宅建まちがい探し:今回は「賃貸借契約」のまちがい探し問題を見ていきます。丸々2問出題されて超重要な借地借家法の前提知識となるところです。民法上の賃貸借も高確率で出題されますので、しっかり押さえておいてください。
- 宅建まちがい探し:賃貸借契約
【問1】動産の賃貸借契約は、当事者の合意があれば効力を生じるが、不動産の賃貸借契約は、書面により契約を締結しなければ無効となる。
【問2】Aが所有している土地を平置きの駐車場用地として利用しようとするBに賃貸した場合、AB間の土地賃貸借契約の期間は、AB間で60年と合意すれば60年となる。
【問3】Aが所有している土地を資材置き場として利用しようとするBに賃貸した場合、Bは、当該土地が第三者Cに売却された場合に賃借人であることをCに対抗する方法はない。
【問4】ー
【問5】ー
【問6】ー
【問7】Aが所有する建物をBが家賃10万円で賃借し、BがAの承諾を得て当該建物をCに家賃15万円で転貸した場合、Aは、Cに対して直接15万円の賃料の支払を請求することができる。
【問8】Aが所有する建物をBが賃借し、BがAの承諾を得て当該建物をCに転貸した場合において、AとBが賃貸借契約を合意解除したときは、BC間の転貸借契約も特別の事情がある場合を除き当然に終了する。
【問9】ー
【問10】ー
【問11】ー
【問12】敷金返還請求権は、賃貸借契約と不可分であり、賃借人は、賃貸人の承諾があったとしても、これを賃借人の債権者に対して担保提供することができない。
さすがになかなかのボリュームとなってしまいました。
ちょっと大変ですが、これだけ押さえておけば賃貸借で1点+2問出題される借地借家法もマスターしやすくなりますので、ここは頑張って覚えておきましょう。
以下、解説(全て×)です!
1:レンタルショップからCDなどの動産を借りるのも、不動産屋からアパートの一室などの不動産を借りるのも、どちらも当事者による口頭の合意のみで成立する諾成契約です。契約書を作成するのは事後の紛争を防ぐ手段に異なりません。間違いキーワードは「書面」となります。尚、借地借家法で出てくる定期建物賃貸借、取壊し予定の建物賃貸借、一般定期借地権は書面が必要で、事業用定期借地権は公正証書が必要となります(借地借家法で詳しく見ていきます)。
2:民法上の賃貸借契約の存続期間の上限は50年で、それより長い期間を定めた場合の存続期間は50年となります。よってキーワードは「60年」となります。尚、駐車場ではなく建物を建てて利用する目的の場合=借地借家法の借地権は最短が30年となり、最長期間の制限は無くなります(=60年も可)。借地借家法が絡んでくるとややこしくなりますので、少しずつ整理していきましょう。
3:民法上の賃借人は、賃借権を登記しておくことで第三者に対抗することができます。キーワードは「対抗する方法はない」となります。尚、資材置き場ではなく建物を建てて利用する目的の場合=借地借家法の借地権は、賃借権の登記だけでなく、借地上に登記された建物を所有することでも第三者に対抗することができます。そして建物賃貸借であれば建物の引渡しを受けるだけで第三者に賃借権を対抗することができます。
4:ー
5:ー
6:ー
7:まず賃借した建物自体の転貸なので、BはAの承諾が必要ですね。上記6番としっかり比較しておきましょう。そして転借人は賃貸人に対して直接の義務を負います。よって賃貸人AはBが賃料を支払わないときなど転借人Cに対して直接賃料を請求することができますが、その範囲は賃借料と転借料で少ない方の額に限られます(=10万円)。よってキーワードは「15万円」となります。AはCに直接請求できる!正しい肢だ!と飛びつかないようにしましょう。宅建試験では単純問題ほど二重のひっかけが隠されています。
8:賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有する場合を除き、賃貸借契約の合意解除により転貸借契約は終了しません。キーワードは「合意解除」となります。尚、賃借人に債務不履行があり賃貸借契約を解除した場合は、転貸借契約も当然に消滅します(=即終了)。この場合、賃貸人は賃貸借契約の解除について賃借人にのみ催告すれば足り、そして転借人に対して賃料の支払機会を与える義務もありません。賃貸借契約が期間満了や解約申入れにより終了する場合は転借人への通知が必要で、通知の日から6ヶ月経過時に転貸借契約が終了する点とも比較しておいてください。
9:ー
10:ー
11:ー
12:賃貸借契約と敷金契約は別個の契約で、賃借権とは別に敷金返還請求権のみを担保に提供することができます。キーワードは「賃貸借契約と不可分」となります。明渡義務が先履行となり、賃貸人は賃貸物の返還を受けるまで敷金の返還を拒むことができる点(=賃借物の明渡しと敷金返還は同時履行の関係に立たない)、賃貸人は、未払賃料がある場合に敷金をその債務の弁済に充てることができる点(賃借人から敷金を弁済に充てるよう請求すること不可)も覚えておいてください。この2つも頻出問題です!尚、賃貸人Aに変更があった場合、敷金返還債務は当然に譲受人Cに承継され、賃借人Bに変更があった場合、敷金返還請求権は転借人Dに承継されません。これも割と重要です。
宅建まちがい探し一覧ページに戻る
<<< 前のページ <<< | >>> 次のページ >>> |
---|---|
不法行為 | 使用貸借と消費貸借 |