2021年(令和3年)の改正情報

令和3年の宅建士法改正情報

令和3年(2021年)の宅建試験で出題されそうな最新の法改正情報をお送りします。

今年の改正点はとても少ないですが、宅建業法と法令制限の改正は重要です。
確実に押さえておいてください!

★は重要度で、最高で★5つです。


権利関係の法改正

1.特別養子縁組(★)

特別養子縁組の請求時に15歳に達している者は、養子となることができないと変更されました(従来は6歳)。

特別養子縁組の成立時に18歳に達する者も、養子となることはできません。また養子となる者が15歳に達する前から養親となる者に監護されていて、かつ、特別養子縁組の請求をしなかったことにやむ得ない事由があるときは、請求時に15歳に達していても養子となることができます(養子となる者の同意が必要)。

宅建試験でここまで養子縁組を掘り下げた問題が出題される可能性は極めて低いので、本当に余裕がある方だけ頭の片隅に入れておいてください。

2.自筆証書遺言(★★)

2020年7月10日から、法務局が自筆証書遺言を保管してくれるようになりました。

提出された自筆証書遺言は、遺言書保管官により法律上の要件を形式的に満たしているか確認され、原本を保管したうえで画像データとして記録されます。相続開始後、相続人は、遺言書の保管の有無に関する証明書の交付が受けられ、遺言書の原本の閲覧請求や、遺言書の画像情報等を用いた証明書の請求ができるようになります。

遺言者本人だけが保管申請をすることができ、代理人による申請は認められません。
保管所に保管されている遺言書については、家庭裁判所での検認が不要となります。

出題ポイントとして、検認不要は少し熱いですね。


宅建業法の法改正

1.35条書面記載事項の追加(★★★★)

宅地建物が所在する市町村の長が提供する図面(水害ハザードマップ)に当該宅地建物の位置が表示されているときは、図面におけるその宅地建物の所在地」が重要説明事項として追加されました。宅地または建物の全契約(売買・交換・貸借)が対象となります。

久しぶりに出題可能性大と言える重要説明事項の追加ですね。狙われそうなひっかけポイントも多くあります。

・水害ハザードマップは、宅地建物が所在する市町村が配布する印刷物やホームページを確認し、入手可能な最新のものを用いる!

・市町村に照会し、水害ハザードマップに関する情報を作成していないことが確認された場合、その照会をもって調査義務を果たしたことになる!(=宅建業者が細かな調査までする必要なし「提示するべき水害ハザードマップが存しない旨の説明」は必要

・説明対象は、図面におけるその宅地建物の所在地であり、水害ハザードマップに記載されている内容まで説明する必要はないが、「避難所の位置」は示すことが望ましい

・水害ハザードマップに記載された浸水想定区域に該当しないことをもって、水害リスクがないと誤認させてはならない

2.ITを用いての重要事項説明(★★★★★)

近年の法改正で貸借の媒介代理に限りテレビ電話等を用いての重要事項の説明が可能となりましたが、これが全契約に拡大されました。

売買でも交換でも、全ての宅地建物取引についてITを用いての重要事項の説明が可能なりました。シンプルに超重要です。さくっと覚えておきましょう。


法令上の制限の法改正(★★★★★)

都市計画の決定または変更手続きにおいて、市は都道府県知事との協議のみ、町村は協議+同意が必要とされていましたが、これが統一されて町村も協議のみで足りるとされました。

市町村すべて、あらかじめ都道府県知事に協議することで足りますこれまたシンプルに超重要です。


税その他の法改正(★)

所得税(住宅ローン控除)と贈与税で細かい改正がありましたが、深追いする必要はないでしょう。しかし、昨年の2回の試験で所得税も贈与税も出題されませんでしたので、今年も2回の開催となった宅建試験で所得税または贈与税が出題される可能性は「大」と言えます。本来であれば捨て科目候補となる所得税と贈与税ですが、以下の改正点を知っておけばピンポイントで得点できるかもしれません

何を言っているのか分からないかもしれませんので、余裕があれば下線部分だけ押さえておいてください。余裕がなくても覚えてほしい最低限のキーワードは「1,000万円以下」「40㎡以上」です。

1.住宅ローン控除
2.直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
3.住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例

・1について、個人が住宅の取得等(対価または費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合の住宅取得等に限る)をして令和元年10月1日から令和4年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例として、適用年の11年目から13年目までの各年の住宅借入金等特別税額控除額を一般住宅や認定長期優良住宅等の区分に応じそれぞれ一定の計算方法で定める金額として、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の適用ができる。令和4年末までの入居者を対象とし、延長した部分に限り合計所得金額1,000万円以下の者について面積要件が50㎡以上から40㎡以上に緩和される。

・2について、非課税限度額が「消費税等の税率10%が適用される住宅用家屋の新築等」かつ「耐震、省エネまたはバリアフリーの住宅用家屋」にかかるものは1,500万円、「一般の住宅用家屋」にかかるものは1,000万円となる。

・2について、受贈者が贈与を受けた年分の所得税にかかる合計所得金額1,000万円以下の者は面積要件が50㎡以上から40㎡以上に緩和される。

・3について、床面積の下限を50㎡以上から40㎡以上に引き下げた


令和3年度法改正箇所の例題

【問1】令和2年6月に作成した自筆証書遺言について、同月に法務局へ保管を申請する場合、当該遺言書を家庭裁判所に提出し、検認を申し立てる必要はない。

【問2】提出された自筆証書遺言は、遺言書保管官により法律上の要件を形式的に満たしているか確認された上で原本を保管し、画像データとして記録され、相続人は、いつでも遺言書の保管の有無に関する証明書の交付や遺言書原本の閲覧請求、遺言書の画像情報等を用いた証明書の請求をすることができる。

【問3】宅建業者は、取引の対象である宅地が所在する市町村の長が提供する図面(水害ハザードマップ)に当該宅地の位置が表示されているときは、図面における当該宅地の概ねの位置及び避難所の位置について重要事項として説明しなければならない。

【問4】取引の対象である宅地が所在する市町村に水害ハザードマップに関する情報が作成されているか照会を行ったにもかかわらず、その存在の有無が分からないときは、宅建業者自らが調査し、その結果を説明しなければならない。

【問5】宅建業者は、取引の対象である宅地の所在位置が水害ハザードマップに記載された浸水想定区域に該当しないことをもって、取引の相手方に対して水害リスクがないと誤認させてはならない。


【1…×】法務局に自筆証書遺言の保管を申請できるのは令和2年7月10日以降です。その前に申請をしても受理されず、従来通りの検認手続きが必要となります。

【2…×】相続人は、相続開始後に限り遺言書の保管の有無に関する証明書の交付や遺言書原本の閲覧請求、遺言書の画像情報等を用いた証明書の請求をすることができます。

【3…×】水害ハザードマップ上のどこに所在するか概ねの位置を説明する必要はありますが、避難所の位置は示すことが望ましく、義務ではありません。

【4…×】照会をもって調査義務を果たしたことになり、宅建業者が細かな調査までする必要はありません。「提示するべき水害ハザードマップが存しない旨の説明」は必要です。

【5…〇】その通りです。浸水想定区域に該当しないことをもって、取引の相手方に対して水害リスクがないと誤認させてはなりません。


以上、今年度宅建試験の法改正情報をお伝えしました。

宅建業法の2問と法令制限の1問は、10月または12月の試験のどちらかで高確率で出題されると思います。絶対に押さえておいてください。


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