民法の土台となる4大原則とは?

宅建試験の民法解説:民法が制定された理由。法律ができた大前提を知っておけば、全ての条文がとても理解しやすくなります。

民法の全体像の宅建解説 Part.1

民法の原則として、次の4つがあります

「権利能力平等の原則」
「所有権絶対の原則」
「私的自治の原則」
「過失責任の原則」

これらは西欧において近代市民革命を通して成立した原則です。西欧ではフランス革命等によって封建社会が崩壊しました。日本でも士農工商制度などにより封建秩序が存在し、多くの人々は自分の意思によってではなく、封建的な制度・権力の下で生活をするしかありませんでした。

これらの身分的階層秩序や封建的土地支配を廃止する目的で、市民革命が起こります。フランス革命の「自由・平等・博愛」という言葉は有名ですね。そしてこの革命により、全ての個人は自由平等に活動できるようになり、封建的拘束を受けない自由な所有権が承認され、個人の意思により生活関係が形成されるようになりました。

日本においても、これが民法の土台、大前提となっています。

権利能力平等の原則

全ての人々は、職業や年齢等により差別されず、平等に権利・義務の主体となることができます。民法1条の3に「私権の享有は出生に始まる」とあります。生まれさえすればよいのです。この原則により、自主独立の地位が保障されています。

所有権絶対の原則

土地等の『物』を、自由に使用・収益・処分することができます。この原則により、人々は自らの創意・工夫により、拘束を受けることなく物を生産し、経済を発展させることができます。

私的自治の原則

全ての個人は、自由な意思により権利を取得し、自由な意思によらなければ義務を負わされることはありません(不法行為という例外はあります)。この原則により、個人は自由に法律関係を築くことができ、これに国家が干渉することがなくなりました。

過失責任の原則

人は、故意または過失により他人に損害を与えた場合にのみ、損害賠償責任を負うことになります。つまり、意思がなくても過失があれば責任を負い、過失すらなければ責任を負う必要はありません。この原則により、自らの行為に注意さえしていれば責任を負わされることはないと、人々の自由な行動が保障されています。

以上、民法の土台となっている基本原理です。

これから民法の勉強を開始するにあたり、常にこの大前提を思い出すようにしてください。全ての条文は、この基本原理を基に作られています。常識として頭の中に入れておいてください。

一般市民のための規定なのか善良な市民を守っているか・・問題を解くときにも、この基本原理を前提に解く練習をしてください。とても理解しやすく、覚えやすくなります。


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