宅建試験に出る『債務不履行と解除』の改正問題:「出題されそうな改正点」のみに絞った問題ですので、従来から変わっていない債務不履行の知識、重要な過去問、その他重要度が低めの改正点等は、当サイトの「改正民法」のページで勉強度合いによって順次チェックしていってください。
- 宅建改正問題!債務不履行
【問1】Aの父が死亡したら建物を引き渡す旨の条件を定め、AとBが当該建物の売買契約を締結した場合、Aは、父が死亡したことを知った日から履行遅滞の責任を負う。
【問2】ー
【問3】ー
【問4】裁判所は、賠償額の予定の合意が、暴利行為として公序良俗違反となる場合に限り、賠償額の減額をすることができる。
【問5】利息付金銭消費貸借契約において利率に関する定めがない場合、借主Bが債務不履行に陥ったことにより貸主AがBに対して請求することができる遅延損害金は、年3分の利率により算出する。
【問6】AがBに対して建物を売却する契約を締結したが、その引渡し前に第三者の放火により建物が全焼した場合、Bは当該売買契約を解除することができない。
【問7】AがBに対して建物を売却する契約を締結したが、その引渡し前にBの責めに帰すべき事由により建物が全焼した場合、Bは当該売買契約を解除することができない。
【問8】ー
売買契約ではお互いに債権者であり債務者となりますが、「建物の引渡し」に着眼すると「引渡しをする売主が債務者」「受け取る買主が債権者」となりますね。ちょっとややこしいですが、覚えやすいシンプルな改正から債務不履行が絡む少し複雑な解除まで、全てが宅建試験での出題ポイントです。
【1…△】「不確定期限」が付いている債務は、改正前でしたら「期限の到来を知ったとき」から履行遅滞に陥りました(=本肢は〇)が、改正民法により「期限の到来を知ったとき」または「履行の請求を受けたとき」のいずれか早い方から履行遅滞の責任を負うこととなりました。よって、正しいとは言い切れない記述となっています。本試験ではそのまま正しい記述か、「父が死亡したことを知った日からのみ履行遅滞の責任を負う」=誤という形で出題されると思います。
【2】ー
【3】ー
【4…×】損害賠償額の予定が定められている場合、従来の裁判所はその額の増減をすることができませんでした。しかし改正民法により、賠償額の予定があっても裁判所はその額を増減することが可能となりました。改正前は理由を問わず増減不可ということで誤りでしたが、改正後は暴利行為として公序良俗違反となる場合に限らず増減可能ということで誤りとなっています。真逆となっていますので注意。
【5…〇】改正民法により法定利率は(まずは)年3パーセントとなっています。出題可能性は低めですが、簡単なので載せておきます。一応注意点として「法定利率」ですので「利息に関する定めをしたが利率に関する定めがない場合」=3%という点に注意しておいてください。「利息がつくかどうか定めなかったとき」は3%ではなく無利息です。「利息に関する定めをして利率に関する定めもした場合」はその利率によります(=約定利率)。
【6…×】改正前であれば、Aに帰責事由のない履行不能なので債務不履行の問題とはならず、危険負担の問題となりBは解除ができませんでした。従来は「債務者に帰責事由がある債務不履行の結果として、損害賠償請求と契約解除」が認められていました。しかし改正民法により、「債務不履行による損害賠償請求」と「債務不履行による契約解除」は【別の制度】となっています(すごく重要)。債務不履行による損害賠償請求は債務者の帰責事由が必要ですが、債務不履行による契約解除には債務者の帰責事由は不要となっています。よって「当事者の一方が債務を履行しない場合は原則として契約解除が可能」となります。宅建試験でもここは確実に頻出問題となるでしょう。
【7…〇】上記6番の「帰責事由」云々は債務者の話です。債務不履行が債権者の責任であれば、当然ながら債権者は解除をすることができません。頑張って勉強したのに、こういったイージーなひっかけ問題での凡ミスに注意してください。また、これは上記6番末尾の「当事者の一方が債務を履行しない場合は原則として契約解除が可能」の例外となります。重要な例外をまとめておきますと、1.債務不履行が債権者の責めに帰す場合、2.債務不履行が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微な場合、3.解除権者が故意または過失によって契約目的物を著しく損傷するなどした場合(解除権者が解除権を有することを知らなかった場合を除く)が挙げられます。2つめの「軽微」は確実に覚えておきましょう。
【8】ー
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