宅建まちがい探し(抵当権と根抵当権)

宅建まちがい探し:権利関係のまちがい探しも終盤となり、民法の山場と言える抵当権と根抵当権」のまちがい探し問題を見ていきます。覚えることがいっぱいで難易度も低くありませんが、毎年必ず丸々4肢で1問の出題があると思ってください。時間の許す限り「分かりやすい民法解説」もご覧いただき、ここでは優先して覚えるべき事項をまとめておきます。

宅建まちがい探し:抵当権と根抵当権

以下、前提として「A=債権者で抵当権者、B=債務者で抵当権設定者」とします。


【問1】抵当権は、AとBの合意により設定登記を行うことで成立する。

【問2】抵当権の効力は、別段の定めがある場合を除き、抵当権設定当時の抵当不動産の従物には及ばない。

【問3】第三者の不法行為により抵当権を設定した建物が焼失し、Bがその損害賠償金を受領した場合、Aは、Bの受領した損害賠償金に対して物上代位をすることができる。

【問4】Aは、抵当権の実行として担保不動産の競売手続をする際に発生した賃料債権に対して物上代位をしようとする場合、被担保債権の弁済期が到来している必要はない。

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【問8】ー

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【問10】Bが、抵当不動産である更地に建物を築造後、土地についてのみCのために抵当権を設定し、その旨の登記をした場合、先順位のAの抵当権及び被担保債権が存続している状態でCの抵当権が実行されたときでも、当該建物について法定地上権が成立する。

【問11】Aは、更地に抵当権を設定した後、Bがその土地に建物を築造した場合、土地とともに建物を競売して、建物の競売代金からも優先弁済を受けることができる。

【問12】根抵当権は、根抵当権者が債務者に対して有する現在及び将来の債権をすべて担保するという内容で設定することができる。

【問13】ー

【問14】ー

【問15】元本の確定期日を定めなかった場合、根抵当権者は、根抵当権設定時より3年を経過したときに担保すべき元本の確定を請求することができ、請求の時より2週間後に担保すべき元本が確定する。


抵当権と根抵当権の宅建試験問題
すごいボリュームとなってしまいました。
しかも抵当権はややこしいですね…ひとまずこの15問はすごく重要です。

よく分からない箇所は現時点で考え込まず、宅建業法や法令制限の勉強が一通り終わり、権利関係の勉強に入ったときに「分かりやすい民法解説」と並行して計算問題なども含めじっくりとモノにしていってください。

以下、解説(全て×)です!


1:抵当権は、抵当権者(債権者)と抵当権設定者(債務者または物上保証人)の合意により成立し、登記や契約書は不要です。ただし、抵当権を第三者に対抗するには登記が必要となります。間違いキーワードは「設定登記」となります。尚、被担保債権が時効消滅した場合、抵当権も当然に時効消滅し、抵当権だけが存続することはありません逆に言えば、(抵当権設定者との関係では)被担保債権が時効消滅しない限り、抵当権だけが独立して時効により消滅することもありません(抵当権設定者以外との関係では20年で時効消滅)。

2:抵当権は、不動産・地上権・永小作権に設定することができ、別段の定めがある場合を除き、抵当不動産に付加して一体となっている物や抵当権設定当時の従物にも効力が及びます更に土地賃借人がその土地上に所有する建物に抵当権を設定した場合、原則として、その土地の賃借権にも効力が及びます抵当権設定時の従物には効力が及び、抵当権設定後の従物には効力が及ばない…しっかり区別しておきましょう。キーワードは「抵当権設定当時」となります。

3:抵当権は、目的物の売却や滅失等により債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても行使することができます(=物上代位)。火災保険に基づく損害保険金請求権も物上代位の対象となりますが、物上代位をするためには、払渡しまたは引渡しの前に差押えをする必要がありますよって抵当権設定者が賠償金を受領済みである本肢は物上代位をすることはできず、キーワードは「受領した損害賠償金」となります。

4:抵当権者は、賃料債権(果実)についても物上代位をすることができますが、抵当権の効力が果実に及ぶのは被担保債権につき債務不履行があった場合に限られますよって賃料の債務不履行=弁済期の到来以降となりますので、必然的に賃料債権に対して物上代位をするためには、被担保債権の弁済期が到来している必要があります抵当権者が物上代位により賃料債権を差し押さえた場合でも、権利を行使できるのは敷金が残存している範囲に限られる点にも注意してください。尚、抵当不動産が賃貸され、抵当権者が賃借人の賃料について抵当権を行使する場合は抵当権に基づき不動産を差押える前でも可能となりますのでひっかけに注意してください(=抵当権者が被担保債権を回収するには抵当権の実行 or 賃料債権への物上代位という2つの手段が認められ、並行することも可)。キーワードは「被担保債権の弁済期が到来している必要はない」となります。

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10:法定地上権の成立要件は以下の通りです。
抵当権設定時に、土地の上に建物が存在していたこと
抵当権設定時に、土地と建物が同一所有者に帰属していたこと
土地と建物の一方または双方に抵当権が設定されたこと
抵当権の実行により土地と建物の所有者が別々になったこと
この4つの要件は正確に覚えておいてください。法定地上権だけで丸々4肢を作れるほど様々なひっかけパターンがありますので、分かりやすい民法解説や過去問等でここはじっくり力を入れておきましょう。第一順位の抵当権設定時に更地だったのであれば、第二順位の抵当権設定時に土地上に建物があったとしても法定地上権は成立しませんキーワードは「更地」となります。

11:抵当権者は、更地に抵当権を設定した後に建物が築造された場合、土地とともにその建物も競売することができます(=一括競売)。ただし、その優先弁済権は土地の代価についてのみとなります。簡単ですが頻出問題ですのでしっかり覚えておいてください。キーワードは「建物の競売代金からも優先弁済」となります。尚、近年の法改正により「抵当権設定者が建物を築造」という要件が無くなり、誰が築造しても一括競売が可能となり、建物が第三者に譲渡された場合でも一括競売が可能となりました。優先弁済権は土地の代価のみというワンパターンの出題だった一括競売において、まだ出題されていない新しい出題ポイントと言えます

12:ここからは根抵当権です。特定の目的物を担保する抵当権に対し、一定範囲の不特定債権を極度額の限度において担保する抵当権=根抵当権となります。あくまでも一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するものであり、キーワードは「現在及び将来の債権をすべて」となります。

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15:元本の確定期日を定めなかった場合、
→ 根抵当権者はいつでも確定請求ができ、請求時に元本が確定します。
→ 根抵当権設定者は設定時から3年の経過で確定請求ができ、請求から2週間経過後に元本が確定します。
ここもしっかり区別しておきましょう。キーワードは「根抵当権者は」となります。尚、根抵当権設定者は元本の確定後、現に存する債務の額+以後2年間に生ずべき利息まで極度額を減額するよう請求することができます出題されたことはありませんが、根抵当権でも「2年間」という数字が出てくるこの知識は頭の片隅に入れておくと良いことがあるかもしれません。


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