宅建試験に出る『詐害行為取消権』の改正問題:「出題されそうな改正点」のみに絞った問題ですので、従来から変わっていない詐害行為取消権の知識は、当サイトの「詐害行為取消権」のページで勉強度合いによって順次チェックしていってください。
- 宅建改正問題!詐害行為取消権
【問1】ー
【問2】転得者に対する詐害行為取消請求は、転得者が転得の当時、債務者の行為が債権者を害することを知っていたときに限り、行うことができる。
【問3】ー
【問4】詐害行為取消請求を認容する確定判決の効力は、債務者には及ばない。
【問5】詐害行為取消請求に係る訴えは、行為の時から20年を経過することで提起ができなくなる。
あまり好きではない「理解のため長々と説明」している問題もありますが、シンプルに「取れればラッキー」というスタンスで大丈夫です。前ページの債権者代位権よりもマイナー枠です。 過去の出題回数はこちらの方がやや上ですが、 難易度を考えると債権者代位権よりも力を入れる必要がないところと言えます。
宅建試験本番で35~40点を取れる実力がついた後に、 プラス1点を目指すために押さえておくべきところです。 いえ、確実に40点以上取れる方が趣味で覚えるところと言っても過言ではありません。宅建業法や法令制限、重要度の高い権利関係の勉強が終わった後に、より盤石を目指すため、あるいは満点を目指すため、余裕がある方だけ押さえておいてください 。
【1】ー
【2…〇】従来の判例では受益者や転得者から転得した者が善意か悪意で結論が異なっていましたが、改正民法では「受益者が善意でなく、受益者に対して詐害行為取消請求をすることができる」場合に限り、受益者からの転得者や他の転得者からの転得者、そして転得者の前に転得した全ての転得者…と、それぞれの転得の当時、債務者の行為が債権者を害することを知っていたときに限り、転得者に対して詐害行為取消請求ができるとしています。説明すればするほど詐害行為取消権はややこしいですね。
要は、
債権者
↓
①
↓
債務者→②→受益者→③→転得者A(→④→転得者B)
と債権が転々とした場合に、債権者が③に対して詐害行為取消請求をするには、受益者が善意ではなく、転得者Aが③の際に、債務者による②の行為が債権者を害することを知っている必要があるということです。そして更に、債権者が④に対して詐害行為取消請求をするには、転得者Bだけでなく、転得者Aも②について債権者を害することを知っていた必要があります。ワンクッション善意の転得者を入れることで法の裏をかくより、「善意の受益者を保護する」ことに重点を置いた新規定となっています。
他の転得者Aからの転得者Bに詐害行為取消請求をするには「転得者B及びその前に転得 した全ての転得者」が、それぞれの転得の当時、債務者の行為が債権者を害することを知 っていた必要があるというところまで、十分に出題可能性ありだと思います。
【3】ー
【4…×】どシンプルな問題ですが、重要です。「詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその債権者に対してもその効力を有する」この一文でそのまま出題されてもおかしくありません。判決の効力は債務者には及ばないとする従来の判例とは真逆になっていますので要注意。また債権者は、詐害行為取消請求に係る訴えを提起した場合、遅滞なく債務者に対して訴訟告知をしなければなりません。出題可能性は低いですが、簡単なので余裕があればここまで頭の片隅に入れておきましょう。
【5…×】これまたシンプルな改正点。従来はその通りでしたが、改正民法により20年が10年となっていますので要注意。「債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知ったときから2年」もしくは「行為のときから10年」の経過で詐害行為取消請求に係る訴えは提起することができなくなります。ちなみにこの期間制限は消滅時効期間とされていましたが、改正民法により出訴期間(訴えを提起できる期間)となり、時効の完成猶予や更新の影響を受けなくなっています。
改正民法問題集一覧ページに戻る
<<< 前のページ <<< | >>> 次のページ >>> |
---|---|
債権者代位権の改正問題 | 連帯債権の改正問題 |