かんたん宅建業法(完全版):宅建免許証の効力

かんたん宅建業法(完全版)の3回目、宅建免許の「有効期間」「変更の届出」「免許換え」「廃業等の届出」について解説します。

宅建免許証の効力

簡単な宅建業法で間違える可能性があるとしたら、35条、37条、そして取引士証とこの免許の届出関連だと思います。どのような場合に変更の届出が必要になるのか?変更の届出と免許換えの違いは?などなど紛らわしいので、きちんと頭の中を整理して正確に覚えておいてください。ここは宅建業法の中でも比較的時間をかけて覚えるところです。

時間をかけてでもマスターすべきところ、基本だけ押さえて取れればラッキーというスタンスで構わないところを明確に分けて勉強できるかも、宅建合格への分かれ道となります


免許の有効期間

宅建業の免許の有効期間は5年です。宅建試験に合格した者が行う「取引士登録」の効力は、登録の消除がされない限り一生有効であるという点と比較しておいてください。

5年の期間満了後も引き続き宅建業を営もうとする場合は「免許の更新」を行います。免許更新の申請は、免許有効期間満了の90日前から30日前までに行います。この90日前から30日前という数字は必ず覚えておいてください。

この期間内に更新の申請をしておけば、免許権者が更新を認めるかどうか決定するまでに有効期間が過ぎてしまったとしても、決定まで免許の効力は持続します。そして有効期間満了後に更新が認められた場合でも、新しい免許の有効期間は、従前の免許の有効期間満了日の翌日から5年となります。更新が認められた日から5年ではありません。これも出題可能性ありです。

また、免許権者は免許に条件を付すことができ、更新時にも条件を付すことができます条件を変更することも可能です。


変更の届出

免許権者は、宅建業者に免許を与えた場合、免許証を交付するとともに「宅地建物取引業者名簿」というものに、一定事項を登載しなければなりません。宅地建物取引業者名簿に登載する事項は以下の8つです。

1.免許証番号・免許の年月日
2.商号・名称
3.宅建業者が法人である場合は、その役員および政令で定める使用人の氏名
4.宅建業者が個人である場合は、その個人および政令で定める使用人の氏名
5.事務所の名称・所在地
6.事務所ごとに置かれている成年者の専任取引士の氏名
7.指示処分・業務停止処分の年月日・その内容
8.宅建業以外に兼業している場合は、その事業の種類

これら1~8の事項に変更があった場合、宅建業者は変更の届出を行います(免許の申請と同様、国土交通大臣免許を受けている宅建業者は、主たる事務所を管轄する都道府県知事を経由して届け出ます)。最低限23(4)56番は覚えておいてください。よく出題されます。また、変更の届出が義務付けられているのは、2~6番だけです。178番は必ずしも届け出る必要はありません。

2~6番に変更があった場合、宅建業者は変更の届出を行いますが、この届出は、変更から30日以内に行わなければなりません。この期間は必ず覚えておいてください。

少し練習しておきましょう。以下、甲県に本店、乙県に支店をもつ宅建業者(=国土交通大臣免許)の話です。

1.乙県の支店に設置している成年者の専任取引士を増員した場合、その日から30日以内に乙県知事を経由して国土交通大臣に変更の届出をしなければならない。
→ 専任取引士を増員したということは、新たにその者の氏名を宅地建物取引業者名簿に登載するということ、つまり、上記6番の専任取引士の氏名の変更に該当します。よって変更の届出が必要となりますが、支店での変更であっても、本店である甲県知事を経由して国土交通大臣に届け出なければならず、誤りとなります。また、詳しくは後述します
が、逆に専任取引士が法定数(宅建業に従事する5人に1人以上)に満たなくなってしまった場合は、2週間以内に専任取引士の補充も必要となってきますのでご注意ください。

2.乙県の支店において新たにマンション管理業も営もうとする場合、甲県知事を経由して国土交通大臣に届け出なければならない。
→ 上記8番、宅建業以外に兼業している事業の種類は届け出る必要がありません。7番の指示処分・業務停止処分の年月日と内容を届け出る必要がないという問題も、そこそこ出題されますので要注意です。

また、変更の届出を怠ったり、虚偽の届出をした場合、宅建業者は50万円以下の罰金に処せられます。3番の役員に監査役も含まれるという点も、頭の片隅に入れておけばいいことがあるかもしれません。


免許換え

宅地建物取引業者名簿の登載事項に変更があった場合、宅建業者は変更の届出を行いますが、事務所を廃止・移転・新設し、現在の免許が不適当となる場合は、「免許換え」というものを行います。「変更の届出」や取引士でお話する「登録の移転」や「変更の登録」とグチャグチャになりますので、少しずつ確実に頭の中を整理していってください。

都道府県知事免許に免許換えする場合は、直接、免許換えを申請します。国土交通大臣免許に免許換えする場合は、主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して免許換えを申請します。そして新たな免許権者は、従前の免許権者に対して遅滞なくその旨を通知します。ここは事例で見ていきましょう!

・A県+B県 → B県の事務所を廃止しA県のみ(国土交通大臣免許 → A県知事免許)
 直接A県知事に申請、A県知事は国土交通大臣に通知

・A県 → B県に移転(A県知事免許 → B県知事免許)
 直接B県知事に申請、B県知事はA県知事に通知

・A県(本店)+B県にも新設(A県知事免許 → 国土交通大臣免許)
 A県知事を経由して国土交通大臣に申請、国土交通大臣はA県知事に通知

練習問題形式でも見ておきます。甲県に本店、乙県に支店をもつ宅建業者(=国土交通大臣免許)の話です。

1.乙県の支店を廃止した場合、甲県知事を経由して国土交通大臣に免許換えを申請しなければならない。
→ シンプルですが、変更の届出と混乱しそうになるところですね。乙県の支店を廃止したということは、国土交通大臣免許から甲県知事免許になるということです。よって、甲県知事に直接免許換えの申請をすることになり、誤りとなります。

2.乙県の支店を廃止した場合、国土交通大臣免許から甲県知事免許に免許換えを行う必要があるが、従前の国土交通大臣免許の効力は、甲県知事が免許申請書を受理したときに失効する。
→ 宅建業者が甲県知事の「免許を受けたとき」に失効します。よって誤りです。かなり意地悪な問題ですが、最近の宅建試験ではこういう問題も増えてきてますね。

以下、本試験出題ポイントをインプリ風にササッと押さえておきましょう。

・免許換え後の免許有効期間は、免許換えのときから5年である!
・免許換えと同時に変更の届出も必要な場合、変更の届出は不要となる!
・免許換えが必要なのに免許換えをしない場合、その免許は取り消される
・個人の宅建業者が法人となる場合、改めて免許を受ける必要がある


廃業等の届出

免許権者から免許取消処分を受けた場合、個人の宅建業者が死亡した場合、法人の宅建業者が破産した場合・・などなど、宅建業者は宅建業を営むことができなくなります。このような場合、「廃業等の届出」をしなければなりません。廃業等の届出が必要な場合とは?誰が届け出るのか?重要です。

尚、変更の届出と同様に届出先は免許権者で、国土交通大臣免許の場合は、主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して国土交通大臣に届け出ます

1.死亡:相続人
2.合併消滅:消滅した会社の代表社員であった者
3.破産:破産管財人
4.解散:清算人
5.廃業:廃業した個人または法人の代表役員

ここは引っかけ問題の宝庫です。例えば、破産によって・・と出題された場合、届け出るのは破産管財人です。しかし、破産または合併以外の理由により解散・・と出題されたら清算人です。正確な知識が問われますので、騙されないようにしてください。

そしてこの届出は、廃業等の事実が発覚した日から30日以内に上記の者が申請しますが、死亡の場合だけは、相続人が死亡を知った日から30日以内ですので、この引っかけにも注意してください。また、免許が失効する時期ですが、1番と2番は届出を待たずに、死亡、合併のときに免許の効力はなくなります3~5番は届出時に失効です。ここも注意ですね。

では、練習しておきましょう。

1.甲県知事免許の宅建業者が破産手続開始の決定を受けた場合、当該宅建業者は、その旨を30日以内に甲県知事に届け出なければならない。
→ 破産の場合の届出義務者は、宅建業者ではなく破産管財人です。誤りです。後述しますが、取引士が破産した場合は取引士自身が届け出ますのでご注意ください。宅建試験・・特に宅建業法では、このようなちょっとした違いが多く出題されます

2.甲県知事免許の宅建業者(個人)が死亡した場合、当該宅建業者の相続人は、死亡の日から30日以内に甲県知事に届け出なければならない。
→ 死亡の日から30日以内ではなく、相続人が死亡の事実を知った日から30日以内です。ここめちゃくちゃ出題されます。誤りです。

3.法人である甲県知事免許の宅建業者Aが宅建業者Bに吸収合併された場合、残存する宅建業者Bを代表する役員は、その旨を30日以内に甲県知事に届け出なければならない。
→ 合併消滅の届出義務者は、消滅した法人Aの代表者です。これも割と出題されますね。誤りです。

4.法人である甲県知事免許の宅建業者が合併により消滅した場合、その旨の届出があったときに当該宅建業者の免許は失効する。
→ 合併のときに免許は失効します。破産・解散・廃業は届出のときに失効する点と比較しておいてください。

最後に廃業等の届出の補足です。免許が失効すると宅建業者ではなくなりますが、それでは取引中の相手がいた場合、その相手方が困ってしまいます。そこで免許が失効した場合でも、一定の者は、その継続中の取引が終了するまでは、当該取引の範囲内では宅建業者とみなされます。これは覚えておいてください。ちなみに一定の者とは、宅建業者でなくなった本人や相続人、新設会社や存続会社です。

また、免許換えや廃業等の届出によって従前の免許が失効した場合は、免許証を免許権者に「返納」する必要があります。有効期間満了による失効は返納の必要がありませんので、この点にも注意しておいてください。単に免許証をなくしたり破損した場合は、遅滞なく免許権者に再交付の申請を行います。30日以内などではなく、「遅滞なく」です。


以上、宅建免許についてお話しました。宅建業法の中でも5本の指に入る面倒なところですが、難しくはありませんよね?ちょっと覚えることが多いだけで、難しくはありませんよね?少し時間をかければ引っかけパターンも掴めそうですよね。

取引士の「変更の登録」や「登録の移転」が絡んでくると更にややこしくなりますが、一つ一つの宅建業法はこの程度なんです。簡単なんです!では、最後に最新の本試験問題をチェックして出題パターンも掴んでおきましょう。


最新の宅建本試験問題

宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか(2018-36

1.宅地建物取引業者Aが免許の更新の申請を行った場合において、免許の有効期間の満了の日までにその申請について処分がなされないときは、Aの従前の免許は、有効期間の満了によりその効力を失う。

2.甲県に事務所を設置する宅地建物取引業者B(甲県知事免許)が、乙県所在の宅地の売買の媒介をする場合、Bは国土交通大臣に免許換えの申請をしなければならない。

3.宅地建物取引業を営もうとする個人Cが、懲役の刑に処せられ、その刑の執行を終えた日から5年を経過しない場合、Cは免許を受けることができない。

4.いずれも宅地建物取引士ではないDとEが宅地建物取引業者F社の取締役に就任した。Dが常勤、Eが非常勤である場合、F社はDについてのみ役員の変更を免許権者に届け出る必要がある。

うーん、簡単ですね!正解肢の3番は手抜き問題レベルです。昨年はヤラシイ問題も多かったですが、正解肢が驚くほど簡単な問題も多かったです。

1:更新処分がなされるまで従前の免許は有効となります。2:知事免許でも業務を行うだけなら日本全国自由です。複数の都道府県に事務所を設置する場合に免許換えが必要となります。4:役員であれば、常勤でも非常勤でも監査役でも変更の届出が必要です。


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