宅建業法解説:宅建業者が行う「広告」について解説します。皆さんも不動産屋の前やチラシで物件の表示を目にしたことがあると思います。簡単な宅建業法の中でも特に簡単で、難しい言葉も少ないので覚えやすいところです。より詳しい解説はこちら:広告の完全解説
- 広告の規制の宅建解説
■取引態様の明示
宅建業者が広告をするときには「取引態様の明示」をする必要があります。注文を受けた際も同様です。と言いますか、広告をする際にはそのつど、注文を受けた際にはただちに、取引態様の別を明示します。広告時に明示したからといって、注文時に省略することはできません。
取引態様の明示とは、宅建業者自らが当事者として売買・交換を行うのか、代理や媒介によって売買・交換・貸借を行うのか、を購入者等に知らせておくことです(=宅建業ではない「自ら貸借」で明示は不要)。宅建業者が取引態様の明示を怠った場合、罰則はありませんが、監督処分として業務停止処分を受けることがあります。また、この明示は口頭で行ってもよいということも覚えておいてください。
■誇大広告等の禁止
宅建業者は、契約を成立させるために購入者等へ事実と違ったことを伝えてはいけません。現実に購入者等が誤認するなどの被害が起こらなくても同様です。この「事実」の対象となるのは次の8個についてです。
1.所在:物件の所在地は正確に!
2.規模:土地、建物の面積をあらわします(マンションでは1DKなども可)
3.形質:地目(田や畑など)や電気・ガスなどの供給施設、建物の構造や築年数など
4.利用の制限:建蔽率や容積率、地上権などの対象となっているか
5.環境:日照や静かさの状況、学校や公園などが近くにあるか
6.交通その他の利便:電車やバスなどの所在や、最寄り駅までの所要時間
7.代金や借賃等の対価の額および支払い方法
8.代金または交換差金に関する金銭の貸借のあっせん
4~6番については、将来的にどうなるかも伝える必要があります。
7番の対価の額とは、代金額や借賃額のほか、工事費や敷金・礼金・権利金などを指します。また、支払い方法とは、一括払いか割賦払いか、割賦払いの場合は頭金の額や支払回数・期間・利息なども伝えなければなりません。
8番の交換差金とは、物件と物件を交換する場合、一方の評価額が低いときにそれを補って同等の価額にするために支払われるお金のことをいいます。宅建業者は金銭をあっせんする場合、アド・オン方式のみを表示することはできません(実質金利を付記すれば可)。アド・オン方式の意味は…ここでは省略しておきましょう。アド・オン方式という単語だけ覚えておいてください。
また、存在しない物件、存在するが取引の対象となり得ない物件、存在するが取引する意思がない物件も、広告をすることは宅建業法違反となります(おとり広告)。
宅建業者がこれら誇大広告等の禁止に違反した場合、監督処分として業務停止処分、罰則として6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられることがあります。
■広告開始時期の制限
宅建業者は、宅地の造成等・建物の建築に関する工事の完了前は、当該工事に必要な許可・確認等が下りた後でなければ、広告をすることはできません。
また補足といたしまして、この広告開始時期の制限は、売買・交換・貸借に関係なくすべての取引態様が対象となりますが、未完成物件に対する契約締結時期の制限は、売買と交換のみが対象となり、貸借契約には規制がないということも頭の隅に入れておいてください。つまり宅建業者は、宅地の造成等・建物の建築に関する工事の完了前は、当該工事に必要な許可・確認等が下りた後でなければ、売買または交換契約をすることができない、となります。
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