相殺と更改の民法大改正

相殺と更改の改正

今回は『相殺』+少しだけ『更改』の改正民法についてお送りします。

久しぶりにあっさりです。更改の出題可能性は極めて低いので、相殺の改正点を優先してサクサクッと押さえておきましょう。


相殺禁止特約

当事者が相殺を禁止し、または制限する意思表示をした場合、その意思表示は、第三者が悪意または重過失により知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができます。

従来より「相殺禁止特約は善意の第三者に対抗できない」とされていましたが、逆に、対抗できる「善意ではない第三者」とは誰を指すのか?悪意の第三者?

この点について改正民法は、「善意ではない第三者」=「悪意or重過失ある第三者」としています。
相殺禁止特約は、悪意の第三者または重過失ある第三者に対抗することができます。

尚、この第三者の悪意・重過失は、債務者が立証責任を負うこととなります。


不法行為によって生じた債権の相殺

悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができません。頻出箇所でしたので、ここは要注意です。

従来の民法では「不法行為によって生じた債権を受働債権として相殺することはできない」と定められていました。どうせ金を返してもらえないなら腹いせに怪我をさせてやろう!損害賠償を借金でチャラだ!といったことを防ぐ趣旨です。

しかし、故意ではなく過失による交通事故など全ての損害賠償請求権について受働債権として相殺することができないとなると、やり取りが煩雑化する上に条文の制定趣旨からもズレてきます。

そこで、不法行為によって生じた債権を受働債権とする相殺も一部認められることとなりました。「悪意」(損害を与える意図)をもって行った不法行為に基づく損害賠償債務に限り、相殺禁止の対象となります。

この場合の悪意とは、法律用語としての「知っていた」悪意ではなく、まさに一般的な「害してやろう」の意味での悪意ということですね。

また、ついでに「人の生命または身体の侵害による損害賠償債務」もまとめて相殺禁止の対象となりました。不法行為に限らず、債務不履行等によって生命や身体への侵害が生じた場合も相殺が禁止されます。


更改の当事者

更改とは、前の契約と異なる新しい契約をすることをいいます。

具体的には、

1.従前の給付の内容とは異なる内容とすること
2.従前の債務者が第三者と交替すること
3.従前の債権者が第三者と交替すること

の3つがあり、これらの変更により新たな債務が成立し、従前の債務は消滅します。

上記3つも改正民法により明確となった「更改における債務の要素」ですが、宅建試験で肢の1つとして出題されそうなものとして、3番、「債権者の交替による更改」は、更改前の債権者、更改後に債権者となる者、債務者の三者による契約(合意)が必要という特殊なケースを頭の片隅に入れておいてください。

更改は、この1点賭けで十分でしょう。
ちなみに2番は債権者と更改後に債務者となる者とで行います(易しければこちらが出題される可能性も)。


では今回は、「悪意ある」不法行為によって生じた債権を受働債権として相殺することはできない、という点だけは絶対に覚えておきましょう!


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