宅建まちがい探し:今回は「債務不履行」のまちがい探し問題を見ていきます。丸々1問や肢の一つであちこちに混ざってくるところです。民法を学ぶ上での土台としてもしっかりマスターしておきましょう。
- 宅建まちがい探し!債務不履行
【問1】債務の履行について不確定期限がある場合、債務者は、その期限が到来したことを知っていても、履行の請求を受けたときから遅滞の責任を負う。
【問2】売買契約の成立後、引渡し前に目的物である建物が売主の責に帰すべき火災により滅失した場合、有効に成立していた売買契約は、売主の債務不履行によって無効となる。
【問3】債権者は、債務の不履行によって通常生ずべき損害のうち、契約締結当時、両当事者がその損害発生を予見していたものに限り賠償請求できる。
【問4】債権者が目的物の引渡しを受けることを理由なく拒否したため、その後の履行の費用が増加したときでも、その増加額は債権者と債務者が等しい割合で負担しなければならない。
【問5】損害賠償額の予定をした場合でも、債権者は、実際の損害額が予定額より大きいことを証明すれば予定額を超えて請求することができる。
【問6】債務の不履行について債権者に過失があるときでも、債務者から過失相殺する旨の主張があったときに限り、裁判所は、損害賠償の責任及びその額を定めるに当たり債権者の過失を考慮することができる。
【問7】債権者と債務者の間で利息の発生について合意していても、利率について別段の定めがない場合、債権者は、利息を請求することができない。
単体の「債務不履行」として押さえておくべきはこんなところですかね。
1番の履行遅滞の起算点と、3番の債務不履行の効果は必ず押さえておいてください。
あちこちに絡んできます。
以下、濃い目に解説(全て×)です!
1:ー
2:債務の履行が契約その他の債務の発生原因および取引上の社会通念に照らして不能となること=履行不能ですね。履行不能には原始的不能(契約成立時には不能だった)と後発的不能(契約成立後に不能となった)がありますが、改正民法により同じ扱いとなっています。天災等の理由で両者に帰責事由がなければ売主に引渡義務はなく、買主に代金支払義務もありません。滅失について売主に帰責事由があるのならば、履行不能を理由として買主は損害賠償を請求することができ、更に催告不要で契約を解除することができます。
金銭の支払で履行不能とはなり得ません(常に履行遅滞)ので、宅建試験対策としては建物が天災で滅失or売主の責任で滅失の2パターンを覚えておけば大丈夫ですが、買主に帰責事由があるのならば、もちろん買主は代金の支払いを拒むことができず、買主から契約解除をすることもできません。売買契約以外(請負等)の履行不能は、それぞれ個別に解説していますのでそちらをご参照ください。原始的でも後発的でも履行不能により契約が無効とはならず、キーワードは「債務不履行によって無効」となります。
3:通常損害は予見の有無によらず賠償請求することができ、特別損害は当事者が予見すべき範囲(=予見していた範囲に限らず予見可能性があった範囲)で賠償請求することができます。キーワードは「損害発生を予見していたものに限り」となります。債務者の履行不能によって生じた損害賠償義務の消滅時効は、本来の債務の履行を請求し得るときから進行を始める点にも注意してください。
尚、売主の債務不履行の効果として、買主は「損害賠償請求」「履行追完請求」「代金減額請求」「契約解除」をすることができますが、損害賠償請求は売主に帰責事由が必要で、買主に帰責事由があっても可能となり、その他の3つは売主に帰責事由は不要で、買主に帰責事由があると不可となります。上記2番でも触れましたが、金銭債務の不履行について債務者は不可抗力をもって抗弁とすることができませんので、金銭債務の不履行については、債権者は損害の証明をすることなく損害賠償請求をすることができます。ここまで応用できればバッチリです。
4:債権者が債務の履行を受けることを拒み、または受けることができない状態=受領遅滞ですね。通常は契約時に費用負担の合意を行いますが、民法上の原則は売買契約に関する費用は半額ずつ(弁済費用は債務者負担と区別)となっています。しかし債権者の受領遅滞によって履行の費用が増加した場合、その増加額は債権者が負担します。当然ですね。キーワードは「債権者と債務者が等しい割合で負担」となります。
受領遅滞の出題可能性は低いですが、債権者の受領遅滞中に、
→ 当事者双方の帰責事由なく履行不能となった場合は債権者に帰責事由ありとなる点、
→ 債務の目的が特定物の引渡しだった場合、債務者の善管注意義務が自己の財産に対するのと同一の注意義務に緩和される点、簡単なこの2つは頭の片隅に入れておくと良いことがあるかもしれません。
5:あらかじめ債務不履行があったときの損害賠償額を決めておくことで、債権者は債務不履行があったことを主張・立証するだけ(実際の損害発生や損害額の立証は不要)で予定の賠償額を受領することができ、債務者は債務不履行の不成立を主張・立証するだけで免責が可能となります。受領できるのは予定額であり、キーワードは「予定額を超えて請求することができる」となります。
損害賠償額の予定は単体でそこそこ出題されますので、軽くインプリ風に覚えておきましょう。
・損害賠償額の予定は、【契約と同時】にする必要はない!(=いつでも可能)
・損害賠償額の予定は、【金銭以外】でもすることができる!
・損害賠償額の予定がある場合でも、裁判所はその額を【増減】することができる!
・損害賠償額の予定がある場合でも、【債権者の過失】が考慮される!(過失相殺)
・損害賠償額の予定がない場合、【損害額を証明】して実際の損害額を請求することができる!
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