宅建過去問:「債権譲渡」の重要過去問を見ていきます。深追いすると難しいので、最低限、以下の覚えやすい重要ポイントだけ押さえておきましょう。ここは取れればラッキー、間違えても仕方ないというスタンスで!
- 債権譲渡の宅建過去問
■Aは、Bに対して貸付金債権を有しており、Aはこの貸付金債権をCに対して譲渡した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。(2003年の宅建過去問 問8)
【問】貸付金債権に譲渡禁止特約が付いている場合で、Cが譲渡禁止特約の存在を過失なく知らないとき、BはCに対して債権譲渡が無効であると主張することができない。
譲渡禁止特約のある債権の債権譲渡は有効(債務者は供託可能)で、譲受人の悪意や重過失は無関係となります(譲受人に悪意または重過失がある場合、債務者は、譲受人に対する債務の履行を拒むことができ、譲渡人に対する弁済その他の債務消滅事由を譲受人に対抗できる)。よって正しい肢となります。
【問】Aが貸付金債権をDに対しても譲渡し、Cへは確定日付のない証書、Dへは確定日付のある証書によってBに通知した場合で、いずれの通知もBによる弁済前に到達したとき、Bへの通知の到達の先後にかかわらず、DがCに優先して権利を行使することができる。
債権が二重に譲渡された場合に、譲受人が債務者以外の第三者に対抗するためには、確定日付のある証書による通知または承諾が必要となります(債務者への対抗要件は、口頭でも構わない通知または債務者の承諾)。確定日付のある証書は、到達の先後に関わらず確定日付のない証書に優先します。よって正しい肢となります。
【問】Aが貸付金債権をEに対しても譲渡し、Cへは本年10月10日付、Eへは同月9日付のそれぞれ確定日付のある証書によってBに通知した場合で、いずれの通知もBによる弁済前に到達したとき、Bへの通知の到達の先後にかかわらず、EがCに優先して権利を行使することができる。
共に確定日付ある証書だった場合、その優劣は通知の到達の先後によって決します。通知の日付の先後ではなく、誤りとなります。
■債権の譲渡に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。(2007年の宅建過去問 問9)
【問】指名債権が二重に譲渡され、確定日付のある各債権譲渡通知が同時に債務者に到達したときは、各債権譲受人は、債務者に対し、債権金額基準で按分した金額の弁済請求しかできない。
共に確定日付ある証書が同時に到達した場合、各債権譲受人は、債務者に対し債権全額の弁済を請求することができます(債務者はどちらか一方に弁済すれば免責を受ける)。按分した金額ではなく、誤りとなります。
【問】契約時点ではまだ発生していない将来債権でも、発生原因や金額などで目的債権を具体的に特定することができれば、譲渡することができ、譲渡時点でその債権発生の可能性が低かったことは譲渡の効力を直ちに否定するものではない。
債権譲渡契約の締結時において目的債権の発生の可能性が低かったとしても、譲渡の時点では発生していない将来の債権であっても、債権譲渡の対象にすることができます(譲受人は発生した債権を当然に取得する)。よって正しい肢となります。
■Aが、Bに対して有する金銭債権をCに譲渡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。(2000年の宅建過去問 問6)
【問】譲渡通知は、AがBに対してしなければならないが、CがAの代理人としてBに対して通知しても差し支えない。
債権譲渡の通知は、債権の譲渡人が債務者に対して行う必要があります(代理人でもOK)。よって正しい肢となります。
【問】Bが譲渡を承諾する相手方は、A又はCのいずれでも差し支えない。
債務者による承諾は、譲渡人または譲受人のいずれに対してして行っても有効です。よって正しい肢となります。
【問】Bが、既にAに弁済していたのに、AのCに対する譲渡を異議を留めないで承諾した場合、Bは、弁済したことをCにもAにも主張することができない。(改題)
債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができます。本肢のBは、対抗要件具備時(債権譲渡を承諾するとき)までにAに弁済しているので、CにもAにも弁済の効果を主張することができます。他にも例を挙げると、対抗要件具備時に相殺適状にあれば、その反対債権で相殺も可能ということですね。よって誤りです。尚、改正民法により「異議を留めない承諾」という言葉に深い意味はなくなりました(元の意味を知らなければ気にする必要はありません)。
■Aが、AのBに対する金銭債権をCに譲渡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。(1997年の宅建過去問 問5)
【問】Aが、Cに対する債務の担保として債権を譲渡し、Aの債務不履行があったとき、CからBに対して譲渡の通知をすることとしておけば、Cは、Aに代位して自己の名義で有効な譲渡の通知をすることができる。
譲受人Cが譲渡人Aを代理して債権譲渡の通知をすることは可能ですが、譲受人Cが譲渡人Aに代位して債権譲渡の通知を行っても効力は生じません。よって誤りです。
【問】Cへの譲渡についてのAの確定日付証書による通知と、第三者Eの同一債権に対する差押命令とが、同時にBに到達したとき、Bは、Eへの支払、供託等によりこの債権が消滅していない以上、Cからの請求を拒むことはできない。
債権の譲受人と差押命令を得た者との間の優劣は、確定日付ある通知が債務者に到達した日時によって決します。同時到達の場合は上述の通り各自全額の請求が可能で、債務者は、一方への弁済や供託等により債務が消滅していない以上は当該請求を拒むことができません。よって正しい肢となります。
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