詐害行為取消権で押さえる宅建過去問

宅建過去問:「詐害行為取消権」の重要過去問を見ていきます。宅建試験での出題可能性は極めて低く(改正民法により少し重要度は上がっているかもしれません)、余裕がなければ完全スルーで問題ありません。。

詐害行為取消権の宅建過去問

Aは、Bに対する債権者であるが、Bが債務超過の状態にあるにもかかわらずB所有の甲土地をCに売却し所有権移転登記を経たので、民法第424条に基づく詐害行為取消権の行使を考えている。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。(2008年の宅建過去問 問5)

【問】対象となる詐害行為が行われた時点において、AのBに対する債権が、発生済みでかつ履行期が到来している場合でなければ、Aは詐害行為取消権を行使できない。

詐害行為取消権を行使するためには、詐害行為が行われた時点で被保全債権(AのBに対する債権)が発生していればよく、履行期が到来している必要はありません。よって誤りです。尚、詐害行為取消請求を行うことができるのは原則としてその債権発生よりも後に行われた行為となりますが、詐害行為後に生じた遅延利息等も被保全債権に含まれるという点は他の資格試験で頻出問題ですので覚えておくと良いことがあるかもしれません。

【問】Cが甲土地の購入時においてこの購入がBの債権者を害すべきことを知らなかったとしても、Bが売却時においてこの売却がBの債権者を害することを意図していた場合は、Aは詐害行為取消権を行使できる。

詐害行為取消権が成立するためには、受益者Cが行為時点で債権者Aを害すべき事実を知っていることが必要です。よって誤りです。ちなみに改正民法により「法律行為」が「行為」となり、債務の承認履行の請求など法律行為でなくとも債権者を害する行為であれば取消対象となっています。

【問】Bが甲土地の売却においてCから相当の対価を取得しているときは、Aは詐害行為取消権を行使できない。

現金にすることで財産を隠しやすくなる不動産の売却行為は、相当価格でなされた場合でも詐害行為に該当します。隠匿の可能性がある場合、通謀による担保供与があった場合等は詐害行為取消権の対象となります。よって誤りです。

【問】Aが取消権を行使できる場合でも、AはCに、直接自分に対して甲土地の所有権移転登記をするよう求めることはできない。

詐害行為取消権の行使により、債務者がした行為の目的が可分であるときは自己の債権額の限度において、金銭の支払または動産の引渡しを目的とする返還請求は直接自己にするよう求めることができますが、特定の債権者が返還物を独占することはできません(現物返還が困難であるときはその価額の償還請求も可能)。よって正しい肢となります。


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