令和4年度宅建士試験問題と解説(2022年の過去問)

とても役立つ年度別の解説付き宅建士試験問題です。宅地建物取引業法=宅建業法などスッキリ略し、解説も要点だけに絞っています。要点を一気にチェックしながら令和4年(2022年)宅建士試験の通し過去問を見ていきましょう。

令和4年の宅建士試験問題と解説
令和4年の宅建士試験問題
1.権利関係の問題 問1~14
 2.宅建業法の問題 問26~45
  3.法令制限の問題 問15~22
 4.税その他の問題 問23~25
5.税その他の問題 問46~50


【問1】次の1から4までの記述のうち、民法の規定、判例及び下記判決文によれば、正しいものはどれか。

(判決文)
所有者甲から乙が不動産を買い受け、その登記が未了の間に、丙が当該不動産を甲から二重に買い受け、更に丙から転得者丁が買い受けて登記を完了した場合に、たとい丙が背信的悪意者に当たるとしても、丁は、乙に対する関係で丁自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもって乙に対抗することができるものと解するのが相当である。

1 所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、Cが当該不動産をAから二重に買い受けて登記を完了した場合、Cは、自らが背信的悪意者に該当するときであっても、当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができる。
2 所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、背信的悪意者ではないCが当該不動産をAから二重に買い受けた場合、先に買い受けたBは登記が未了であっても当該不動産の所有権取得をもってCに対抗することができる。
3 所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、背信的悪意者であるCが当該不動産をAから二重に買い受け、更にCから転得者Dが買い受けて登記を完了した場合、DもBに対する関係で背信的悪意者に該当するときには、Dは当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができない。
4 所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、Cが当該不動産をAから二重に買い受け登記を完了した場合、Cが背信的悪意者に該当しなくてもBが登記未了であることにつき悪意であるときには、Cは当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができない。

⇒正解(3)いきなりの判例問題。知識がなくても時間をかければ解けますが、選択肢だけを見て正解が分からない場合は後回しにするのも作戦の一つです。
1:Cは背信的悪意者なので、登記があってもBに対抗することはできません。
2:Cは背信的悪意者ではないので、どちらが先に買い受けたかは関係なく先に登記を備えた者の勝ちです。
4:登記未了であることに悪意であるだけでは取引について悪意とは言えず、先に登記を備えたCの勝ちです。



【問2】相続に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 被相続人の生前においては、相続人は、家庭裁判所の許可を受けることにより、遺留分を放棄することができる。
2 家庭裁判所への相続放棄の申述は、被相続人の生前には行うことができない。
3 相続人が遺留分の放棄について家庭裁判所の許可を受けると、当該相続人は、被相続人の遺産を相続する権利を失う。
4 相続人が被相続人の兄弟姉妹である場合、当該相続人には遺留分がない。

⇒正解(3)
1:遺留分の放棄は、相続開始前は家庭裁判所の許可を受け、相続開始後は自由にすることができます。
2:相続放棄・単純承認・限定承認ができるのは、相続人が相続開始を知ったときから3ヶ月以内です。
3:遺留分を放棄しても相続人の地位は失いません
4:遺留分が認められるのは、配偶者・直系卑属(子や孫)・直系尊属(祖父母です。



【問3】制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 成年後見人は、後見監督人がいる場合には、後見監督人の同意を得なければ、成年被後見人の法律行為を取り消すことができない。
2 相続の放棄は相手方のない単独行為であるから、成年後見人が成年被後見人に代わってこれを行っても、利益相反行為となることはない。
3 成年後見人は成年被後見人の法定代理人である一方、保佐人は被保佐人の行為に対する同意権と取消権を有するが、代理権が付与されることはない。
4 令和4年4月1日からは、成年年齢が18歳となったため、18歳の者は、年齢を理由とする後見人の欠格事由に該当しない。

⇒正解(4)
1:営業または重要行為を除き、後見監督人の同意不要で取り消すことができます。
2:成年後見人と成年被後見人が相続人だった場合、成年後見人の相続分が増えることになります(=利益相反行為)。
3:保佐人も同意権、取消権、代理権を有します(代理は家庭裁判所の審判が必要)。
4:未成年者は後見人となることができませんが、令和4年4月1日から成年年齢=18歳となりました。



【問4】A所有の甲土地にBのCに対する債務を担保するためにCの抵当権(以下この問において「本件抵当権」という。)が設定され、その旨の登記がなされた場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aから甲土地を買い受けたDが、Cの請求に応じてその代価を弁済したときは、本件抵当権はDのために消滅する。
2 Cに対抗することができない賃貸借により甲土地を競売手続の開始前から使用するEは、甲土地の競売における買受人Fの買受けの時から6か月を経過するまでは、甲土地をFに引き渡すことを要しない。
3 本件抵当権設定登記後に、甲土地上に乙建物が築造された場合、Cが本件抵当権の実行として競売を申し立てるときには、甲土地とともに乙建物の競売も申し立てなければならない。
4 BがAから甲土地を買い受けた場合、Bは抵当不動産の第三取得者として、本件抵当権について、Cに対して抵当権消滅請求をすることができる。

⇒正解(1)
1:代価弁済の基本そのままですね。
2:抵当権の設定後に賃貸借契約が締結されているので、Eの賃貸借はCに対抗することができず、よって甲土地を買い受けたFにも対抗することができません。
3:抵当権の設定後に建物が築造されているので一括競売が可能ですが、可能というだけで義務ではありません。一括競売が行われた場合、抵当権者が優先して弁済を受けられるのは土地代金のみという点も絶対に覚えておきましょう。
4:抵当権消滅請求ができるのは抵当不動産の第三取得者で、主たる債務者・保証人及びこれらの者の承継人は抵当権消滅請求をすることができません(本肢のBは第三取得者である前に主たる債務者です)。



【問5】期間の計算に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、明記された日付は、日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他の休日には当たらないものとする。

1 令和4年10月17日午前10時に、引渡日を契約締結日から1年後とする不動産の売買契約を締結した場合、令和5年10月16日が引渡日である。
2 令和4年8月31日午前10時に、弁済期限を契約締結日から1か月後とする金銭消費貸借契約を締結した場合、令和4年9月30日の終了をもって弁済期限となる。
3 期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間はその前日に満了する。
4 令和4年5月30日午前10時に、代金の支払期限を契約締結日から1か月後とする動産の売買契約を締結した場合、令和4年7月1日の終了をもって支払期限となる。

⇒正解(2)
1:初日不算入で10月18日が起算日となり、翌年10月18日の前日である10月17日の24時までが引渡日。
2:上記の通り、翌月10月1日の前日である9月30日の24時までが弁済期限。
3:期間の末日が休日の場合、その翌日が満了日。
4:6月30日の24時まで。



【問6】Aを貸主、Bを借主として、A所有の甲土地につき、資材置場とする目的で期間を2年として、AB間で、①賃貸借契約を締結した場合と、②使用貸借契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aは、甲土地をBに引き渡す前であれば、①では口頭での契約の場合に限り自由に解除できるのに対し、②では書面で契約を締結している場合も自由に解除できる。
2 Bは、①ではAの承諾がなければ甲土地を適法に転貸することはできないが、②ではAの承諾がなくても甲土地を適法に転貸することができる。
3 Bは、①では期間内に解約する権利を留保しているときには期間内に解約の申入れをし解約することができ、②では期間内に解除する権利を留保していなくてもいつでも解除することができる。
4 甲土地について契約の本旨に反するBの使用によって生じた損害がある場合に、Aが損害賠償を請求するときは、①では甲土地の返還を受けた時から5年以内に請求しなければならないのに対し、②では甲土地の返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。

⇒正解(3)基本的ですが正確な知識が試される比較問題。
1:賃貸借=口頭でも自由に解除不可、使用貸借=口頭であれば借主が借用物を受け取るまでの間は自由に解除可
2:賃貸借も使用貸借も賃貸人(貸主)の承諾必要
4:賃貸借も使用貸借も返還を受けたときから1年以内に請求しなければなりません。



【問7】不在者Aが、家庭裁判所から失踪宣告を受けた。Aを単独相続したBは相続財産である甲土地をCに売却(以下この問において「本件売買契約」という。)して登記も移転したが、その後、生存していたAの請求によって当該失踪宣告が取り消された。本件売買契約当時に、Aの生存について、(ア)Bが善意でCが善意、(イ)Bが悪意でCが善意、(ウ)Bが善意でCが悪意、(エ)Bが悪意でCが悪意、の4つの場合があり得るが、これらのうち、民法の規定及び判例によれば、Cが本件売買契約に基づき取得した甲土地の所有権をAに対抗できる場合を全て掲げたものとして正しいものはどれか。

1 (ア)、(イ)、(ウ)
2 (ア)、(イ)
3 (ア)、(ウ)
4 (ア)

⇒正解(4)珍問ですが、常識判断で正解しておきたい問題。
4:亡くなったと思って財産を処分したのに実は生きていた・・悪意なら論外ですが、死亡を信じていたのならば何も悪くありません。よって登場人物全員が善意(BC双方が善意)である場合にのみ有効な契約(失踪宣告取消しの効力が及ばない)となります。



【問8】AがB所有の甲土地を建物所有目的でなく利用するための権原が、①地上権である場合と②賃借権である場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、AもBも対抗要件を備えているものとする。

1 ①でも②でも、特約がなくても、BはAに対して、甲土地の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
2 CがBに無断でAから当該権原を譲り受け、甲土地を使用しているときは、①でも②でも、BはCに対して、甲土地の明渡しを請求することができる。
3 ①では、Aは当該権原を目的とする抵当権を設定することができるが、②では、Aは当該権原を目的とする抵当権を設定することはできない。
4 Dが甲土地を不法占拠してAの土地利用を妨害している場合、①では、Aは当該権原に基づく妨害排除請求権を行使してDの妨害の排除を求めることができるが、②では、AはDの妨害の排除を求めることはできない。

⇒正解(3)またも比較問題。しかも地上権・・と思ったら正解肢がめちゃくちゃ簡単でした。
1:地上権=地上権者Aが修繕義務を負い、賃借権=賃貸人Bが修繕義務を負います。
2:地上権者Aは、所有者Bの承諾を得なくても地上権をCに譲り渡すことができ、BはCに甲土地の明渡しを請求することはできません。賃貸借契約については、賃貸人の承諾を得なければ賃借物を転貸することはできず、賃貸人Bは賃借人Aとの賃貸借契約を解除することができ、BはCに甲土地の明渡しを請求することができます。
3:抵当権は、不動産・地上権・永小作権に設定することができ、賃借権に設定することはできません。
4:不法占拠者に対しては、地上権・賃借権に基づき妨害停止請求が認められます。



【問9】辞任に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 委任によって代理権を授与された者は、報酬を受ける約束をしている場合であっても、いつでも委任契約を解除して代理権を消滅させて、代理人を辞することができる。
イ 親権者は、やむを得ない事由があるときは、法務局に届出を行うことによって、親権を辞することができる。
ウ 後見人は、正当な事由があるときは、後見監督人の許可を得て、その任務を辞することができる。
エ 遺言執行者は、正当な事由があるときは、相続人の許可を得て、その任務を辞することができる。

⇒正解(1)正しいのはアのみ。マイナー知識の個数問題・・難問ですね。
ア:有償無償を問わず、委任契約は各当事者がいつでも解除することができます
イ:法務局に届出ではなく、家庭裁判所の許可を得て親権を辞することができます。
ウ:後見監督人の許可ではなく、家庭裁判所の許可を得て任務を辞することができます。
エ:相続人の許可ではなく、家庭裁判所の許可を得て任務を辞することができます。



【問10】AはBに対し、自己所有の甲土地を売却し、代金と引換えにBに甲土地を引き渡したが、その後にCに対しても甲土地を売却し、代金と引換えにCに甲土地の所有権登記を移転した。この場合におけるBによる甲土地の所有権の時効取得に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Bが甲土地をDに賃貸し、引き渡したときは、Bは甲土地の占有を失うので、甲土地の所有権を時効取得することはできない。
2 Bが、時効の完成前に甲土地の占有をEに奪われたとしても、Eに対して占有回収の訴えを提起して占有を回復した場合には、Eに占有を奪われていた期間も時効期間に算入される。
3 Bが、甲土地の引渡しを受けた時点で所有の意思を有していたとしても、AC間の売買及びCに対する登記の移転を知ったときは、その時点で所有の意思が認められなくなるので、Bは甲土地を時効により取得することはできない。
4 Bが甲土地の所有権を時効取得した場合、Bは登記を備えなければ、その所有権を時効完成時において所有者であったCに対抗することはできない。

⇒正解(2)
1:賃借人が占有している間も賃貸人の占有は継続します。
2:占有回収の訴えで勝訴して占有を回復すれば、占有を奪われていた期間はなかったことになります。
3:所有の意思は取得時の事実により客観的に判断します。占有開始時に善意無過失であれば、10年の占有継続で甲土地を時効取得することができます。
4:時効完成前の第三者には登記なくして対抗できます



【問11】建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約(定期借地権及び一時使用目的の借地権となる契約を除く。)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 借地権の存続期間が満了する前に建物の滅失があった場合において、借地権者が借地権の残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、その建物を築造することにつき借地権設定者の承諾がない場合でも、借地権の期間の延長の効果が生ずる。
2 転借地権が設定されている場合において、転借地上の建物が滅失したときは、転借地権は消滅し、転借地権者(転借人)は建物を再築することができない。
3 借地上の建物が滅失し、借地権設定者の承諾を得て借地権者が新たに建物を築造するに当たり、借地権設定者が存続期間満了の際における借地の返還確保の目的で、残存期間を超えて存続する建物を築造しない旨の特約を借地権者と結んだとしても、この特約は無効である。
4 借地上の建物所有者が借地権設定者に建物買取請求権を適法に行使した場合、買取代金の支払があるまでは建物の引渡しを拒み得るとともに、これに基づく敷地の占有についても、賃料相当額を支払う必要はない。

⇒正解(3)
1:借地権設定者の承諾なく、借地権の期間が自動的に延長されることはありません。
2:転借地上の建物が滅失しても転借地権は消滅せず、転借地権者は建物を再築することができます。
3:当初の借地権存続期間中に建物が滅失しても借地権は存続し、借地権者は、借地権を更新するかどうかは別として(上記1番)借地権設定者の承諾の有無に関わらず借地権の残存期間を超えて存続する建物を築造することができます。この権利より借地権者に不利な特約は無効となります。
4:建物買取請求権と土地明渡請求権は同時履行の関係にあり、借地権者は建物買取代金の支払があるまで建物の引渡しを拒むことができますが、敷地の占有によって生じた利益は不当利得として返還する必要があります。



【問12】Aは、B所有の甲建物(床面積100㎡)につき、居住を目的として、期間2年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)をBと締結してその日に引渡しを受けた。この場合における次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

1 BはAに対して、本件契約締結前に、契約の更新がなく、期間の満了により賃貸借が終了する旨を記載した賃貸借契約書を交付して説明すれば、本件契約を借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借契約として締結することができる。
2 本件契約が借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借契約であるか否かにかかわらず、Aは、甲建物の引渡しを受けてから1年後に甲建物をBから購入したCに対して、賃借人であることを主張できる。
3 本件契約が借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借契約である場合、Aの中途解約を禁止する特約があっても、やむを得ない事情によって甲建物を自己の生活の本拠として使用することが困難になったときは、Aは本件契約の解約の申入れをすることができる。
4 AがBに対して敷金を差し入れている場合、本件契約が期間満了で終了するに当たり、Bは甲建物の返還を受けるまでは、Aに対して敷金を返還する必要はない。

⇒正解(1)
1:賃貸借契約書とは別に、定期建物賃貸借は書面を作成(相手方の承諾を得て電子交付可)して説明する必要があります。
2:定期建物賃貸借においても、建物の引渡しがあれば賃借権を第三者に対抗することができます。
3:200㎡未満の居住用でやむを得ない事情があれば定期建物賃貸借でも中途解約は可能(申入れの1ヶ月後に終了)で、これより借主に不利な特約は無効となります。
4:建物の明渡しと敷金の返還は同時履行の関係に立たず、明渡しが先です。



【問13】建物の区分所有等に関する法律(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 管理者は、規約により、その職務に関し、区分所有者のために、原告又は被告となったときは、その旨を各区分所有者に通知しなくてよい。
2 管理者がないときは、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。
3 集会において、管理者の選任を行う場合、規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。
4 管理組合(法第3条に規定する区分所有者の団体をいう。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによって法人となる。

⇒正解(1)
1:その職務に関し、区分所有者のために原告または被告となったときは、遅滞なく区分所有者に通知します。



【問14】不動産の登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 所有権の移転の登記の申請をする場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。
2 所有権の移転の登記の申請をする場合において、当該申請を登記の申請の代理を業とすることができる代理人によってするときは、登記識別情報を提供することができないことにつき正当な理由があるとみなされるため、登記義務者の登記識別情報を提供することを要しない。
3 所有権の移転の登記の申請をする場合において、登記権利者が登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をしたときは、当該登記に係る登記識別情報は通知されない。
4 所有権の移転の登記の申請をする場合において、その登記が完了した際に交付される登記完了証を送付の方法により交付することを求めるときは、その旨及び送付先の住所を申請情報の内容としなければならない。

⇒正解(2)
1:権利に関する登記=申請情報・登記原因証明情報・登記識別情報、表示に関する登記=申請情報が必要。
23:正当理由(申請人が登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をした場合など)があれば登記識別情報の提供は不要ですが、単に代理人によってするというだけでは正当理由に該当しません。



【問15】都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 市街化区域については、都市計画に、少なくとも用途地域を定めるものとされている。
2 準都市計画区域については、都市計画に、特別用途地区を定めることができる。
3 高度地区については、都市計画に、建築物の容積率の最高限度又は最低限度を定めるものとされている。
4 工業地域は、主として工業の利便を増進するため定める地域とされている。

⇒正解(3)
1:市街化区域は少なくとも用途地域を定め市街化調整区域は原則として用途地域を定めません
2:特別用途地区は、用途地域内であれば定めることができます。用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く)において定める特定用途制限地域と区別!
3:高度地区では建築物の高さの最高限度または最低限度を定めます。問題文は高度利用地区の説明に該当します。



【問16】都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、この問において条例による特別の定めはないものとし、「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

1 市街化区域内において、市街地再開発事業の施行として行う1haの開発行為を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 区域区分が定められていない都市計画区域内において、博物館法に規定する博物館の建築を目的とした8,000㎡の開発行為を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。
3 自己の業務の用に供する施設の建築の用に供する目的で行う開発行為にあっては、開発区域内に土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律に規定する土砂災害警戒区域内の土地を含んではならない。
4 市街化調整区域内における開発行為について、当該開発行為が開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがあるかどうかにかかわらず、都道府県知事は、開発審査会の議を経て開発許可をすることができる。

⇒正解(2)3番が最新法改正絡みの意地悪問題ですが、正解肢が簡単すぎますね。
1:市街地再開発事業(都市計画事業)の施行として行う開発行為については、区域や面積を問わず開発許可不要です。
2:非線引区域内=3,000㎡以上で開発許可の対象となりますが、博物館=公益上必要な一定の建築物なので、区域や面積を問わず開発許可不要です。
3:災害レッドゾーンに関わる改正があったばかりですが、「土砂災害警戒区域」は災害レッドゾーンではなく、特に例外はありません。ちなみに「土砂災害特別警戒区域」であれば災害レッドゾーンとなり、開発許可をすることはできません。
4:開発区域周辺の市街化を促進するおそれがないことが必要です。



【問17】建築基準法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 法の改正により、現に存する建築物が改正後の法の規定に適合しなくなった場合には、当該建築物は違反建築物となり、速やかに改正後の法の規定に適合させなければならない。
2 延べ面積が500㎡を超える建築物について、大規模な修繕をしようとする場合、都市計画区域外であれば建築確認を受ける必要はない。
3 地方公共団体は、条例で、建築物の敷地、構造又は建築設備に関して安全上、防火上又は衛生上必要な制限を附加することができる。
4 地方公共団体が、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定した場合には、災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築は一律に禁止されることとなる。

⇒正解(3)細かい肢も混ざっていますが、正解肢は簡単です。
1:違反建築物ではなく既存不適格建築物となり、建築基準法の適用から除外されるに過ぎません。
2:大規模建築物の大規模修繕なので、都市計画区域の内外に関係なく建築確認が必要です。
4:住居の用に供する建築物の建築の禁止「その他建築物の建築に関する制限」を定めます。



【問18】次の記述のうち、建築基準法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 第一種低層住居専用地域内においては、神社、寺院、教会を建築することはできない。
2 その敷地内に一定の空地を有し、かつ、その敷地面積が一定規模以上である建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、その建蔽率、容積率及び各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資すると認めて許可したものの建蔽率、容積率又は各部分の高さは、その許可の範囲内において、関係規定による限度を超えるものとすることができる。
3 法第3章の規定が適用されるに至った際、現に建築物が立ち並んでいる幅員1.8m未満の道で、あらかじめ、建築審査会の同意を得て特定行政庁が指定したものは、同章の規定における道路とみなされる。
4 第一種住居地域内においては、建築物の高さは、10m又は12mのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。

⇒正解(3)ズバリも消去法も通用しない初出題となる2番3番の2択。難問です。
1:神社、寺院、教会は、全ての用途地域で建築することができます。
2:建蔽率を緩和することはできません。
3:幅員4m未満の道でも、特定行政庁が指定したものは建築基準法上の道路とみなされますね。これが基本ですが、更に特定行政庁は、幅員1.8m未満の道ではあらかじめ建築審査会の同意も得る必要があります。細かいですが、2番と違ってこちらは今後も出題可能性があるかもしれませんので頭の片隅に入れておきましょう。
4:絶対的高さ制限が適用されるのは、第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・田園住居地域です。



【問19】宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

1 宅地造成工事規制区域内において、雨水その他の地表水又は地下水を排除するための排水施設の除却工事を行おうとする場合は、一定の場合を除き、都道府県知事への届出が必要となる。
2 宅地造成工事規制区域内において、森林を宅地にするために行う切土であって、高さ3mの崖を生ずることとなるものに関する工事については、造成主は、都市計画法第29条第1項又は第2項の許可を受けて行われる当該許可の内容に適合した工事を除き、工事に着手する前に、都道府県知事の許可を受けなければならない。
3 宅地造成工事規制区域内で過去に宅地造成に関する工事が行われ、現在は造成主とは異なる者がその工事が行われた宅地を所有している場合において、当該宅地の所有者は宅地造成に伴う災害が生じないよう、その宅地を常時安全な状態に維持するよう努めなければならない。
4 宅地造成工事規制区域外に盛土によって造成された一団の造成宅地の区域において、造成された盛土の高さが5m未満の場合は、都道府県知事は、当該区域を造成宅地防災区域として指定することができない。

⇒正解(4)正解肢が細かく宅地造成等規制法にしては厄介な問題ですが、消去法で正解できますね。
1:雨水その他の地表水等を排除するための排水施設または高さが2mを超える擁壁を除却する工事を行おうとする者は、工事に着手する日の14日前までに届出が必要です。
2:高さ2m超の切土なので許可が必要です。
3:宅地の所有者・管理者・占有者は、常時安全な状態に維持するように努めなければなりません。
4:「盛土をする前の地盤面が水平面に対し20度以上の角度をなし、かつ、盛土の高さが5m以上であるもの」または「盛土をした土地の面積が3,000㎡以上であり、かつ、盛土をしたことにより当該盛土をした土地の地下水位が盛土をする前の地盤面の高さを超え、盛土の内部に浸入しているもの」であれば、造成宅地防災区域として指定することができます。



【問20】次の記述のうち、土地区画整理法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 土地区画整理組合の設立の認可の公告があった日以後、換地処分の公告がある日までは、施行地区内において、土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある建築物の新築を行おうとする者は、土地区画整理組合の許可を受けなければならない。
2 土地区画整理組合は、定款に別段の定めがある場合においては、換地計画に係る区域の全部について工事が完了する以前においても換地処分をすることができる。
3 仮換地を指定したことにより、使用し、又は収益することができる者のなくなった従前の宅地については、当該宅地を使用し、又は収益することができる者のなくなった時から換地処分の公告がある日までは、施行者が当該宅地を管理する。
4 清算金の徴収又は交付に関する権利義務は、換地処分の公告によって換地についての所有権が確定することと併せて、施行者と換地処分時点の換地所有者との間に確定的に発生するものであり、換地処分後に行われた当該換地の所有権の移転に伴い当然に移転する性質を有するものではない。

⇒正解(1)頻出問題が1番で正解肢というサービス問題。
1:土地区画整理組合の許可ではなく、知事等の許可
4:初見の珍問。要は「換地処分の公告がされても清算金請求権は買主に移転しない」ということですね。



【問21】農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 農地の賃貸借及び使用貸借は、その登記がなくても農地の引渡しがあったときは、これをもってその後にその農地について所有権を取得した第三者に対抗することができる。
2 法第2条第3項の農地所有適格法人の要件を満たしていない株式会社は、耕作目的で農地を借り入れることはできない。
3 法第4条第1項、第5条第1項の違反について原状回復等の措置に係る命令の対象となる者(違反転用者等)には、当該規定に違反した者又はその一般承継人は含まれるが、当該違反に係る土地について工事を請け負った者は含まれない。
4 法の適用については、土地の面積は、登記簿の地積によることとしているが、登記簿の地積が著しく事実と相違する場合及び登記簿の地積がない場合には、実測に基づき農業委員会が認定したところによる。

⇒正解(4)これまたちょっとやらしい問題ですが、消去法でも正解したいところ。
1:賃貸借は登記がなくても引渡しが対抗要件となりますが、使用貸借でこの規定は適用されません(使用貸借は登記もできないので、新しい所有者が「もう使わせないよ」と言ったらそこでおしまいです)。
2:農地所有適格法人以外の法人は農地を所有できませんが、借りるだけなら可能です。
3:是正措置は、違反者(+その一般承継人)・工事請負人(+その下請人)・不正手段により許可を受けた者に対して命ずることができます。



【問22】国土利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市にあってはその長をいうものとする。

1 都市計画区域外において、A市が所有する面積15,000㎡の土地を宅建業者Bが購入した場合、Bは事後届出を行わなければならない。
2 事後届出において、土地売買等の契約に係る土地の土地に関する権利の移転又は設定の対価の額については届出事項ではない。
3 市街化区域を除く都市計画区域内において、一団の土地である甲土地(C所有、面積3,500㎡)と乙土地(D所有、面積2,500㎡)を宅建業者Eが購入した場合、Eは事後届出を行わなければならない。
4 都道府県知事は、土地利用審査会の意見を聴いて、事後届出をした者に対し、当該事後届出に係る土地の利用目的について必要な変更をすべきことを勧告することができ、勧告を受けた者がその勧告に従わない場合、その勧告に反する土地売買等の契約を取り消すことができる。

⇒正解(3)
1:都市計画区域外で10,000㎡以上なので事後届出が必要なケースですが、当事者の一方または双方が国等である場合に事後届出は不要です。
2:土地の利用目的と対価の額が届出事項です(勧告対象は利用目的のみである点に注意)。
3:市街化区域を除く都市計画区域内=市街化調整区域内または非線引き区域内で5,000㎡以上なので事後届出が必要です。
4:勧告を受けた者がその勧告に従わない場合、その旨と勧告内容を公表できるに過ぎません。



【問23】印紙税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、以下の覚書又は契約書はいずれも書面により作成されたものとする。

1 土地を8,000万円で譲渡することを証した覚書を売主Aと買主Bが作成した場合、本契約書を後日作成することを文書上で明らかにしていれば、当該覚書には印紙税が課されない。
2 一の契約書に甲土地の譲渡契約(譲渡金額6,000万円)と、乙建物の譲渡契約(譲渡金額3,000万円)をそれぞれ区分して記載した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、6,000万円である。
3 当初作成した土地の賃貸借契約書において「契約期間は5年とする」旨の記載がされていた契約期間を変更するために、「契約期間は10年とする」旨を記載した覚書を貸主Cと借主Dが作成した場合、当該覚書には印紙税が課される。
4 駐車場経営者Eと車両所有者Fが、Fの所有する車両を駐車場としての設備のある土地の特定の区画に駐車させる旨の賃貸借契約書を作成した場合、土地の賃借権の設定に関する契約書として印紙税が課される。

⇒正解(3)正解肢は簡単ですが、法令制限に続き混乱を誘う肢を混ぜてきますね…。
1:覚書、仮契約書、副本なども印紙税課税の対象となる契約書に該当します。
2:譲渡契約&請負契約など異なる種類の契約が一つの契約書に記載されていた場合は大きい方の金額が記載金額となりますが、同じ種類の契約であれば合計額が記載金額となります(=本肢は9,000万円)。
4:駐車場としての設備のある土地=建物賃貸借契約書となり、つまり非課税となります。



【問24】固定資産税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 固定資産税の徴収については、特別徴収の方法によらなければならない。
2 土地価格等縦覧帳簿及び家屋価格等縦覧帳簿の縦覧期間は、毎年4月1日から、4月20日又は当該年度の最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日までの間である。
3 固定資産税の賦課期日は、市町村の条例で定めることとされている。
4 固定資産税は、固定資産の所有者に課するのが原則であるが、固定資産が賃借されている場合は、当該固定資産の賃借権者に対して課される。

⇒正解(2)
1:普通徴収です。
2:固定資産課税台帳の閲覧は通年可能な点としっかり区別しておいてください。
3:当該年度の初日の属する年の1月1日と地方税法で定まっており、市町村の条例で定めることはできません。
4:固定資産税の納税義務者は、原則として、1月1日時点で固定資産課税台帳に所有者として登録されている者ですが、所有者が死亡している場合は現所有者、所有者の所在が震災等によって不明である場合や調査を尽くしても所有者が明らかにならない場合は使用者、質権または100年より永い存続期間の定めのある地上権が設定されている土地についてはその質権者または地上権者が納税義務者となります。賃借権者が納税義務者となる例外はありません。



【問25】地価公示法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 土地鑑定委員会は、標準地の正常な価格を判定したときは、標準地の単位面積当たりの価格のほか、当該標準地の地積及び形状についても官報で公示しなければならない。
2 正常な価格とは、土地について、自由な取引が行われるとした場合におけるその取引(一定の場合を除く。)において通常成立すると認められる価格をいい、当該土地に建物がある場合には、当該建物が存するものとして通常成立すると認められる価格をいう。
3 公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合において、当該土地の正常な価格を求めるときは、公示価格を規準とする必要があり、その際には、当該土地とこれに類似する利用価値を有すると認められる1又は2以上の標準地との位置、地積、環境等の土地の客観的価値に作用する諸要因についての比較を行い、その結果に基づき、当該標準地の公示価格と当該土地の価格との間に均衡を保たせる必要がある。
4 公示区域とは、都市計画法第4条第2項に規定する都市計画区域その他の土地取引が相当程度見込まれるものとして国土交通省令で定める区域のうち、国土利用計画法第12条第1項の規定により指定された規制区域を除いた区域をいう。

⇒正解(2)久々のホッコリ問題。「難問」は1問ですが、手応えのある問題が多い法令制限と税その他でした。
2:土地に使用収益を制限する定着物や権利が存する場合、それらが存しないものとして通常成立すると認められる価格で計算します。超定番問題です。



【問26】宅建業法第3条第1項に規定する事務所(以下この問において「事務所」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 事務所とは、契約締結権限を有する者を置き、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所を指すものであるが、商業登記簿に登載されていない営業所又は支店は事務所には該当しない。
2 宅建業を営まず他の兼業業務のみを営んでいる支店は、事務所には該当しない。
3 宅建業者は、主たる事務所については、免許証、標識及び国土交通大臣が定めた報酬の額を掲げ、従業者名簿及び帳簿を備え付ける義務を負う。
4 宅建業者は、その事務所ごとに一定の数の成年者である専任の宅建士を置かなければならないが、既存の事務所がこれを満たさなくなった場合は、30日以内に必要な措置を執らなければならない。

⇒正解(2)
1:本店や宅建業を営む支店など「事務所」の要件を満たせば、商業登記の有無は関係ありません。
3:免許証を掲げる必要はありません。
4:専任宅建士が法定数に不足した場合、宅建業者は2週間以内に必要な措置を執る必要があります。



【問27】宅建業者A(消費税課税事業者)が受け取ることができる報酬についての次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅建業者Aが、Bから売買の媒介を依頼され、Bからの特別の依頼に基づき、遠隔地への現地調査を実施した。その際、当該調査に要する特別の費用について、Bが負担することを事前に承諾していたので、Aは媒介報酬とは別に、当該調査に要した特別の費用相当額を受領することができる。
2 宅建業者Aが、居住用建物について、貸主Bから貸借の媒介を依頼され、この媒介が使用貸借に係るものである場合は、当該建物の通常の借賃をもとに報酬の限度額が定まるが、その算定に当たっては、不動産鑑定業者の鑑定評価を求めなければならない。
3 宅建業者Aが居住用建物の貸主B及び借主Cの双方から媒介の依頼を受けるに当たって、依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、借賃の1か月分の0.55倍に相当する金額以内である。ただし、媒介の依頼を受けるに当たって、依頼者から承諾を得ている場合はこの限りではなく、双方から受けることのできる報酬の合計額は借賃の1か月分の1.1倍に相当する金額を超えてもよい。
4 宅建業者Aは、土地付建物について、売主Bから媒介を依頼され、代金300万円(消費税等相当額を含み、土地代金は80万円である。)で契約を成立させた。現地調査等の費用については、通常の売買の媒介に比べ5万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する旨、Bに対して説明し、合意の上、媒介契約を締結した。この場合、AがBから受領できる報酬の限度額は20万200円である。

⇒正解(1)
1:依頼者の依頼による広告費や特別の依頼費用は、依頼者の承諾があれば、報酬とは別途受領することができます。
2:使用貸借の場合、当該宅地または建物の通常の借賃を基準とします。不動産鑑定業者の鑑定評価を求めることがあるかもしれませんが、義務ではありません。
3:依頼者の承諾があれば配分を変えることは可能ですが、受領できる報酬額は双方合計で1ヶ月分の借賃(+消費税)を超えることはできません。
4:400万円以下、売買、売主、説明と合意あり・・低廉な空家等の特例に当てはまりますね。計算するまでもなく上限は18万円(税込み198,000円)となります。



【問28】宅建業者が行う宅建業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 宅建業者が、宅建業者ではない個人から媒介業者の仲介なしに土地付建物を購入する場合、買主である宅建業者は重要事項説明書を作成しなくても宅建業法違反とはならない。
2 宅建業者が、重要事項説明書を作成する際、調査不足のため、重要事項説明書に記載された内容が事実と異なるものとなったが、意図的に事実と異なる内容を記載したものではないため、宅建業法違反とはならない。
3 宅建業者は、土地売買の媒介を行う場合、宅建業者ではない売主に対して契約が成立する前までの間に、宅建士をして重要事項説明書を交付して説明をさせなければならない。
4 宅地又は建物の取引は権利関係や法令上の制限など取引条件に関する事項が複雑で多岐にわたるため、重要事項説明書は、宅地又は建物の取引の専門的知識を有する宅建士が作成しなければならない。

⇒正解(1)
1:重要事項の説明は買主や借主に対して行います。買主である宅建業者が売主に対して重要事項説明は不要です。
2:そんなわけありません。
3:上記1番と同様、重要事項の説明は買主や借主に対して行います。媒介でも売主には説明不要です。
4:記名と説明を宅建士が行えば、重要事項説明書の作成自体は従業者でも構いません



【問29】宅建士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 宅建士は、禁錮以上の刑に処せられた場合、刑に処せられた日から30日以内に、その旨を宅建士の登録を受けた都道府県知事に届け出なければならない。
2 宅建士は、業務に関して事務禁止の処分を受けた場合、速やかに、宅建士証をその交付を受けた都道府県知事に提出しなければならず、これを怠った場合には罰則の適用を受けることがある。
3 宅建士は、有効期間の満了日が到来する宅建士証を更新する場合、国土交通大臣が指定する講習を受講しなければならず、また、当該宅建士証の有効期間は5年である。
4 宅建士は、宅建士の信用を害するような行為をしてはならず、信用を害するような行為には、宅建士の職務に必ずしも直接関係しない行為や私的な行為も含まれる。

⇒正解(3)
2:提出を怠った場合、10万円以下の過料に処せられることがあります。
3:宅建士証の有効期間は5年で、更新を受ける場合は、申請前6ヶ月以内登録をしている知事が指定する講習を受講する必要があります。



【問30】次の記述のうち、宅建業法及び犯罪による収益の移転防止に関する法律の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 宅建業法第35条第2項の規定による割賦販売とは、代金の全部又は一部について、目的物の引渡し後6か月以上の期間にわたり、かつ、2回以上に分割して受領することを条件として販売することをいう。
イ 犯罪による収益の移転防止に関する法律において、宅建業のうち、宅地若しくは建物の売買契約の締結又はその代理若しくは媒介が特定取引として規定されている。
ウ 宅建業者は、その従業者に対し、その業務を適正に実施させるため、必要な教育を行うよう努めなければならないと宅建業法に定められている。
エ 宅建業者の使用人その他の従業者は、正当な理由がある場合でなければ、宅建業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならないと宅建業法に定められている。

⇒正解(3)正しいのはイウエ
ア:割賦販売とは、代金の全部または一部について、目的物の引渡し後1年以上の期間にわたり、かつ、2回以上に分割して受領することを条件として販売することをいいます。
イ:初めて出題される問題ですね。宅地建物の売買や、その代理・媒介が特定取引として規制されており、宅建業者が特定取引を行う場合、本人確認の実施、本人確認記録の作成と保存、取引記録の作成と保存、疑わしい取引の届出といった義務を負います。細かいですが、これを機に頭の片隅に・・。



【問31】宅建業者Aが、BからB所有の土地付建物の売却について媒介の依頼を受けた場合における次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅建業者Aが、Bと一般媒介契約を締結した場合、AがBに対し当該土地付建物の価額について意見を述べるために行った価額の査定に要した費用をBに請求することはできない。
2 宅建業者Aは、Bとの間で締結した媒介契約が一般媒介契約である場合には、専任媒介契約の場合とは異なり、宅建業法第34条の2第1項の規定に基づく書面に、売買すべき価額を記載する必要はない。
3 宅建業者Aが、Bとの間で締結した専任媒介契約については、Bからの申出により更新することができ、その後の有効期間については、更新の時から3か月を超える内容に定めることができる。
4 宅建業者Aが、当該土地付建物の購入の媒介をCから依頼され、Cとの間で一般媒介契約を締結した場合、Aは、買主であるCに対しては、必ずしも宅建業法第34条の2第1項の規定に基づく書面を交付しなくともよい。

⇒正解(1)
2:媒介契約書面の記載事項に売買価額も含まれ、一般媒介でも同様です。
3:専任媒介は依頼者からの申出により更新可能ですが、更新後の有効期間も3ヶ月を超えることはできません。
4:媒介契約書面は売主・買主を問わず依頼者に交付します(依頼者の承諾を得て電子交付も可。原則不可の双方代理と異なり、双方からの媒介依頼も可)



【問32】宅建業法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 宅建業者である売主Aは、宅建業者であるBの媒介により、宅建業者ではないCと宅地の売買契約を令和4年4月1日に締結した。AとBが共同で作成した37条書面にBの宅建士の記名押印がなされていれば、Aは37条書面にAの宅建士をして記名押印をさせる必要はない。
2 宅建士は、37条書面を交付する際、買主から請求があったときは、宅建士証を提示しなければならない。
3 宅建業者である売主Dと宅建業者ではないEとの建物の売買契約において、手付金の保全措置を講ずる場合、Dはその保全措置の概要を、重要事項説明書に記載し説明する必要があるが、37条書面には記載する必要はない。
4 宅建業者である売主と宅建業者ではない個人との建物の売買において、建物の品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任について特約を定めたときは、37条書面にその内容を記載しなければならない。

⇒正解(1)
1:売主Aは買主Cに対して、媒介業者Bは売主Aと買主Cに対してそれぞれ37条書面を交付する義務を負います。37条書面の作成はABどちらかの宅建業者が行えば足ります(もちろん共同も可)が、記名はAB両方の宅建士のものが必要となります。2023年の宅建試験から「押印不要」となっている点にも注意です。
2:37条書面の交付時に関係なく、取引関係者から請求があったときは宅建士証を提示するという問題です。
3:宅建業者が自ら売主となり買主が宅建業者以外の場合、手付金等の保全措置の概要は重要説明事項となります。
4:契約不適合担保責任に関する定めは、売買交換における37条書面の任意的記載事項です。



【問33】宅建士に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 宅建士資格試験は未成年者でも受験することができるが、宅建士の登録は成年に達するまでいかなる場合にも受けることができない。
イ 甲県知事登録の宅建士が、宅建業者(乙県知事免許)の専任の宅建士に就任するためには、宅建士の登録を乙県に移転しなければならない。
ウ 丙県知事登録の宅建士が、事務の禁止の処分を受けた場合、丁県に所在する宅建業者の事務所の業務に従事しようとするときでも、その禁止の期間が満了するまで、宅建士の登録の移転を丁県知事に申請することができない。
エ 戊県知事登録の宅建士が、己県へ登録の移転の申請とともに宅建士証の交付を申請した場合、己県知事が宅建士証を交付するときは、戊県で交付された宅建士証の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする宅建士証を交付しなければならない。

⇒正解(2)正しいのはウエ
ア:宅建試験受験に年齢制限はなく、宅建業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有する=法定代理人から宅建業に関し営業許可を受けた未成年者であれば宅建士登録も受けることができます。婚姻による成年擬制がなくなった点、専任宅建士には自身が宅建業者である場合または法人業者の役員である場合のみなれる点にも注意しておきましょう。
イ:超頻出問題ですが、登録の移転は任意です。
ウ:事務禁止期間中に登録の移転をすることはできません
エ:有効期間満了による宅建士証の更新ではありませんので、新たに交付の日から5年ではなく、従前の宅建士証の有効期間を有効期間とする宅建士証を交付します。なぞなぞのような新しい問題ですが、柔軟に対応できる問題ですね。



【問34】宅建業者が建物の売買の媒介の際に行う宅建業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、説明の相手方は宅建業者ではないものとする。

1 当該建物が既存の建物であるときは、宅建業法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を過去1年以内に実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要を説明しなければならない。
2 当該建物が宅地造成等規制法の規定により指定された造成宅地防災区域内にあるときは、その旨を説明しなければならない。
3 当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容を説明しなければならない。
4 当該建物(昭和56年5月31日以前に新築の工事に着手したもの)が指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関又は地方公共団体による耐震診断を受けたものであるときは、その旨を説明しなければならない。

⇒正解(4)
1:既存建物の全取引における重要説明事項です。
2:宅地建物の全取引における重要説明事項です。
3:建物の全取引における重要説明事項です。
4:耐震診断を受けた旨ではなく、その内容を説明します。上記2~3番がヒントとなっていますが・・やらしい問題ですね。



【問35】次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅建業者の従業者である宅建士は、取引の関係者から事務所で従業者証明書の提示を求められたときは、この証明書に代えて従業者名簿又は宅建士証を提示することで足りる。
2 宅建業者Aが所有する甲建物を法人Bに売却するに当たり、Bが宅建業者であるか否かにかかわらず、AはBに対し、宅建士をして、宅建業法第35条の規定に基づく書面を交付し説明をさせなければならない。
3 法人Cが所有する乙建物の個人Dへの賃貸を宅建業者Eが媒介し、当該賃貸借契約が成立したときは、EはDに対し、宅建士をして、宅建業法第35条の規定に基づく書面を交付し説明をさせなければならない。
4 宅建業者Fが所有する丙宅地を法人Gに売却する契約を締結したとき、Gが宅建業者であるか否かにかかわらず、FはGに対し、宅建業法第37条の規定に基づく書面を交付しなければならない。

⇒正解(4)
1:従業者証明書の提示を求められたのであれば従業者証明書を提示する必要があります。
2:買主が宅建業者であれば、35条書面の交付のみで足り説明は不要です。
3:35条書面の交付は契約成立前に行います。
4:契約の相手方が宅建業者であっても、37条書面の交付は必要です。



【問36】宅建業者が行う宅建業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、説明の相手方は宅建業者ではないものとする。

1 建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が既存の住宅であるときは当該建物の検査済証(宅建業法施行規則第16条の2の3第2号に定めるもの)の保存の状況について説明しなければならず、当該検査済証が存在しない場合はその旨を説明しなければならない。
2 宅地の売買の媒介を行う場合、売買代金の額並びにその支払の時期及び方法について説明しなければならない。
3 建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が、水防法施行規則第11条第1号の規定により市町村(特別区を含む。)の長が提供する図面にその位置が表示されている場合には、当該図面が存在していることを説明すれば足りる。
4 自ら売主となって建物の売買契約を締結する場合、当該建物の引渡しの時期について説明しなければならない。

⇒正解(1)
1:既存建物の売買交換において「設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの保存の状況」は重要説明事項となり、検査済証が存在しないのであれば存在しないと説明する必要があります。
2:宅地建物の全取引において売買代金また借賃の額並びにその支払の時期及び方法」は37条書面の必要的記載事項です。代金・借賃以外に受ける金銭の額と授受目的は重要説明事項であり37条書面の任意的記載事項となり、その授受の時期は37条書面のみの任意的記載事項である点も紛らわしい頻出事項なので注意してください。
3:宅地建物の全取引において「水害ハザードマップに当該宅地または建物の位置が表示されているときは、当該図面における当該宅地または建物の所在地」が重要説明事項となります。避難場所も説明することが望ましい点も覚えておきましょう。
4:宅地建物の全取引において引渡しの時期」は37条書面の必要的記載事項です。



【問37】宅建業者Aがその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 宅建業者Aが未完成の建売住宅を販売する場合、建築基準法第6条第1項に基づく確認を受けた後、同項の変更の確認の申請書を提出している期間においては、変更の確認を受ける予定であることを表示し、かつ、当初の確認内容を合わせて表示すれば、変更の確認の内容を広告することができる。
イ 宅建業者Aが新築住宅の売買に関する広告をインターネットで行った場合、実際のものより著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示を行ったが、当該広告について問合せや申込みがなかったときは、宅建業法第32条に定める誇大広告等の禁止の規定に違反しない。
ウ 宅建業者Aが一団の宅地の販売について、数回に分けて広告をするときは、そのたびごとに広告へ取引態様の別を明示しなければならず、当該広告を見た者から売買に関する注文を受けたときも、改めて取引態様の別を明示しなければならない。

⇒正解(2)正しいのはアウ
ア:多くの予備校が解答速報で誤り扱いとした珍問。一見無理そうですが、国土交通省が公表している「宅建業法の解釈」において、変更の確認を受ける予定である旨を表示し、かつ、当初の確認の内容も当該広告にあわせて表示する広告は認められています。今後も出題可能性がありますので、これを機に頭の片隅に入れておきましょう。
イ:問合せや申込みがなかったとしても、誇大広告を行うこと自体が宅建業法違反となります。



【問38】宅建業者が自ら売主となる宅地の売買契約について、買受けの申込みを喫茶店で行った場合における宅建業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 買受けの申込みをした者が、売買契約締結後、当該宅地の引渡しを受けた場合、クーリング・オフによる当該売買契約の解除を行うことができない。
2 買受けの申込みをした者が宅建業者であった場合、クーリング・オフについて告げられていなくても、申込みを行った日から起算して8日を経過するまでは、書面により買受けの申込みの撤回をすることができる。
3 売主業者の申出により、買受けの申込みをした者の勤務先で売買契約を行った場合、クーリング・オフによる当該売買契約の解除を行うことはできない。
4 クーリング・オフによる売買契約の解除がなされた場合において、宅建業者は、買受けの申込みをした者に対し、速やかに、当該売買契約の締結に際し受領した手付金その他の金銭を返還しなければならない。

⇒正解(4)
1:宅地の引渡しを受けても、代金全額を支払っていなければクーリング・オフ可能です。
2:宅建業者間の取引であればクーリング・オフの適用はありません。凡ミスに注意。
3:買主の自宅や勤務先が「事務所等」として扱われるのは、買主から申し出た場合です。



【問39】宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 保証協会は、弁済業務保証金について弁済を受ける権利を有する者から認証申出書の提出があり、認証に係る事務を処理する場合には、各月ごとに、認証申出書に記載された取引が成立した時期の順序に従ってしなければならない。
2 保証協会は、当該保証協会の社員から弁済業務保証金分担金の納付を受けたときは、その納付を受けた額に相当する額の弁済業務保証金を当該社員の主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。
3 保証協会の社員が弁済業務保証金分担金を納付した後に、新たに事務所を設置したときは、その日から2週間以内に保証協会に納付すべき弁済業務保証金分担金について、国債証券をもって充てることができる。
4 宅建業者と宅地の売買契約を締結した買主(宅建業者ではない。)は、当該宅建業者が保証協会の社員となる前にその取引により生じた債権に関し、当該保証協会が供託した弁済業務保証金について弁済を受ける権利を有する。

⇒正解(4)1番にマイナーな肢がありますが、正解肢が簡単なので問題ありませんね。
1:取引が成立した時期の順序ではなく、認証申出書の受理の順序に従って処理します。
2:保証協会は、弁済業務保証金分担金の納付を受けたときは、その日から1週間以内に、その納付を受けた額に相当する額の弁済業務保証金を法務大臣及び国土交通大臣の定める供託所に供託します(有価証券可)。
3:保証協会の社員である宅建業者が新たに事務所を設置したときは、その日から2週間以内に、弁済業務保証金分担金を保証協会に金銭で納付します。



【問40】建物の貸借の媒介を行う宅建業者が、その取引の相手方(宅建業者を除く。)に対して、次のアからエの発言に続けて宅建業法第35条の規定に基づく重要事項の説明を行った場合のうち、宅建業法の規定に違反しないものはいくつあるか。

ア 本日は重要事項の説明を行うためにお電話しました。お客様はIT環境をお持ちでなく映像を見ることができないとのことですので、宅建士である私が記名押印した重要事項説明書は現在お住まいの住所に郵送いたしました。このお電話にて重要事項の説明をさせていただきますので、お手元でご覧いただきながらお聞き願います。
イ 建物の貸主が宅建業者で、代表者が宅建士であり建物の事情に詳しいことから、その代表者が作成し、記名押印した重要事項説明書がこちらになります。当社の宅建士は同席しますが、説明は貸主の代表者が担当します。
ウ この物件の担当である弊社の宅建士が本日急用のため対応できなくなりましたが、せっかくお越しいただきましたので、重要事項説明書にある宅建士欄を訂正の上、宅建士である私が記名押印をし、代わりに説明をいたします。私の宅建士証をお見せします。
エ 本日はお客様のご希望ですので、テレビ会議を用いて重要事項の説明を行います。当社の側の音声は聞こえていますでしょうか。十分に聞き取れたとのお返事、こちらにも聞こえました。では、説明を担当する私の宅建士証をお示ししますので、画面上でご確認をいただき、私の名前を読み上げていただけますでしょうか。そうです、読み方も間違いありません。それでは、双方音声・映像ともやりとりできる状況ですので、説明を始めます。事前にお送りした私が記名押印した重要事項説明書をお手元にご用意ください。

⇒正解(2)違反しないのはウエ
ア:映像のない通常電話での説明は不可です。
イ:自ら貸借は宅建業に該当しないので、媒介業者が35条書面を作成して説明する必要があります。



【問41】営業保証金及び宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。

ア 宅建業者の代表者が、その業務に関し刑法第222条(脅迫)の罪により懲役の刑に処せられたことを理由に宅建業の免許を取り消された場合、当該宅建業者であった者は、当該刑の執行を終わった日から5年間は供託した営業保証金を取り戻すことができない。
イ 営業保証金の還付により、営業保証金が政令で定める額に不足することとなったため、国土交通大臣又は都道府県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた宅建業者は、その送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。
ウ 保証協会の社員は、自らが取り扱った宅建業に係る取引の相手方から当該取引に関する苦情について解決の申出が保証協会にあり、保証協会から関係する資料の提出を求められたときは、正当な理由がある場合でなければ、これを拒んではならない。
エ 保証協会の社員と宅建業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、当該社員が納付した弁済業務保証金の額に相当する額の範囲内において弁済を受ける権利を有する。

⇒正解(2)誤りはアエ
ア:役員が懲役刑=免許欠格事由に該当しますので、免許取消しにより営業保証金を取り戻すケースですね。公告は必要ですが、免許取消処分中でも営業保証金を取り戻すことはできます。
エ:保証協会の社員である宅建業者と取引をした者が弁済を受けられる限度額は、当該社員が「社員でないとしたらその者が供託すべき営業保証金の額に相当する額の範囲内」です。



【問42】宅建業者Aが、BからB所有の宅地の売却を依頼され、Bと専属専任媒介契約(以下この問において「本件媒介契約」という。)を締結した場合に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅建業者AはBに対して、契約の相手方を探索するために行った措置など本件媒介契約に係る業務の処理状況を2週間に1回以上報告しなければならない。
2 宅建業者AがBに対し当該宅地の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないが、根拠の明示は口頭でも書面を用いてもどちらでもよい。
3 本件媒介契約の有効期間について、あらかじめBからの書面による申出があるときは、3か月を超える期間を定めることができる。
4 宅建業者Aは所定の事項を指定流通機構に登録した場合、Bから引渡しの依頼がなければ、その登録を証する書面をBに引き渡さなくてもよい。

⇒正解(2)
1:業務の処理状況は、専属専任媒介契約は1週間に1回以上専任媒介契約は2週間に1回以上報告することを要します。
3:(専属)専任媒介契約の有効期間は最長3ヶ月となります(更新は依頼者の申出によりのみ可能で、最長3ヶ月)。
4:指定流通機構に登録時の交付書面は、遅滞なく依頼者に引き渡します。尚、2022年の法改正により電子交付も可能となっています。



【問43】宅建業者Aが、自ら売主として行う売買契約に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、誤っているものはどれか。なお、買主は宅建業者ではないものとする。

1 宅建業者Aが、宅地又は建物の売買契約に際して手付を受領した場合、その手付がいかなる性質のものであっても、Aが契約の履行に着手するまでの間、買主はその手付を放棄して契約の解除をすることができる。
2 宅建業者Aが、土地付建物の売買契約を締結する場合において、買主との間で、「売主は、売買物件の引渡しの日から1年間に限り当該物件の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保する責任を負う」とする旨の特約を設けることができる。
3 販売代金2,500万円の宅地について、宅建業者Aが売買契約の締結を行い、損害賠償の額の予定及び違約金の定めをする場合、その合計額を500万円と設定することができる。
4 宅建業者Aが建物の割賦販売を行った場合、当該建物を買主に引き渡し、かつ、代金の額の10分の3を超える額の支払を受けた後は、担保の目的で当該建物を譲り受けてはならない。

⇒正解(2)
1:宅建業者が自ら売主となる場合、特に定めがなかったとしても全て解約手付となります。
2:民法の原則(買主が事実を知ったときから1年以内に通知し、不適合を知ったときから5年or引渡しから10年)より買主に不利となる特約は無効です。
3:損害賠償の予定額と違約金の額を合算した額が代金の20%を超えることは禁止されていますが、本肢は20%ちょうどなのでセーフです。
4:割賦販売契約を締結した場合、代金の30%超を受領するまでに売主の義務を履行する必要があり、担保目的でも物件を譲り受けることはできません。



【問44】宅建業法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、宅建業者Aが宅建業法の規定に違反するものはどれか。

1 宅建業者Aは、自ら売主として宅建業者ではないBとの間で宅地の売買契約を締結した。この際、当該買主の代理として宅建業者Cが関与していたことから、37条書面をBに加え、Cにも交付した。
2 宅建業者Aは、その媒介により建物の貸借の契約を成立させ、37条書面を借主に交付するに当たり、37条書面に記名押印した宅建士が不在であったことから、宅建士ではないAの従業員に書面を交付させた。
3 宅建業者Aは、その媒介により借主Dと建物の貸借の契約を成立させた。この際、借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるので、その額や当該金銭の授受の時期だけでなく、当該金銭の授受の目的についても37条書面に記載し、Dに交付した。
4 宅建業者Aは、自ら売主として宅建業者Eの媒介により、宅建業者Fと宅地の売買契約を締結した。37条書面については、A、E、Fの三者で内容を確認した上で各自作成し、交付せずにそれぞれ自ら作成した書類を保管した。

⇒正解(4)
1:Cに交付する必要はありませんが、交付しても宅建業法違反となるわけではありません。
2:記名は宅建士が行いますが、交付は誰が行っても構いません。
3:借賃以外の金銭の額・授受の目的・授受の時期は任意的記載事項なので定めがあれば記載します。
4:37条書面の作成自体は共同でも各自でも構いませんが、AはFに対して、EはAとFに対して、FはAに対して交付する義務を負います。



【問45】特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 宅建業者は、自ら売主として宅建業者である買主との間で新築住宅の売買契約を締結し、その住宅を引き渡す場合、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負う。
2 住宅販売瑕疵担保責任保険契約は、新築住宅の引渡し時から10年以上有効でなければならないが、当該新築住宅の買主の承諾があれば、当該保険契約に係る保険期間を5年間に短縮することができる。
3 自ら売主として新築住宅を販売する宅建業者は、基準日から3週間を経過する日までの間において、当該基準日前10年間に自ら売主となる売買契約に基づき宅建業者ではない買主に引き渡した新築住宅(住宅販売瑕疵担保責任保険契約に係る新築住宅を除く。)について、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしていなければならない。
4 宅建業者が住宅販売瑕疵担保保証金の供託をし、その額が、基準日において、販売新築住宅の合計戸数を基礎として算定する基準額を超えることとなった場合、宅建業法の免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事の承認がなくても、その超過額を取り戻すことができる。

⇒正解(3)
1:買主も宅建業者なので資力確保措置は不要です。
2:住宅販売瑕疵担保責任保険契約の有効期間は10年以上である必要があります。例外はありません。
4:超過した住宅販売瑕疵担保保証金を取り戻す場合、免許権者の承認を受ける必要があります。



【問46】独立行政法人住宅金融支援機構(以下この問において「機構」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 機構は、住宅の建設又は購入に必要な資金の貸付けに係る金融機関の貸付債権の譲受けを業務として行っているが、当該住宅の建設又は購入に付随する土地又は借地権の取得に必要な資金については、譲受けの対象としていない。
2 機構は、団体信用生命保険業務において、貸付けを受けた者が死亡した場合のみならず、重度障害となった場合においても、支払われる生命保険の保険金を当該貸付けに係る債務の弁済に充当することができる。
3 証券化支援事業(買取型)において、機構による譲受けの対象となる貸付債権の償還方法には、元利均等の方法であるものに加え、元金均等の方法であるものもある。
4 機構は、証券化支援事業(買取型)において、MBS(資産担保証券)を発行することにより、債券市場(投資家)から資金を調達している。

⇒正解(1)
1:住宅の建設または購入に付随する土地または借地権の取得に必要な資金も対象となります。



【問47】宅建業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 物件からスーパーマーケット等の商業施設までの徒歩所要時間は、道路距離80mにつき1分間を要するものとして算出し、1分未満の端数が生じたときは、端数を切り捨てて表示しなければならない。
2 インターネット上に掲載した賃貸物件の広告について、掲載直前に契約済みとなっていたとしても、消費者からの問合せに対して既に契約済みであり取引できない旨を説明すれば、不当表示に問われることはない。
3 マンションの管理費について、住戸により管理費の額が異なる場合において、その全ての住宅の管理費を示すことが困難であるときは、最高額のみを表示すればよい。
4 建築条件付土地の取引の広告においては、当該条件の内容、当該条件が成就しなかったときの措置の内容だけでなく、そもそも当該取引の対象が土地であることも明らかにして表示しなければならない。

⇒正解(4)正解肢が細かめですが、消去法で余裕ですね。
1:1分未満の端数は切り上げて1分とします。
2:契約済み物件の広告を掲載すること自体が不当表示(おとり広告)となります。
3:管理費は1戸当たりの月額を表示する必要がありますが、住戸により管理費の額が異なり全ての住戸の管理費を示すことが困難であるときは、最低額と最高額のみの表示で構いません。
4.建築条件付土地の広告では、取引の対象が土地である旨、条件の内容、条件が成就しなかったときの措置の内容を表示します。



【問48】次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 建築着工統計調査報告(令和3年計。令和4年1月公表)によれば、令和3年の新設住宅の着工戸数のうち、持家は前年比で増加したが、貸家及び分譲住宅は前年比で減少した。
2 令和4年地価公示(令和4年3月公表)によれば、令和3年1月以降の1年間の住宅地の地価は、三大都市圏平均では下落したものの、それ以外の地方圏平均では上昇した。
3 令和4年版土地白書(令和4年6月公表)によれば、令和3年の全国の土地取引件数は約133万件となり、土地取引件数の対前年比は令和元年以降減少が続いている。
4 国土交通省の公表する不動産価格指数のうち、全国の商業用不動産総合の季節調整値は、2021年(令和3年)においては第1四半期から第4四半期まで連続で対前期比増となった。

⇒正解(ー)統計問題は受験年の最新情報を覚えておいてください。



【問49】土地に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1 台地の上の浅い谷は、豪雨時には一時的に浸水することがあり、注意を要する。
2 低地は、一般に洪水や地震などに対して強く、防災的見地から住宅地として好ましい。
3 埋立地は、平均海面に対し4~5mの比高があり護岸が強固であれば、住宅地としても利用が可能である。
4 国土交通省が運営するハザードマップポータルサイトでは、洪水、土砂災害、高潮、津波のリスク情報などを地図や写真に重ねて表示できる。

⇒正解(2)土地は安定の易しさですね。
2:低地は、洪水・地震・津波などの災害リスクがあり、住宅地として適切とは言えません。
3:埋立地より干拓地の方が危険度は高いという点も覚えておきましょう。



【問50】建築物の構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1 木構造は、主要構造を木質系材料で構成するものであり、在来軸組構法での主要構造は、一般に軸組、小屋組、床組からなる。
2 在来軸組構法の軸組は、通常、水平材である土台、桁、胴差と、垂直材の柱及び耐力壁からなる。
3 小屋組は、屋根の骨組であり、小屋梁、小屋束、母屋、垂木等の部材を組み合わせた和小屋と、陸梁、束、方杖等の部材で形成するトラス構造の洋小屋がある。
4 軸組に仕上げを施した壁には、真壁と大壁があり、真壁のみで構成する洋風構造と、大壁のみで構成する和風構造があるが、これらを併用する場合はない。

⇒正解(4)安定のちょいむず建物。
4:真壁=外から柱が見える壁で和風構造に用いられ、大壁=外から柱が見えない壁で洋風構造に用いられます。逆ですね。更に併用も可能です。真壁と大壁が分からなくても、お洒落な家で見たことがあるように「壁は構造が違っても併用できそう」と判断できるか・・やっぱり難しいですね。


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