宅建まちがい探し(契約の解除)

宅建まちがい探し:今回は「同時履行の抗弁権」のまちがい探し問題を見ていきます。前ページの契約解除でも出てきた同時履行の抗弁権をまとめて整理しておきましょう。契約の解除は複雑でしたが、同時履行の抗弁権はシンプルで常識判断でも理解しやすいと思います。

宅建まちがい探し!同時履行の抗弁権

【問1】ー

【問2】ー

【問3】ー

【問4】賃貸借契約が終了した場合、建物明渡義務と敷金返還義務とは同時履行の関係にあり、借主は、敷金の支払と引換えにのみ建物を明け渡すと主張することができる。

【問5】金銭消費貸借契約の貸主が、借主の借金に係る抵当権設定登記について、その抹消登記手続の履行を提供しない場合、借主は、当該借金の弁済を拒むことができる。

【問6】金銭消費貸借契約の借主が、弁済にあたり貸主に対して債権証書を請求したが、貸主がこれを交付しないときは、その交付がなされるまで弁済を拒むことができる。

【問7】目的物の引渡しを要する請負契約における目的物引渡義務と報酬支払義務では、請負人による目的物引渡義務が先履行となる。


同時履行の抗弁権の宅建試験問題
例えば売買契約において、
売主「お金を払わないと商品は渡さないよ」
買主「商品を渡さないとお金は払わないよ」

これが同時履行の抗弁権ですね。
両者の関係が「対等」か、どちらかが先に履行を行うべきか、常識的に考えれば納得できる問題ばかりです。

以下、解説(全て×)です!


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4:賃貸借契約の終了における建物明渡義務と敷金返還義務は同時履行の関係に立たず、建物の明渡しが先です。建物(部屋)の原状が分からないのに先に敷金を返せなんておかしな話ですよね。これはシンプルによく出題され、同時履行の抗弁権で最も出題されると言えます。キーワードは「建物明渡義務と敷金返還義務」(同時履行の関係に立たない)となります。

5:金銭消費貸借契約では貸金の弁済が先となり、両者の義務は同時履行の関係に立ちません。よって借主が先に貸金を弁済しない限り、貸主は抵当権抹消手続をする義務を負いません。そもそも確実にお金を返してもらうために抵当権を設定しているのに、抵当権を抹消しなければお金を返さないなんておかしな話ですよねキーワードは「抵当権抹消登記」(同時履行の関係に立たない)となります。

6:弁済をする者は、債権者に対して弁済と引換えに「受取証書(領収証)」の交付を請求することができます(弁済と領収証の交付は同時履行の関係に立つ)。しかし弁済と「債権証書(借用証書や金銭消費貸借契約書など)」の交付は同時履行の関係に立たず、弁済が先となります。借用書を渡さなければお金を返さないなんておかしな話ですよねキーワードは「債権証書」(同時履行の関係に立たない)となります。

7:請負契約において、請負人の「仕事完成義務」と注文者の報酬支払義務は仕事完成義務が先履行となります(同時履行の関係に立たない)。仕事が完成していないのに報酬を払えなんておかしな話ですよねしかし「目的物の引渡しを要する請負契約」においては、請負人の「目的物引渡義務」と注文者の報酬支払義務は対等な関係となります(同時履行の関係に立つ)。請負契約にはこの2パターンがありますので注意してください。キーワードは「目的物の引渡しを要する請負契約」となります。

尚、請負契約にはもう一つ注意点がありまして、請負契約の目的物に契約不適合がある場合、注文者は、請負人に帰責事由があれば損害賠償請求をすることができ、注文者の損害賠償請求権と請負人の報酬請求権は同時履行の関係に立ちます請負人から損害の賠償を受けるまで、注文者は報酬の支払いを拒むことができるということですね。これも覚えておきましょう。ついでに出題されたことはありませんが、請負に準じた規定をもう一つ。成果完成型の有償委任における委任者の成果物引渡請求権と受任者の報酬請求権も同時履行の関係に立ちますので、これも頭の片隅に入れておいてください。

出題頻度が高い問題はこの辺りですが、出題されそうで出題されてない借地借家法の次の2つも軽く頭に入れておきましょう。

土地明渡請求権と建物買取請求権は同時履行の関係に立つ
建物明渡請求権と造作買取請求権は同時履行の関係に立たない

あとは…相殺の問題ですが「自働債権に同時履行の抗弁権が付着しているときは相殺不可」。これもしっかり覚えておきましょう。


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