とても役立つ年度別の解説付き宅建士試験問題です。宅地建物取引業法=宅建業法などスッキリ略し、解説も要点だけに絞っています。要点を一気にチェックしながら令和6年(2024年)宅建士試験の通し過去問を見ていきましょう。
- 令和6年の宅建士試験問題と解説
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- 令和6年の宅建士試験問題
- 1.権利関係の問題 問1~14
2.宅建業法の問題 問26~45
3.法令制限の問題 問15~22
4.税その他の問題 問23~25
5.税その他の問題 問46~50
【問1】法律行為に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 営業を許された未成年者が、その営業に関する意思表示をした時に意思能力を有しなかった場合は、その法律行為は無効である。
2 公の秩序に反する法律行為であっても、当事者が納得して合意した場合には、その法律行為は有効である。
3 詐欺による意思表示は取り消すことによって初めから無効であったとみなされるのに対し、強迫による意思表示は取り消すまでもなく無効である。
4 他人が所有している土地を目的物にした売買契約は無効であるが、当該他人がその売買契約を追認した場合にはその売買契約は有効となる。
⇒ 正解(1)
2:公序良俗違反の法律行為は当事者が合意していても無効です。
3:強迫による意思表示も取り消すことで無効となります。
4:他人物売買も有効であり、売主はその権利を取得して買主に移転する義務を負います。
【問2】委任契約・準委任契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 売主が、売買契約の付随義務として、買主に対して、マンション専有部分内の防火戸の操作方法につき説明義務を負う場合、業務において密接な関係にある売主から委託を受け、売主と一体となって当該マンションの販売に関する一切の事務を行っていた宅建業者も、買主に対して、防火戸の操作方法について説明する信義則上の義務を負うことがある。
2 受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
3 委任契約で本人が死亡しても代理権が消滅しない旨を合意して代理人に代理権を与えた場合、本人が死亡しても代理権は消滅しない。
4 委任は、当事者の一方が仕事を完成することを相手方に約し、相手方がその仕事の結果に対しその報酬を支払うことを約さなければ、その効力を生じない。
⇒ 正解(4)
4:委任契約は無償が原則で、本肢は請負契約の定義です。
【問3】甲土地につき、A、B、C、Dの4人がそれぞれ4分の1の共有持分を有していて、A、B、CのいずれもDの所在を知ることができない場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、Dの共有持分は、相続財産には属していないものとする。
1 甲土地に、その形状又は効用の著しい変更を伴う変更を加える場合には、共有者の過半数の同意が必要であり、本件ではA、B、C3人の同意が必要となる。
2 甲土地の所有権の登記名義人となっている者が所有者ではないEである場合、持分に基づいてEに対して登記の抹消を求めるためには、所在が判明しているA、B、Cのうち2人の同意が必要である。
3 A、B、C3人の同意があれば、甲土地を資材置場として賃借したいFとの間で期間を3年とする賃貸借契約を締結することができる。
4 Aが裁判所に請求して、裁判所がDの持分をAに取得させる旨の決定をした場合、Dは、その決定から3年以内に限り、Aが取得したDの共有持分の時価相当額をAに対して支払うよう請求することができる。
⇒ 正解(3)
1:変更行為は共有者全員の同意が必要。
2:保存行為は各共有者が単独ですることができる。
3:土地5年以下、建物3年以下の短期賃貸借は共有者の持分価格の過半数で決する。
4:3年以内という期間制限なし。
【問4】Aを売主、Bを買主として甲土地の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結された直後にAが死亡し、CがAを単独相続した場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 売買代金を受領したCが甲土地の引渡しを拒絶する意思を明確に表示したとしても、Bは、Cに対して相当の期間を定めた催告をしなければ、本件契約を解除することができない。
2 Bが期日までに売買代金を支払わない場合であっても、本件契約の解除権はAの一身に専属した権利であるため、Cは本件契約を解除することはできない。
3 Bは、売買代金が支払い済みだったとしても、甲土地の所有権登記を備えなければ、Cに対して甲土地の引渡しを請求することはできない。
4 本件契約が、Aの詐欺により締結されたものである場合、BはCに対して、本件契約の取消しを主張することができる。
⇒ 正解(4)正解肢は簡単ですが、得点源の相続にしては複合知識が必要なちょっとやらしい問題。
1:債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合、債権者は、催告をすることなく直ちに契約の解除をすることができる。
2:契約解除権は一身専属権とは言えません。
3:不動産に関する物権の得喪は登記をしなければ第三者に対抗することはできませんが、この第三者とは当事者および一般承継人以外の者を指し、買主は相続人に対して登記なく所有権の取得を対抗することができる。
【問5】履行遅滞に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 不法行為の加害者は、不法行為に基づく損害賠償債務について、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。
2 善意の受益者は、その不当利得返還債務について、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。
3 請負人の報酬債権に対して、注文者がこれと同時履行の関係にある目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権を自働債権とする相殺の意思表示をした場合、注文者は、請負人に対する相殺後の報酬残債務について、当該残債務の履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。
4 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来したことを知った後に履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。
⇒ 正解(2)
1:不法行為のときから遅滞の責任を負う。
3:相殺の意思表示をした日の翌日から遅滞の責任を負う。
4:期限到来後に履行の請求を受けたとき、または期限の到来を知ったときのいずれか早いときから遅滞の責任を負う。
【問6】Aの所有する甲土地にBを地上権者とする地上権(以下この問において「本件地上権」という。)が設定され、その旨の登記がされた後に、甲土地にCを抵当権者とする抵当権が設定され、その旨の登記がされた場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア BがAとの売買契約に基づき、甲土地の所有権を取得したときは、本件地上権は消滅する。
イ Aが死亡してBがAを単独相続し、甲土地の所有権を取得したときは、本件地上権は消滅する。
ウ BがAとの代物弁済契約に基づき、甲土地の所有権を取得したときは、本件地上権は消滅する。
エ BがAとの贈与契約に基づき、甲土地の所有権を取得したときは、本件地上権は消滅する。
⇒ 正解(4)マイナーな混同で、個数問題で、そして全て誤り…捨て問題ですね。
アイウエ:同一物について所有権および他の物権が同一人に帰属した場合、当該物権は消滅しますが、その物権が第三者の権利の目的であるときはこの限りではありません。
【問7】Aを貸主、Bを借主として甲建物の賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結され、Bが甲建物の引渡しを受けた場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 CがBに対し甲建物をAから買受けたとの虚偽の話をしたので、これを信じたBが甲建物の占有を任意にCに移転した場合、AはCに対して、占有回収の訴えにより甲建物の返還を請求することはできない。
2 Bが、Aの甲建物への立ち入りを建物入り口を閉ざして拒んだときは、Aは甲建物の間接占有が侵奪されたものとして、Bに対して、占有回収の訴えにより甲建物の返還を請求することができる。
3 Bが死亡して、DがBを単独相続した場合、Dは相続開始を知るまでは、Bによる甲建物の占有を承継しない。
4 AとBのいずれもが死亡した場合、本件契約は当然に終了する。
⇒ 正解(1)1番と2番の2択で常識判断で正解に辿り着けそうですが…これも難問の部類ですね。
1:任意で移転しているので「奪われた」状態と言えず、占有回収の訴えを提起することはできません。
2:一旦任意で引き渡した以上、後から賃借人が賃貸人の意思に反する行為をしたとしても占有を奪われたとは言えません。
3:相続人は、相続の開始を知るか否かに関わらず被相続人の占有を承継する。
4:当事者の死亡により賃貸借契約は終了せず、賃貸人の地位も賃借人の地位も相続される。
【問8】次の記述のうち、民法の条文として規定されていないものはどれか。
1 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。
2 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
3 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。
4 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
⇒ 正解(1)久々に出題された条文に規定されていないもの問題ですが、そもそも内容が間違えているサービス問題。
1:契約は申込みの意思表示に対して相手方が承諾をしたときに成立し、承諾の意思表示はその通知が相手方に到達したときに効力を生ずるとされています。改正民法により隔地者間の特例はなくなりました。
【問9】承諾に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 第三者が債務者との間で、債務者の債務につき免責的債務引受契約をする場合、債権者の承諾は不要である。
2 第三者が債務者との間で、債務者の債務につき併存的債務引受契約をした場合、債権者が第三者に承諾をした時点で、その効力が生ずる。
3 第三者が債権者との間で、債務者の債務につき併存的債務引受契約をした場合、債務者が第三者に承諾をした時点で、その効力が生ずる。
4 賃借人が賃貸借契約の目的物を第三者に転貸する場合、賃貸人の承諾は不要である。
⇒ 正解(2)
1:免責的債務引受は、債務者と第三者が契約をし、債権者が引受人となる者に対して承諾をすることで効力が生じます。
3:併存的債務引受は、債権者と第三者との契約によって効力が生じます(債務者の承諾不要)。
4:賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ賃借権を譲渡し、または賃借物を転貸することができません。
【問10】売買契約の目的物が品質に関して契約の内容に適合しない場合において、当該契約不適合が売主及び買主のいずれの責めにも帰することができない事由によるものであるとき、履行の追完請求権、代金の減額請求権、損害賠償請求権及び契約の解除権のうち、民法の規定によれば、買主が行使することができない権利のみを掲げたものとして正しいものは次の記述のうちどれか。なお、上記帰責性以外の点について、権利の行使を妨げる事情はないものとする。
1 履行の追完請求権、損害賠償請求権、契約の解除権
2 代金の減額請求権、損害賠償請求権、契約の解除権
3 履行の追完請求権、代金の減額請求権
4 損害賠償請求権
⇒ 正解(4)損害賠償請求だけは売主の責めに帰することができない事由によるものであるときは追及することができません。
【問11】建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約(一時使用目的の借地契約を除く。)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。)の所有を目的とし、存続期間を20年として借地権を設定する場合、建物買取請求権の規定は適用されず、また、その契約は、公正証書による等書面によってしなければならない。
2 居住の用に供する建物の所有を目的として借地権を設定する場合において、借地権を消滅させる目的で、その設定後30年を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨の特約を定めても、この特約は無効である。
3 借地権を設定する場合において、存続期間を定めなかったときは、その期間は30年となる。
4 当事者が借地権の設定後に最初に借地契約を更新する場合において、存続期間を定めなかったときは、その期間は更新の日から10年となる。
⇒ 正解(3)
1:公正証書による等書面ではなく、必ず公正証書が必要。
2:設定後30年以上を経過した日に借地権の目的である土地上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨を定めることができる。
4:最初の更新は最低20年(その後は最低10年)
【問12】賃貸人Aと賃借人Bとが、居住目的で期間を3年として、借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約(以下この問において「契約①」という。)を締結した場合と、定期建物賃貸借契約でも一時使用目的の賃貸借契約でもない普通建物賃貸借契約(以下この問において「契約②」という。)を締結した場合とに関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Bが建物の引渡しを受けた後にAが建物をCに売却して建物所有者がCに変わった場合、Bは、契約①の場合ではCに対して賃借人であることを主張できるが、契約②の場合ではCに対して賃借人であることを主張できない。
2 契約期間中は賃料の改定を行わない旨の特約を契約において定めていても、契約期間中に賃料が不相当になったと考えるに至ったBは、契約①の場合も契約②の場合も、借地借家法第32条に基づく賃料減額請求をすることができる。
3 Bが契約期間中に相続人なしで死亡した場合において、婚姻はしていないが事実上夫婦と同様の関係にあった同居者Dがあるときは、契約①の場合も契約②の場合も、Aに反対の意思表示をしないDは、建物の賃貸借契約に関し、Bの権利義務を承継する。
4 契約①の場合、公正証書によって契約をするときに限り契約の更新がないことを有効に定めることができ、契約②の場合、書面で契約し、かつ、Aに正当な理由がない限り、Aは契約の更新を拒絶することができなくなる。
⇒ 正解(3)
1:①も②も建物の引渡しにより対効力を生ずる。
2:①は特約があれば減額請求不可、②は減額しない特約=無効(増額しない特約は有効)なので減額請求すること可。
4:①は書面により(公正証書に限らない)、②は書面も不要(更新拒絶には正当理由が必要)。
【問13】建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 各共有者の共用部分の持分は、規約に別段の定めがない限り、共有者数で等分することとされている。
2 規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる。
3 管理者は、集会において、毎年1回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない。
4 集会の招集の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知しなかったときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。この場合には、集会の招集の通知は、通常それが到達すべき時に到達したものとみなされる。
⇒ 正解(1)1秒で解ける超サービス問題。
1:共用部分の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による(規約で別段の定め可)。
【問14】不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から10年を経過したときは、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができる。
2 不動産の収用による所有権の移転の登記は、起業者が単独で申請することができる。
3 相続人ではない者に対する遺贈による所有権の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。
4 登記名義人の住所についての変更の登記は、登記名義人が単独で申請することができる。
⇒ 正解(3)
3:遺贈は、相続人に対する遺贈に限り登記権利者が単独で所有権移転登記を申請することができる。
【問15】都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 都市計画区域外においても、特に必要があるときは、都市施設に関する都市計画を定めることができる。
2 準都市計画区域については、用途地域が定められている土地の区域であっても、市街地開発事業に関する都市計画を定めることができない。
3 用途地域の一つである準住居地域は、道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するために定める地域である。
4 地区計画は、用途地域が定められている土地の区域についてのみ都市計画に定められるものであり、また、地区計画に関する都市計画を定めるに当たっては、地区整備計画を都市計画に定めなければならない。
⇒ 正解(4)
1:都市施設は都市計画区域において定めることができ、特に必要があるときは当該都市計画区域外においても定めることができる。
2:準都市計画区域において定めることができる都市計画=①用途地域、②特別用途地区、③特定用途制限地域、④高度地区、⑤景観地区、⑥風致地区、⑦都市緑地法による緑地保全地域、⑧文化財保護法による伝統的建造物群保存地区。
4:地区計画は、用途地域が定められている土地の区域または用途地域が定められていない土地の区域のうち一定の要件を満たすものについて定められ、地区計画については都市計画に地区整備計画を定める。
【問16】都市計画法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、この問において条例による特別の定めはないものとし、「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。
1 市街化区域内において行う、医療法に規定する病院を建築するための1,000㎡の開発行為については、法第29条に基づく都道府県知事の許可を得る必要がある。
2 市街化区域内において行う、開発行為を伴わない建築物の建築で、当該建築物の床面積が1,000㎡以上のものについては、法第29条に基づく都道府県知事の許可を得る必要がある。
3 市街化調整区域内において行う、都市計画事業の施行のための開発行為については、法第29条に基づく都道府県知事の許可を得る必要がある。
4 法第29条に基づく許可を受けた者は、当該許可に係る土地についての一定の事項を開発登録簿に登録しなければならない。
⇒ 正解(1)
1:市街化区域内なので1,000㎡以上で開発許可が必要となり、病院は公益上必要な建築物にも該当しない。
2:開発行為を伴わない建築物の建築については開発許可不要(原則として開発行為自体が不可とされる「市街化調整区域」において行う開発行為を伴わない建築物の建築はまた別なのですが…難問となるので割愛します)。
3:都市計画事業・土地区画整理事業・市街地開発事業等の施行として行う開発行為については開発許可不要。
4:開発許可を受けた者ではなく、都道府県知事が登録する。
【問17】建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、建築副主事の確認にあっては、建築基準法に定める大規模建築物以外の建築物に限るものとする。
1 高さ25mの建築物には、周囲の状況によって安全上支障がない場合を除き、有効に避雷設備を設けなければならない。
2 特定行政庁は、建築基準法の規定に違反した建築物(国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物を除く。)の所有者に対して、緊急の必要があり、仮に当該建築物の使用禁止又は使用制限の命令をする場合であっても、意見書の提出先等を記載した通知書の交付等の手続をとらなければならない。
3 防火地域内に存在する共同住宅(その用途に供する部分の床面積の合計が300㎡)を増築する場合、その増築に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であっても、建築主事、建築副主事又は指定確認検査機関の確認を受ける必要がある。
4 劇場の用途に供する建築物を映画館(その用途に供する部分の床面積の合計が500㎡)に用途変更する場合、建築主事、建築副主事又は指定確認検査機関の確認を受ける必要はない。
⇒ 正解(2)
1:高さ20mを超える建築物には有効に避雷設備を設けなければなりません(周囲の状況によって安全上支障がない場合はこの限りでない)。
2:緊急の必要がある場合においては、これらの手続によらず仮に使用禁止または使用制限の命令をすることができる。
3:200㎡を超える特殊建築物の増築なので建築確認が必要だが、防火地域及び準防火地域「外」における増改築移転で、その増改築移転に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であるときは建築確認不要となる(本肢は防火地域内なので確認必要)。
4:用途変更が一定の類似用途相互間におけるものなので建築確認は不要。
【問18】次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 客席部分の床面積の合計が300㎡の映画館については、第二種住居地域内において建築することはできないが、準住居地域内においては建築することができる。
2 特定用途誘導地区内において、都市計画で建築物の高さの最高限度が定められていたとしても、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したものについては、当該最高限度を超えてよい。
3 計画しようとする建築物の天空率が、道路斜線制限、隣地斜線制限又は北側斜線制限に適合する建築物の天空率未満であれば、これらの制限は適用されない。
4 都市計画で建蔽率の限度が80%に指定されている区域かつ防火地域内にある耐火建築物について、建蔽率の限度を超えるためには、特定行政庁による許可を得る必要がある。
⇒ 正解(2)謎の天空率に正解肢の2番も初出題の細かい知識…難問です。
1:客席部分の床面積の合計が200㎡以上の映画館や劇場等は、商業・近隣商業・準工業地域で建築できる(200㎡未満であれば準住居地域も可)。
3:道路斜線制限・隣地斜線制限・北側斜線制限が適用されなくなるのは、これらの制限に適合する建築物の天空率以上である場合(天空率の深追い不要)。
4:そもそも防火地域(建蔽率の限度が10分の8とされている地域に限る)内にある耐火建築物等については、建蔽率の規定は適用されません。
【問19】宅地造成及び特定盛土等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市及び中核市にあってはその長をいうものとし、地方自治法に基づく施行時特例市に係る経過措置については考慮しないものとする。
1 都道府県知事は、基礎調査のために他人の占有する土地に立ち入って測量又は調査を行う必要があるときは、その必要の限度において、当該土地に、自ら立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができ、当該土地の占有者は、正当な理由がない限り、その立入りを拒み、又は妨げてはならない。
2 都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地について、宅地造成等に伴う災害を防止するために必要があると認める場合には、その土地の所有者に対して、擁壁等の設置等の措置をとることを勧告することができる。
3 工事主は、宅地造成等工事規制区域において行われる宅地造成等に関する工事について、工事着手後2週間以内に、宅地造成等に関する工事の施行に係る土地の周辺地域の住民に対し、説明会の開催その他の当該宅地造成等に関する工事の内容を周知させるため必要な措置を講じなければならない。
4 特定盛土等規制区域内において行われる特定盛土等又は士石の堆積に関する工事については、工事主は、当該工事に着手する日の30日前までに、主務省令で定めるところにより、当該工事の計画を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、特定盛土等又は士石の堆積に伴う災害の発生のおそれがないと認められるものとして政令で定める工事については、この限りでない。
⇒ 正解(3)
3:工事着手後2週間以内ではなく、あらかじめ必要な措置を講じなければなりません。
【問20】土地区画整理法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において、同法第136条の3による大都市等の特例及び条例で定める事務処理の特例は考慮しないものとする。
1 仮換地が指定された場合においては、従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地又は仮換地について仮に使用し、若しくは収益することができる権利の目的となるべき宅地若しくはその部分について、従前の宅地について有する権利の内容である使用又は収益と同じ使用又は収益をすることができる。
2 市町村施行の土地区画整理事業において、市町村は、換地処分をした場合においては、その旨を公告しなければならない。
3 換地計画において定められた保留地は、換地処分の公告があった日の翌日において、施行者が取得する。
4 施行者は、仮換地を指定した場合において、特別の事情があるときは、その仮換地について使用又は収益を開始することができる日を仮換地の指定の効力発生の日と別に定めることができる。
⇒ 正解(2)
2:個人、土地区画整理組合、土地区画整理会社、市町村、機構、公社は、換地処分をした場合、遅滞なくその旨を都道府県知事に届け出ます(公告を行うのは都道府県知事)。
【問21】農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 法第3条第1項の許可があったときは所有権が移転する旨の停止条件付売買契約を原因とする所有権移転の仮登記の申請を行う場合にも、農業委員会の許可が必要である。
2 法第5条第1項の許可申請書の提出において、法ではその申請に係る権利の設定又は移転に関し民事調停法により調停が成立した場合など一定の場合を除き、当事者は連署した申請書を提出しなければならないとされている。
3 法では、農地の賃貸借で期間の定めがあるものについては、一定の場合を除き、期間満了の1年前から6か月前までの間に更新拒絶の通知をしないと従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借したものとみなされる。
4 法では、農地の賃貸借の当事者は、当該賃貸借の合意による解約が民事調停法による農事調停によって行われる場合など一定の場合を除き、知事の許可を受けなければ、当該賃貸借について、解除、解約の申入れ、合意解約、更新拒絶の通知をしてはならないとされている。
⇒ 正解(1)農地法というより不動産登記法や借地借家法の知識が必要で、農地法としては難しい問題でした。
1:仮登記は農業委員会の許可がなくても申請できる。
【問22】国土利用計画法(以下この問において「法」という。)第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)及び法第27条の7の監視区域内の届出(以下この問において「事前届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市にあってはその長をいうものとする。
1 Aが所有する市街化区域以外の都市計画区域内の4,000㎡の土地について、宅建業者Bが地上権の設定を受ける契約を締結した場合、Bは事後届出を行わなければならない。
2 宅建業者Cが所有する市街化区域内の3,000㎡の土地と宅建業者Dが所有する都市計画区域外に所在する12,000㎡の土地を金銭の授受を伴わずに交換する契約を締結した場合、C及びDはともに事後届出を行う必要はない。
3 事前届出又は事後届出が必要な土地について、売買契約を締結したにもかかわらず所定の期間内に当該届出をしなかった者は都道府県知事からの勧告を受けることがあるが、罰則の適用を受けることはない。
4 監視区域に指定された市街化区域内に所在する土地2,500㎡について売買契約を締結しようとする当事者は、契約締結の少なくとも6週間前までに事前届出を行わなければならない。
⇒ 正解(4)
1:市街化区域以外の都市計画区域内の土地について事後届出が必要となるのは5,000㎡以上。
2:市街化区域内の土地は2,000㎡以上、都市計画区域外の土地は10,000㎡以上の場合に事後届出が必要となる。
3:届出をしなかった場合に都道府県知事から勧告を受けることはないが、6月以下の懲役または100万円以下の罰金を受ける(届出を行った土地について勧告を受け、その勧告に従わなかったときは罰則の適用がない点と比較)。
4:ちなみに監視区域における届出対象面積は、注視区域の面積要件(市街化区域2,000㎡以上、その他の都市計画区域5,000㎡以上、 都市計画区域外10,000㎡以上)未満で、都道府県知事が都道府県の規則で定めます。
【問23】住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(以下この問において「住宅ローン控除」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、以下の居住用家屋は、令和5年に建築基準法第6条第1項の確認(建築確認)を受けたものとする。
1 令和6年中に居住用家屋を居住の用に供した場合において、その前年において居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けているときであっても、令和6年分以後の所得税について住宅ローン控除の適用を受けることができる。
2 令和6年中に居住用家屋を居住の用に供した場合において、その前年において居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算の適用を受けているときであっても、令和6年分以後の所得税について住宅ローン控除の適用を受けることができる。
3 令和5年中に居住用家屋の敷地の用に供するための土地を取得した場合において、令和6年中に居住用家屋を新築して居住の用に供したときは、令和5年分の所得税について住宅ローン控除の適用を受けることができる。
4 令和6年中に居住用家屋を居住の用に供した場合において、その居住用家屋の取得に係る住宅借入金等の償還期間等が契約において3年とされているときは、令和6年以後3年間の所得税について住宅ローン控除の適用を受けることができる。
⇒ 正解(2)所得税の基本問題ですが、正解できなくても気にせず。
1:その居住の用に供した日の属する年の前年もしくは前々年において居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けている場合、住宅ローン控除の適用を受けること不可。
3:新築日から6ヶ月以内に居住の用に供している必要があるので、必ずしも住宅ローン控除の適用を受けることができるとは限らない。
4:期間10年以上の割賦償還により返済することが適用要件。
【問24】 不動産取得税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 不動産取得税の課税標準は、不動産を取得した時における当該不動産の売買価格であるから、固定資産税の課税標準である固定資産の評価額とは異なるものである。
2 不動産取得税の課税標準となるべき額が、土地の取得にあっては10万円、家屋の取得のうち建築に係るものにあっては1戸につき23万円、その他のものにあっては1戸につき12万円に満たない場合においては、不動産取得税が課されない。
3 不動産取得税は、不動産の取得に対して課される税であるので、法人の合併により不動産を取得した場合においても、不動産取得税が課される。
4 令和6年4月に個人が取得した住宅及び住宅用地に係る不動産取得税の税率は3%であるが、住宅以外の家屋及び土地に係る不動産取得税の税率は4%である。
⇒ 正解(2)5秒で解けるサービス問題。
1:不動産取得税の課税標準=原則として固定資産課税台帳の登録価格。
3:相続、合併、包括遺贈による不動産の取得で不動産取得税は課されません。
4:住宅も土地(住宅用地に限らない)も3%。
【問25】 不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、誤っているものはどれか。
1 同一需給圏とは、一般に対象不動産と代替関係が成立して、その価格の形成について相互に影響を及ぼすような関係にある他の不動産の存する圏域をいう。
2 対象不動産について、依頼目的に応じ対象不動産に係る価格形成要因のうち地域要因又は個別的要因について想定上の条件を設定する場合がある。
3 不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として形成されるが、これを適合の原則という。
4 収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法であり、賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合に特に有効である。
⇒ 正解(3)
3:これは最有効使用の原則の説明。適合の原則=不動産の収益性または快適性が最高度に発揮されるためには、当該不動産がその環境に適合していることが必要であるとする原則。
【問26】宅建業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。なお、説明の相手方は宅建業者ではないものとする。
ア ガス配管設備等に関して、住宅の売買後においても宅地内のガスの配管設備等の所有権が家庭用プロパンガス販売会社にあるものとする場合には、その旨を説明しなければならない。
イ 重要事項の説明を行う宅建士は専任の宅建士でなくてもよいが、書面に記名する宅建士は専任の宅建士でなければならない。
ウ 区分所有建物である事務所ビルの一室の売買の媒介を行う場合、当該1棟の建物及びその敷地の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあっては、その商号又は名称)及び住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地)を説明しなければならない。
エ 区分所有建物である中古マンションの一室の売買の媒介を行う場合、当該1棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定めがあるときは、その内容及び既に積み立てられている額について説明しなければならない。
⇒ 正解(3)正しいのはアウエ
ア:新しい聞き方ですね。「飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)」は重要説明事項で、ガス配管設備等の所有権が家庭用プロパンガス販売業者にあるものとする場合には、その旨も説明します。
イ:説明も記名も宅建士でさえあれば専任である必要はありません。
【問27】宅建業者Aに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、Aは宅地建物取引業保証協会の社員ではないものとする。
1 宅建業者Aが主たる事務所を移転したことにより、その最寄りの供託所が変更した場合において、金銭のみをもって営業保証金を供託しているときは、遅滞なく営業保証金を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託しなければならない。
2 宅建業者Aの従業員が運転する車両で現地案内を受けた者が、Aの従業員の過失による交通事故でケガをした場合に取得する損害賠償請求権は、Aが供託した営業保証金の還付の対象債権となる。
3 宅建業者Aは、金銭と有価証券を併用して供託することができ、有価証券のみで供託する場合の当該有価証券の価額は、国債証券の場合はその額面金額の100分の90、地方債証券の場合はその額面金額の100分の80である。
4 宅建業者Aは甲県内にある主たる事務所とは別に、乙県内に新たに従たる事務所を設置したときは、営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。
⇒ 正解(4)
1:金銭のみで供託しているので保管替えを請求する。
2:従業員の過失による交通事故で取得した損害賠償請求権は宅建業により生じた債権と言えない。
3:国債証券は額面金額、地方債証券は額面金額の100分の90。
【問28】宅建業者A(消費税課税事業者)及び宅建業者B(消費税免税事業者)が受領した報酬に関するアからウの記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものの組合せは1から4のうちどれか。なお、代理、媒介に当たり、広告の依頼は行われていないものとする。
ア 居住用建物(1か月の借賃12万円。消費税等相当額を含まない。)について、宅建業者Aは貸主から代理を依頼され、宅建業者Bは借主から媒介を依頼され、Aは貸主から6.7万円、Bは借主から6.5万円を報酬として受領した。なお、Bは、媒介の依頼を受けるに当たって、報酬について借主から特段の承諾を得ていない。
イ 宅建業者Bは、事業用建物について、貸主と借主双方から媒介を依頼され、借賃1か月分10万円(消費税等相当額を含まない。)、権利金90万円(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないもので、消費税等相当額を含まない。)の賃貸借契約を成立させ、貸主と借主からそれぞれ5万円を報酬として受領した。
ウ 宅建業者Aは、土地付建物について、売主と買主双方から媒介を依頼され、代金3,500万円(消費税等相当額を含み、土地代金は2,400万円である。)の売買契約を成立させ、売主と買主からそれぞれ110万円を報酬として受領したほか、売主の特別の依頼に基づき行った遠隔地への現地調査に要した実費の費用について、売主が事前に負担を承諾していたので、売主から9万円を受領した。
⇒ 正解(2)違反しないものはイウ
ア:Bは免税事業者なので、12万円×1/2×1.04=6.24万円が上限。
イ:権利金を売買代金とみなして計算すると90万円×5%×2×1.04=9.36万円だが、借賃をもとに計算すると10万円×1.04=10.4万円となり、貸主と借主それぞれ5万円(合計10万円)を受領しても宅建業法に違反しない。
ウ:建物の消費税分を引いた3,400万円×3%+6万円=108万円に消費税を上乗せして108万円×1.1=118.8万円が上限。特別の依頼に基づき行った遠隔地への現地調査費を別途受領することも問題なし。
【問29】宅建士に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 宅建試験に合格した者は、宅地又は建物の取引に関する実務の経験期間が2年に満たない場合であっても、試験に合格した日から1年以内に登録を受けようとするときには、都道府県知事が指定する講習を受講することにより、宅建士の登録を受けることができる。
2 宅建士証は、更新を受けることなくその有効期間が経過した場合、その効力を失うが、当該宅建士証を都道府県知事に返納する必要はない。
3 宅建士は、他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義で宅建士である旨の表示をしたときは、宅建業法第68条の規定に基づく処分の対象となるが、当該他人が宅建士の登録を受けた者であるときはこの限りでない。
4 宅建業者は、その事務所唯一の専任の宅建士が宅建士証の有効期間の経過により効力を失い宅建士でなくなったときは、2週間以内に宅建業法第31条の3第1項の規定に適合させるため必要な措置を執らなければならない。
⇒ 正解(4)
1:2年以上の実務経験がない場合は国土交通大臣が指定する登録実務講習を受ける必要がある。宅建試験合格後1年以内であれば免除されるのは宅建士証交付の法定講習(こちらは都道府県知事指定である点も注意)。
2:速やかに交付を受けた都道府県知事に返納する(宅建業の免許は有効期間満了で返納する必要がない点と比較)
3:他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して宅建士である旨の表示をしたときは指示処分・事務禁止処分の対象となり、「他人」は宅建士であるか否か関係なし。
【問30】宅建業者Aが、自ら売主として、宅建業者ではない個人Bとの間で宅地の売買契約を締結し、手付金を支払ったBが、宅建業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフにより、当該売買契約を契約締結の日の翌日に解除しようとしている。この場合に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 宅建業者Aがクーリング・オフについて告げるときに交付すべき書面には、Aの商号又は名称及び住所並びに免許証番号の記載は必要であるが、Aの宅建士の記名は必要ない。
2 Bが、自らの申出により、Bの勤務する会社の事務所において、宅地の買受けの申込み及び宅建業者Aとの売買契約の締結をした場合、Bは、クーリング・オフによる当該売買契約の解除を行うことができない。
3 Bが、自らの申出により、喫茶店において、宅地の買受けの申込み及び宅建業者Aとの売買契約の締結をした場合、Bは、クーリング・オフによる当該売買契約の解除を行うことができる。
4 Bは、自らの申出により、Bが融資を受ける銀行(宅建業者ではない。)において、宅地の買受けの申込み及び宅建業者Aとの売買契約の締結をした場合、クーリング・オフによる当該売買契約の解除を行うことができない。
⇒ 正解(4)
4:買主の申出により契約申込みを行いクーリング・オフができなくなるのは、買主の自宅または勤務場所のみ。
【問31】次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅建業者が宅建業法第65条第1項の規定による指示に従わない場合、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができ、業務の停止の処分に違反した場合、免許を取り消さなければならない。
2 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅建業者の事務所の所在地を確知できないときは、その事実を公告し、その公告の日から2週間を経過しても当該宅建業者から申出がないときは、免許を取り消すことができる。
3 国土交通大臣又は都道府県知事は、宅建業法第66条の規定による免許の取消しの処分をしようとするときは、聴聞を行わなければならないが、当該聴聞は、公開することが相当と認められる場合を除き、公開されない。
4 国土交通大臣又は都道府県知事は、宅建業法第66条の規定による免許の取消しの処分をしたときはその旨を公告しなければならないが、宅建業法第65条第2項の規定による業務の停止の処分をしたときはその旨の公告はしなくともよい。
⇒ 正解(1)
2:公告し、公告の日から30日を経過しても申出がないときは免許を取り消すことができる。
3:免許取消処分をしようとするときは聴聞を行わなければならず、聴聞の期日における審理は公開により行う。
4:業務停止処分・免許取消処分をしたときは、その旨を公告しなければならない。
【問32】宅建業者Aが、BからB所有の中古住宅の売却の依頼を受け、Bと専任媒介契約(専属専任媒介契約ではないものとする。)を締結した。この場合における次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 宅建業者Aは当該中古住宅の売買契約が成立しても、当該中古住宅の引渡しが完了していなければ、売買契約が成立した旨を指定流通機構に通知する必要はない。
2 Bが宅建業者である場合は、当該契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を、宅建業法第34条の2第1項に規定する書面に記載する必要はない。
3 宅建業者Aに対して当該中古住宅について買受けの申込みがなかった場合でも、AはBに対して、当該契約に係る業務の処理状況を2週間に1回以上報告しなければならないが、その報告は必ずしも書面で行う必要はない。
4 Bが当該中古住宅について、宅建業法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施する者のあっせんを希望しなかった場合は、宅建業者Aは同項に規定する書面に同調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載する必要はない。
⇒ 正解(3)
1:契約が成立したときは、遅滞なくその旨を指定流通機構に通知しなければならない。
2:媒介契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を記載しなければならず、宅建業者間取引であっても例外なし。
4:依頼者があっせんを希望しなかった場合、あっせんしない旨を記載する。
【問33】宅建業者がその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 宅地の販売に関する広告をインターネットで行った場合において、当該宅地の売買契約が成立した後も継続して広告を掲載していた場合、当該広告を掲載し続けることは宅建業法第32条の規定に違反する。
2 建物の所有者と賃貸借契約を締結し、当該建物を自らが貸主となって貸借(転貸)するための広告をする場合においては、自らが契約の当事者となって貸借を成立させる旨を当該広告に明示しなくても、宅建業法第34条の規定に違反しない。
3 造成工事に必要とされる法令に基づく許可等の処分があった宅地について、工事完了前に当該宅地の販売に関する広告をするときは、法令に基づく許可等の処分があったことを明示すれば、取引態様の別について明示する必要はない。
4 複数の区画がある分譲地の売買について、数回に分けて広告をする場合は、最初に行う広告だけではなく、次回以降の広告の都度取引態様の別を明示しなければならない。
⇒ 正解(3)
2:転貸も「自ら貸借」で宅建業に該当しません。
3:許可等の処分の明示と取引態様の別の明示は別モノ。
【問34】宅建業者Aが、自ら売主として、宅建業者ではない個人Bとの間で、土地付建物を4,000万円で売却する売買契約(所有権の登記は当該土地付建物の引渡し時に行うものとする。)を締結する場合における宅建業法第41条又は第41条の2の規定に基づく手付金等の保全措置(以下この問において「保全措置」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 宅建業者Aが、保全措置を講じずにBから手付金100万円を受領する場合、その旨を、宅建業法第35条の規定に基づく重要事項説明書に記載する必要があるが、宅建業法第37条の規定により交付する書面に記載する必要はない。
2 当該建物が建築工事の完了後の建物である場合、宅建業者AがBから手付金100万円を受領する際には保全措置は不要であるが、その後、当該土地付建物を引き渡す前に中間金400万円を受領するためには、手付金100万円と合わせて保全措置を講じた後でなければ、その中間金を受領することができない。
3 当該建物が建築工事の完了前の建物である場合において、宅建業者Aは、保全措置を講じずに、Bから手付金300万円を受領することができる。
4 当該土地付建物の引渡し前に、Bは宅建業者Aに対して2,000万円を中間金として支払う契約になっていたが、Aがその中間金について保全措置を講じていないときは、Bはこの中間金の支払いを拒むことができる。
⇒ 正解(3)
2:完成物件なので手付金等の額が代金の10%(本問では400万円)以下であり、かつ、1,000万円以下であるときは保全措置が不要となり、中間金400万円を受領する際に500万円の保全措置が必要となる。
3:未完成物件なので手付金等の額が代金の5%(本問では200万円)以下であり、かつ、1,000万円以下であるときは、保全措置が不要となり、手付金が300万円であれば保全措置が必要となる。
4:保全措置の対象にも関わらず宅建業者が保全措置を講じないときは、買主は手付金等を支払わないことができる。
【問35】宅建業者Aが宅建業法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に記載すべき事項を電磁的方法により提供すること(以下この問において「37条書面の電磁的方法による提供」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 宅建業者Aが自ら売主として締結する宅地の売買契約において、37条書面の電磁的方法による提供を行う場合、当該契約の相手方に対し、あらかじめ、電磁的方法による提供に用いる電磁的方法の種類及び内容を宅建士に説明させなければならない。
2 宅建業者Aが媒介業者として関与する建物賃貸借契約において、37条書面の電磁的方法による提供を行う場合、その方法は37条書面の交付に係る宅建士が明示されるものでなければならない。
3 宅建業者Aが自ら売主として締結する宅地の売買契約において、契約の相手方から37条書面の電磁的方法による提供を行うことについて書面により承諾を得た場合は、その後に当該契約の相手方から書面で電磁的方法による提供を受けない旨の申出があったときでも、37条書面の電磁的方法による提供をすることができる。
4 宅建業者Aが媒介業者として関与する宅地の売買契約において、37条書面の電磁的方法による提供を行う場合であっても、提供後速やかに37条書面を交付しなければならない。
⇒ 正解(2)
1:あらかじめ電磁的方法による提供に用いる電磁的方法の種類および内容を示した上で書面等により承諾を得なければならないが、宅建士が説明する必要はない。
3:承諾を得た後でも、書面等により電磁的方法による提供を受けない旨の申出があったときは、当該電磁的方法による提供をしてはならない。
4:電磁的方法で提供したのであれば、改めて37条書面の交付は不要。
【問36】営業保証金及び宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 宅建業者で保証協会に加入しようとする者は、その加入しようとする日までに、政令で定める額の弁済業務保証金分担金を当該保証協会に納付しなければならない。
2 保証協会の社員と宅建業に関し取引をした者(宅建業者に該当する者を除く。)は、その取引により生じた債権に関し、当該社員が社員ではないとしたならばその者が供託すべき営業保証金の額に相当する額の範囲内で弁済を受ける権利を有する。
3 宅建業者は、保証協会の社員の地位を失ったときは、保証協会が弁済業務保証金の還付請求権者に対し、一定期間内に宅建業法第64条の8第2項の規定による認証を受けるため申し出るべき旨の公告をした後でなければ、弁済業務保証金分担金の返還を受けることができない。
4 宅建業者は、一部の事務所を廃止し営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を請求する権利を有する者に対し、公告をすることなく営業保証金を取り戻すことができる。
⇒ 正解(4)
4:免許を取り消された場合・免許を更新せず有効期間が満了した場合・一部の事務所廃止による営業保証金の取戻しは、6月を下らない一定期間内に申し出るべき旨の公告が必要。
【問37】宅建業者が行う宅建業法第35条に規定する重要事項説明に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。なお、説明の相手方は宅建業者ではないものとする。
ア 建物の貸借の媒介を行う場合、水防法施行規則第11条第1号の規定により市町村の長が提供する水害ハザードマップに当該建物の位置が含まれているときは、その所在地を示して説明しなければならない。
イ 既存住宅の売買を行う場合、宅建業法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査の実施後、1年を経過していないものについては、建物状況調査の実施の有無、実施している場合の結果の概要について説明しなければならない。
ウ 宅地の売買を行う場合、宅地の造成に関する工事の完了前のものであるときは、完了時における当該宅地に接する道路の構造及び幅員を説明しなければならない。
エ 建物の貸借の媒介を行う場合、私道に関する負担の有無や内容を事前に調査し、説明しなければならない。
⇒ 正解(3)正しいものはアイウ
エ:建物貸借「以外」の媒介であれば、私道に関する負担事項を説明しなければならない。
【問38】宅建業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 宅建業者Aが、免許の更新の申請をした場合において、従前の免許の有効期間の満了の日までに、その申請について処分がなされないときは、従前の免許は、有効期間の満了後その効力を失う。
2 宅建業者Bが宅建業者Cに自己の名義をもって宅建業を営ませる行為は、Bが名義の使用を書面で指示している場合であれば、宅建業法に違反しない。
3 宅建業者D(甲県知事免許)は、国土交通大臣に免許換えの申請をし、その免許を受けなければ、乙県所在の宅地の売買の媒介をすることはできない。
4 宅建業者E(丙県知事免許)の免許の更新に当たって、丙県知事は宅建業法第3条の2に基づき条件を付すことができ、Eが免許の更新に当たって付された条件に違反したときは、丙県知事はEの免許を取り消すことができる。
⇒ 正解(4)
1:従前の免許は、有効期間満了後もその処分がなされるまでの間は効力を有する。
2:宅建業者は自己の名義をもって他人に宅建業を営ませてはならず、これに例外はありません。
3:都道府県知事免許であっても、免許の効力は全国に及ぶ。
【問39】宅建業法第50条第2項の届出をすべき場所に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、これらの場所では、宅地若しくは建物の売買若しくは交換の契約(予約を含む。)若しくは宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介の契約を締結し、又はこれらの契約の申込みを受けるものとする。
1 届出をすべき場所として、継続的に業務を行うことができる施設を有する場合で事務所以外のものが定められているが、当該場所には1名以上の成年者である専任の宅建士を置かなければならない。
2 届出をすべき場所として、宅建業者が10区画以上の一団の宅地又は10戸以上の一団の建物の分譲(以下この問において「一団の宅地建物の分譲」という。)をする場合に設置する案内所が定められているが、当該案内所が土地に定着する建物内に設けられる場合、クーリング・オフ制度の適用が除外される。
3 届出をすべき場所として、他の宅建業者が行う一団の宅地建物の分譲の代理又は媒介をする場合に設置する案内所が定められており、この場合は、代理又は媒介を行う宅建業者が届出をするが、売主業者自身も当該案内所で売買契約の申込みを受ける場合は、売主業者も届出をする。
4 届出をすべき場所として、宅建業者が業務に関し展示会その他これに類する催しを実施する場所が定められているが、その催しを開始する10日前までに、実施場所を管轄する都道府県知事に届け出なければならず、免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出る必要はない。
⇒ 正解(4)
4:業務を開始する日の10日前までに、免許権者と所在地を管轄する都道府県知事の両方に届け出る。
【問40】宅建業者が媒介により既存建物の貸借の契約を成立させた場合、宅建業法第37条の規定により当該貸借の契約当事者に対して交付すべき書面に必ず記載しなければならない事項の組合せとして正しいものは次の1から4のうちどれか。
ア 当該建物に係る租税その他の公課の負担
イ 敷金や共益費など借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的
ウ 損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは、その内容
エ 建物の構造耐力上主要な部分又は雨水の侵入を防止する部分として国土交通省令で定めるものの状況
⇒ 正解(2)正しいものはイウ
ア:売買交換の任意的記載事項。
エ:売買交換の必要的記載事項。
【問41】宅建業者が行う宅建業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。なお、説明の相手方は宅建業者ではないものとする。
ア 中古マンションの一室の売買の媒介を行う場合、抵当権が設定されていても、契約日までにその登記が抹消される予定であるときは、当該抵当権の内容について説明しなくてもよい。
イ 宅地の貸借の媒介を行う場合、借地権の存続期間を50年とする賃貸借契約において、当該契約終了時における当該宅地の上の建物の取壊しに関する事項を定めようとするときは、その内容を説明しなければならない。
ウ 建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が住宅の品質確保の促進等に関する法律第5条第1項に規定する住宅性能評価を受けた新築住宅であるときは、その旨を説明しなければならない。
エ 宅地の売買の媒介を行う場合、当該宅地が急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第3条の規定に基づく急傾斜地崩壊危険区域内にあることは説明しなければならないが、当該区域内における行為の制限の概要については説明しなくてもよい。
⇒ 正解(1)正しいものはイ
ア:抵当権が設定されているのであれば、それが抹消される予定であったとしても説明を要する。
ウ:売買交換の重要説明事項。
エ:概要についても説明を要する。
【問42】次の記述のうち、宅建業法の規定及び「宅建業者による人の死の告知に関するガイドライン」によれば、誤っているものはどれか。
1 宅建業者は、宅建業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅建業者の相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。
2 宅建業者は、宅地又は建物の売買の契約の締結の勧誘をするに際し、宅建業者の相手方等に対し、宅地又は建物の引渡しの時期について故意に不実のことを告げた場合であっても、契約が成立したときに宅建業法第37条の規定により交付すべき書面に当該事項を正確に記載すればよい。
3 「宅建業者による人の死の告知に関するガイドライン」によれば、売買取引の対象となる居住用不動産において、自然死や日常生活の中での不慮の死が発生した場合であっても、過去に人が死亡し、長期間にわたって人知れず放置されたこと等に伴ういわゆる特殊清掃や大規模リフォーム等が行われていなければ、宅建業者は、原則として、買主に対してこれを告げなくてもよい。
4 「宅建業者による人の死の告知に関するガイドライン」によれば、賃貸借取引の対象となる居住用不動産において、自然死や日常生活の中での不慮の死以外の死が発生した場合であっても、特段の事情がない限り、当該死が発覚してから概ね3年間を経過した後は、宅建業者は、原則として、借主に対してこれを告げなくてもよい。
⇒ 正解(2)
2:故意に事実を告げずまたは不実のことを告げる行為をしてはならず、これに例外なし。
3:自然死や事故死であれば、特殊清掃等が行われた場合に告知する。
4:自然死や事故死以外の死でも、3年を経過すれば原則として告知する必要なし。
【問43】宅建士の登録及び宅建士証に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 宅建士の登録を受けている者は、宅建士証の交付を受けていない場合でも、その住所に変更があれば、登録を受けている都道府県知事に変更の登録を申請しなければならない。
2 宅建士は、宅建士の信用又は品位を害するような行為をしてはならず、この行為には宅建士としての職務に必ずしも直接関係しない行為や私的な行為も含まれる。
3 宅建士は、取引の関係者から請求があったときは、宅建士証を提示しなければならないが、その際、個人情報保護の観点から宅建士証の住所欄にシールを貼った上で提示することが認められている。
4 宅建士証に記載される宅建士の氏名については現姓を用いなければならず、旧姓を併記することは認められていない。
⇒ 正解(4)
4:旧姓使用を希望する者に対しては、宅建士証に旧姓を併記することもできる。
【問44】宅建業者Aが宅建業法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、宅建業法の規定に違反しないものはどれか。
1 宅建業者Aは、建築工事完了前の建物の売買契約を媒介したときに、37条書面に記載する当該建物を特定するために必要な表示について、宅建引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明において使用した図書を交付することによって行った。
2 宅建業者Aは、貸主Bと借主Cとの間で締結された建物の賃貸借契約を媒介したときに、借賃の額、支払時期及び支払方法について定められていたが、BとCの承諾を得たので、37条書面に記載しなかった。
3 宅建業者Aは、宅建業者Dと宅建業者Eとの間で締結された宅地の売買契約を媒介したときに、37条書面に当該宅地の引渡しの時期を記載しなかった。
4 宅建業者Aが建物の売買契約を買主として締結した場合に、売主Fに承諾を得たので、37条書面をFに交付しなかった。
⇒ 正解(1)
2:承諾を得ても省略不可。
3:宅建業者間でも省略不可。
4:承諾を得ても省略不可。
【問45】特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく住宅販売瑕疵担保保証金(以下この問において「保証金」という。)の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約(以下この問において「保険契約」という。)の締結に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 自ら売主として宅建業者ではない買主に引き渡した新築住宅の戸数が、基準日前10年間に10戸あるが、当該基準日前、年間は0戸である場合、当該売主である宅建業者は、当該基準日に係る保証金の供託又は保険契約の締結の状況について届出を行う必要はない。
2 自ら売主として新築住宅を宅建業者ではない買主に引き渡した宅建業者は、基準日に係る保証金の供託及び保険契約の締結の状況について届出をしなければ、当該基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後においては、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結してはならない。
3 保険契約は、新築住宅の引渡し時から有効でなければならないが、買主が当該住宅の引渡し時から10年以内に当該住宅を転売した場合、当該保険契約は解除される。
4 自ら売主として宅建業者ではない買主に新築住宅を引き渡した宅建業者が、保証金を供託する場合、当該住宅の床面積が25㎡以下であるときは、新築住宅の合計戸数の算定に当たって、3戸をもって1戸と数えることになる。
⇒ 正解(2)細かい肢もありますが、正解肢が定番中の定番問題ですね。
1:基準日前10年間に自ら売主となる売買契約に基づき新築住宅を引き渡した宅建業者は、基準日ごとに、当該基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託および住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について、免許権者に届け出なければならない(当該基準日前、年間の引渡し実績が0戸でも届出が不要とならない)。
3:保険契約は転売しても解除されない(保険契約を変更・解除できるのは国土交通大臣の承認を受けた場合のみ)。
4:55㎡以下であるときは2戸を1戸。
【問46】独立行政法人住宅金融支援機構(以下この問において「機構」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 証券化支援業務(買取型)において、機構による譲受けの対象となる住宅の購入に必要な資金の貸付けに係る金融機関の貸付債権には、当該住宅の購入に付随する当該住宅の改良に必要な資金は含まれない。
2 機構は、地震に対する安全性の向上を主たる目的とする住宅の改良に必要な資金の貸付けを業務として行っている。
3 機構は、民間金融機関による住宅資金の供給を支援するため、民間金融機関が貸し付けた住宅ローンについて、住宅融資保険を引き受けている。
4 機構は、住宅のエネルギー消費性能(建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律第2条第1項第2号に規定するエネルギー消費性能をいう。)の向上を主たる目的とする住宅の改良に必要な資金の貸付けを業務として行っている。
⇒ 正解(1)
1:住宅の建設や購入、改良のための貸付けが対象となります(付随する土地や借地権の取得資金も含むが、リフォームは対象外)。
【問47】宅建業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 新築分譲住宅の予告広告(価格が確定していないため、直ちに取引することができない物件について、取引開始時期をあらかじめ告知する広告)を新聞折込チラシを用いて行った場合は、本広告を新聞折込チラシ以外の媒体を用いて行ってはならない。
2 土地取引において、当該土地上に廃屋が存在するとき、実際の土地を見れば廃屋が存在することは明らかであるため、廃屋が存在する旨を明示する必要はない。
3 交通の利便性について、電車、バス等の交通機関の所要時間を表示する場合は、朝の通勤ラッシュ時の所要時間ではなく、平常時の所要時間を明示しなければならない。
4 居住の用に供されたことはないが建築後1年以上経過した一戸建て住宅について、新築である旨を表示することはできない。
⇒ 正解(4)
1:①当該予告広告を行った媒体と同一の媒体を用い、かつ、当該予告広告を行った地域と同一またはより広域の地域において実施する方法、または②インターネット広告により実施する方法により本広告を行えばよい。
2:当該土地上に古家、廃屋等が存在するときは、その旨を明示する。
3:朝の通勤ラッシュ時の所要時間を明示した上で、平常時の所要時間を併記することができる。
4:新築=建築工事完了後1年未満であって、かつ、居住の用に供されたことがないもの。
【問48】次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 令和6年地価公示(令和6年3月公表)によれば、令和5年1月以降の1年間の地価の動向は、三大都市圏・地方圏ともに、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇した。
2 令和4年度宅建業法の施行状況調査(令和5年10月公表)によれば、令和5年3月末における宅建士の総登録者数は、200万人を超えている。
3 令和5年住宅・土地統計調査住宅数概数集計(速報集計)結果(令和6年4月公表)によれば、令和5年10月1日現在における賃貸・売却用及び二次的住宅(別荘など)を除く空き家は、900万戸に達している。
4 建築着工統計(令和6年1月公表)によれば、令和5年の新設住宅着工戸数は90万戸を超え、3年連続で増加した。
⇒ 正解(ー)統計問題は受験年の最新情報を覚えておいてください。
【問49】土地に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1 30度以上の角度をなす斜面を背後に控える宅地は、崖面への保護対策を講じるか、擁壁を設けるなどの必要がある。
2 高さ2m以下の擁壁であれば、水抜き孔を有しなくても、地震による被害が生じることはない。
3 重力式擁壁は、擁壁の自重により、背面からの土圧に抵抗するコンクリート構造物である。
4 工場跡地や埋立地などでは、重金属や揮発性有機化合物などによる土壌汚染が問題となることがある。
⇒ 正解(2)例年通り、土地問題は常識判断できる肢が並んでいますね。
2:2m以下の擁壁ならば地震による被害が生じることがないとは言い切れないでしょう。
【問50】 建物の構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1 ラーメン構造は、柱を鉛直方向、梁を水平方向に配置し、接合部を強く固めた構造である。
2 ブレース構造は、柱や梁などで構成された四角形の対角線上に部材を入れた構造である。
3 ブレース構造は、骨組全てに用いることが多く、ラーメン構造など他の構造と併用することはない。
4 壁式構造は、板状の壁と床を箱形に組み、建物とする構造で、原則として、柱や梁は用いない。
⇒ 正解(3)例年通り、建物問題は知らないと解けない肢が多いですね。
3:骨組全てに用いることが多い点は正しいですが、ラーメン構造と併用するSブレース付きラーメン構造等も可能です。
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