【保証】で押さえる宅建過去問

宅建過去問:「保証債務」の重要過去問を見ていきます。保証、次回お伝えする連帯保証、連帯債務の基本的な性質と効果、それぞれの違いをしっかり区別しておいてください。保証と連帯保証の複合問題が多く、保証債務単体での出題はあまり見かけません(連帯債務も出題可能性低め)。また改正民法により今後出題されそうな(まだ過去問にない)重要改正点が多数ありますので、改正民法の解説問題もチェックしておいてください。

保証債務の宅建過去問

Aは、宅建業者Bからマンションを購入し、宅建業者Bの保証を受けてC銀行から金銭を借り入れ、その支払いに充てた。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。(1985年の宅建過去問 問-11)

【問】宅建業者Bの保証債務の対象には、AがC銀行に支払うべき違約金及び損害賠償も含まれるが、宅建業者Bは、自己の保証債務についてのみ違約金又は損害賠償の額を約定することはできない。

主たる債務に関する違約金や損害賠償までも保証の範囲に含まれ、また、保証債務についてのみ違約金や損害賠償の約定をすることもできます。よって誤りとなります。

【問】C銀行がAに対して債務の履行を請求したときは、Aの債務の消滅時効のみならず、宅建業者Bの保証債務の消滅時効の完成も猶予される。

主たる債務について生じた事由は、保証債務にも影響します(主債務者による時効利益の放棄など、保証人に不利な効力は保証人に及びません)。よって正しい肢です。

【問】宅建業者Bは、Aの委託を受けなくても保証をなすことができるが、Aの意思に反して保証をなすことはできない。

主たる債務者の意思に関係なく保証契約を締結することも可能で、誤りとなります。基本ですが、保証契約の締結は書面で行う必要がある点は押さえておいてください(根保証も書面が必要)。


Aは、BのCに対する 1,000万円の債務について、保証人となる契約を、Cと締結した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。(1994年の宅建過去問 問-9)

【問】CがAを保証人として指名したため、Aが保証人となった場合、Aが破産しても、Cは、Bに対して保証人の変更を求めることができない。

保証人が破産等の理由によって弁済の資力を欠く状態になった場合、債権者は、原則として、主たる債務者に保証人の変更を請求することができます。しかし、債権者自ら保証人を指名したときは変更請求ができず、よって正しい肢となります。

【問】BのCに対する債務が条件不成就のため成立しなかった場合、Aは、Cに対して保証債務を負わない。

主たる債務が成立していなければ、保証債務も成立しません。よって正しい肢です。

【問】AC間の保証契約締結後、BC間の合意で債務が増額された場合、Aは、その増額部分についても、保証債務を負う。

主たる債務が軽くなった場合は、保証債務も軽減されますが、増額部分について保証債務を負うことはありません。よって誤りとなります。

【問】CがAに対して直接 1,000万円の支払いを求めて来ても、BがCに 600万円の債権を有しているときは、Aは、Bの債権による相殺を主張して、 400万円を支払えばよい。

保証人は、債権者に対して、主たる債務者の債権による相殺を主張することができます。よって正しい肢となります。主債務者が相殺を援用しない間は、その額の限度において、債権者に対して債務の履行を拒むことができます。改正民法により微妙に誤りとなりました。


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