宅建過去問:「連帯債務」の重要過去問を見ていきます。債務者が複数いて、債権者がその中の1人に対して債務全額の履行の請求等ができる債務を連帯債務といいます。「保証債務」「連帯保証債務」「連帯債務」の違い、共通点の把握が重要です。複合問題を含めて順番に見ていきましょう!
- 連帯債務の宅建過去問
■AとBとが共同で、Cから、C所有の土地を2,000万円で購入し、代金を連帯して負担する(連帯債務)と定め、CはA・Bに登記、引渡しをしたのに、A・Bが支払をしない場合の次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。(2001年の宅建過去問 問-4)
【問】Cは、Aに対して2,000万円の請求をすると、それと同時には、Bに対しては、全く請求をすることができない。
債権者は、連帯債務者の1人に対し、または同時もしくは順次に総債務者に対して、債務の全部または一部の履行を請求することができます。よって誤りとなります。
【問】AとBとが、代金の負担部分を1,000万円ずつと定めていた場合、AはCから2,000万円請求されても、1,000万円を支払えばよい。
上記の説明通り。連帯債務者間で代金の負担部分を定めていても関係ありません。よって誤りとなります。
【問】BがCに2,000万円支払った場合、Bは、Aの負担部分と定めていた1,000万円及びその支払った日以後の法定利息をAに求償することができる。
連帯債務者の1人が債務全額を弁済した場合、他の債務者に対して各自の負担部分について求償することができます。そして、弁済その他免責があった日以後の法定利息等を求償することもできます。よって正しい肢となります。
【問】Cから請求を受けたBは、Aが、Cに対して有する1,000万円の債権をもって相殺しない以上、Aの負担部分についても、Bからこれをもって相殺することはできない。
債権者に対して連帯債務者の1人が債権を有する場合、その債務者が相殺を援用しない間、他の債務者は、その債務者の負担部分の限度において、債務の履行を拒むことができます。よって正しい肢となります。
■A及びBは、Cの所有地を買い受ける契約をCと締結し、連帯して代金を支払う債務を負担している。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。(1991年の宅建過去問 問-6)
【問】Aの債務が時効により消滅したときは、Bは、Aの負担部分について支払いを免れる。
改正民法により、時効は相対的効力となりました。債権者および他の連帯債務者の一人が別段の意思表示をしていない限り、他の連帯債務者に対して効力は生じません。よって誤りです。
【問】CがAに対して期限の猶予をしたときは、Bの債務についても、期限が猶予される。
期限の猶予についてはBの債務に影響を及ぼしません。よって誤りです。
【問】CがBに対して支払いを請求して、Cの代金債権の消滅時効の完成が猶予されたときは、Aの債務についても、完成が猶予される。
履行の請求に基づく消滅時効の完成猶予は、他の債務者の債務について効力を生じません。よって誤りです。
【問】Aが債務を承認して、Cの代金債権の消滅時効が中断されたときでも、Bの債務については、中断されない。
債務の承認による時効の完成猶予は相対効しかなく、Aの債務について消滅時効の完成が猶予されても、その効果はBには及びません。よって正しい肢となります。
■AとBが、Cから土地を購入し、Cに対する代金債務については連帯して負担する契約を締結した場合で、AとBの共有持分及び代金債務の負担部分はそれぞれ2分の1とする旨の約定があるときに関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。(1996年の宅建過去問 問-4)
【問】Cが、Aに対して代金債務の全額の免除をした場合、Bに対して代金の2分の1まで支払いを請求することができる。
改正民法により免除も相対効となりました。よって誤りとなります(全額請求可能)。債権者がABCに3万円を貸していた場合(負担部分は平等)、各連帯債務者の負担部分は1万円ですが、それぞれが債権者に3万円を返す必要があります(あとは連帯債務者間での求償の問題)。債権者が親しいAの債務を免除した場合、従来はBCの負担部分は2万円となりましたが、改正民法により、本来3万円の返済が必要なBCの債務まで免除する必要はないとされました。債権者とAの親しい関係は、BCには無関係ということです。
【問】Cが本件売買契約を解除する意思表示をAに対してした場合、その効力はBにも及ぶ。
契約当事者の一方または双方が複数ある場合、当該契約を解除するには、全員から、または全員に対して解除の意思表示をしなければなりません。よって誤りとなります。
■AからBとCとが負担部分2分の1として連帯して1,000万円を借り入れる場合と、DからEが1,000万円を借り入れ、Fがその借入金返済債務についてEと連帯して保証する場合とに関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。(2008年の宅建過去問 問-6)
【問】Aが、Bに対して債務を免除した場合にはCが、Cに対して債務を免除した場合にはBが、それぞれ500万円分の債務を免れる。Dが、Eに対して債務を免除した場合にはFが、Fに対して債務を免除した場合にはEが、それぞれ全額の債務を免れる。
重要なので重複して出題していますが、債権者Dが、連帯保証人Fに対して債務を免除しても、債務者Eは債務を免れません。よって誤りとなります。
【問】Aが、Bに対して履行を請求した効果はCに及び、Cに対して履行を請求した効果はBに及ぶ。Dが、Eに対して履行を請求した効果はFに及び、Fに対して履行を請求した効果はEに及ぶ。
これまた重要なので再度の出題ですが、改正民法により履行の請求は相対効となりました。よって誤りです。
【問】Bについて時効が完成した場合にはCが、Cについて時効が完成した場合にはBが、それぞれ500万円分の債務を免れる。Eについて時効が完成した場合にはFが、Fについて時効が完成した場合にはEが、それぞれ全額の債務を免れる。
改正民法により時効の完成も相対効となりました。よって誤りです。
【問】AB間の契約が無効であった場合にはCが、AC間の契約が無効であった場合にはBが、それぞれ1,000万円の債務を負う。DE間の契約が無効であった場合はFが、DF間の契約が無効であった場合はEが、それぞれ1,000万円の債務を負う。
主たる債務者Eの債務が無効であった場合は、連帯保証人Fの債務も無効となります。よって誤りとなります。
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