時効の改正-完成猶予と更新

時効の完成猶予・更新

今回は『時効』の改正点について見ていきます。

重要改正が山盛りです。どこが出題されても、この中だけで丸々4肢が作られてもおかしくありませんので、しっかりと押さえておきましょう。


時効の中断・停止が、「時効の完成猶予」「時効の更新」となった。

呼び名が変わっただけで、実質的な変更はありません。

時効の完成猶予=その間は時効が完成しないこと
時効の更新  =時効が新たに一から新たな進行を始めること

例えば、従来は裁判上の請求をすることで時効の進行は止まり、判決が確定すると時効期間が新たにカウントされていました。この「時効の進行を止める」ことだけを「時効の中断」と呼び、何やら曖昧な規定でした。

そこで改正民法では、裁判上の請求や支払督促等が行われた場合、その期間中は時効が完成せず確定判決等を得られず手続が終了したときでも6ヶ月は時効が完成しないことを明文化し、これらをまとめて「時効の完成猶予」としています。

そして債務の承認や確定判決等を得られて権利が確定した場合など、その時から改めて新しい時効期間が始まるという従来の「考え」を明文化したものが「時効の更新」となります。

尚、「時効の停止」とは時効期間満了間際に天災など避けることができない事変があり、そのために時効の進行を停止させる行為です。時効の進行を止めて1からやり直しになる可能性があるのが従来の時効の中断で、あくまでも一時停止が時効の停止です。

時効の停止も時効の完成猶予としてまとめられ、従来は「権利行使を妨げる事情がなくなったときから2週間」は完成が猶予されたのに対し、改正民法ではこの期間を「3ヶ月としています。この3ヶ月は覚えておきましょう。


催告による時効の完成猶予

催告(裁判外の請求)があったときは、その時から6ヶ月を経過するまでの間は時効が完成しません。従来の「考え」から変わっていませんが、時効の停止のような位置づけで時効の完成猶予として明文化されました。

6ヶ月の完成猶予中にされた再度の催告に、新たな完成猶予の効力が認められない点も変わっていません。


協議による時効の完成猶予

従来の時効の停止のような位置づけで新設された完成猶予の規定です。従来は「当事者同士で話し合いをしていても」、時効の完成が近づき完成しないようにするためには裁判上の請求等を行う必要がありました。無意味な二度手間です。

そこで改正民法では、当事者が協議を行い書面(電磁的記録でも可)で合意がされた場合には、その合意から1年を経過するまでの間は時効が完成しないとしています。ここは重要なので、注意点をインプリっぽく見ていきましょう。

・協議を行う旨の合意が書面でされたときは、合意から1年は時効が完成しない!

・当事者が協議を行う期間を定めたときは、その期間を経過するまで時効は完成しない!

・当事者で定める協議期間は、1年未満に限る!(=1年未満の定めがあればその期間、定めなければ1年が猶予期間)

・当事者の一方から協議続行を拒否する旨の通知が書面でなされた場合、その通知から6ヶ月を経過するまで時効は完成しない!(この書面も電磁的記録で可

催告による時効の完成猶予中にされた協議を行う旨の合意は、時効の完成猶予の効力を生じない


債権の消滅時効期間

債権は、債権者が権利を行使することができることを知ったときから5年権利を行使できるときから10年間行使しないときは時効により消滅します。従来の債権消滅時効期間は10年とされていましたが、知っていたとき=5年に短縮されました。重要です。

また、人の生命または身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効期間は、権利を行使できるときから20年とする規定が新設されている点にもご注意ください(不法行為で後述しますが、「知ったときから」の3年も5年に改正されています)。債権や所有権以外の財産権の消滅時効期間は、権利を行使できるときから20年は変わっていません


以上、時効の改正点についてお伝えしました。

従来の時効の停止と言われていた期間が3ヶ月になったこと、催告による完成猶予中の催告は効力なし、協議による時効の完成猶予、消滅時効=知ったときから5年、生命や身体の侵害=20年は必ず押さえておきましょう!

下記の「時効の完成猶予」「時効の更新」まとめもチェックしておいてください


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時効の完成猶予
1.裁判上の請求支払督促訴訟上の和解・調停・倒産手続への参加
事由の終了時(確定判決等により権利が確定することなく終了した場合は終了後6ヶ月が経過した時)まで
2.強制執行担保権の実行担保権の実行としての競売・財産開示手続
事由の終了時(申立ての取下げ・取消しの場合は、その時から6ヶ月が経過した時)まで
3.仮差押え仮処分
事由の終了時から6ヶ月を経過した時まで
4.催告
催告の時から6ヶ月を経過した時まで
5.権利についての協議を行う旨の書面による合意
合意があった時から1年を経過した時(通算で最長5年まで延長可)or 合意において当事者が協議を行う期間(1年未満)を定めたときはその期間を経過した時 or 当事者の一方が相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときは通知の時から6ヶ月を経過した時、のいずれか早い時まで
6.天災その他避けることのできない事変
障害が消滅した時から3ヶ月を経過した時まで
時効の更新
1.確定判決確定判決と同一の効力を有するものによる権利の確定
同事由が終了した時から新たに時効の進行が始まる
2.強制執行担保権の実行担保権の実行としての競売・財産開示手続
同事由が終了した時から新たに時効の進行が始まる
3.権利の承認
その時から新たに時効の進行が始まる
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