宅建まちがい探し(相殺)

宅建まちがい探し:今回は「相殺」のまちがい探し問題を見ていきます。前回の弁済と同じく債権債務を消滅させる手段ですね。弁済と同じくそれほど出題可能性は高くありませんが、簡単なので出題された場合は確実に取るべき得点源となります。

宅建まちがい探し!相殺

以下、前提として「お互いにAがB、BがAに金銭債権を有する場合」とします。


【問1】Aの債権について弁済期の定めがなく、Aから履行の請求がないときは、Bは、自己の債権の弁済期が到来しても、相殺をすることができない。

【問2】Bの債権につき弁済期が到来していれば、Aが同時履行の抗弁権を有していても、Bは、自己の債権を自働債権として相殺をすることができる。

【問3】ー

【問4】Aの債権が、Bの悪意による不法行為によって発生した損害賠償請求権である場合、Aは、当該債権をもってBに対して相殺をすることができない。

【問5】ー


相殺の宅建試験問題
相殺でちょっとやらしいポイントはこの辺りですね。

あとは「相殺の意思表示は相殺適状となったときに遡って効力を生じる」「相殺禁止特約も有効」など、すぐに覚えられることを分かりやすい民法解説」で確認しておいてください。

以下、解答(全て誤り)です!


1:相殺とは、一方の意思表示だけで成立します。「契約」ではなく一方の「意思表示」で足り、相手方の承諾等も不要ですが、その意思表示に条件や期限を付すことはできませんそして相殺を申し出た側の債権を自働債権、その意思表示を受ける側の債権を受働債権といいます。原則として両債権が弁済期にあることが相殺の要件となりますが、自働債権(BのAに対する債権)について弁済期が到来していれば、受働債権(AのBに対する債権)の弁済期が到来している必要はありません(期限の利益の放棄)。よってBは相殺することができ、間違いキーワードは「Bの債権の弁済期が到来しても」となります。

2:自働債権に同時履行の抗弁権が付着している(=相手方に抗弁権がある)場合に相殺を認めると、同時履行の抗弁権の存在意義がなくなってしまいます債務の履行を強制させるも同然ですので、常識的に考えて当然ですね。よってAが同時履行の抗弁権を有しているのであればBから相殺はできず、キーワードは「Aが同時履行の抗弁権を有していても」となります。

3:ー

4:悪意による不法行為に基づく損害賠償請求権や、人の生命または身体の侵害による損害賠償請求権について、加害者B側から相殺を主張することはできません。不法行為等により生じた債権を受働債権として相殺することは不可(Bの金銭債権を自働債権とすれば、Aの損害賠償請求権は受働債権となりますね)。これに対して被害者A側からの主張=不法行為による損害賠償請求権を自働債権として相殺することは可能となります。キーワードは「悪意による不法行為」となります。尚、ここでいう「悪意」とは法律用語の「知っていた」ではなく、本来の意味通り「悪い感情」を指します

5:ー

相殺ができるのは自働債権なのか受働債権なのか、相殺ができないのは自働債権なのか受働債権なのか、そこを意識してしっかり覚えておいてください!


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弁済 時効