消費貸借と使用貸借の民法大改正

消費貸借と使用貸借の改正

今回は「消費貸借と使用貸借」の改正民法についてお送りします。

使用貸借はたまに出題されますが、消費貸借の出題可能性は極めて低いと言えます。どちらも大きな改正があったのでご紹介しておきますが、優先度は低めで大丈夫です。

もしかすると次回お伝えする「賃貸借」と併せて「消費貸借」「使用貸借」の比較が出題されるかもしれません。

では、使用貸借をメインに重要ポイントのみ順番に見ていきましょう!


消費貸借の成立

従来の消費貸借は要物契約とされていました。

諾成契約=当事者間の合意で成立する
要物契約=目的物の引渡しにより成立する

これが改正民法では、諾成契約でも消費貸借契約が成立することとされました。

要物契約から諾成契約になったのではなく、原則は要物契約のまま「諾成契約も認められる」ということです。

そして諾成契約により消費貸借を成立させるには、書面が必要とされています。
諾成的消費貸借は書面が必要、覚えておきましょう。


使用貸借の成立

従来の使用貸借は要物契約とされていましたが、改正民法により諾成契約となりました。

消費貸借と異なり、使用貸借は要物契約から「諾成契約に変更」されています。
しっかり区別しておきましょう。


消費貸借の利息

貸主は、特約がなければ借主に対して利息を請求することができません。

原則は無利息ということです。
特約がある場合、貸主は、借主が目的物を受け取った日以降の利息を請求することができます。

尚、使用貸借は完全に「無償」となります。


消費貸借の返還時期

・返還時期を定めていなかった場合
貸主:相当期間を定めて返還の催告をすることができる
借主:いつでも返還することができる

・返還時期を定めていた場合
貸主:その時期による
借主:いつでも返還することができる

「返還時期を定めていても借主はいつでも返還できる」という点は出題ポイントですね。

返還時期の定めがあるにも関わらず、その時期が到来する前に借主が返還したことにより貸主が損害を受けた場合、貸主は、その賠償を請求することができます

早めに返還されたことによる損害とは、3年の約束で現金を貸して利息を期待していたのに、早めに返還されたことで受け取ることのできる利息が少なくなった場合などですね。


使用貸借の解除

使用貸借は諾成契約となり、口頭または書面による合意によって成立します。そして口頭か書面かで結論が異なるケースが出てきます。出題ポイントですね。

・借用物の引渡し前
口頭による合意:貸主・借主は自由に解除できる
書面による合意:貸主から一方的に解除できない借主は自由に解除可

・引渡し後の貸主からの解除(借主は自由に解除可
期間の定めがない場合:目的に従い借主が使用収益をするのに足りる期間を経過したときに解除できる
期間も目的も定めていない場合:いつでも解除できる

・使用貸借の終了事由
1.期間を定めていた場合(期間満了で終了)
2.期間は定めず目的を定めていた場合(使用収益に足りる期間を経過で終了)
3.借主の死亡(貸主が死亡した場合は、貸主の地位が相続される)

  引渡し前 引渡し後
口頭合意による貸主 自由に解除可能
口頭合意による借主 自由に解除可能
書面合意による貸主 一方的解除不可
書面合意による借主 自由に解除可能
期間の定めがない貸主 一定期間経過後
期間も目的も定めていない貸主 自由に解除可能
期間も目的も定めていない借主 自由に解除可能


使用貸借における損害

契約の本旨に反する使用収益により損害が生じた場合、貸主は、目的物の返還を受けたときから1年以内に損害賠償請求を行う必要があります。この1年間は、損害賠償請求権について時効の完成も猶予されます

また改正点ではありませんが、借主が支出した費用の償還請求も、貸主が返還を受けたときから1年以内に請求する必要がある点も頭の片隅に入れておきましょう。


以上、今回は「使用貸借が諾成契約となった」「書面による使用貸借は、目的物の引渡し前に貸主から自由に解除できない」「使用貸借は借主の死亡で終了する」「使用貸借における損害賠償請求権は、返還から1年は時効の完成が猶予される」「返還時期を定めた消費貸借でも、借主はいつでも返還できる(損害があれば賠償義務あり)」あたりを押さえておきましょう!


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【宅建試験問題 平成27年ー問3】AB間で、Aを貸主、Bを借主として、A所有の甲建物につき、①賃貸借契約を締結した場合と、②使用貸借契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1.Bが死亡した場合、①では契約は終了しないが、②では契約が終了する。
2.Bは、①では、甲建物のAの負担に属する必要費を支出したときは、Aに対しその償還を請求することができるが、②では、甲建物の通常の必要費を負担しなければならない。
3.AB間の契約は、①では諾成契約であり、②では要物契約である。
4.AはBに対して、甲建物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しなければ、①では担保責任を負う場合があるが、②では担保責任を負わない。
1 正:賃借権は相続の対象となるが、使用貸借は借主の死亡によって終了する
2 正:賃借人が必要費を支出したときは直ちに償還請求ができ、使用貸借の借主は通常の必要費を負担する
3 誤:改正民法により使用貸借も諾成契約となり、どちらも諾成契約となりました
4 誤:賃貸借は売買契約の規定が準用され契約不適合責任を負い、使用貸借は贈与契約の規定(特定した時の状態で引き渡す)が準用され契約不適合責任が軽減される
【宅建試験問題 平成21年ー問12】A所有の甲建物につき、Bが一時使用目的ではなく賃料月額10万円で賃貸借契約を締結する場合と、Cが適当な家屋に移るまでの一時的な居住を目的として無償で使用貸借契約を締結する場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

1.BがAに無断で甲建物を転貸しても、Aに対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情があるときは、Aは賃貸借契約を解除できないのに対し、CがAに無断で甲建物を転貸した場合には、Aは使用貸借契約を解除できる。
2.期間の定めがない場合、AはBに対して正当な事由があるときに限り、解約を申し入れることができるのに対し、返還時期の定めがない場合、AはCに対していつでも返還を請求できる。
3.Aが甲建物をDに売却した場合、甲建物の引渡しを受けて甲建物で居住しているBはDに対して賃借権を主張することができるのに対し、Cは甲建物の引渡しを受けて甲建物に居住していてもDに対して使用借権を主張することができない。
4.Bが死亡しても賃貸借契約は終了せず賃借権はBの相続人に相続されるのに対し、Cが死亡すると使用貸借契約は終了するので使用借権はCの相続人に相続されない。
1 正:賃貸借・使用貸借ともに賃貸人・貸主の承諾なく転貸された場合は賃貸人・貸主から解除可能ですが、賃貸人に対する背信的行為と認められない事情があるときは賃貸人から解除できません(使用貸借にこの例外なし)
2 誤:賃貸人からの解約申入れは正当事由がある場合に限られ、期間の定めがなく使用収益の目的が定められている使用貸借は、使用収益に足る期間を経過したときに返還請求が可能(使用収益の目的もなければいつでも可)
3 正:賃借権の対抗要件は登記または建物ならば引渡しであるのに対し、使用貸借に対抗要件は存在しません
4 正:賃借権は相続の対象となるが、使用貸借は借主の死亡によって終了する