令和2年-2020年10月の宅建士試験問題と解説

とても役立つ年度別の解説付き宅建士試験問題です。宅地建物取引業法=宅建業法などスッキリ略し、解説も要点だけに絞っています。要点を一気にチェックしながら令和2年(2020年)10月の宅建通し過去問を見ていきましょう。

令和2年10月の宅建試験問題と解説
令和2年(2020年)宅建士試験問題
1.権利関係の問題 問1~14
 2.宅建業法の問題 問26~45
  3.法令制限の問題 問15~22
 4.税その他の問題 問23~25
5.税その他の問題 問46~50


【問1】Aが購入した甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない土地であった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 甲土地が共有物の分割によって公道に通じない土地となっていた場合には、Aは公道に至るために他の分割者の所有地を、償金を支払うことなく通行することができる。
2 Aは公道に至るため甲土地を囲んでいる土地を通行する権利を有するところ、Aが自動車を所有していても、自動車による通行権が認められることはない。
3 Aが、甲土地を囲んでいる土地の一部である乙土地を公道に出るための通路にする目的で賃借した後、甲土地をBに売却した場合には、乙土地の賃借権は甲土地の所有権に従たるものとして甲土地の所有権とともにBに移転する。
4 Cが甲土地を囲む土地の所有権を時効により取得した場合には、AはCが時効取得した土地を公道に至るために通行することができなくなる。

⇒正解(1)
1:その分割者の所有地のみを通行できる点にも注意。
2:自動車であっても諸事情による判断で通行権が認められることもあります。
3:甲土地を売却しても乙土地の賃借権は移転しません。
4:第三者が所有権を時効取得しても通行権は消滅しません。



【問2】令和2年7月1日に下記ケース①及びケース②の保証契約を締結した場合に関する次の1から4までの記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

(ケース①)個人Aが金融機関Bから事業資金として1,000万円を借り入れ、CがBとの間で当該債務に係る保証契約を締結した場合
(ケース②)個人Aが建物所有者Dと居住目的の建物賃貸借契約を締結し、EがDとの間で当該賃貸借契約に基づくAの一切の債務に係る保証契約を締結した場合

1 ケース①の保証契約は、口頭による合意でも有効であるが、ケース②の保証契約は、書面でしなければ効力を生じない。
2 ケース①の保証契約は、Cが個人でも法人でも極度額を定める必要はないが、ケース②の保証契約は、Eが個人でも法人でも極度額を定めなければ効力を生じない。
3 ケース①及びケース②の保証契約がいずれも連帯保証契約である場合、BがCに債務の履行を請求したときはCは催告の抗弁を主張することができるが、DがEに債務の履行を請求したときはEは催告の抗弁を主張することができない。
4 保証人が保証契約締結の日前1箇月以内に公正証書で保証債務を履行する意思を表示していない場合、ケース①のCがAの事業に関与しない個人であるときはケース①の保証契約は効力を生じないが、ケース②の保証契約は有効である。

⇒正解(4)改正民法解説で保証の改正点の中で目玉とお伝えしていましたが、これまでの宅建試験で出題されたことのない根保証がいきなり出題。しかも正解肢は別の改正点も含まれていて難問。捨て問題です。
1:①②共に、保証契約は書面でする必要があります。
2:①保証契約に極度額の定めは不要ですが、②根保証契約は個人根保証であれば極度額を定める必要があります(根保証人が法人の場合は極度額を定める必要なし)。
3:連帯保証であれば、①②どちらの保証人も催告の抗弁権を主張することはできません。
4:①事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約で、保証人が事業に関与しない個人である場合は、公正証書により意思表示をする必要があります(②は公正証書不要)。



【問3】次の1から4までの契約に関する記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。なお、これらの契約は令和2年4月1日以降に締結されたものとする。

(判決文)
法律が債務の不履行による契約の解除を認める趣意は、契約の要素をなす債務の履行がないために、該契約をなした目的を達することができない場合を救済するためであり、当事者が契約をなした主たる目的の達成に必須的でない附随的義務の履行を怠ったに過ぎないような場合には、特段の事情の存しない限り、相手方は当該契約を解除することができないものと解するのが相当である。

1 土地の売買契約において、売主が負担した当該土地の税金相当額を買主が償還する付随的義務が定められ、買主が売買代金を支払っただけで税金相当額を償還しなかった場合、特段の事情がない限り、売主は当該売買契約の解除をすることができない。
2 債務者が債務を履行しない場合であっても、債務不履行について債務者の責めに帰すべき事由がないときは付随的義務の不履行となり、特段の事情がない限り、債権者は契約の解除をすることができない。
3 債務不履行に対して債権者が相当の期間を定めて履行を催告してその期間内に履行がなされない場合であっても、催告期間が経過した時における債務不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、債権者は契約の解除をすることができない。
4 債務者が債務を履行しない場合であって、債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、債権者は、相当の期間を定めてその履行を催告することなく、直ちに契約の解除をすることができる。

⇒正解(2)少し時間をかければ…いえ、判決文を読まなくても問題文だけで誤りと分からないといけない判例問題。
2:債務者が債務を履行しないのであれば、(債権者に責任がなければ)債務者に責任がなくても解除可能です。



【問4】建物の賃貸借契約が期間満了により終了した場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、賃貸借契約は、令和2年7月1日付けで締結され、原状回復義務について特段の合意はないものとする。

1 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合、通常の使用及び収益によって生じた損耗も含めてその損傷を原状に復する義務を負う。
2 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合、賃借人の帰責事由の有無にかかわらず、その損傷を原状に復する義務を負う。
3 賃借人から敷金の返還請求を受けた賃貸人は、賃貸物の返還を受けるまでは、これを拒むことができる。
4 賃借人は、未払賃料債務がある場合、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てるよう請求することができる。

⇒正解(3)
1:通常損耗や経年劣化は原状回復義務を負いません
2:損傷が賃借人の責任でないのならば原状回復義務を負いません。
4:敷金を未払賃料債務の弁済に充てるよう賃借人側から請求することはできません



【問5】AとBとの間で令和2年7月1日に締結された委任契約において、委任者Aが受任者Bに対して報酬を支払うこととされていた場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aの責めに帰すべき事由によって履行の途中で委任が終了した場合、Bは報酬全額をAに対して請求することができるが、自己の債務を免れたことによって得た利益をAに償還しなければならない。
2 Bは、契約の本旨に従い、自己の財産に対するのと同一の注意をもって委任事務を処理しなければならない。
3 Bの責めに帰すべき事由によって履行の途中で委任が終了した場合、BはAに対して報酬を請求することができない。
4 Bが死亡した場合、Bの相続人は、急迫の事情の有無にかかわらず、受任者の地位を承継して委任事務を処理しなければならない。

⇒正解(1)
2:受任者は有償無償を問わず善管注意義務を負います。
3:受任者の責任により履行途中で委任が終了した場合でも、既にした履行の割合に応じて報酬請求が可能です。
4:委任者or受任者の死亡により委任契約は終了して相続はされません。



【問6】AとBとの間で令和2年7月1日に締結された売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、売買契約締結後、AがBに対し、錯誤による取消しができるものはどれか。

1 Aは、自己所有の自動車を100万円で売却するつもりであったが、重大な過失によりBに対し「10万円で売却する」と言ってしまい、Bが過失なく「Aは本当に10万円で売るつもりだ」と信じて購入を申し込み、AB間に売買契約が成立した場合
2 Aは、自己所有の時価100万円の壺を10万円程度であると思い込み、Bに対し「手元にお金がないので、10万円で売却したい」と言ったところ、BはAの言葉を信じ「それなら10万円で購入する」と言って、AB間に売買契約が成立した場合
3 Aは、自己所有の時価100万円の名匠の絵画を贋作だと思い込み、Bに対し「贋作であるので、10万円で売却する」と言ったところ、Bも同様に贋作だと思い込み「贋作なら10万円で購入する」と言って、AB間に売買契約が成立した場合
4 Aは、自己所有の腕時計を100万円で外国人Bに売却する際、当日の正しい為替レート(1ドル100円)を重大な過失により1ドル125円で計算して「8,000ドルで売却する」と言ってしまい、Aの錯誤について過失なく知らなかったBが「8,000ドルなら買いたい」と言って、AB間に売買契約が成立した場合

⇒正解(3)
1:表意者に重大な過失・相手方に過失なし=取消不可
2:表意者の錯誤の意思が表示されていない=取消不可
3:動機が示され表意者と相手方が同一の錯誤に陥っている=取消可能
4:表意者に重大な過失・相手方に過失なし=取消不可



【問7】保証に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、保証契約は令和2年4月1日以降に締結されたものとする。

1 特定物売買における売主の保証人は、特に反対の意思表示がない限り、売主の債務不履行により契約が解除された場合には、原状回復義務である既払代金の返還義務についても保証する責任がある。
2 主たる債務の目的が保証契約の締結後に加重されたときは、保証人の負担も加重され、主たる債務者が時効の利益を放棄すれば、その効力は連帯保証人に及ぶ。
3 委託を受けた保証人が主たる債務の弁済期前に債務の弁済をしたが、主たる債務者が当該保証人からの求償に対して、当該弁済日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
4 委託を受けた保証人は、履行の請求を受けた場合だけでなく、履行の請求を受けずに自発的に債務の消滅行為をする場合であっても、あらかじめ主たる債務者に通知をしなければ、同人に対する求償が制限されることがある。

⇒正解(2)
2:主債務が保証契約締結後に加重されたときでも保証債務は加重されず、主債務者が時効の利益を放棄しても保証人にその効力は及びません。



【問8】相続(令和2年7月1日に相続の開始があったもの)に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
2 被相続人の子が相続開始以前に死亡したときは、その者の子がこれを代襲して相続人となるが、さらに代襲者も死亡していたときは、代襲者の子が相続人となることはない。
3 被相続人に相続人となる子及びその代襲相続人がおらず、被相続人の直系尊属が相続人となる場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人となることはない。
4 被相続人の兄弟姉妹が相続人となるべき場合であっても、相続開始以前に兄弟姉妹及びその子がいずれも死亡していたときは、その者の子(兄弟姉妹の孫)が相続人となることはない。

⇒正解(2)
2:子の子は代襲相続することができます(4番の兄弟姉妹の代襲相続はその子までである点と比較)。



【問9】Aがその所有する甲建物について、Bとの間で、①Aを売主、Bを買主とする売買契約を締結した場合と、②Aを贈与者、Bを受贈者とする負担付贈与契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、これらの契約は、令和2年7月1日に締結され、担保責任に関する特約はないものとする。

1 ①の契約において、Bが手付を交付し、履行期の到来後に代金支払の準備をしてAに履行の催告をした場合、Aは、手付の倍額を現実に提供して契約の解除をすることができる。
2 ②の契約が書面によらずになされた場合、Aは、甲建物の引渡し及び所有権移転登記の両方が終わるまでは、書面によらないことを理由に契約の解除をすることができる。
3 ②の契約については、Aは、その負担の限度において、売主と同じく担保責任を負う。
4 ①の契約については、Bの債務不履行を理由としてAに解除権が発生する場合があるが、②の契約については、Bの負担の不履行を理由としてAに解除権が発生することはない。

⇒正解(3)
1:相手方が履行に着手しているため手付解除はできません。
2:書面によらない贈与において、書面によらないことを理由に解除することはできません。
34:負担付贈与は、売主と同じ担保責任を負います。


【問10】Aが甲土地を所有している場合の時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Bが甲土地を所有の意思をもって平穏かつ公然に17年間占有した後、CがBを相続し甲土地を所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した場合、Cは甲土地の所有権を時効取得することができる。
2 Dが、所有者と称するEから、Eが無権利者であることについて善意無過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることに気付いた場合、そのままさらに7年間甲土地の占有を継続したとしても、Dは、甲土地の所有権を時効取得することはできない。
3 Dが、所有者と称するEから、Eが無権利者であることについて善意無過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることを知っているFに売却し、Fが所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を7年間占有した場合、Fは甲土地の所有権を時効取得することができる。
4 Aが甲土地を使用しないで20年以上放置していたとしても、Aの有する甲土地の所有権が消滅時効にかかることはない。

⇒正解(2)
23:善意無過失かどうかは、最初の占有者が占有を開始した時点で判定されます。
4:所有権は消滅時効にかかりません



【問11】A所有の甲土地につき、令和2年7月1日にBとの間で居住の用に供する建物の所有を目的として存続期間30年の約定で賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結された場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

1 Bは、借地権の登記をしていなくても、甲土地の引渡しを受けていれば、甲土地を令和2年7月2日に購入したCに対して借地権を主張することができる。
2 本件契約で「一定期間は借賃の額の増減を行わない」旨を定めた場合には、甲土地の借賃が近傍類似の土地の借賃と比較して不相当となったときであっても、当該期間中は、AもBも借賃の増減を請求することができない。
3 本件契約で「Bの債務不履行により賃貸借契約が解除された場合には、BはAに対して建物買取請求権を行使することができない」旨を定めても、この合意は無効となる。
4 AとBとが期間満了に当たり本件契約を最初に更新する場合、更新後の存続期間を15年と定めても、20年となる。

⇒正解(4)
1:借地権の登記または借地権者が土地上に登記されている建物を所有することが対抗要件となります。
2:特約があっても、近傍類似の土地の借賃と比較して不相当となったときは増減請求が可能です。
3:賃貸借が債務不履行により解除された場合、建物買取請求権を行使することができないとする特約は有効です。
4:借地権の最初の更新は最短20年(2回目以降の更新は最短10年)となります。



【問12】AとBとの間でA所有の甲建物をBに対して、居住の用を目的として、期間2年、賃料月額10万円で賃貸する旨の賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結し、Bが甲建物の引渡しを受けた場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

1 AがCに甲建物を売却した場合、Bは、それまでに契約期間中の賃料全額をAに前払いしていたことを、Cに対抗することができる。
2 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、賃料改定に関する特約がない場合、経済事情の変動により賃料が不相当となったときは、AはBに対し、賃料増額請求をすることができる。
3 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約である場合、Aは、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情があれば、Bに対し、解約を申し入れ、申入れの日から1月を経過することによって、本件契約を終了させることができる。
4 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、造作買取請求に関する特約がない場合、期間満了で本件契約が終了するときに、Bは、Aの同意を得て甲建物に付加した造作について買取請求をすることができる。

⇒正解(3)
1:建物の引渡しを受けている賃借人は対抗要件を具備しています。
2:賃料改定について特約がなければ、定期建物賃貸借でも当事者は借賃の増減請求をすることができます。
3:やむを得ない事情がある場合、賃借人は、賃貸人に対して解約申入れができます賃貸人からの申入れは不可)。
4:造作買取請求権を排除する特約がなければ、定期建物賃貸借でも造作買取請求をすることができます。



【問13】建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決するが、この区分所有者の定数は、規約で2分の1以上の多数まで減ずることができる。
2 共用部分の管理に係る費用については、規約に別段の定めがない限り、共有者で等分する。
3 共用部分の保存行為をするには、規約に別段の定めがない限り、集会の決議で決する必要があり、各共有者ですることはできない。
4 一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属するが、規約で別段の定めをすることにより、区分所有者全員の共有に属するとすることもできる。

⇒正解(4)
1:規約で過半数まで減ずることができます。
2:規約に別段の定めがない限り、共有者はその持分に応じて負担します。
3:規約に別段の定めがない限り、各共有者が単独ですることができます。



【問14】不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 敷地権付き区分建物の表題部所有者から所有権を取得した者は、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければ、当該区分建物に係る所有権の保存の登記を申請することができない。
2 所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合であっても、その承諾を得ることなく、申請することができる。
3 債権者Aが債務者Bに代位して所有権の登記名義人CからBへの所有権の移転の登記を申請した場合において、当該登記を完了したときは、登記官は、Aに対し、当該登記に係る登記識別情報を通知しなければならない。
4 配偶者居住権は、登記することができる権利に含まれない。

⇒正解(1)
1:区分建物において表題部所有者から所有権を取得した者も所有権保存登記を申請することができますが、当該敷地権の登記名義人の承諾を得る必要があります。
2:所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合、その者の承諾を得たときに限り申請することができます
3:代位債権者(=申請人であって登記名義人ではない)に登記識別情報は通知されません。
4:配偶者居住権は登記することができます配偶者短期居住権は登記できない点と比較)。



【問15】都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 地区計画については、都市計画に、地区施設及び地区整備計画を定めるよう努めるものとされている。
2 都市計画事業の認可の告示があった後に当該認可に係る事業地内の土地建物等を有償で譲り渡そうとする者は、施行者の許可を受けなければならない。
3 第二種住居地域は、中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域とされている。
4 市街化調整区域における地区計画は、市街化区域における市街化の状況等を勘案して、地区計画の区域の周辺における市街化を促進することがない等当該都市計画区域における計画的な市街化を図る上で支障がないように定めることとされている。

⇒正解(4)
1:都市計画に地区施設および地区整備計画を定めるよう努めるのではなく、定めなくてはなりません。
2:施行者による事業施行公告の翌日から10日を経過した後に事業地内の土地建物等を有償で譲り渡そうとする者は、事前に都市計画事業の施行者へ届け出る必要があります。許可までは不要です。
3:第二種住居地域は、主に住居の環境を保護するために定める地域です。



【問16】都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

1 開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為又は開発行為に関する工事により設置される公共施設を管理することとなる者と協議しなければならない。
2 都市計画事業の施行として行う建築物の新築であっても、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、建築物の新築をすることができない。
3 開発許可を受けた開発行為により公共施設が設置されたときは、その公共施設は、工事完了の公告の日の翌日において、原則としてその公共施設の存する市町村の管理に属するものとされている。
4 開発許可を受けた者から当該開発区域内の土地の所有権を取得した者は、都道府県知事の承認を受けて、当該開発許可を受けた者が有していた当該開発許可に基づく地位を承継することができる。

⇒正解(2)
2:都市計画事業の施行として行う建築物の新築ならば可能。
4:開発許可を受けた者から当該開発区域内の土地の所有権その他当該開発行為に関する工事を施行する権原を取得した者(一般承継人を除く)は、都道府県知事の承認を受けて、当該開発許可を受けた者が有していた当該開発許可に基づく地位を承継することができます(相続人その他の一般承継人は当然に承継する点と比較)。



【問17】建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 階数が2で延べ面積が200㎡の鉄骨造の共同住宅の大規模の修繕をしようとする場合、建築主は、当該工事に着手する前に、確認済証の交付を受けなければならない。
2 居室の天井の高さは、一室で天井の高さの異なる部分がある場合、室の床面から天井の最も低い部分までの高さを2.1m以上としなければならない。
3 延べ面積が1,000㎡を超える準耐火建築物は、防火上有効な構造の防火壁又は防火床によって有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ1,000㎡以内としなければならない。
4 高さ30mの建築物には、非常用の昇降機を設けなければならない。

⇒正解(1)
1:階数2以上または延べ面積が200㎡超の木造以外建築物について大規模修繕をしようとする場合、建築主は、当該工事に着手する前に建築確認を受け、確認済証の交付を受けなければなりません。
2:一室で天井の高さの異なる部分がある場合、平均がその居室の天井の高さとなります(2.1m以上とする点は正しい)。
3:この防火壁の規定は、耐火建築物や準耐火建築物等には適用されません
4:非常用昇降機の設置義務があるのは、高さ31m超の建築物(政令で定めるものを除く)です。



【問18】建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 公衆便所及び巡査派出所については、特定行政庁の許可を得ないで、道路に突き出して建築することができる。
2 近隣商業地域内において、客席の部分の床面積の合計が200㎡以上の映画館は建築することができない。
3 建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、老人ホームの共用の廊下又は階段の用に供する部分の床面積は、算入しないものとされている。
4 日影による中高層の建築物の高さの制限に係る日影時間の測定は、夏至日の真太陽時の午前8時から午後4時までの間について行われる。

⇒正解(3)
1:許可不要で道路に突き出して建築できるのは地盤面下に設ける建築物ですね。
2:近隣商業地域内では、床面積に関係なく映画館を建築することができます(200㎡未満の映画館のみ建築できるのは準住居地域
4:夏至日ではなく、冬至日の真太陽時の午前8時から午後4時までの間について行われます。



【問19】宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

1 土地の占有者又は所有者は、都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者が、宅地造成工事規制区域の指定のために当該土地に立ち入って測量又は調査を行う場合、正当な理由がない限り、立入りを拒み、又は妨げてはならない。
2 宅地を宅地以外の土地にするために行う土地の形質の変更は、宅地造成に該当しない。
3 宅地造成工事規制区域内において、宅地以外の土地を宅地に転用する者は、宅地造成に関する工事を行わない場合でも、都道府県知事の許可を受けなければならない。
4 宅地造成に関する工事の許可を受けた者が、工事施行者を変更する場合には、遅滞なくその旨を都道府県知事に届け出ればよく、改めて許可を受ける必要はない。

⇒正解(3)
2:宅地造成=宅地以外の土地を宅地にするため、または宅地において行う土地の形質変更で一定規模を超えるもの。
3:宅地以外の土地を宅地に転用(=宅地造成)するには、知事への届出が必要です。
4:工事施行者の変更(=軽微変更)は届出で足ります。



【問20】土地区画整理組合(以下この問において「組合」という。)に関する次の記述のうち、土地区画整理法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 組合の設立認可を申請しようとする者は、施行地区となるべき区域内の宅地について借地権を有するすべての者の3分の2以上の同意を得なければならないが、未登記の借地権を有する者の同意を得る必要はない。
2 組合の総会の会議は、定款に特別な定めがある場合を除くほか、組合員の半数以上が出席しなければ開くことができない。
3 組合が賦課金を徴収する場合、賦課金の額は、組合員が施行地区内に有する宅地又は借地の地積等にかかわらず一律に定めなければならない。
4 組合の施行する土地区画整理事業に参加することを希望する者のうち、当該土地区画整理事業に参加するのに必要な資力及び信用を有する者であって定款で定められたものは、参加組合員として組合員となる。

⇒正解(2)細かい肢が混ざっていますが、正解肢が簡単ですね。
1:未登記の借地権者も、申告することで組合員となります
3:賦課金は一律である必要はありません。
4:組合施行の土地区画整理事業に参加を希望する者は、地方住宅供給公社等の一定の者である必要があります。



【問21】農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 法第3条第1項の許可が必要な農地の売買については、この許可を受けずに売買契約を締結しても所有権移転の効力は生じない。
2 市街化区域内の自己の農地を駐車場に転用する場合には、農地転用した後に農業委員会に届け出ればよい。
3 相続により農地を取得することとなった場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。
4 農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。

⇒正解(1)
1:3条許可を受けずに行った売買契約は無効です。
2:事後届出ではなく、あらかじめ農業委員会に届け出る必要があります。
3:相続による農地の取得は、農業委員会への届出で足ります。
4:抵当権の設定に農地法の許可は不要です。



【問22】国土利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 Aが所有する市街化区域内の1,500㎡の土地をBが購入した場合には、Bは事後届出を行う必要はないが、Cが所有する市街化調整区域内の6,000㎡の土地についてDと売買に係る予約契約を締結した場合には、Dは事後届出を行う必要がある。
2 Eが所有する市街化区域内の2,000㎡の土地をFが購入した場合、Fは当該土地の所有権移転登記を完了した日から起算して2週間以内に事後届出を行う必要がある。
3 Gが所有する都市計画区域外の15,000㎡の土地をHに贈与した場合、Hは事後届出を行う必要がある。
4 Iが所有する都市計画区域外の10,000㎡の土地とJが所有する市街化調整区域内の10,000㎡の土地を交換した場合、I及びJは事後届出を行う必要はない。

⇒正解(1)
1:市街化区域内で2,000㎡未満のBは届出不要、市街化調整区域で5,000㎡以上のDは届出必要。
2:登記を完了した日からではなく、売買契約の締結日から2週間以内に届け出ます。
3:相続や贈与等による取得で届出は不要です。
4:都市計画区域外で10,000㎡以上、市街化調整区域で5,000㎡以上なので、IもJも届出が必要です。



【問23】印紙税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 「建物の電気工事に係る請負代金は1,100万円(うち消費税額及び地方消費税額100万円)とする」旨を記載した工事請負契約書について、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は1,100万円である。
2 「Aの所有する土地(価額5,000万円)とBの所有する土地(価額4,000万円)とを交換する」旨の土地交換契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は4,000万円である。
3 国を売主、株式会社Cを買主とする土地の売買契約において、共同で売買契約書を2通作成し、国とC社がそれぞれ1通ずつ保存することとした場合、C社が保存する契約書には印紙税は課されない。
4 「契約期間は10年間、賃料は月額10万円、権利金の額は100万円とする」旨が記載された土地の賃貸借契約書は、記載金額1,300万円の土地の賃借権の設定に関する契約書として印紙税が課される。

⇒正解(3)
1:消費税額を除いた1,000万円が記載金額となります。
2:交換の場合、高い方の金額が記載金額となります。
3:国等が作成した文書は非課税となり、国等と共同で作成した文書は国等が作成した文書とみなされます。
4:権利金の100万円が記載金額となります。



【問24】不動産取得税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 令和2年4月に個人が取得した住宅及び住宅用地に係る不動産取得税の税率は3%であるが、住宅用以外の土地に係る不動産取得税の税率は4%である。
2 一定の面積に満たない土地の取得に対しては、狭小な不動産の取得者に対する税負担の排除の観点から、不動産取得税を課することができない。
3 不動産取得税は、不動産の取得に対して課される税であるので、家屋を改築したことにより、当該家屋の価格が増加したとしても、不動産取得税は課されない。
4 共有物の分割による不動産の取得については、当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に係る持分の割合を超えない部分の取得であれば、不動産取得税は課されない。

⇒正解(4)
1:住宅用地以外の土地でも、住宅または土地の取得=3%です。
2:土地において不動産取得税が免税されるのは、課税標準額が10万円未満となる場合で、面積は要件とはなりません。
3:改築により価格が増加した場合は不動産取得税が課されます。



【問25】不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、誤っているものはどれか。

1 不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として形成されるが、不動産についての現実の使用方法は当該不動産が十分な効用を発揮していない場合があることに留意すべきである。
2 対象建築物に関する工事が完了していない場合でも、当該工事の完了を前提として鑑定評価を行うことがある。
3 特殊価格とは、一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格をいい、例としては、文化財の指定を受けた建造物について、その保存等に主眼をおいた鑑定評価を行う場合において求められる価格があげられる。
4 原価法は、対象不動産が建物及びその敷地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効な手法であるが、対象不動産が土地のみである場合には、この手法を適用することはできない。

⇒正解(4)
4:対象不動産が土地のみであっても、造成地や埋立地等の再調達原価が把握できる場合は適用できます。



【問26】宅建免許に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅建業者A社(甲県知事免許)が宅建業者ではないB社との合併により消滅した場合には、B社は、A社が消滅した日から30日以内にA社を合併した旨を甲県知事に届け出れば、A社が受けていた宅建免許を承継することができる。
2 信託業法第3条の免許を受けた信託会社が宅建業を営もうとする場合には、国土交通大臣の宅建免許を受けなければならない。
3 個人Cが、転売目的で競売により取得した宅地を多数の区画に分割し、宅建業者Dに販売代理を依頼して、不特定多数の者に分譲する事業を行おうとする場合には、宅建免許を受けなければならない。
4 宅建業者E(乙県知事免許)は、乙県内に2以上の事務所を設置してその事業を営もうとする場合には、国土交通大臣に免許換えの申請をしなければならない。

⇒正解(3)
1:合併消滅した宅建業者の免許は失効します。
2:信託業法第3条の免許を受けた信託会社が宅建業を営もうとする場合、国土交通大臣への届出で足ります。
4:乙県知事免許の宅建業者が乙県内で事務所を増やしても乙県知事免許のままで、免許換えは不要です(乙県知事に変更の届出は必要)。



【問27】宅建業者がその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 建物の売却について代理を依頼されて広告を行う場合、取引態様として、代理であることを明示しなければならないが、その後、当該物件の購入の注文を受けたときは、広告を行った時点と取引態様に変更がない場合を除き、遅滞なく、その注文者に対し取引態様を明らかにしなければならない。
イ 広告をするに当たり、実際のものよりも著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示をしてはならないが、誤認させる方法には限定がなく、宅地又は建物に係る現在又は将来の利用の制限の一部を表示しないことにより誤認させることも禁止されている。
ウ 複数の区画がある宅地の売買について、数回に分けて広告をする場合は、広告の都度取引態様の別を明示しなければならない。
エ 宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に必要な都市計画法に基づく開発許可、建築基準法に基づく建築確認その他法令に基づく許可等の申請をした後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。

⇒正解(2)正しいのはイウ
ア:広告を行った時点と変更がない場合でも、注文時にも取引態様を明らかにする。
エ:申請しただけでは足りず、許可等を受けた後でなければ広告不可。



【問28】宅建士に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅建試験に合格した者は、合格した日から10年以内に登録の申請をしなければ、その合格は無効となる。
2 宅建士証の有効期間の更新の申請は、有効期間満了の90日前から30日前までにする必要がある。
3 宅建士は、重要事項の説明をするときは説明の相手方からの請求の有無にかかわらず宅建士証を提示しなければならず、また、取引の関係者から請求があったときにも宅建士証を提示しなければならない。
4 甲県知事の登録を受けている宅建士が、乙県知事に登録の移転を申請するときは、乙県知事が指定する講習を受講しなければならない。

⇒正解(3)
1:宅建合格は一生有効で、登録の申請に期間制限はありません。
2:宅建士証の更新は、交付申請前6ヶ月以内に行われる知事講習を受講します(90日前から30日前は宅建免許の更新)。
4:登録の移転に講習の受講は必要ありません。



【問29】宅建業者Aが、BからB所有の住宅の売却の媒介を依頼された場合における次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 宅建業者Aは、Bとの間で専任媒介契約を締結し、所定の事項を指定流通機構に登録したときは、その登録を証する書面を遅滞なくBに引き渡さなければならない。
イ 宅建業者Aは、Bとの間で媒介契約を締結したときは、当該契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を、宅建業法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に記載しなければならない。
ウ 宅建業者Aは、Bとの間で専任媒介契約を締結するときは、Bの要望に基づく場合を除き、当該契約の有効期間について、有効期間満了時に自動的に更新する旨の特約をすることはできない。
エ 宅建業者Aは、Bとの間で専属専任媒介契約を締結したときは、Bに対し、当該契約に係る業務の処理状況を1週間に1回以上報告しなければならない。

⇒正解(3)正しいのはアイエ
ア:2022年法改正により、依頼者の承諾を得て電子交付可能となっている点にも注意。
ウ:依頼者Bの要望があっても自動更新の特約は不可です(自動更新の特約が可能なのは一般媒介のみ)。



【問30】宅建業者A及び宅建業者B(ともに消費税課税事業者)が受領する報酬に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、借賃には消費税等相当額を含まないものとする。

1 宅建業者Aは売主から代理の依頼を、宅建業者Bは買主から媒介の依頼を、それぞれ受けて、代金5,000万円の宅地の売買契約を成立させた場合、Aは売主から343万2,000円、Bは買主から171万6,000円、合計で514万8,000円の報酬を受けることができる。
2 宅建業者Aが単独で行う居住用建物の貸借の媒介に関して、Aが依頼者の一方から受けることができる報酬の上限額は、当該媒介の依頼者から報酬請求時までに承諾を得ている場合には、借賃の1.1か月分である。
3 宅建業者Aが単独で貸主と借主の双方から店舗用建物の貸借の媒介の依頼を受け、1か月の借賃25万円、権利金330万円(権利設定の対価として支払われるもので、返還されないものをいい、消費税等相当額を含む。)の賃貸借契約を成立させた場合、Aが依頼者の一方から受けることができる報酬の上限額は、30万8,000円である。
4 宅建業者Aが単独で行う事務所用建物の貸借の媒介に関し、Aが受ける報酬の合計額が借賃の1.1か月分以内であれば、Aは依頼者の双方からどのような割合で報酬を受けてもよく、また、依頼者の一方のみから報酬を受けることもできる。

⇒正解(4)
1:5000万円×3.3%+66000円を2倍した343万2000円がAとBの合計報酬額。
2:居住用建物において借賃の1.1ヶ月分全てを依頼者の一方から受領するには、媒介依頼を受ける際に承諾が必要
3:居住用以外建物で権利金等の条件も満たしているので300万円でみなし計算が可能で、300万円×4.4%+22000円で15万4000円を限度として一方から受領することができる。
4:居住用以外建物なので、借賃1.1ヶ月分を限度に配分は自由です。



【問31】宅建業者が行う宅建業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、説明の相手方は宅建業者ではないものとする。

1 建物の売買の媒介だけでなく建物の貸借の媒介を行う場合においても、損害賠償額の予定又は違約金に関する事項について、説明しなければならない。
2 建物の売買の媒介を行う場合、当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているか照会を行ったにもかかわらず、その存在の有無が分からないときは、宅建業者自らが石綿の使用の有無の調査を実施し、その結果を説明しなければならない。
3 建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が既存の住宅であるときは、建物状況調査を実施しているかどうかを説明しなければならないが、実施している場合その結果の概要を説明する必要はない。
4 区分所有建物の売買の媒介を行う場合、建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容を説明しなければならないが、区分所有建物の貸借の媒介を行う場合は、説明しなくてよい。

⇒正解(1)
2:記録されていれば説明を要しますが、宅建業者が自ら調査してまで説明する必要はありません。
3:既存住宅である場合は建物状況調査を実施しているかどうかを説明し、実施している場合はその概要も説明します。
4:専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めの説明は、貸借の媒介でも必要となります。



【問32】宅建業者Aが、自ら売主として、宅建業者ではないBとの間で建物の売買契約を締結する場合における次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 AB間の建物の売買契約において、Bが当該契約の履行に着手した後においては、Aは、契約の締結に際してBから受領した手付金の倍額をBに現実に提供したとしても、契約を解除することはできない。
2 AB間の建物の売買契約における「宅建業法第37条の2の規定に基づくクーリング・オフによる契約の解除の際に、当該契約の締結に際しAがBから受領した手付金は返還しない」旨の特約は有効である。
3 AB間の建物の割賦販売の契約において、Bからの賦払金が当初設定していた支払期日までに支払われなかった場合、Aは直ちに賦払金の支払の遅滞を理由として当該契約を解除することができる。
4 AB間で工事の完了前に当該工事に係る建物(代金5,000万円)の売買契約を締結する場合、Aは、宅建業法第41条に定める手付金等の保全措置を講じた後でなければ、Bから200万円の手付金を受領してはならない。

⇒正解(1)
1:相手方が履行に着手しているので、倍額を提供しても解除不可です。
2:クーリング・オフによる解除は無条件解除が原則であり、買主に不利な特約は無効です。
3:割賦販売契約の解除は、30日以上の相当期間を定めて書面で催告しなければなりません。
4:未完成物件で代金の5%を超えていないため、保全措置は不要です。



【問33】宅建業者Aが宅建業法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 宅建業者Aが媒介により建物の貸借の契約を成立させたときは、37条書面に借賃の額並びにその支払の時期及び方法を記載しなければならず、また、当該書面を契約の各当事者に交付しなければならない。
2 宅建業者Aが媒介により宅地の貸借の契約を成立させた場合において、当該宅地の引渡しの時期について重要事項説明書に記載して説明を行ったときは、その内容を37条書面に記載する必要はない。
3 宅建業者Aが自ら売主として宅建業者である買主と建物の売買契約を締結した場合、37条書面に宅建士をして記名押印させる必要はない。
4 宅建業者Aが自ら売主として宅地の売買契約を締結した場合、代金についての金銭の貸借のあっせんに関する定めがある場合における当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置については、37条書面に記載する必要はない。

⇒正解(1)
2:物件の引渡し時期は、売買・交換・貸借における37条書面の必要的記載事項で、重要事項として説明していても省略できません。
3:37条書面への宅建士の記名押印は、相手方が宅建業者の場合でも必要です。
4:代金についての金銭の貸借のあっせんに関する定めがある場合における当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置は、売買・交換における37条書面の任意的記載事項です。



【問34】宅建士登録及び宅建士証に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 甲県で宅建試験に合格した後1年以上登録の申請をしていなかった者が宅建業者(乙県知事免許)に勤務することとなったときは、乙県知事あてに宅建士登録の申請をしなければならない。
2 宅建士登録を受けている者は、住所に変更があっても、登録を受けている都道府県知事に変更の登録を申請する必要はない。
3 宅建士は、従事先として登録している宅建業者の事務所の所在地に変更があったときは、宅建士登録を受けている都道府県知事に変更の登録を申請しなければならない。
4 丙県知事の登録を受けている宅建士が、丁県知事への登録の移転の申請とともに宅建士証の交付の申請をした場合は、丁県知事から、移転前の宅建士証の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする新たな宅建士証が交付される。

⇒正解(4)
1:宅建士登録の申請は、宅建試験に合格した土地の知事(=甲県知事)に対して行います。
2:宅建士の住所は宅建士資格登録簿の登載事項であり、住所が変わった場合は変更の登録が必要です。
3:従事先の宅建業者の所在地は宅建士資格登録簿の登載事項ではなく、変更の登録は不要です。



【問35】宅建業者A(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅建業者Aから建設工事を請け負った建設業者は、Aに対する請負代金債権について、営業継続中のAが供託している営業保証金から弁済を受ける権利を有する。
2 宅建業者Aが甲県内に新たに支店を設置したときは、本店の最寄りの供託所に政令で定める額の営業保証金を供託すれば、当該支店での事業を開始することができる。
3 宅建業者Aは、営業保証金の還付により、営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなったときは、甲県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。
4 宅建業者Aが甲県内に本店及び2つの支店を設置して宅地建物取引業を営もうとする場合、供託すべき営業保証金の合計額は1,200万円である。

⇒正解(3)
1:建設工事の請負代金債権は、宅地建物取引により生じた債権とは言えません。
2:供託+届出(甲県知事へ)が必要です。
4:1000万円+500万円×2=2000万円の供託が必要です。



【問36】宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 保証協会の社員との宅建業に関する取引により生じた債権を有する者は、当該社員が納付した弁済業務保証金分担金の額に相当する額の範囲内で弁済を受ける権利を有する。
2 保証協会の社員と宅建業に関し取引をした者が、その取引により生じた債権に関し、弁済業務保証金について弁済を受ける権利を実行するときは、当該保証協会の認証を受けるとともに、当該保証協会に対し還付請求をしなければならない。
3 保証協会は、弁済業務保証金の還付があったときは、当該還付に係る社員又は社員であった者に対し、当該還付額に相当する額の還付充当金をその主たる事務所の最寄りの供託所に供託すべきことを通知しなければならない。
4 保証協会は、弁済業務保証金の還付があったときは、当該還付額に相当する額の弁済業務保証金を供託しなければならない。

⇒正解(4)
1:供託すべきだった営業保証金の相当額まで弁済を受けられます。
2:保証協会の認証を受け、供託所に対して還付請求を行います。
3:還付充当金を保証協会に納付するよう通知されます。



【問37】宅建業者Aが、自ら売主として宅地の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。なお、この問において「37条書面」とは、宅建業法第37条の規定に基づき交付すべき書面をいうものとする。

ア 宅建業者Aは、専任の宅建士をして、37条書面の内容を当該契約の買主に説明させなければならない。
イ 宅建業者Aは、供託所等に関する事項を37条書面に記載しなければならない。
ウ 宅建業者Aは、買主が宅建業者であっても、37条書面を遅滞なく交付しなければならない。
エ 宅建業者Aは、買主が宅建業者であるときは、当該宅地の引渡しの時期及び移転登記の申請の時期を37条書面に記載しなくてもよい。

⇒正解(1)正しいのはウのみ
ア:37条書面は交付のみで足り、説明の必要はありません。
イ:供託所等に関する事項は37条書面の記載事項ではありません(厳密には35条説明事項の一種ですが、35条や37条とは別の説明事項)。
ウエ:37条書面に相手方が宅建業者の場合は~という例外はありません。



【問38】宅建業者Aが、BからB所有の甲住宅の売却に係る媒介の依頼を受けて締結する一般媒介契約に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅建業者Aは、宅建業法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に、宅建士をして記名押印させなければならない。
2 宅建業者Aは、甲住宅の価額について意見を述べる場合、Bに対してその根拠を口頭ではなく書面で明示しなければならない。
3 宅建業者Aは、当該媒介契約を締結した場合、指定流通機構に甲住宅の所在等を登録しなければならない。
4 宅建業者Aは、媒介契約の有効期間及び解除に関する事項を、宅建業法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に記載しなければならない。

⇒正解(4)
1:媒介契約書面は、宅建業者が作成し、宅建業者が記名押印し、宅建業者が交付すれば足ります。
2:根拠を述べるには口頭で構いません。
3:一般媒介の場合、指定流通機構への登録は任意で、登録するか否かを記載します。



【問39】次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅建業者は、従業者名簿の閲覧の請求があったときは、取引の関係者か否かを問わず、請求した者の閲覧に供しなければならない。
2 宅建業者は、その業務に従事させる者に従業者証明書を携帯させなければならず、その者が宅建士であり、宅建士証を携帯していても、従業者証明書を携帯させなければならない。
3 宅建業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備えなければならないが、退職した従業者に関する事項は、個人情報保護の観点から従業者名簿から消去しなければならない。
4 宅建業者は、その業務に従事させる者に従業者証明書を携帯させなければならないが、その者が非常勤の役員や単に一時的に事務の補助をする者である場合には携帯させなくてもよい。

⇒正解(2)
1:従業者名簿は、取引関係者から請求があった場合に閲覧に供します(宅建業者名簿は誰でも閲覧可能な点と区別)。
3:最初の記載をした日から10年間保存し、退職した従業者をすぐに消去するということはありません。
4:非常勤の役員や一時的に事務の補助をする者にも従業者証明書が必要です。



【問40】宅建業者Aが、自ら売主として、宅建業者ではないBとの間で宅地の売買契約を締結した場合における、宅建業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフに関する次の記述のうち、Bがクーリング・オフにより契約の解除を行うことができるものはいくつあるか。

ア Bが喫茶店で当該宅地の買受けの申込みをした場合において、Bが、Aからクーリング・オフについて書面で告げられた日の翌日から起算して8日目にクーリング・オフによる契約の解除の書面を発送し、10日目にAに到達したとき。
イ Bが喫茶店で当該宅地の買受けの申込みをした場合において、クーリング・オフによる契約の解除ができる期間内に、Aが契約の履行に着手したとき。
ウ Bが喫茶店で当該宅地の買受けの申込みをした場合において、AとBとの間でクーリング・オフによる契約の解除をしない旨の合意をしたとき。
エ Aの事務所ではないがAが継続的に業務を行うことができる施設があり宅建業法第31条の3第1項の規定により専任の宅建士が置かれている場所で、Bが買受けの申込みをし、2日後に喫茶店で売買契約を締結したとき。

⇒正解(2)解除できるのはイウ
ア:クーリング・オフができる旨を書面で告げられた日から8日以内(=告げられた日を含み8日以内)に発信する必要があり、告知翌日から8日目の発信では遅すぎます。
イ:解除ができる期間内であれば相手方が履行に着手していても解除可能です。
ウ:買主に不利な特約は無効で解除可能です。
エ:継続的に業務を行うことができる施設で専任宅建士が置かれている場所は事務所等に該当し、事務所等で申込みを行った場合は解除ができません。



【問41】宅建業者が行う宅建業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 重要事項説明書には、代表者の記名押印があれば宅建士の記名押印は必要がない。
2 重要事項説明書に記名押印する宅建士は専任の宅建士でなければならないが、実際に重要事項の説明を行う者は専任の宅建士でなくてもよい。
3 宅建士証を亡失した宅建士は、その再交付を申請していても、宅建士証の再交付を受けるまでは重要事項の説明を行うことができない。
4 重要事項の説明は、宅建業者の事務所において行わなければならない。

⇒正解(3)
1:重要事項説明書には必ず宅建士の記名押印が必要です。
2:記名押印も説明も、宅建士でさえあれば専任である必要はありません。
4:重要事項の説明場所に制限はありません。



【問42】宅建業者Aが、自ら売主として締結する売買契約に関する次の記述のうち、宅建業法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 宅建業者Aが宅建業者ではないBとの間で締結する宅地の売買契約において、当該宅地の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負う期間をBがその不適合を知った時から2年とする特約を定めた場合、この特約は有効である。
2 宅建業者Aが宅建業者ではないCとの間で建築工事の完了前に締結する建物(代金5,000万円)の売買契約においては、Aは、手付金200万円を受領した後、宅建業法第41条に定める手付金等の保全措置を講じなければ、当該建物の引渡し前に中間金300万円を受領することができない。
3 宅建業者Aが宅建業者Dとの間で造成工事の完了後に締結する宅地(代金3,000万円)の売買契約においては、Aは、宅建業法第41条の2に定める手付金等の保全措置を講じないで、当該宅地の引渡し前に手付金800万円を受領することができる。
4 宅建業者Aが宅建業者ではないEとの間で締結する建物の売買契約において、Aは当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を一切負わないとする特約を定めた場合、この特約は無効となり、Aが当該責任を負う期間は当該建物の引渡日から2年となる。

⇒正解(4)4番が明らかに誤りですので出題者側は正解肢を4番と想定しているはずですが、解釈次第で1番も正しいとは言い切れず、グレーな問題となっています。(14が正解となりました
14:改正民法による売主への責任追及の要件と合わせて「宅建業法の例外が通知期間2年」となった点を意図した問題で、一目瞭然で4番は誤りです。しかし、従来の民法の原則「買主が事実を知ったときから1年(除斥期間)」または「引渡しから10年(消滅時効期間)」より買主に不利かもしれないけど宅建業法では有効な特約だった「引渡しから2年以上(除斥期間)」の「除斥期間」が廃止され、民法の原則は「買主が事実を知ったときから1年」の間に通知することで責任を追及でき、消滅時効は「不適合を知った時から5年間」or「引渡しから10年間」となり、これより買主に不利な特約は無効となっています。宅建業法で許される例外は「通知期間を引渡しから2年以上」とする特約のみです。「Bがその不適合を知った時から2年とする特約」=「買主が事実を知ったときから1年」よりも買主に有利ですが、消滅時効の「不適合を知った時から5年間」よりも不利となる…なんとも言えない問題となっています。



【問43】宅建免許に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅建免許を受けようとするA社の取締役が刑法第204条(傷害)の罪により懲役1年執行猶予2年の刑に処せられた場合、刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予期間を満了し、その日から5年を経過しなければ、A社は宅建免許を受けることができない。
2 宅建業者である個人Bが死亡した場合、その相続人Cは、Bが締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内において宅建業者とみなされ、Bが売主として締結していた売買契約の目的物を買主に引き渡すことができる。
3 宅建業者D社について破産手続開始の決定があった場合、D社を代表する役員は廃業を届け出なければならない。また、廃業が届け出られた日にかかわらず、破産手続開始の決定の日をもって宅建免許の効力が失われる。
4 宅建免許を受けようとするE社の取締役について、破産手続開始の決定があった場合、復権を得た日から5年を経過しなければ、E社は宅建免許を受けることができない。

⇒正解(2)
1:執行猶予期間が満了すれば、5年を待たず宅建免許を受けることができます。
3:破産管財人が30日以内に届け出ます。
4:復権を得れば、5年を待たず宅建免許を受けることができます。



【問44】宅建業者が行う宅建業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、特に断りのない限り、説明の相手方は宅建業者ではないものとする。

1 昭和55年に新築の工事に着手し完成した建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が地方公共団体による耐震診断を受けたものであるときは、その内容を説明しなければならない。
2 貸借の媒介を行う場合、敷金その他いかなる名義をもって授受されるかを問わず、契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項を説明しなければならない。
3 自らを委託者とする宅地又は建物に係る信託の受益権の売主となる場合、取引の相手方が宅建業者であっても、重要事項説明書を交付して説明をしなければならない。
4 区分所有建物の売買の媒介を行う場合、一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定めがあるときは、その内容を説明しなければならないが、既に積み立てられている額について説明する必要はない。

⇒正解(4)3番が細かくやらしすぎる意地悪問題。4番をズバリ正解できるかどうか・・
1:昭和56年6月1日以前に新築された建物について耐震診断が行われていた場合、その内容を説明します。
3:宅地建物にかかる信託受益権の売買は宅建業に該当します。そして相手方が宅建業者の場合、実物不動産においては35条書面の交付は必要で説明は不要(相手もプロ)となりますが、信託受益権においては説明も必要(金融商品について宅建業者はプロとは言えない)となります。信託受益権であっても説明が不要となる例外もあるのですが、さすがに金融商品取引法の部類となるそこまでは出題されないでしょう。
4:既に積み立てられている額についても説明が必要です。



【問45】宅建業者A(甲県知事免許)が、自ら売主として宅建業者ではない買主Bに新築住宅を販売する場合における次の記述のうち、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅建業者Aが媒介を依頼した宅建業者又はBが住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結をしていれば、Aは住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う必要はない。
2 宅建業者Aが住宅販売瑕疵担保保証金の供託をし、その額が、基準日において、販売新築住宅の合計戸数を基礎として算定する基準額を超えることとなった場合、甲県知事の承認を受けた上で、その超過額を取り戻すことができる。
3 新築住宅をBに引き渡した宅建業者Aは、基準日ごとに基準日から50日以内に、当該基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託及び住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について、甲県知事に届け出なければならない。
4 Bが宅建業者である場合であっても、宅建業者Aは、Bに引き渡した新築住宅について、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負う。

⇒正解(2)
1:資力確保措置は、売主である宅建業者Aが行います。
3:基準日から3週間以内に届け出ます。
4:資力確保措置は、宅建業者が新築住宅を宅建業者以外に販売する場合に行います。



【問46】独立行政法人住宅金融支援機構(以下この問において「機構」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 機構は、証券化支援事業(買取型)において、金融機関から買い取った住宅ローン債権を担保としてMBS(資産担保証券)を発行している。
2 機構は、災害により住宅が滅失した場合におけるその住宅に代わるべき住宅の建設又は購入に係る貸付金については、元金据置期間を設けることができない。
3 機構は、証券化支援事業(買取型)において、賃貸住宅の建設又は購入に必要な資金の貸付けに係る金融機関の貸付債権については譲受けの対象としていない。
4 機構は、貸付けを受けた者とあらかじめ契約を締結して、その者が死亡した場合に支払われる生命保険の保険金を当該貸付けに係る債務の弁済に充当する団体信用生命保険を業務として行っている。

⇒正解(2)
2:災害復興建築物の建設または購入にかかる貸付金について元金措置期間を設けることができます。



【問47】宅建業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 路地状部分(敷地延長部分)のみで道路に接する土地であって、その路地状部分の面積が当該土地面積のおおむね30%以上を占める場合には、路地状部分を含む旨及び路地状部分の割合又は面積を明示しなければならない。
2 新築住宅を販売するに当たり、当該物件から最寄駅まで実際に歩いたときの所要時間が15分であれば、物件から最寄駅までの道路距離にかかわらず、広告中に「最寄駅まで徒歩15分」と表示することができる。
3 新築分譲住宅を販売するに当たり、予告広告である旨及び契約又は予約の申込みには応じられない旨を明瞭に表示すれば、当該物件が建築確認を受けていなくても広告表示をすることができる。
4 新築分譲マンションを販売するに当たり、住戸により管理費の額が異なる場合であって、すべての住戸の管理費を示すことが広告スペースの関係で困難なときは、全住戸の管理費の平均額を表示すればよい。

⇒正解(1)
2:徒歩による所要時間は80mにつき1分で算出する必要があります。
3:工事完了前物件について建築確認を受けた後でなければ広告することはできません。
4:平均額ではなく、最低額および最高額の表示で足ります。



【問48】次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 令和2年地価公示(令和2年3月公表)によれば、平成31年1月以降の1年間の地価変動は、全国平均では、住宅地については下落であったが、商業地については上昇であった。
2 令和2年版土地白書(令和2年6月公表)によれば、土地取引について、売買による所有権の移転登記の件数でその動向をみると、令和元年の全国の土地取引件数は約131万件となり、前年に比べて大きく増加した。
3 建築着工統計(令和2年1月公表)によれば、平成31年1月から令和元年12月までの持家及び分譲住宅の新設住宅着工戸数は前年に比べて増加したが、貸家の新設住宅着工戸数は減少した。
4 平成30年度法人企業統計調査(令和元年9月公表)によれば、不動産業の売上高経常利益率は、平成26年度から平成30年度までの5年間は、いずれも5%以下となっている。

⇒正解(3)統計問題は受験年の最新情報を覚えておいてください。



【問49】土地に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1 都市の中小河川の氾濫の原因の一つは、急速な都市化、宅地化に伴い、降雨時に雨水が短時間に大量に流れ込むようになったことである。
2 中小河川に係る防災の観点から、宅地選定に当たっては、その地点だけでなく、周辺の地形と防災施設に十分注意することが必要である。
3 地盤の液状化については、宅地の地盤条件について調べるとともに、過去の地形についても古地図などで確認することが必要である。
4 地形や地質的な条件については、宅地に適しているか調査する必要があるが、周辺住民の意見は聴かなくてよい。

⇒正解(4)常識的に考えても簡単な問題ですね。
4:専門業者の造成地選定+周辺住民への意見聴取などが行われます。



【問50】建築物の構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1 建物の構成は、大きく基礎構造と上部構造からなっており、基礎構造は地業と基礎盤から構成されている。
2 基礎の種類には、基礎の底面が建物を支持する地盤に直接接する直接基礎と、建物を支持する地盤が深い場合に使用する杭基礎(杭地業)がある。
3 直接基礎の種類には、形状により、柱の下に設ける独立基礎、壁体等の下に設けるべた基礎、建物の底部全体に設ける布基礎(連続基礎)等がある。
4 上部構造は、重力、風力、地震力等の荷重に耐える役目を負う主要構造と、屋根、壁、床等の仕上げ部分等から構成されている。

⇒正解(3)知っていないと取れない上にシンプルな逆転だけという手抜き難問。
3:壁体等の下に設けるのが布基礎で、建物の底部全体に設けるのがべた基礎です。2つめと3つめの説明が逆です。


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