契約が有効に成立する要件とは?

宅建試験の民法解説:前ページまでで、契約の「成立要件」である意思表示についてお話してきました。しかし、契約が当事者同士の意思表示の合致により成立したとしても、そこから直ちに契約として拘束力を持つわけではありません。

契約の有効要件の宅建解説

契約が有効に成立するには、法律の内容面から見て「適切・妥当」でなければなりません。また、意思表示をした者の意思自体に「瑕疵・欠陥」があってもいけません。これらに該当する場合、契約は「無効」、またはいったん成立しても「取消し」の対象となります。

例えば民法90条により、「公の秩序・善良の風俗に反する内容を含む契約は無効」とされています(略して、公序良俗違反は無効)。基本的に契約自由の原則が認められているといっても、社会的妥当性に欠ける契約を認めるわけにもいきません。

例を挙げます。

犯罪を行うことを前提とした契約(殺人依頼、麻薬売買など)
ギャンブルによる借金を担保するための抵当権設定契約
妾(愛人)契約
人身売買契約、奴隷契約
ねずみ講(射幸心をあおっている)
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このように、反社会性を帯びた契約は認められません。仮に成立してしまった場合でも無効ですので、すぐに取消すことができます。

また、そもそも大前提として、「実現することが不可能」なことを内容とする契約も、もちろん無効となります。この不可能には、法的表現で「原始的不能」と「後発的不能」と呼ばれるものに分かれます。ここで注意していただきたいのは、「後発的不能は無効ではない」ということです。後発的不能とは、契約時には有効に契約が成立したが、後から不能となることです。

例えば、売買契約締結後に家屋が焼失してしまった場合などです。この場合、契約は無効とはならず「債務不履行」や「危険負担」の問題となります。詳しくは今後解説していきます。

原始的不能は簡単です。初めから実現が不可能な場合です。存在していない物の売買契約、生身で空を飛んだら100万円あげるという条件契約・・こういった契約は当然に無効となります。

ではここでは、契約自体の適法性、妥当性についてのみとさせていただきます。次ページでは、意思表示をした者の意思自体に、瑕疵・欠陥があった場合(心裡留保、虚偽表示、錯誤)のお話をいたします。少し細かい知識に入っていきますので、ここまでの基本的な民法の全体像を、しっかりと把握しておいてください!


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【宅建試験問題 昭和57年ー問7】契約の成立に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1.承諾の期間の定めのある申込みは、原則として、申込者がその期間内に承諾の通知を受けないときは、効力を失う。
2.承諾の期間を定めないで、隔地者に対してなした申込みは、いつでも取り消すことができる。
3.隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。
4.申込みに変更を加えた承諾は、申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなされる。
1 正:民法は原則として、申込の意思表示は到達主義をとっており、相手方に到達する前ならば申込みを取り消すことができる
2 誤:承諾期間を定めないでした隔地者への申込みは、承諾通知を受けるのに要する相当な期間は取り消すことができない
3 正:1番の解説の通り、民法の原則は到達主義ですが、「承諾」の意思表示は発したときに生じる
4 正:申込みに変更を加えて承諾したときは、変更前の申込みを拒絶した上で新たな申込みをしたものとみなされる