宅建まちがい探し(時効)

宅建まちがい探し:今回は「時効」のまちがい探し問題を見ていきます。前回までの弁済、相殺よりも出題可能性は高いですが複雑となります。宅建業法等の勉強がある程度終わり、本格的に権利関係を始めましたら「分かりやすい民法解説」等で更に詰めていってください。

宅建まちがい探し!時効

【問1】A所有の甲土地の占有者がAからBへ移り、そしてBから期間を定めず甲土地を借りて利用していたCは、その占有が20年を超えれば、20年の取得時効を主張することができる。

【問2】ー

【問3】A所有の甲土地の占有者がAからBへ移り、Bが所有の意思をもって5年間占有し、CがBから土地の譲渡を受けて平穏かつ公然に5年間占有した場合、Cが占有の開始時に善意無過失であれば、Bが占有時に悪意であったときでも、Cは10年の取得時効を主張することができる。

【問4】債務の不履行に基づく人の生命または身体の侵害による損害賠償請求権は、権利を行使することができる時から10年間行使しないときは、時効によって消滅する。

【問5】ー

【問6】ー

【問7】ー

【問8】Aが、Bに対する金銭債権につき内容証明郵便により支払を請求したときは、その請求により消滅時効は更新される。

【問9】権利の承認があったときは、その時から新たに時効の進行が始まるが、権利の承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないことを要する。

【問10】ー


時効の宅建試験問題
借地借家法、区分所有法、不動産登記法は別枠として、「民法」の中では抵当権や無権代理に次いで面倒なところですが、ひとまずこれだけ知っておけばだいぶ正解に近づけるはずです。

以下、解答(全て誤り)です!


1:一定期間の経過により権利を取得することを取得時効といいます。取得時効は、所有の意思を持って(自主占有)、平穏かつ公然と20年間(占有開始時に善意無過失であれば10年)他人の物を占有することで成立します。本肢は1つ目の要件である自主占有が欠けていますのでCに取得時効は成立せず、間違いキーワードは「借りて利用していたCは」となります。

2:ー

3:上記1番の要件3つめの占有期間に関する補足問題です。「占有開始時に善意無過失であれば10年」は、Cではなく最初の占有者Bを基準とします。よってCは残りの5年で取得時効を主張することができず、キーワードは「Bが占有時に悪意」となります。尚、逆にBが占有開始時に善意無過失であれば、Cが悪意であっても通算10年で取得時効が完成します。更にBは「占有開始時」に善意無過失であれば、後から悪意となっても問題ありませんこの辺もよく出題されますので注意してください

4:一定期間の経過により権利が消滅することを消滅時効といいます。債権の消滅時効期間は、原則として「債権者が権利を行使できることを知ったときから5年」または「権利を行使できるときから10年」のどちらか早い時点となります。しかし「人の生命または身体の侵害による損害賠償請求権」については後者の10年が20年となります。ついでに不法行為による損害賠償請求権の消滅時効も「損害・加害者を知ったときから5年」または「不法行為のときから20年」のどちらか早い時点となります。時効は面倒ですね。ここはちょっと大変ですが、原則と2つの例外をしっかり押さえておいてください。キーワードは「10年」となります。

5:ー

6:ー

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8:文字通り、時効の完成猶予時効の成立期間が来てもその完成を猶予することですね。催告を行うと、そのときから6ヶ月を経過するまで消滅時効の完成が猶予されます(更新ではありません)。時効の完成猶予についてまとめておきます。

① 催告=6ヶ月を経過するまで完成猶予(催告による完成猶予中に再度の催告は無効
② 協議することを書面で合意=当事者間で決めた協議期間(1年未満)or 合意から1年 or 協議続行拒絶通知から6ヶ月のいずれか早い時点まで完成猶予(合意による完成猶予中に再度の合意も有効 ← 当初の完成時点から最長5年
③ 裁判上の請求=判決が確定するまで完成猶予(判決確定や和解で時効の更新訴えの取下げ等で判決が確定しなかった場合はその時点から6ヶ月の完成猶予

ここは①②③全て重要ですが、特に③の裁判上の請求がよく出題されますね。やっぱり時効は面倒ですが、気合で覚えておきましょう。キーワードは「更新される」となります。

9:文字通り、時効の更新時効を更新(リセット)することですね。初めからやり直しです。債務者が債権者の権利を承認することで、承認の時点から新たな時効の進行が始まります。そしてこの承認に特に要件はなく、制限行為能力者であっても承認することができます。キーワードは「行為能力の制限を受けていないことを要する」となります。尚、時効の完成後に債務を承認した場合(弁済した場合)は、仮に時効の完成を知らなかったとしても時効を援用することができなくなりますこちらの方が頻出問題です

10:ー


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相殺 請負