。
3.丘陵地を切り盛りして平坦化した宅地において、切土部と盛土部にまたがる区域では、沈下量の違いにより不同沈下を生じやすい。
4.宅地の安定に排水処理は重要であり、擁壁の水抜き穴、盛土のり面の小段の排水溝等による排水処埋の行われていない宅地は、不適当であることが多い。
1 正:丘陵・台地内の小さな谷間は軟弱地盤であることが多く、これを埋土して造成された宅地(谷埋め盛土)では地盤沈下や排水不良を生じることが多い
2 誤:ブロックを擁壁に積み増し盛土して造成すると、宅地は崩壊の危険性が高くなる
3 正:切土部と盛土部にまたがる区域は崩壊のおそれが多く、不同沈下を生じやすい
4 正:壁面の面積3㎡以内ごとに少なくとも1個の内径が7.5cm以上の水抜き穴が必要となる
【宅建試験問題 平成12年ー問49】土地に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1.地すべり地の多くは、過去に地すべり活動を起こした経歴があって、地すべり地形と呼ばれる独特の地形を呈し、棚田等の水田として利用されることがある。
2.樹木が生育する斜面地では、その根が土層と堅く結合しても、根より深い位置の斜面崩壌に対しては、樹木による安定効果を期待することはできない。
3.谷出口に広がる扇状地は、土砂・礫(れき)が堆(たい)積してできたものであるため、地盤は堅固でないが、士石流災害に対しては安全であることが多い。
4.自然堤防の背後に広がる低平地は、軟弱な地盤であることが多く、盛土の沈下が問題になりやすい。
1 正:地すべり地の多くは地すべりを繰り返すことがあり、独特の地すべり地形を呈する
2 正:根より深い位置の斜面崩壊に対しては、樹木による安定効果を期待することはできない
3 誤:扇状地は、地盤は堅固だが土石流災害発生の危険性が高い
4 正:後背湿地は軟弱な地盤であり、水田に利用されることが多い
【宅建試験問題 平成13年ー問49】土地に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1.地すべりは、特定の地質や地質構造を有する地域に集中して分布する傾向が強く、地すべり地形と呼ばれる特有の地形を形成することが多い。
2.土石流は、急勾配の渓流に多量の不安定な砂礫(れき)の堆(たい)積がある所や、流域内で豪雨に伴う斜面崩壊の危険性の大きい場合に起こりやすい。
3.まさ、しらす、山砂、段丘砂礫(れき)などの主として砂質土からなるのり面は、地表水による浸食には比較的強いため、簡易な排水施設の設置により安定を図ることが可能である。
4.丘陵地を切土と盛土により造成した地盤の場合は、その境目では地盤の強度が異なるため、不同沈下が起こりやすい。
1 正:地すべりは、特定の山質や地質構造を有する地域に集中する傾向がある
2 正:土石流は、泥・岩屑が地表水や地下水を多量に含んでいるもので、急勾配の渓流に多量の安定な砂礫の堆積がある所などで起こりやすい
3 誤:浸食に比較的弱く、簡易な排水施設の設置により安定を図ることは難しい
4 正:切土部と盛土部にまたがる区域では、沈下量の違いにより不同沈下を生じやすい(切土部分の方が安定している)