宅建まちがい探し:代理

宅建まちがい探し:今回は「代理」のまちがい探しを見ていきます。代理一般の知識は簡単な得点源ですが、無権代理になると一気に複雑化します。無権代理は「抵当権」などと並び権利関係の山場の一つとなります。

宅建まちがい探し!代理

以下、前提として「代理人をA、本人(売主)をB、相手方(買主)をC」とします。


【問1】ー

【問2】CがAをだまして売買契約を締結させた場合、Aは当該売買契約を取り消すことができるが、Bは取り消すことができない。

【問3】ー

【問4】代理人は行為能力者であることを要せず、代理人が後見開始の審判を受けたときでも代理権は消滅しない。

【問5】ー

【問6】ー

【問7】代理権を有しないAがCとした売買契約を本人Bが追認する場合、当該契約の効力は、別段の意思表示がない限り、追認をした時から将来に向かって生ずる。

【問8】代理権を有しないAがCと売買契約を行った場合、CはBに対して相当の期間を定めて、その期間内に追認するか否かを催告することができ、Bが期間内に確答をしない場合には、追認とみなされ当該契約は有効となる。

【問9】ー

【問10】BがAに抵当権設定の代理権しか与えていなかったにかかわらず、AがCと売買契約を締結した場合、Bは、善意無過失のCが「Aに代理権がある」と信ずべき正当な理由があるときでも、その売買契約を取り消すことができる。


代理の宅建試験問題
膨大な代理関連で最重要ポイントはこんなところですね。
基本の基本から応用知識までまだまだ覚えていただきたい箇所がありますが、これだけ知っておけば本格的に権利関係の勉強に入ったときに肉付けがしやすくなるはずです。

より詳しい解説は「分かりやすい民法解説」をご参照ください。

以下、解答(全て誤り)です!


1:ー

2:詐欺等によって意思表示の効力が影響を受ける場合、その事実の有無は代理人について決し、そして取消権は本人に帰属します。よって当該契約を取り消すことができるのはBであって、キーワードは「Bは取り消すことができない」となります(Aが取り消せるかどうかは代理権の範囲次第)。尚、代理人が詐欺により相手方を騙した場合は、本人の善意悪意に関わらず相手方は売買契約を取り消すことができます

3:ー

4:上記3番で代理人は行為能力者である必要はないとお伝えしましたが、それは代理人を選ぶときのお話です。未成年者や成年被後見人なども代理人となることはできますが、行為能力者が代理人となった後に制限行為能力者となった場合は話が別です。代理人に死亡・破産・後見開始があったときは代理権が消滅します(本人の後見開始では消滅しない点に注意)。キーワードは「代理人が後見開始の審判を受けた」となります。

5:ー

6:ー

7:代理人を名乗る者に代理権がなかった場合=無権代理ですね。無権代理の効果は原則として本人に帰属せず、BC間の契約は無効となります。しかし無権代理であっても本人が追認すると、その効力は契約のときに遡り、当初より有効な代理行為があったものとされ有効な契約となります。キーワードは「将来に向かって」となります。尚、追認(追認拒絶)は本人が相手方に対して行いますが、本人が無権代理人に対して追認(追認拒絶)を行い、そのことを相手方が知ったときは、その追認(追認拒絶)も有効となります。

8:上記7番の通り、無権代理が行われたことを知った本人は「追認」または「追認拒絶」をするだけですが、相手方が無権代理だったことを知ったときはどうするか…?ここが無権代理で一番ややこしいところですね。以下、相手方が行使できる権利です。

①相手方が善意無過失 … 催告・取消し・無権代理人への責任追及
②相手方が善意有過失 … 催告・取消し・悪意の無権代理人への責任追及
③相手方が悪意    … 催告のみ

相当の期間を定めて催告し、期間内に確答がない場合は追認拒絶となります。取消権は、本人が追認するまでの間に限られます。責任追及とは、本人が追認を拒絶した場合の履行請求や損害賠償請求となります。よって相手方は善意悪意に関わらず無権代理人の行為を追認するか否かを本人に催告することはできますが、この催告に対して確答がない場合は追認を拒絶したものとみなされ、契約は無効となります。キーワードは「追認とみなされ」となります。

9:ー

10:勝手に代理行為を行う無権代理に対し、本来の代理権とは異なる代理行為を行うこと=表見代理ですね。表見代理には「代理権授与表示の表見代理」「権限踰越の表見代理」「代理権消滅後の表見代理」、そしてこれらを組み合わせた表見代理があります。相手方からは本当の代理人と見えてしまう点が単なる無権代理とは異なります。無権代理の場合は勝手に代理をされた本人と相手方を守り、本人は追認をするか追認を拒絶するか、善意の相手方も取消等が可能でしたが、表見代理の場合は相手方に主導権が移ります。本人と代理人の間に何らかの関係はあり、代理人を代理人と信じた相手方を一番に保護するということです。よって相手方は、善意無過失で、代理人が委任状を持っていたなどの正当理由さえあれば「契約を有効」とすることができますキーワードは「善意無過失のCが、Aに代理権があると信ずべき正当な理由がある」となります。


以上、代理についてお話しましたが、無権代理と表見代理はパターン慣れすることが一番です。
権利関係の本格的な勉強に入りましたら「分かりやすい民法解説」等をご覧いただき、過去問もできるだけ多くこなして様々なパターンに「慣れて」いってください!


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