宅建まちがい探し:今回は「詐害行為取消権」のまちがい探し問題を見ていきます。前ページの債権者代位権以上に複雑で出題可能性は低めです。本試験前に合格レベルに達していなければ完全スルーで問題ありません。
- 宅建まちがい探し!詐害行為取消権
問1~5は「債権者A、債務者Bで、Bが債務超過の状態にもかかわらずB所有の甲土地をCに売却して所有権移転登記を行った」前提の問題となります。
【問1】対象となる詐害行為が行われた時点で、AのBに対する債権について履行期が到来していなければ、Aは詐害行為取消権を行使することができない。
【問2】Cが甲土地の購入時においてAを害すべきことを知らなかったとしても、Bが売却時においてAを害することを意図していた場合は、Aは詐害行為取消権を行使することができる。
【問3】Bが甲土地の売却においてCから相当の対価を取得している場合、Aは詐害行為取消権を行使することができない。
【問4】ー
【問5】ー
【問6】遺産分割協議は、相続人の意思を尊重すべき身分行為であり、詐害行為取消権の対象となる財産権を目的とする法律行為にはあたらない。
【問7】ー
ひとまず詐害行為取消権はこれだけで大丈夫でしょう。
ひとまずと言いますか、下記の解説はかなり詳しめです。
これだけ覚えておけば99%得点できるはずです。
宅建業法をある程度マスターし、
法令制限や税その他も一通り区切りがついた後に、余裕があれば「分かりやすい民法解説」でもう少しだけつっこんでみてください。
以下、解説(全て×)です!
1:債務者が債権者を害することを知りながら嫌がらせとも取れる行為をした場合、債権者はその財産処分行為を詐害行為として取り消すことができる…これが詐害行為取消権ですね。詐害行為取消権を行使するための要件として、詐害行為(B→Cの売却)が行われた時点で、被保全債権(A→Bの債権)が発生していることが求められます。Aの債権が発生していればよく、履行期が到来している必要はありません。間違いキーワードは「履行期が到来していなければ」となります。
2: 詐害行為取消権を行使するためのもう一つの要件として、債務者が債権者を害すると知っていたことはもちろん、受益者Cも行為時点で債権者を害すると知っていることが必要となります。よって債務者が悪意でも受益者が善意ならば詐害行為取消権は行使できず、キーワードは「Cが甲土地の購入時においてAを害すべきことを知らなかった」となります。尚、債権者を害すると債務者が知っていたことは債権者が主張・立証する必要があり、債権者を害すると受益者が知らなかったことは受益者が抗弁として主張・立証する必要があります。
3:債務者が財産を処分して相当の対価を得たとしても、それが隠匿の可能性がある場合は取消対象となります。その代表例が不動産の現金化であり、金銭になることで隠しやすくなり、または消費されてしまうかもしれません。よって不動産の売却行為は相当価格でも詐害行為に該当し、キーワードは「甲土地の売却」となります。
4:ー
5:ー
6:共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となり得ます。しかし相続放棄は詐害行為とはなりません。離婚に伴う財産分与も特段の事情がない限り詐害行為とはなりません。身分行為かどうかではなく、既得財産を積極的に減少させる行為か、消極的にその増加を妨げるにすぎない行為かで判断するわけです。かなり細かいですが、前回の債権者代位権が一身専属権は代位行使不可だった点と比較してここまでは押さえておきましょう。キーワードは「遺産分割協議」となります。
7:ー
宅建まちがい探し一覧ページに戻る
<<< 前のページ <<< | >>> 次のページ >>> |
---|---|
債権者代位権 | ー |