2020年(令和2年)の改正情報

令和2年の宅建士法改正情報

令和2年(2020年)の宅建試験で出題されそうな最新の法改正情報をお送りします。

量は少ないですが、重要なものばかりです。今年の試験でいきなり出題される可能性が高い改正ばかりですので、絶対に押さえておいてください。★は重要度で、最高★5つです。


権利関係の法改正

改正民法まとめページをご参照ください。


宅建業法の法改正

1.免許欠格事由(★★★★★)

従来の免許欠格事由である「成年被後見人と被保佐人」が削除され、「心身の故障により宅建業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの」となりました。単に成年被後見人・被保佐人というだけでは宅建免許の欠格事由に該当せず、精神機能の障害により宅建業を適正に営むために必要な認知・判断・意思疎通ができない者が欠格者となります

2.登録欠格事由(★★★★★)

上記1番と同じです。単に成年被後見人・被保佐人というだけでは宅建士の欠格事由に該当せず、心身の故障により宅建士の事務を適正に行うことができない者として国土交通省令で定めるもの」が欠格者となります。

3.死亡等の届出(★★★★★)

上記2番の改正に伴い、従来は宅建士が成年被後見人・被保佐人となったときは法定代理人がその旨を届け出ていたのが、心身故障者となったときは「本人・法定代理人・同居の親族」が届け出ることとなりました。

4.制限行為能力者が行った行為(★★★★★)

個人の宅建業者(未成年者を除く)が宅建業務に関して行った行為は、行為能力の制限を理由として取り消すことはできないと明文化されました。

5.契約不適合責任(★★★★★)

「瑕疵担保責任」が「種類・品質に関して契約内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任」(=契約不適合責任)という名称に改正されたことに伴い、35条書面記載事項、37条書面記載事項、自ら売主制限で出てくる従来の「瑕疵担保責任」が「種類・品質に関して契約内容に~」という上記名称で出題されることになります。

35条と37条は名称が変わっただけですが、自ら売主制限で買主に不利でも認められる唯一の例外「目的物の引渡しから2年」が、責任追及期間ではなく「通知期間」となっている点に注意です。「種類・品質に関して契約内容に適合しない場合の通知期間を、目的物の引渡しの日から2年以上とする」特約は有効となります。


法令上の制限の法改正

1.建築確認(★★★★★)

建築確認を必要とする特殊建築物の面積要件が、従来の「用途に供する床面積の合計が100㎡超」から「用途に供する床面積の合計が200㎡超」となりました。100から200になっただけです。とても重要です。

2.長屋と共同住宅の界壁(★★)

長屋と共同住宅における従来の界壁は「小屋裏または天井裏まで達すること」とされていましたが、天井に遮音性能があればこの限りではないことになりました。頭の片隅に。

3.敷地内の通路(★★★)

特殊建築物、階数が3以上の建築物、延べ面積1000㎡超の建築物等は、敷地内に1.5m以上の通路を設ける規制に加え、階数3以下で延べ面積が200㎡未満の建築物は、敷地内通路の幅員を90cm以上とする緩和規制ができました。ちょっと出題可能性ありです。

4.建蔽率(★★★★)

防火地域内の耐火建築物は建蔽率が1/10加算(=緩和)されていましたが、準防火地域内の準耐火建築物にもこの規定が適用される(緩和される)ことになりました。重要です。

5.準防火地域(★★★★)

準防火地域内において、従来は「地階を除く階数が3以下かつ延べ面積が500㎡超で1,500㎡以下の建築物は耐火建築物または準耐火建築物」「地階を除く階数が3かつ延べ面積500㎡以下の建築物は政令で定める技術的基準適合建築物でも可」とされていましたが、

地階を除く階数が3かつ延べ面積が1,500㎡以下」または「地階を除く階数が2以下かつ延べ面積が500㎡超で1,500㎡以下」の建築物は、耐火建築物または準耐火建築物もしくはこれらと同等以上の延焼防止性能を有する建築物とすることが義務付けられました。細かい数字よりも「同等以上の延焼防止性能を有する建築物でも良い」という点の方が出題可能性が高いと思います。

6.防火設備(★★)

防火・準防火地域にある建築物には、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分防火戸や政令で定める防火設備を設けなければならないという規定が新設されました(高さ2m以下の門または塀などを除く)。

また、防火・準防火地域にある建築物の屋根の構造は、政令で定める技術的基準に適合し、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるか、国土交通大臣の認定を受けたものでなければならないとされました。

7.木造建築物(★★★)

耐火構造としなければならない木造建築物の要件が緩和されました。
従来:3階以上・延べ面積500㎡超・高さ13m超・軒の高さ9m超
改正:地階を除き4階以上高さ16m超・倉庫等で高さ13m超

→ 過去の傾向から出題されるとしたら逆読みで「高さ16mで3階建ての建築物は、木造でも耐火構造としなくてよい」(正)と出題される可能性が高いと思います。


税その他の法改正

特に知っておくべき法改正はありません。


令和2年度法改正箇所の例題

【問1】成年被後見人は、後見開始の審判が取り消されない限り、宅建業の免許を受けることができない。

【問2】被保佐人である個人の宅建業者が宅建業の業務に関し行った行為は、行為能力の制限によって取り消すことができる。

【問3】宅建業者が自ら売主として、宅建業者でない買主と宅地の売買契約を締結する場合、「種類・品質に関して契約内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を追及するには、買主が引渡しを受けた日から2年以内に契約内容に不適合がある旨を通知しなければならない」とする旨の特約は有効となる。

【問4】宅建業者が自ら売主として、宅建業者でない買主と宅地の売買契約を締結する場合、「種類・品質に関して契約内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負う期間は、買主が契約内容に適合しないことを知ったか否かに関わらず、当該物件の引渡しから10年間」とする旨の特約は有効となる。

【問5】宅建業者が自ら売主として、宅建業者でない買主と建物の売買契約を締結する場合、「追完請求、代金減額請求、契約の解除は、売主に帰責事由がなければ請求できない」とする旨の特約は有効となる。

【問6】宅建業者が自ら売主として、宅建業者である買主と建物の売買契約を締結する場合、「建物の譲渡価格について値引きをするかわりに、種類・品質に関して契約内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき期間については引渡しの日から6月間」とする旨の特約は有効となる。

【問7】延べ面積が250㎡の下宿の用途に供する建築物を寄宿舎に用途変更する場合、建築確認を受ける必要がある。

【問8】階数が3で延べ面積200㎡の共同住宅の敷地内には、屋外への出口から道または公園、広場、その他の空地に通ずる幅員が90cm以上の通路を設けなければならない。

【問9】防火地域または準防火地域内における地階を除く階数が3かつ延べ面積が1,500㎡の建築物は、耐火建築物または準耐火建築物としなければならない。



【1…×】単に成年被後見人・被保佐人というだけでは免許欠格事由とはならず、心身の故障により宅建業を適正に営むことができない者(=精神機能の障害により宅建業に必要な認知・判断・意思疎通ができない)と国土交通省令で定められていなければ免許を受けることができます。宅建士が心身の故障により登録欠格事由に該当した場合、本人・法定代理人・同居の親族が届け出る点にも注意。

【2…×】宅建業者(個人に限り、未成年者を除く)が宅建業務に関し行った行為は、制限行為能力者であることを理由として取り消すことができません

【3…○】民法の原則となる「買主が不適合を知ったときから1年以内に通知」よりも買主に不利となる可能性があるにも関わらず、宅建業法では有効となる例外が「引渡しの日から2年以上となる期間内に通知」です。引渡しから3年でも4年でも、期間が延びる分には買主に不利となりませんので有効です。本肢も2年ちょうどまで入っているので有効な特約となります。尚、2年とは通知期間で責任追及期間ではありませんので、イージーなひっかけ問題に注意してください。

【4…○】1年以内に通知がされなかったときに適用される民法の消滅時効の原則「買主が不適合を知ったときから5年」または「引渡しから10年」よりも買主に不利な特約ではなく、1年以内の通知も不要とするのですから買主に有利と言えます。9年半後に知って通知しても消滅時効の「引渡しから10年」が勝ちますので、買主に不利はありません。

【5…×】損害賠償請求は売主に帰責事由が必要ですが、追完請求、代金減額請求、契約の解除は売主の帰責の有無に関わらず請求することができますので、買主に不利な特約で無効となります。また、追完請求、代金減額請求、契約の解除は買主に帰責事由があるときは認められない点も重要です(損害賠償請求は買主に帰責事由があっても可)。更に不適合が軽微な場合は解除できない点も押さえておきましょう。この辺は民法ではなく宅建業法の自ら売主で出題される気がします

【6…〇】宅建業者間なのでどんな特約も自由ですね。宅建業法はこのようなさり気ないひっかけ問題ばかりです。ひっかけポイントはパターン化しているので「絶対役立つ宅建業法」や過去問を回して慣れておきましょう。

【7…×】寄宿舎=特殊建築物で、床面積200㎡超・・建築確認は必要!とはなりませんので飛びつかないように。類似の用途間の用途変更は建築確認不要となります。

【8…×】通路の幅員を90cmとできるのは、階数3以下で延べ面積が200㎡「未満」の建築物で、200㎡ちょうどは該当しません(=150cm以上の通路が必要)。共同住宅のような特殊建築物であっても、階数3以下で延べ面積200㎡未満の要件を満たせば90cmとできる点にも注意しておいてください。

【9…×】準防火地域内において「地階を除く階数が3かつ延べ面積が1,500㎡以下」または「地階を除く階数が2以下 かつ延べ面積が500㎡超で1,500㎡以下」の建築物は、耐火建築物または準耐火建築物もしくはこれらと同等以上の延焼防止性能を有する建築物とすることができます。耐火建築物や準耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を有する建築物でも可能で、準防火地域のみの規定となり、ダブルで誤り。


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