宅建まちがい探し(使用貸借と消費貸借)

宅建まちがい探し:今回は「使用貸借と消費貸借」のまちがい探し問題を見ていきます。たまーに出題される使用貸借を、ほとんど出題されませんが改正民法で少し出題可能性が上がったかもしれない消費貸借と比較しながら見ていきましょう。

宅建まちがい探し:使用貸借と消費貸借

【問1】使用貸借契約は、現物の引渡しを要する要物契約であり、消費貸借契約は、当事者の意思表示の合致により成立する諾成契約となる。

【問2】使用貸借契約における借主は、借り受けた建物につき通常の必要費を支出した場合、貸主に対し、直ちにそれを償還するよう請求することができる。

【問3】使用貸借契約は、目的物の引渡し前であれば、貸主と借主のどちらも自由に契約を解除することができる。

【問4】使用貸借契約の期間満了時において、貸主の返還請求に正当事由がない場合、使用貸借契約は従前と同一の条件で更新され、借主は、当該目的物を無償で借り受けることができる。

【問5】使用貸借契約は、賃貸借契約と同様に、貸主または借主が死亡したときはその地位が相続され、当然に契約が終了することはない。

【問6】使用貸借契約の貸主Aが貸借の目的物である建物を第三者Cに売却し、その旨の所有権移転登記を行った場合、Aによる売却の前に借主Bがこの建物の引渡しを受けていたときは、Bは使用貸借契約をCに対抗することができる。


使用貸借と消費貸借の宅建試験問題
今回は覚えることが少なめですね。
出題可能性は低いですが、出題された場合は確実な得点源としておきましょう。

ここはサービスとして全問公開しておきます。

以下、解説(全て×)です!


1:使用貸借契約は貸主と借主の意思表示のみで成立する諾成契約です。改正民法前は要物契約でしたが、完全に諾成契約となりましたのでご注意ください逆に消費貸借は要物契約のまま(原則)で、書面によれば諾成契約も可能となっています。使用貸借は口頭でも可能な諾成契約、消費貸借は原則要物契約で書面によれば諾成契約も可能です。ややこしいのでしっかり区別しておいてください。間違いキーワードは「要物契約」となります。

2:賃貸借と異なり、使用貸借の貸主に目的物の修繕義務はなく、借主は通常の必要費を負担しなければなりませんタダで借りているのだからそれくらい負担してくれ!ということですね(貸主には特定状態で引き渡すという担保責任はあります)。キーワードは「必要費を償還」となります。尚、金銭の貸借である消費貸借で修繕や必要費という概念を考える必要はなく(厳密には金銭に限らないのですが深追い禁止)、消費貸借では「利息」について押さえておきましょう(無償の使用貸借は利息なし)。消費貸借における利息は、特約がある場合に限り、借主は目的物を受け取った日以降の利息を支払う必要があります

3:使用貸借契約が口頭による合意の場合、目的物の引渡し前であれば、貸主も借主も自由に契約を解除することができますしかし書面による合意の場合は、目的物の引渡し前に貸主からの一方的な解除は不可となります。キーワードは「どちらも自由に」となります。尚、原則として要物契約である消費貸借の場合は目的物の引渡し前の解除について考える必要はありませんが、諾成契約となる書面による消費貸借の場合は使用貸借と同様、借主はいつでも、貸主は事情があれば解除できると覚えておけば大丈夫です。

4:賃貸借と異なり、使用貸借に契約の更新は存在しません使用貸借期間の定めがある場合は期間の満了により契約は終了し、使用貸借期間の定めがない場合は使用収益を終えれば契約は終了します。よって借主からは期間満了前でも「もう返すよ」といつでも契約解除が可能となります。貸主からの契約解除の申入れは、期間の定めがある場合はできないことはもちろん、貸借の目的を定めていた場合は使用収益に足りる期間を経過している必要があります。キーワードは「更新」となります。尚、消費貸借の契約解除(目的物の返還)時期は、借主はいつでも返還可能、貸主は期間の定めがある場合はその時期に従い、期間の定めがない場合は相当期間を定めて催告する必要があります

5:賃貸借契約は貸主の死亡時も借主の死亡時も相続の対象となりますが、使用貸借契約においては貸主の地位のみが相続対象となり、借主の死亡により使用貸借契約は終了します。キーワードは「借主」となります。尚、消費貸借契約は貸主借主どちらの死亡も相続の対象となります

6:賃貸借契約であれば賃借権の登記や建物の引渡しにより第三者に対抗できますが、タダで借りている使用貸借契約に対抗要件は存在しません借主Bが新たな所有者Cに対抗する手段はなく、Cが明渡しを請求すれば返還することを要し、キーワードは「対抗することができる」となります。尚、使用貸借の借主は目的物を貸主の承諾なく転貸することはできず、無断転貸があった場合に貸主は契約を解除することができる点は賃貸借と同じですが、賃貸借と異なり「賃貸人に対する背信的行為と認められない場合は解除不可」という規定はありませんかなり細かいですが頭の片隅に入れておいてください。消費貸借の譲渡や転貸は…さすがに出題可能性が低すぎますので省略しておきます。


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