宅建まちがい探し:今回は「不法行為」のまちがい探し問題を見ていきます。不法行為=他人の権利や利益を違法に侵害する行為ですね。出題パターンは決まっていて権利関係の中では覚えやすい得点源となります。
- 宅建まちがい探し:不法行為
【問1】Aの加害行為によりBが即死した場合、Bには事故による精神的な損害が発生する余地がなく、AはBの相続人に対して慰謝料についての損害賠償責任を負わない。
【問2】ー
【問3】ー
【問4】ー
【問5】被用者Bの不法行為が使用者Aの事業の執行につき行われたものであり、Aが使用者としての損害賠償責任を負担した場合、Aは負担した損害額の2分の1をBに対して求償することができる。
【問6】家屋の所有者Aは、家屋を囲う塀の設置工事を施工業者Bに請け負わせ、その後当該家屋をCに賃貸した場合において、Cが使用占有している状態でBの工事による瑕疵により塀が崩れ通行人Dが怪我をしたときでも、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていれば、Dに対する損害賠償責任を免れることができる。
【問7】ー
【問8】不法行為による損害賠償請求権の消滅時効の期間は、権利を行使することができることとなったときから10年である。
不法行為は常識的にも判断しやすい問題ばかりですね。
これだけ押さえておけば不法行為はバッチリでしょう。
以下、解説(全て×)です!
1:不法行為の被害者は、損害の発生と同時に損害賠償請求権を取得し、この損害賠償請求権は相続の対象となります。間違いキーワードは「即死」となります。尚、事故等による損害賠償請求権に限らず、名誉を毀損された者の精神的損害に対する慰謝料請求権等も相続の対象となります。
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5:上記4番の通り、被害者は使用者にも被用者にも損害賠償請求をすることができます。そして損害を賠償した使用者は被用者に、損害を賠償した被用者は使用者に対して「求償」を行うことができ、求償の範囲は信義則上相当と認められる限度となります。ここはもう少し細かい定義があるのですが、信義則上の相当額と覚えておけば大丈夫でしょう。2分の1と決められているわけではなく、キーワードは「2分の1」となります。尚、使用者が被害者に対して売買代金等の債権を有していれば、被害者は不法行為に基づく損害賠償債権で売買代金債務を相殺することもできます(=不法行為による債権を自働債権)。相殺で勉強しましたが、逆に不法行為に基づく損害賠償債権を受働債権は不可でしたね。相殺でも不法行為でも出題されますので、これはしっかり区別しておきましょう。
6:工作物責任ですね。当然ですが、出題ポイントは瑕疵についてABCの三者が過失なく知らない状況での責任問題となります。工作物の所有者(A)は無過失責任となり、損害発生防止に必要な注意をしていても責任を免れることはできません。工作物の占有者(C)は、損害発生防止に必要な注意をしていた場合は責任を免れることができます(→ 所有者の無過失責任となる)。つまり一次的には占有者が責任を負い、占有者が注意をしていたのであれば所有者が責任を負うことになります。しっかり区別しておきましょう。キーワードは「所有者Aは」となります。尚、請負人(B)は瑕疵について故意または過失がある場合のみ責任を負い、一部でも責任があれば、損害を賠償した所有者や占有者は施工業者に求償することができます。またAorC+Bの共同不法行為が成立する場合、その加害割合に関係なく、Dは損害の全額について各自に賠償を請求することができます。
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8:不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は、被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知ったときから3年(生命・身体の侵害による損害賠償請求権は5年)、もしくは不法行為のときから20年となります。3年、5年、20年は正確に覚えておいてください。特に「生命・身体の侵害による損害賠償請求権は5年」は改正民法による新規定なので要注意です。キーワードは「10年」となります。尚、不法行為に基づく損害賠償債務は、被害者が催告をするまでもなく、損害の発生と同時に履行遅滞に陥ります。
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