「実はかんたん法令制限」スタートです!見慣れない言葉が多く難しいイメージを持たれがちですが、単純暗記の得点源です。宅建インプリご注文者様は本を読むようにご覧いただけるよう電子ファイルにもまとめてあります(+αあり)。
- 法令上の制限って何?
まずは初回ということで、宅建試験で出題される「法令上の制限」とは何かについて見ておきます。今回の内容が直接出題されるということはありませんので、2~3回読んで全体像を軽く把握しておいてください。
具体的な内容につきましては次回より詳しく解説していきます!
■法令上の制限とは
法令上の制限とは、宅建業法上の「重要事項の説明」対象である「都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で政令で定めるものに関する事項の概要」を言います。何を言っているのか分かりませんね。簡単に言ってしまうと、「土地の利用」に関する法律上の制限、ということです。
土地の利用とは、「土地を取得」⇒「宅地を造成」⇒「建物を建築」という3つの流れから成り立ちます。そしてこの3段階にそれぞれ対応した法律があります。それが「法令上の制限」と言われるものです。では、その3つにはそれぞれどのような法律があるのか見ていきましょう。
■土地を取得する際の法令制限
大昔でもありませんし、勝手に土地を見つけて勝手に家を建てていいはずがありません。かと言って、その地域に合った値段で取引が行われなければ、周辺の地価相場が高騰するなど、秩序ある街の相互的発展が望めません。
そこで土地の投機的取引や地価の高騰、乱開発を未然に防ぎ、遊休地の有効利用を促し、総合的・計画的に国土の利用を図るため「国土利用計画法」という法律が定められています。国土利用計画法に基づいて、国土利用計画、土地利用基本計画などが決められ、一定規模以上の土地の売買や交換などの取引をする場合には「土地の利用目的等の届出あるいは許可」が必要とされています。
また、購入する対象となっている土地が農地の場合には、「農地法」による許可も必要となってきます。農地法とは、国民の食糧確保のための法律であり、耕作者の地位の安定と農業生産力の増進を図ることを目的として制定された法律です。宅建試験において、土地を購入する段階で覚えるべき法律は「国土利用計画法」と「農地法」です。
■宅地を造成する際の法令制限
宅地を造成するにあたり、その土地を造成し開発することが都市計画の観点から妥当かどうかということが問題となります。日本という狭い国土をいかに計画的に利用していくか、それが「都市計画法」です。都市計画法は、都市の健全な発達と、秩序ある整備を図ることを目的としています。
更に都市計画区内の土地について、公共施設の整備改善や宅地利用の増進を図るため道路を新しく作ったり、公共施設を新設・変更したりする土地区画整理事業について定めた「土地区画整理法」という法律があります。
道路が狭く危険だ、公園が少なく子供たちが遊ぶ場所がない、などを改善し、住みよい街づくりを目指します。よって土地区画整理法は、一定の宅地造成には許可が必要であるという制限を定めています。無制限に宅地造成を認めては、きれいな街をつくることはできませんからね。宅地を造成する段階で覚えるべき法律は「都市計画法」「土地区画整理法」です。そして造成等工事自体で問題となるのが「宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)」となります。
■建物を建築する際の法令制限
建物も好き勝手に建てていいということはなく、様々な制限があります。それが「建築基準法」という法律です。建築基準法とは、建築物の個々の安全性や居住性を一定レベル以上に保つことを目的とするとともに、健全な都市づくりに欠かせない建築物の秩序について定めた法律です。
その場所に工場を建築しても良いか、どのくらいの高さまで大丈夫か、など、建築物の敷地、構造、設備および用途に関する最低の基準を定めることによって、建築物の利用者自身や近隣住民の生命、健康および財産を保護することを目的としています。宅建試験において、建物を建築する段階で覚えるべき法律は「建築基準法」です。
以上の5つが法令上の制限でメインとなる法律です。宅建試験では法令上の制限から8問が出題され、事後届出・開発許可・農地法・盛土規制法は得点源となり、その他の建築基準法等4問からどれだけ取れるかが勝負となります。土地の取得 ①土地選定 → 都市計画法による都市計画区域の指定や線引き、建築基準法による用途規制など
②売買契約 → 国土利用計画法による権利移転の届出、農地法による許可など宅地の造成 ①開発行為 → 都市計画法による開発許可
②造成工事 → 土地区画整理法、盛土規制法による宅地の造成建物の建築 ①建築確認 → 建築基準法による事前確認と事後検査
②建築制限 → 建築基準法による建蔽率や容積率、都市計画法による建築制限、景観法など
法令上の制限は覚えるべき数字が多いことが特徴で、正確な暗記が必要とされます。しかし、出題項目は割と限られています。同じ単純暗記科目でも、宅建業法のようなヤラシイひっかけ問題は出題されません。とっつきにくさはありますが、実は宅建業法以上にシンプルです。狙いを定め、定番問題は確実に押さえておきましょう。
では次回よりそれぞれの法律について詳しく解説していきます。まずは「国土利用計画法」です。法令上の制限で、最低でも6点以上を取れるよう頑張りましょう!
-----------(メルマガ時の編集後記)-----------
これから法令上の制限を勉強していく上で、意識していただきたい点があります。初めて見る言葉が多く難しいイメージがある法令上の制限ですが、少し慣れれば宅建業法以上に単純に攻略できる暗記科目です。
見慣れない単語ばかりに目が行きがちですが、プラス特に注目すべきは、「内」「外」、「上」「下」、「高い」「低い」などの対義語と、数字について「以上」なのか「超」なのか、「以下」なのか「未満」なのかという点です。
法律知識ではなく一般常識ですが念のため解説しておくと、「以上」「以下」はその数字も含み「超」「未満」はその数字を含みません。
1,000以上=1,000、1,001…
1,000以下=1,000、999…
1,000超 =1,001、1,002…
1,000未満= 999、998…
防火地域内において~、都市計画区域外において~、などなど、この区別が法令制限ではすごく重要となり、宅建試験でもひっかけ問題の宝庫となります。市街化区域で事後届出を要する面積は2,000㎡超だっけ…以上だっけ…と曖昧にならないよう気をつけてください(ちなみに2,000㎡「以上」です。つまり、2,000㎡ジャストは事後届出が必要となります)。逆に言うと、法令上の制限のひっかけ問題はこのレベルです。対義語と数字に注意して勉強し、正確な知識を身につけていってください。宅建業法と法令制限をいかに取りこぼさないかが、宅建合否の分かれ道となります!
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