宅建試験の民法解説:民法とはどのような法律なのか?日常生活でもっともよく行われる法律行為である、売買契約を例に説明してみます。
- 民法の全体像の宅建解説 Part.2
本屋さんで本を買うと、あなたはその本を本屋さんから受け取ることができます。あとはその本をいつ読もうが、捨てようが、自由です。これを民法の見地から考えてみます。
まず、あなたが「この本を売ってください」と言うことは、「売買契約」という「契約」の「申込みの意思表示」となります。本屋さんが「はい、いいですよ」と言うことは、売買契約の「承諾の意思表示」となります。
この申込みと承諾が一致することによって売買契約という契約が成立し、そしてこの売買契約成立の効果として、あなたは「本を引き渡してくれ」と自由に言える権利と、本を自由に扱える権利「所有権」を取得します。
本屋さんに対して「本を引き渡してくれ」という、人に対して一定の行為を請求する権利を「債権」といい、本を自由に扱えるという、物に対する権利を「物権」といいます。
逆に本屋さんは、「本の代金を支払ってくれ」という債権を取得し、今まで所有していた本の所有権(物権)を失うことになります。
あなたと本屋さんが互いに債権を取得し、本の所有権という物権が、本屋さんからあなたに移転しています。権利(債権) 義務(債務) 売主 代金を支払ってもらう 目的物を引き渡さなければならない 買主 目的物を引き渡してもらう 代金を支払わなければならない
このように、債権・物権が、どのようにして「発生」「変更」「消滅」するのかを規定したのが民法です。この、発生・変更・消滅を「私権の変動」といいます。
私権の変動は、売買契約のように当事者の意思による場合だけでなく、
父親の死亡により相続が生じ、父親の相続財産を取得する、
交通事故により、加害者に対し損害賠償請求権という債権を取得する、
他人の土地に長期間暮らしていた者が、その土地を時効取得する、
などなど、民法はさまざまな場面について規定しています。債権の消滅事由 弁済・代物弁済・供託・相殺・更改・免除・混同
今後これらそれぞれの場面について、宅建試験で出題されるポイントを分かりやすく解説していきます。
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