詐欺と強迫  重要度 ★★★★★


では、詐欺と強迫についてお話します。
重要ですが簡単ですので、ササッとマスターしてしまってください。

少し難しいのは詐欺による取消における「善意の第三者」の概念のみです。


では、両者の比較を見ていきましょう。


■詐欺とは

他人をだまして錯誤に陥らせ、それに基づいて意思表示をさせること


■強迫とは

他人に恐怖を与え、その恐怖によって意思を決定、表示させること


■AがBさんに詐欺または強迫を行った場合

詐欺:Bさんは常にその意思表示を取り消すことができる
強迫:Bさんは常にその意思表示を取り消すことができる


■Aの保証人CがBさんに詐欺または強迫を行った場合

詐欺:
Aも詐欺の事実を知っていたときに限り
       Bさんはその意思表示を取り消すことができる。
強迫:
Aの知・不知に関わらず、Bさんは常にその意思表示を取り消すことができる。



■詐欺・強迫による取消と第三者保護

1.詐欺

ここです。少しだけ難しいです。少し詳しくいきます。
取消による効果をもって、善意の第三者に対抗することはできません

取消による効果というのは前回お話しましたが、遡及的無効ですね。
ここまでは簡単ですが、難しいのは善意の第三者とは誰を指すのか?ということです。

この場合の善意の第三者とは、
取消し前に利害関係を持った者のことです。
取消し後に利害関係を持った第三者については、普通に登記の先後の問題となります。


例えば、売主であるBさんをだましてBさんの不動産を買ったAから、
Cさんが事情を知らないでさらにその不動産を買ったとします。

この場合のCさんは善意の第三者に該当します。

つまりBさんは、AB間の売買契約を取り消して無効になったことを
Cさんに対抗することができません。

これではBさんがかわいそうではないでしょうか?

しかし理由があります。
民法はだまされたBさんよりも、何も知らないCさんを保護するのです。

だまされたBさんにも落ち度があって、
何も知らないCさんよりも不利益を受けても仕方ないというわけです。


では、善意の第三者に該当しない第三者とはどういった者でしょうか?
例を2つ挙げます。

・1番抵当権が詐欺によって放棄された場合の2番抵当権者
・連帯債務者の1人が詐欺によって代物弁済した場合の他の連帯債務者

これらの者は善意の第三者には該当しません。


つまり「善意の第三者」とは、
「何も知らずに、詐欺による意思表示に基づいて取得された権利について新たな利害関係
に入った者」をいいます。

少し難しいですが、上記のCさんは新たに不動産を買って利害関係が生まれてますね?

一方、2番抵当権者は何もしていません。
1番抵当権者がだまされて、自動的に繰り上がっただけです。

他の連帯債務者というのも同じです。
単に反射的に利益を得たに過ぎません。



2.強迫

取消による効果をもって、善意の第三者にも対抗することができる

詐欺の場合と異なって、第三者よりも表意者が保護されます。
強迫されていたのだから仕方なく、だまされるよりも帰責性が低いというわけです。


つまり今回の要点をまとめますと、
詐欺の場合は、第三者が詐欺を行った場合や善意の第三者に対して制限がありますが、
強迫の場合は何でもアリで、誰にでも取消を対抗できる!ということです。

詐欺による取消の第三者の概念が少し難しいですが、
これは事例で覚えてしまったほうがいいかもしれません。

この場合は第三者に該当する、この場合は第三者に該当しない、
と、問題を見ながらそのまま覚えてしまってください。



補足として、詐欺とは他人にだまされ錯誤に陥ってなした意思表示ですから、
その錯誤が要素の錯誤にあたるときは、
「詐欺による取消」または「錯誤無効」のどちらを選択して主張することもできる
ということも覚えておいてください。

要素の錯誤については前にお話しましたが、
錯誤無効の成立要件であって、法律行為の重要な点に錯誤があるということです。


[ 平成10年 問7 ]
 Aが、A所有の土地をBに売却する契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。。

1.AのBに対する売却の意思表示がCの詐欺によって行われた場合で、BがそのCによる詐欺の事実を知っていたときは、Aは、売却の意思表示を取り消すことができる。

2.AのBに対する売却の意思表示がBの強迫によって行われた場合、Aは、売却の意思表示を取り消すことができるが、その取消しをもって、Bからその取消し前に当該土地を買い受けた善意のDには対抗できない。

3.Aが、自分の真意ではないと認識しながらBに対する売却の意思表示を行った場合で、BがそのAの真意を知っていたとき、Aは、売却の意思表示の無効を主張できる。

4.AのBに対する売却の意思表示につき法律行為の要素に錯誤があった場合、Aは、売却の意思表示の無効を主張できるが、Aに重大な過失があったときは、無効を主張できない。



1 正:第三者が詐欺をした場合、相手方がその事実を知ってときに限り取り消すことができる
2 誤:強迫による意思表示は、善意悪意を問わずその取消し前に現われた第三者に対抗できる
3 正:心裡留保は原則有効だが、相手方が知っているときは無効となる(前ページ参照)
4 正:表意者が錯誤について重大な過失を有する場合は無効を主張できない(前ページ参照)



分かりやすい民法解説ページに戻る

幸せに宅建に合格する方法TOPページ


produced by 宅建合格!常識破りの宅建勉強法