広告の完全解説

宅建業法の完全解説:宅建業者が行う「広告」に関する制限=取引態様の明示から誇大広告・おとり広告について解説します。

広告の完全解説

今回は宅建業者が行う「広告」について見ていきますが、簡単な宅建業法の中でも特に簡単で「完全版」を作るのが難しいところです。基本だけで十分ですが、出題可能性があるポイントを絞り出してみます。


取引態様の明示

宅建業者が広告をするときには「取引態様の明示」をする必要があります。注文を受けた際も同様です。広告をする際にはそのつど、注文を受けた際にはただちに、取引態様の別を明示します。広告時に明示したからといって、注文時に省略することはできません。相手方が宅建業者だろうが取引態様を熟知していようが省略することはできません。

取引態様は何度も明示して「例外規定はない!」と覚えておいてください

取引態様の明示とは、宅建業者自らが当事者として売買・交換を行うのか、代理や媒介によって売買・交換・貸借を行うのか、を購入者等に知らせておくことです。明示は書面によることなく、口頭で行うことができます。宅建業者が取引態様の明示を怠った場合、則はありませんが、監督処分として業務停止処分を受けることがあります。


誇大広告等の禁止

宅建業者は、契約を成立させるために購入者等へ事実と違ったことを伝えてはいけません。誤認させる行為自体が違法で、購入者等に実際の被害が起きている必要はありません。この「事実」の対象となるのは次の8個についてです。

1.所在:物件の所在地は正確に!
2.規模:土地、建物の面積をあらわします(マンションでは1DKなども可)
3.形質:地目(田や畑など)や電気・ガスなどの供給施設、建物の構造や築年数など
4.利用の制限:建蔽率や容積率、地上権などの対象となっているか
5.環境:日照や静かさの状況、学校や公園などが近くにあるか
6.交通その他の利便:電車やバスなどの所在や、最寄り駅までの所要時間
7.代金や借賃等の対価の額および支払い方法
8.代金または交換差金に関する金銭の貸借のあっせん

4~6番については、将来的にどうなるかも伝える必要があります。

7番の対価の額とは、代金額や借賃額のほか、工事費や敷金・礼金・権利金などを指します。また、支払い方法とは、一括払いか割賦払いか、割賦払いの場合は頭金の額や支払回数・期間・利息なども伝えなければなりません。

8番の交換差金とは、物件と物件を交換する場合、一方の評価額が低いときにそれを補って同等の価額にするために支払われるお金のことをいいます。宅建業者は金銭をあっせんする場合、アド・オン方式のみを表示することはできません(実質金利を付記すれば可)。アド・オン方式の意味は重要ではありませんので、アド・オン方式という単語だけ覚えておいてください。

存在しない物件存在するが取引の対象となり得ない物件存在するが取引する意思がない物件も、広告をすることは宅建業法違反となります(おとり広告)。

インターネット広告も規制の対象となります。建物売買の広告をインターネットに掲載し、売買契約成立後も当該広告を掲載し続けた場合、当該広告について1件も問い合わせがなかったとしても、おとり広告として宅建業法違反となります。

宅建業者が免許を取り消された場合でも、締結した契約に基づく取引を終了するまでは、その目的の範囲内でなお宅建業者とみなされますが、広告についてこの規定は適用されません。免許取消前に広告を行っていれば…という問題は、全て宅建業法違反と思って大丈夫です。また、もちろん業務停止期間中に広告をすることはできません。

宅建業者がこれら誇大広告等の禁止に違反した場合、監督処分として業務停止処分罰則として6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられることがあります。とても厳しいと覚えておいてください。


広告開始時期の制限

宅建業者は、宅地の造成・建物の建築に関する工事の完了前は、当該工事に必要な許可・確認等が下りた後でなければ、広告をすることはできません(=開発許可や建築確認を受けた後であれば、工事完了前でも広告をすることができる)。「売買契約は建築確認後に締結する」等と明記して広告をすることも宅建業法違反となります。

この広告開始時期の制限は、売買・交換・貸借に関係なくすべての取引態様が対象となりますが、未完成物件に対する契約締結時期の制限は、売買と交換のみが対象となり、貸借契約には規制がないということも覚えておいてください。つまり宅建業者は、宅地の造成・建物の建築に関する工事の完了前は「当該工事に必要な許可・確認等が下りた後でなければ、売買または交換契約をすることができない」が、「貸借契約締結の媒介は可能」となります。

宅建業者が自ら貸借する場合は宅建業に該当しませんので、広告開始も契約締結も自由です。この引っかけは、本当にさり気なくあちこちで出題されますのでご注意ください。

また、誇大広告と異なり、広告開始時期違反は指示処分だけ(業務停止処分もなし)で、罰則の適用もありません


広告費

宅建業者は、法定額を超えて報酬を受領することができませんが、「依頼者に依頼された広告料金」(=特別の広告費)は報酬と別途受領することができます。これは頻出問題です。

難問対策としては、「契約が不成立に終わった場合、宅建業者は報酬を請求できないが、特別の広告費は受領することができる」という点を覚えておいてください。


最新の宅建本試験問題(言い回しなど、出題傾向をチェックしておきましょう)

宅建業者が行う広告に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか(2018-26)

1.宅地の売買に関する広告をインターネットで行った場合において、当該宅地の売買契約成立後に継続して広告を掲載していたとしても、当該広告の掲載を始めた時点で当該宅地に関する売買契約が成立していなかったときは、宅建業法第32条に規定する誇大広告等の禁止に違反しない。

2.販売する宅地又は建物の広告に著しく事実に相違する表示をした場合、監督処分の対象となるほか、6月以下の懲役及び100万円以下の罰金を併科されることがある。

3.建築基準法第6条第1項の確認を申請中の建物については、当該建物の売買の媒介に関する広告をしてはならないが、貸借の媒介に関する広告はすることができる。

4.宅地建物取引業者がその業務に関して広告をするときは、実際のものより著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示をしてはならないが、宅地又は建物に係る現在又は将来の利用の制限の一部を表示しないことによりそのような誤認をさせる場合は、宅建業法第32条に規定する誇大広告等の禁止に違反しない。

引っかかるとしたら3番でしょうか…。建築確認申請中に貸借の広告をすることはできません。貸借であれば、広告ではなく「契約」締結の媒介なら可能です。他の肢は説明する必要がないほど簡単ですね。宅建業法で出題される罰則でよく出題される2番は要チェックです。


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