宅建まちがい探し:今回は「連帯債務と連帯債権」のまちがい探し問題を見ていきます。宅建試験での出題可能性は前ページの保証よりも低めで、2020年の改正民法による新設規定である連帯債権はまだ一度も出題されていません。出題されるとすれば連帯債権だけで丸々4肢というより連帯債務と絡めてくると思いますので、まとめてやっつけておきましょう。
- 宅建まちがい探し!連帯債務と連帯債権
【問1】AとBが、共同でCから土地を2,000万円で購入し、代金の負担部分を1,000万円ずつと定めていた場合、AはCから2,000万円請求されても1,000万円を支払えばよい。
【問2】ー
【問3】AとBが、Cと売買契約を締結し、連帯してその代金を支払う債務を負担している場合において、Cが死亡し、Aが相続人としてその代金債権を承継しても、Bの代金支払債務は消滅しない。
【問4】ー
【問5】ー
【問6】AとBが、Cと売買契約を締結し、連帯してその代金を支払う債務を負担している場合において、Aのために時効が完成したときは、BのCに対する連帯債務も時効によって消滅する。
【問7】AとBが、Cに対し連帯して200万円の金銭債権を有している場合において、Aが100万円の債務を免除したときでも、Bは200万円の支払を請求することができる。
問3~6の絶対効・相対効は確実に区別しておいてください。
連帯債権は問7を押さえておけば高確率で得点できるはずです。
以下、解説(全て×)です!
1:数人で連帯して債務を負担する場合、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、または同時もしくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部または一部の履行を請求することができます。そして連帯債務者に負担部分はなく、債権者Cから2,000万円請求された場合、連帯債務者の一人はその全部を支払わなければなりません。間違いキーワードは「1,000万円」となります。
2:ー
3:一人の連帯債務者に生じた事由が他の連帯債務者に影響を与える(=絶対効)ものとして、履行・更改・混同があります。履行は弁済等で、更改とは従前の債務に代えて新たな債務を発生させる契約をすることで従前の債務を消滅させる行為を言い、本肢のケースは混同となります。混同とは債権債務が同一人に帰属したことでその債権債務が消滅することを言い、連帯債務者の一人と債権者に混同があった場合も当該権利義務が消滅します。よって他の連帯債務者Bの債務も消滅し、キーワードは「Aが相続人としてその代金債権を承継」となります。
4:ー
5:ー
6:連帯債務者の一人のために時効が完成した場合でも、他の連帯債務者の債務に影響を及ぼしません。キーワードは「時効が完成」となります。尚、連帯債務者の一人に行った履行の請求(時効の完成猶予)も他の連帯債務者には効力を生じません。一人の連帯債務者に生じた事由が他の連帯債務者に影響を与えない(=相対効)ものとして、免除・時効の完成・履行の請求・権利の承認あたりを覚えておいてください(相対効であっても、当事者の意思表示で絶対効とすることもできます)。
7:AとBがそれぞれ100万円をCに貸した場合、本来はそれぞれ100万円ずつしか返済を請求できませんが、AもBも200万円を請求できるようにする方法=連帯債権です。各債権者は、全ての債権者のために全部または一部の履行を請求することができ、債務者は、全ての債権者のために各債権者に対して履行をすることができます(=CはAorBのどちらかに200万円を返すことも可)。そして連帯債権における絶対効として、履行(弁済、相殺)・更改・混同・免除を覚えておいてください(厳密には履行の請求も絶対効)。まだ出題されていない連帯債権でひとまず出題されるとしたらここだけと言っても過言ではなく、特に連帯債務では相対効だった免除が絶対効である点は激アツです。よってAが100万円を免除した場合、Bは残り100万円の請求しかできず、キーワードは「免除」となります。
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