都市計画法の宅建過去問

宅建過去問:「都市計画法」の基本的な仕組みについての重要過去問を見ていきます。基本と言っても、それなりに複雑で出題頻度も高いです。都市計画法で最も重要なのは開発行為についてですが、覚える量が多くなりますので、開発行為は次回に集中してお送りします。まずは都市計画区域や都市計画の決定手続きなどを覚えておきましょう。

都市計画法の宅建過去問

都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。(2002年の宅建過去問 問-17)

【問】都市計画区域は、一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全される必要がある区域であり、2以上の都府県にまたがって指定されてもよい。

都市計画区域は、一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全される必要がある区域で、必要があれば一つの市町村の区域外に渡って指定することもでき、2以上の都府県にまたがって指定することもできます。よって正しい肢となります。

【問】都市計画は、都市計画区域内において定められるものであるが、道路や公園などの都市施設については、特に必要があるときは当該都市計画区域外においても定めることができる。

通常の都市計画は、都市計画区域内において定められますが、都市施設については、特に必要があるときは都市計画区域外においても定めることができます。正しい肢となります。

【問】市街化区域は、既に市街地を形成している区域であり、市街化調整区域は、おおむね10年以内に市街化を図る予定の区域及び市街化を抑制すべき区域である。

市街化区域とは、既に市街地を形成している区域およびおおむね10年以内に市街化を図るべき区域で、市街化調整区域とは、市街化を抑制すべき区域です。よって誤りです。

【問】無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を進めるため、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に区分することができるが、すべての都市計画区域において区分する必要はない。

都市計画区域においては(=準都市計画区域内は不可)、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を進めるため、市街化区域と市街化調整区域に区分することができますが、これは任意です(三大都市圏と政令指定都市を含む都市計画の場合は必ず区分する)。よって正しい肢となります。尚、市街地開発事業を定めることができるのは、市街化区域または区域区分が定められていない都市計画区域内のみとなります(=市街化調整区域内は不可)。


都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(2010年の宅建過去問 問-16)

【問】市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとされている。

市街化区域については、少なくとも用途地域を定め、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとされています。よって正しい肢となります。

【問】準都市計画区域は、都市計画区域外の区域のうち、新たに住居都市、工業都市その他の都市として開発し、及び保全する必要がある区域に指定するものとされている。

準都市計画区域は、都市計画区域外の区域のうち、そのまま土地利用を整除し、環境を保全する措置を講ずることなく放置すれば、将来における一体の都市としての整備、開発および保全に支障が生じるおそれがあると認められる一定の区域に指定されます。準都市計画区域内で市街地開発事業を定めることはできず、誤りとなります。

【問】特定用途制限地域は、用途地域内の一定の区域における当該区域の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定めるものとされている。

これは特別用途地区の定義です。特定用途制限地域は、用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く)内において、その良好な環境の形成または保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるように制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域をいいます。よって誤りです。


都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(2011年の宅建過去問 問-16)

【問】準都市計画区域については、都市計画に、高度地区を定めることはできるが、高度利用地区を定めることができないものとされている。

準都市計画区域に定めることができるもの=用途地域特別用途地区特定用途制限地域高度地区景観地区風致地区。定めることができないもの=区域区分、特例容積率適用地区、高層住居誘導地区、高度利用地区、特定街区、防火・準防火地域。よって正しい肢となります。


都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(2006年の宅建過去問 問-18)

【問】地区計画は、建築物の建築形態、公共施設その他の施設の配置等からみて、一体としてそれぞれの区域の特性にふさわしい施設を備えた良好な環境の各街区を整備し、開発し、及び保全をするための計画であり、用途地域が定められている土地の区域においてのみ定められる。

地区計画は、用途地域が定められている土地の区域内にのみ定められるわけではありません。それぞれの地区の特性にふさわしい「まちづくり」のために計画されます(地区施設及び地区整備計画を必ず定める)。よって誤りです。

【問】都市計画事業の認可の告示があった後においては、当該都市計画事業を施行する土地内において、当該事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更を行おうとする者は、都道府県知事及び当該事業の施行者の許可を受けなければならない。

都市計画事業の認可の告示があった後において、当該都市計画事業地内で当該事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更を行おうとする者は、都道府県知事の許可(市の区域内では当該市長)が必要です。施行者の許可は不要で誤りです。都市計画事業の施行公告の翌日から10日を経過した後に事業地内の土地建物等を有償で譲り渡そうとする者は、事前に都市計画事業の施行者へ届け出る必要がある点と比較しておいてください。

【問】都市計画事業については、土地収用法の規定による事業の認定及び当該認定の告示をもって、都市計画法の規定による事業の認可又は承認及び当該認可又は承認の告示とみなすことができる。

都市計画事業の認定や告示をもって、土地収用法における事業認定やその告示とみなされます。「都市計画事業」と「土地収用法の規定による事業」が全くの逆になっていて、誤りとなります。


都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(2007年の宅建過去問 問-18)

【問】地区計画の区域のうち、地区整備計画が定められている区域内において、土地の区画形質の変更又は建築物の建築を行おうとする者は、当該行為に着手した後、遅滞なく、行為の種類、場所及び設計又は施行方法を市町村長に届け出なければならない。

地区計画の区域のうち、地区整備計画が定められている区域内において、土地の区画形質の変更または建築物の建築や工作物の建設を行おうとする者は、当該行為に着手する日の 30 日前までに、一定事項を市町村長に届け出なければなりません。行為着手後とする本肢は誤りです。

【問】都市計画の決定又は変更の提案をすることができるのは、当該提案に係る都市計画の素案の対象となる土地の区域について、当該土地の所有権又は建物の所有を目的とする対抗要件を備えた地上権若しくは賃借権を有する者に限られる。

都市計画の決定または変更の提案をすることができるのは所有者等に限られません。まちづくり推進活動を行う団体なども可能で誤りとなります。また、市町村が都市計画の決定手続きを行うには、市→知事に協議町村→知事に協議し同意、という点も注意です。(R3法改正で町村も協議のみで足ります)


都市計画法に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(1991年の宅建過去問 問-18)

【問】高度地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、容積率の最高限度又は最低限度を定める地区である。

高度地区は、「用途地域内において」市街地の環境を維持し、または土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度または最低限度を定める地区です。よって誤りです。

【問】特別用途地区は、当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るために定める地区で、用途地域外であっても定めることができる。

特別用途地区は、「用途地域内の一定地区において」その特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るために定める地区です。用途地域外に定めることができず、誤りとなります。


都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。(1999年の宅建過去問 問-17)

【問】都市施設は、円滑な都市活動を確保し、良好な都市環境を保持するように都市計画に定めることとされており、市街化区域については、少なくとも道路、公園及び下水道を定めなければならない。

市街化区域および区域区分が定められていない都市計画区域については、少なくとも道路、公園、下水道を定めなければなりません。よって正しい肢となります。

【問】第一種中高層住居専用地域は、中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するために定める地域であり、その都市計画には、建築物の高さの最低限度又は最高限度を定めなければならない。

建築物の高さの最低限度または最高限度を定める必要はありません。よって誤りです。10mまたは12mという高さ規制があるのは、第一第二低層住専と田園住居です。


都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(2003年の宅建過去問 問-17)

【問】高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため定める地区である。

高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため、建築物の容積率の最高限度、建蔽率の最高限度、敷地面積の最低限度を定める地区です。よって正しい肢となります。

【問】第一種住居地域は、低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域であり、第二種住居地域は、中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域である。

第一種住居地域は、住居の環境を保護するため定める地域で、第二種住居地域は、主として住居の環境を保護するため定める地域です。低層、中高層住宅としている本肢は誤りとなります。

【問】高度利用地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区である。

高度利用地区は、「用途地域内において」市街地の土地利用の増進、都市機能の更新を図るため、建築物の容積率の最高限度および最低限度、建蔽率の最高限度、建築面積の最低限度、壁面位置の制限を定める地区です。高さを定める地区ではなく、誤りとなります。


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