請負の民法大改正

請負の改正

今回は「請負」の改正点について見ていきます。

改正民法の目玉の一つと言えるほど大きく改正されている上に、宅建試験での出題頻度もなかなか高めです。更に出題頻度以上に「簡単なので出題されたら絶対に落とせないという意味で「重要」と位置付けられているところです。

10年で3~4回ほどの出題頻度ですが、ここ3年で2回出題されてしまっていますので今年の期待値は若干下がります…が、やはり簡単なのでしっかり押さえておきましょう。

何がどう変わったか」にプラスして「どういった規定が無くなったか」も重要です。

では、順番に見ていきましょう!


請負の報酬

請負は完成報酬=目的物の引渡しと同時に報酬を支払うことが原則とされています。
この原則に変更はありませんが、

1.注文者の責任でなく仕事を完成することができなくなったとき
2.仕事完成前に請負契約が解除されたとき

上記2つのケースにおいて、既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受ける場合、その部分については仕事が完成したとみなし、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる、という規定が追加されました。

注文者に責任がなければいいので、注文者と請負人の両者に責任がない場合、請負人のみに責任がある場合に当規定が適用されます。「注文者に責任がある場合」は、危険負担の問題となり、請負人は全額の報酬を請求できる点にも注意してください。


請負人の担保責任期間

従来は、注文者が瑕疵の修補・損害賠償請求・契約解除をする場合、「目的物を引渡したときから1年以内にしなければならない」とされていましたが、これが改正民法では、追完請求・減額請求・損害賠償請求・解除は「注文者が目的物の契約不適合を知ったときから1年以内」にすることとなっています。

起算点が「引渡したとき」から「不適合を知ったとき」にガラリと変わっていますので注意してください(引渡しを要しない請負の場合は、従来通り「仕事終了時」が起算点)。

そして新たな債務不履行の原則通り、請負人に対して1年以内に「通知」するだけで追完請求等を行うことができるようになった点にも注意です(従来は引渡しから1年以内に実際に瑕疵修補請求等を行う必要があった)。

尚、請負人が契約不適合について悪意または重過失により知らなかった場合は、1年以内に通知という期間制限は適用されません(注文者が、権利行使できることを知ったときから5年、または権利行使ができるときから10年という消滅時効の原則に従う)。

また、ここでは削除された規定もありますので、下記の「まとめ」も要チェックです。


請負注文者の破産

注文者が破産手続開始決定を受けた場合、請負人は仕事が途中の請負契約を解除することができます。これは従来通りです。

仕事完成後に注文者が破産手続開始決定を受けた場合、請負人は請負契約を解除することができません。こちらが新規定です。仕事完成後には請負人から契約解除は認められない、必ず覚えておきましょう。

注文者の破産により請負契約が解除された場合、請負人は、既にした仕事の報酬や費用について、破産財団の配当に加入することができます。


削除された請負の規定まとめ

・請負人の瑕疵担保責任に関する規定が削除され、注文者の請負人に対する瑕疵修補請求と損害賠償請求は、債務不履行責任としてまとめられました。

・瑕疵が重要でなく過分の費用を要する修補について、債務不履行による追完請求として「社会通念に照らして不能」かどうかで判断されることとなりました。

・目的物に瑕疵があるため契約目的を達成できない場合の注文者の解除権も、債務不履行責任としてまとめられています。

・契約目的を達成できない場合でも、その瑕疵が建物その他の土地工作物の場合は解除できないとする規定も削除されました(=契約不適合であれば解除可能。超重要)。

・請負人の担保責任期間は原則1年で、土地工作物については5年、石造等は10年云々といった規定も削除されました(=不適合を知ったときから1年以内に通知で統一)。

・請負人の担保責任期間を特約で最長10年とすることができる規定も削除されました。

・請負人が担保責任を負わない旨の特約に関する規定も削除され、売買契約における「売主が担保責任を負わない旨の特約をしても、知りながら告げなかった事実については責任を免れることができない」とする規定が準用されます。


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