宅建まちがい探し(契約の解除)

宅建まちがい探し:今回は「契約の解除」のまちがい探し問題を見ていきます。今まで様々な契約をお伝えしてきましたが、そのまとめ+もう少し詰めて詳細を見ていきます。契約解除だけで丸々4肢が出題される可能性は低めですが、あちこちに絡んできますのでとても重要です。

宅建まちがい探し!契約の解除

【問1】売主は、売買契約において買主の責任による債務不履行があった場合に限り、当該契約を解除することができる。

【問2】ー

【問3】賃貸借契約において、賃貸人が賃借人との間の信頼関係を破壊し、賃貸借の継続が著しく困難となった場合であっても、賃貸人が当該契約を解除するためには催告が必要となる。

【問4】ー

【問5】ー

【問6】ー

【問7】解約手付の契約は、売買契約と同時に締結しなければ、効力を生じない。

【問8】買戻しの特約は、売買契約による所有権の移転登記後においてもすることができる。


契約解除の宅建試験問題
とりあえず契約の解除で補足すべき事項はこのくらいですかね。

請負契約は、請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して解除できる、
委任契約は、各当事者がいつでも解除できる(やむを得ない場合を除き相手方に不利な時期なら賠償が必要)
…などなど、個別規定はそれぞれの項目でチェックしておいてください。

以下、少し詳しめに解説(全て×)です!


1:契約の解除は、一方の当事者の意思表示により行うことができます(いつでも一方的に解除できるという意味ではなく、原則として解除すべき根拠が必要となります)。債務者の帰責事由は不要で、ただし債権者に帰責事由がある場合は不可となります。従来は債務者に帰責事由が必要でしたが、改正民法によりシンプルに「履行できるかどうか」が着眼点となっています損害賠償請求は債権者に帰責事由があっても可、債務者の帰責事由は当然必要でしたね。逆ですのでご注意ください。間違いキーワードは「買主の責任による債務不履行」となります。債務者に帰責事由は不要…まだ出題されていないすごく重要な改正民法ですので絶対に覚えておきましょう。そしてもう一つ、こちらは既に出題済みですが、「債務不履行がその契約および取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、解除することができない」とされています。軽微な場合は解除不可、必ず覚えておきましょう。

2:ー

3:上記2番の通り、原則として相当期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないときでなければ契約の解除をすることができません。しかし明らかに催告が無意味であるときにも催告が必要というのは二度手間なので、

① 債務の全部が履行不能であるとき、
② 債務の全部について債務者が履行を拒絶する意思を明確に表示したとき、
③ 債務の一部が履行不能(履行拒絶)で残存部分のみでは契約目的を達成できないとき、
④ 特定の日時や期間内に履行しなければ契約の目的を達することができないとき
⑤ 債権者が催告をしても履行される見込みがないことが明らかなとき

この場合は、催告不要で契約を解除することができます②と⑤は改正民法での追加事項ですので特に注意が必要で、③も改正民法により一部契約解除が有効となっています。キーワードは「信頼関係を破壊し、賃貸借の継続が著しく困難となった」となります。

4:ー

5:ー

6:ー

7:上記の通り、原則として契約解除は相手方の履行が行われないことが前提となりますが、そんなことは関係なしに「買主は手付を放棄し、売主は手付の倍額を償還して契約を解除することができる」という契約を定めておくこともできます。これを解約手付といい、手付契約は売買契約と別個の契約であり、売買契約と異なる時期に締結することも可能となります。

手付契約は、売買契約と異なる時期に締結することができる
・手付の額は僅少でも構わない
買主は手付を放棄し、売主は手付の倍額を償還して契約を解除する
・手付解除ができるのは、相手方が履行に着手するまで
・手付解除により相手方は損害賠償請求をすることはできない
・宅建業者が自ら売主である場合、交付された手付は解約手付とみなされる(買主が非宅建業者)

手付についてはこの辺りを押さえておけば大丈夫でしょう。キーワードは「売買契約と同時」となります。

8:解約手付と同じく特殊な契約解除として「買戻し特約」というものも存在します。売主が不動産を売却する場合に、後日買主が支払った代金(別段の合意があれば、その額が優先 ← 改正民法)および契約費用を買主に返還して、売買契約を解除するという特約です。買戻し特約は不動産に限り、売買契約と同時に行う必要があります。ここは手付と異なりますので、きちんと比較しておいてください。キーワードは「売買契約による所有権の移転登記後」となります。買戻し特約の出題ポイントとして、

買戻し特約は不動産に限り、売買契約と同時に行う
売買契約と同時に登記をすることで第三者にも対抗できる
・買戻し期間は10年を超えることはできない(10年以上を定めたら10年に短縮)
・買戻し期間を定めなかったときは5年とみなされる
・一度定めた買戻し期間を後から伸長することはできない
・買戻しの際、利息を支払う必要はない(利息を支払う特約は有効)

この辺りを押さえておけば大丈夫ですが、令和5年のホヤホヤ改正点として買戻し特約の登記は、その特約がされた売買契約の日から10年を経過したときは、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができるこれも念のため押さえておきましょう。そこそこ出題可能性高めだと思います。


宅建まちがい探し一覧ページに戻る
<<< 前のページ <<< >>> 次のページ >>>
相隣関係 同時履行