宅建試験の法令制限解説:宅建試験では出題可能性が低い「その他の法令制限」を一気にお伝えします。ポイントはただ一つ、誰に届け出るのか、それとも許可が必要か、という点です。出題された場合は得点源です。少し面倒ですが単純知識なので、できるだけ頭に入れておいてください。
- その他の法令制限の宅建解説
■公有地の拡大の推進に関する法律
都市計画施設区域等にある土地を所有する者が、その土地を有償で譲り渡そうとする場合は、土地の所在や面積、譲渡予定価額等を、
→ 都道府県知事に届け出る
■土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律
土砂災害特別警戒区域内において、都市計画法の開発行為で当該開発行為をする土地区域内の予定建築物が制限用途であるもの(老人ホームや学校など)をしようとする者は、
→ 都道府県知事の許可を受ける
■急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律
急傾斜地崩壊危険区域内(傾斜度30度以上の土地を含むエリア)において工作物の設置や改造、立木竹の伐採等の行為をしようとする者は、
→ 都道府県知事の許可を受ける
■地すべり等防止法
地すべり防止区域内において地下水の排除を阻害する行為や工作物の新築・改良等の行為をしようとする者は、
→ 都道府県知事の許可を受ける
■大都市地域における住宅および住宅地の供給の促進に関する特別措置法
土地区画整理促進区域内、住宅街区整備促進区域内において、土地形質の変更、建築物の新築・改築・増築をしようとする者は、
→ 都道府県知事の許可を受ける(市の区域内では当該市長の許可となりました。H24法改正)
■土地収用法
事業の認定の告示があった後、起業地について明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更をしようとする者は、
→ 都道府県知事の許可を受ける
■都市再開発法
市街地再開発促進区域内において、主要構造部が木造・鉄骨造・コンクリートブロック造その他これに類する構造であって、階数が2以下で地階を有せず、容易に移転し、または除却できる建築物を建築しようとする者は、
→ 都道府県知事の許可を受ける(市の区域内では当該市長の許可となりました。H24法改正)
■森林法
地域森林計画の対象となっている民有林について1haを超える土地の形質変更を行おうとする者、または保安林および保安施設地区内において立木竹の伐採や家畜の放牧等の行為をしようとする者は、
→ 都道府県知事の許可を受ける
保安林および保安施設地区内の森林を除いた地域森林計画の対象となっている民有林について立木の伐採をしようとする者は、あらかじめ伐採面積等を、
→ 市町村長に届け出る
■自然公園法
国立公園または国定公園内の特別地域・特別保護地域内において、工作物の新築・改築・増築や土地の形状変更等の行為をしようとする者は、
→ 国立公園の場合は環境大臣の許可を受ける
→ 国定公園の場合は都道府県知事の許可を受ける
■河川法
河川区域や河川保全区域等の区域内で工作物の新築や改築、土地の形状変更等の行為をしようとする者は、
→ 河川管理者の許可を受ける
■海岸法
海岸保全区域または一般公共海岸区域内において、土石や砂の採取、土地の盛土、切土等の行為をしようとする者は、
→ 海岸管理者の許可を受ける
■港湾法
港湾区域または港湾隣接区域内において、当該区域内の水域または公共空地の占有、土砂の採取等の行為をしようとする者は、
→ 港湾管理者の許可を受ける
■道路法
道路予定区域内において、工作物の新築・改築・増築・大修繕、土地の形質変更等の行為をしようとする者は、
→ 道路管理者の許可を受ける
■文化財保護法
重要文化財の現状を変更し、またはその保存に影響を及ぼす行為等をしようとする者は、
→ 文化庁長官の許可を受ける
■都市緑地法
緑地保全地域内において、建築物その他工作物の新築・改築・増築、土地の形質変更等の行為をしようとする者は、
→ あらかじめ都道府県知事に届け出て、
→ 特別緑地保全地区内の場合は都道府県知事の許可を受ける(市の区域内では当該市長の許可となりました。H24法改正)
■景観法
景観計画区域内において、開発行為や建築物の新築等の行為をしようとする者は、
→ あらかじめ一定事項を景観行政団体の長に届け出て、
→ 景観重要建造物の増築・改築や外観変更等の場合は景観行政団体の長の許可を受ける
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単体規定と建築協定 | ー |
【宅建試験問題 昭和57年ー問28】次の記述のうち、正しいものはどれか。 1.河川区域内の土地において、工作物を改築しようとする者は、原則として事前に河川管理者に一定事項を届け出なければならない。 2.国立公園の特別保護地区内において、工作物を新築しようとする者は、原則として環境大臣の許可を受けなければならない。 3.都市計画区域内の土地で都市計画施設の区域内にあるものを有償で譲渡しようとする所有者は、原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。 4.保安林において、立木を伐採しようとする者は、原則として農林水産大臣の許可を受けなければならない。 |
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1 誤:河川管理者の許可が必要 2 正:国定公園は都道府県知事の許可である点に注意 3 誤:事前に都道府県知事へ届け出ることで足りる 4 誤:都道府県知事の許可が必要 |
【宅建試験問題 平成13年ー問24】次の記述のうち誤っているものはどれか。 1.宅地造成及び特定盛土等規制法によれば、宅地造成工事等規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の請負人は、工事に着手する前に、原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。 2.生産緑地法によれば、生産緑地地区内において建築物の新築、改築又は増築を行おうとする者は、原則として市町村長の許可を受けなければならない。 3.河川法によれば、河川保全区域内において工作物の新築又は改築をしようとする者は、原則として河川管理者の許可を受けなければならない。 4.流通業務市街地の整備に関する法律によれば、流通業務地区において住宅を建設しようとする者は、原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。 |
1 誤:工事施工者(請負人)ではなく、工事主(注文者)が許可を受ける 2 正:市町村長の許可が必要 3 正:河川管理者の許可が必要 4 正:都道府県知事の許可が必要 |
【宅建試験問題 平成15年ー問25】次の記述のうち、正しいものはどれか。 1.地すべり等防止法によれば、ぼた山崩壊防止区域内において、土石の採取を行おうとする者は、原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。 2.港湾法によれば、港湾区域内において、港湾の開発に著しく支障を与えるおそれのある一定の行為をしようとする者は、原則として国土交通大臣の許可を受けなければならない。 3.文化財保護法によれば、史跡名勝天然記念物の保存に重大な影響を及ぼす行為をしようとする者は、原則として市町村長の許可を受けなければならない。 4.自然公園法によれば、環境大臣が締結した風景地保護協定は、当該協定の公告がなされた後に当該協定の区域内の土地の所有者となった者に対しては、その効力は及ばない。 |
1 正:ぼた山=石炭または亜炭の捨石が集積された山 2 誤:港湾管理者の許可が必要 3 誤:文化庁長官の許可が必要 4 誤:公告後に当該風景地保護協定区域内の土地の所有者等となった者にも効力が及ぶ |