宅建試験の民法解説:前ページの保証債務よりも保証人の責任が重くなる「連帯保証」をお送りします。連帯保証と言いましても、保証人が数人いるわけではありません。主たる債務者と連帯して債務を保証する、という意味です。つまり、主たる債務者と同じくらいの責任を負うということです。より詳しい解説はこちら→連帯保証の難問対策
- 連帯保証の宅建解説
よくドラマなどで、「人のいいおじさんが、誰かの保証人になって人生台無し!家庭崩壊!」なんて場面を見かけますが、この場合の保証人とは、だいたい連帯保証人のことです。と言いますか、実社会において「保証」といえば、ほぼ「連帯保証」を意味します。債権者の立場からすると、通常の保証人などいても無意味に等しいのです。では、連帯保証とはどういったものか見ていきましょう。
■保証と連帯保証の共通点
・契約当事者は、債権者と連帯保証人である!
・連帯保証も保証の一種であり、附従性、随伴性が認められる!
つまり、主たる債務者に生じた事由は、すべて連帯保証人にも効力を及ぼします。詳しくは前回の保証債務の附従性、随伴性の説明をご覧ください。また他に、連帯保証人となる資格についても、保証人の場合と同様です。
■保証と連帯保証の相違点
・連帯保証は補充性を有せず、連帯保証人は催告・検索の抗弁権をもたない!
これはすごく重要です。主たる債務者と連帯保証人は同列ということです。つまり、主たる債務者が期限にお金を返さない場合、債権者はただちに連帯保証人に請求することができ、さらに、主たる債務者の資力に関係なく連帯保証人の財産に強制執行することができるというわけです。
・連帯保証人間に、分別の利益は認められない!
同一の債務に対して、保証人が数人いる場合を共同保証といいます。各保証人は債務額を保証人の頭数で割った額についてのみ保証すればよく、これを分別の利益といいます。しかし、連帯保証人には、この分別の利益は認められません。連帯保証人が何人いようとも、各連帯保証人は主たる債務全額について保証の責任を負わなくてはいけません。つまり債権者は、連帯保証人が複数いる場合、誰に対しても主たる債務の全額を請求できるのです。
■連帯保証人に生じた事由の効力
通常の保証の場合、保証人について生じた事由の効力は、弁済などの主たる債務を消滅させる行為以外は、主たる債務者に影響を及ぼしません。しかし連帯保証人は、主たる債務者と同列で債務を保証しています。そこで連帯保証人に次の事由が生じた場合には、主たる債務者にも影響を及ぼします。
・連帯保証人による債務の履行(弁済・代物弁済など)
→主たる債務者の債務も消滅(通常の保証も同じ)
・債権者が、連帯保証人に対して履行の請求をした
→主たる債務者にも時効中断、履行遅滞の効果が発生
・連帯保証人と債権者との間での更改、相殺
→更改:新しい債務を成立させて、前の債務を消滅させること
・連帯保証人と債権者との間の混同
→弁済とみなされる
以上、「履行」「更改」「相殺」「混同」という4つのキーワードを、頭の中に叩き込んでおいてください。これ以外の連帯保証人について生じた事由は、主たる債務者に効力を及ぼしません。
最後に、知って得するとても重要な注意点です。連帯保証人が債務の承認をしても、主債務の時効には何の影響も与えません。しかし!連帯保証には附従性があります。逆に主たる債務者が債務を承認した場合には、連帯保証人にも時効の完成猶予や更新の効果が及ぶのですね。これは基本ですが、とても重要です。ひっかけ問題に注意してください!
連帯保証は怖いですね。本当に信用できる人からのお願いでないと、連帯保証人の判を押してはいけません。「金の切れ目は縁の切れ目」と言いますので、親しい人でも金銭のやり取りは慎重に!
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