宅建まちがい探し(相続全般)

宅建まちがい探し:今回は「相続全般」のまちがい探し問題を見ていきます。相続の基本から遺言や遺留分、配偶者居住権まで一気に見ていきます。覚えやすい上にほぼ100%出題される権利関係の貴重な得点源ですので確実にマスターしておいてください。

宅建まちがい探し:相続全般

【問1】死亡したAに、配偶者B、養子C(Bとの婚姻前に縁組)、Bとの間の実子D(Aの死亡より前に死亡)、Dの実子E及びFがいる場合、BとCとEとFが相続人となり、それぞれの法定相続分はいずれも1/4となる。

【問2】配偶者のいないAに3人の子BCDがおり、Aが死亡した際、BCは存命であったがDは既に死亡し、その死亡したDには2人の子EFがいた場合、BとCとEとFが相続人となり、Eの法定相続分は1/4となる。

【問3】相続人が、相続財産である甲建物の賃借人に対し未払賃料の支払いを求め、これを収受領得した場合でも、単純承認をしたものとみなされることはない。

【問4】被相続人の子が、相続の開始後に相続放棄をした場合、その者の子がこれを代襲して相続人となる。

【問5】共同相続人は、既に成立した遺産分割協議については、その全部または一部を全員の合意により解除した上、改めて遺産分割協議を成立させることができない。

【問6】所有権の登記名義人について相続の開始があり、所有権を取得した者は、自己のために相続があったことを知った日から3ヶ月以内に所有権移転登記をしなければならない。

【問7】遺言は、満18歳に達すれば法定代理人の同意がなくてもすることができ、家庭裁判所の検認手続を経なくてもその効力を生ずる。

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【問10】ー

【問11】ー

【問12】被相続人の死亡前でも、法定相続人の一人が書面で遺留分を放棄する旨の意思表示をした場合、その意思表示は有効となる。

【問13】ー

【問14】ー

【問15】ー


相続全般の宅建試験問題
一気にまとめましたのでかなりのボリュームとなりましたが、難しいところはないはずです。

ひとまず主要知識はこの辺ですが、
覚えやすいところですので分かりやすい民法解説等もご覧いただき、余裕がある限りどんどん肉付けもしていってください。

以下、解説(全て×)です!


1:法定相続人が複数いる場合、まずは配偶者が相続人となります。配偶者は誰よりも強いのです。これは絶対に覚えておいてください。そして配偶者にプラスして、

→ 子や孫などの直系卑属(第1順位)、
→ 配偶者+父母や祖父母といった直系尊属(第2順位)、
→ 配偶者+兄弟姉妹や甥や姪(第3順位)

の順番で相続人となることができ、法定相続分は、配偶者と直系卑属=1:1配偶者と直系尊属=2:1配偶者と兄弟姉妹=3:1となります。子供がいれば両親や兄弟は法定相続人となることができません子供はいないけど父母のどちらかがいれば兄弟は法定相続人となることができません

遺産が1200万円だったとして、
配偶者と子供が一人ならば600万円ずつ、
配偶者と子供が二人ならば配偶者は600万円で子供は300万円ずつ、
配偶者と両親がいれば配偶者は800万円で両親は200万円ずつ、
配偶者と兄と妹がいれば配偶者は900万円で兄と妹は150万円ずつということです。

この辺の計算は過去問等で練習して慣れておいてください。よって本肢はB1/2、C1/4、E1/8、F1/8となり、間違いキーワードは「いずれも1/4」となります。尚、実子・養子・嫡出子・非嫡出子の法定相続分は同じですが、半血の兄弟姉妹の法定相続分は全血の兄弟姉妹の半分となります。

2:上記1番でさり気なく出てきていた「代襲相続」の補足です。被相続人の子や兄弟姉妹が相続の開始以前に死亡していた場合、その者の子である(被相続人の)孫や甥姪が代襲して相続人となることができますここでの注意点は、直系卑属はどこまでも代襲相続されます(子の子の子…もOK)が、兄弟姉妹の場合は甥や姪までに限るという点です。甥や姪の子は代襲相続の対象となりませんので注意してください。法定相続分はBCDが各1/3で、Dの分を更にEFで分けるので、EとFの法定相続分は1/6となりますね。キーワードは「1/4」となります。

3:相続財産の全部または一部を処分したとき(保存行為を除く)相続開始を知って3ヶ月以内に限定承認または相続放棄をしないとき相続財産を隠匿または消費したときは、単純承認をしたものとみなされます。相続財産となる賃料の収受領得は相続財産の一部処分に該当し、単純承認をしたものとみなされ、キーワードは「未払賃料の支払いを求め、これを収受領得した」となります。保存行為は除かれますので不法占拠者への明渡請求などは単純承認とならない点、相続開始から3ヶ月ではなく相続開始を知ったときから3ヶ月である点はひっかけポイントですので注意してください。尚、限定承認は「相続人の全員が共同して行う」という点を覚えておいてください。共同相続人の一人は限定承認、他は単純承認ということは認められません。

4:代襲相続は、相続人の死亡、欠格事由、相続廃除があった場合に認められます。相続放棄は代襲相続の対象とならず、キーワードは「相続放棄」となります。尚、相続放棄は相続人が相続開始を知ったときから3ヶ月の熟慮期間内に家庭裁判所へ申述することによって行い、相続開始前(被相続人の生前)に前もって放棄しておくことはできません下記の遺留分と比較)。また一度した相続の放棄や承認は、原則として撤回することができない点も覚えておきましょう。

5:遺産分割協議の成立後でも、共同相続人全員の同意により解除することができ、改めて遺産分割協議を成立させることも可能です。キーワードは「改めて遺産分割協議を成立させることができない」となります。尚、被相続人は遺言により相続開始から5年を超えない期間を定めて遺産の分割を禁止することができ、共同相続人はその期間を経過するまで原則として遺産の分割ができなくなりますしかし共同相続人間の協議により遺産の分割を禁止した場合は、分割禁止期間内でも共同相続人全員の合意があれば遺産の全部または一部の分割をすることができますまた各共同相続人は、分割協議が調わないときは、その分割や分割禁止を相続が開始された地の家庭裁判所に請求することもできます。

6:昨年の法改正ホヤホヤ問題です。所有権の登記名義人について相続の開始があり、所有権を取得した者は、自己のために相続があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に所有権移転登記をしなければなりません。ここは相続があったことを知り、かつ、所有権を取得したことを知る2つの要件があり(要注意)、3ヶ月ではなく3年で、キーワードは「相続があったことを知った日から」「3ヶ月」となります。相続人に対する遺贈も同様で、正当理由なく登記申請を怠った場合は10万円以下の過料に処せられます。

7:遺言は、満15歳に達すれば法定代理人の同意がなくてもすることができますキーワードは「18歳」となります。下記8番で検認が必要な遺言と不要な遺言が出てきますが、家庭裁判所による遺言書の検認は、遺言の書換え防止等の手続に過ぎず、遺言自体の効果とは無関係となります。

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12:遺留分の放棄は、相続開始後であれば自由に、相続開始前であれば家庭裁判所の許可を受けることで可能となります。家庭裁判所の許可が必要であり、キーワードは「書面」となります。相続放棄と異なり、相続開始前でも家庭裁判所の許可があれば放棄ができるという点に注意してください。また遺留分を放棄しても相続人の地位はそのままとなります。尚、遺留分侵害額請求権は、相続が開始され遺留分を侵害する遺贈等があったことを知ったときから1年、または相続開始から10年以内に行使しないと時効により消滅します。

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新しい法律である配偶者居住権はまだまだ出題されてないポイントがいっぱいですので、過去問だけでなく、分かりやすい民法解説もしっかりご覧になっておいてください。


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